goo blog サービス終了のお知らせ 

のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

賢者はベンチで思索する/近藤史恵

2007年06月11日 21時33分44秒 | 読書歴
■賢者はベンチで思索する/近藤史恵
■ストーリ
 ファミレス常連客のあの老人。でも公園のベンチで見かけるときと
 あまりにも印象が違うのはなぜ?ファミリーレストラン「ロンド」を
 舞台に展開する謎の事件。不可思議な老人は21歳の女の子の
 人生に、とても大切なものを与えてくれた。
 それは常識によらず、人を信じる力。
 犬と老人と21歳の女の子が挑むミステリー。

■感想 ☆☆☆☆
 「大」事件ではない。ニュースやワイドショーで取り上げられる
 こともないであろう小さな小さな謎に焦点をあてた作品。
 確かに「大きな」事件ではないけれど、「大きな」事件では
 ないからこそ、そこにある悪意にはぞっとさせられる。

 きっとこの作品で扱われている3つの事件の犯人は
 連続殺人や強盗はしない。なぜなら、それは「いけない」こと
 「ひどい」ことだから。彼らには「してはいけないこと」
 「してもいいこと」という線引きではなく、
 「ここからは」ひどいこと、「ここからは」犯罪、という
 線引きしかないのだと思う。
 その本質とずれた感覚にぞくっとした。

 ちょっとした謎を解決しながら、モラトリアムのヒロインと
 ややひきこもり気味のヒロインの弟は迷い、壁にぶつかりながらも
 少しずつ出口に近づいていく。その様子はまったく劇的では
 ないし、感動的でもないのだが、緩やかな変化だからこそ
 うそ臭くなく、爽やかな気持ちにさせられた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。