goo blog サービス終了のお知らせ 

のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

そのときはかれによろしく/市川拓司

2009年10月19日 22時32分37秒 | 読書歴
91.そのときはかれによろしく/市川拓司
■ストーリ
 小さなアクアプランツ店「トラッシュ」を経営している主人公、
 遠山智史のもとに、ある夜、森川鈴音と名乗る美しい女性が現れ、
 アルバイトとして住み込みで雇ってくれるように頼む。智史は
 怪しく思ったものの、彼女に奇妙な懐かしさを感じ、受け入れる。
 一方、智史は、結婚紹介所で知り合った美咲さんと何度かデートを
 重ね、デートのたびに、自分の13歳のときの思い出話をしていた。
 13歳の彼に初めてできた友達、五十嵐佑司と滝川花梨との
 出会いから別れまでについて。
 やがて彼は、鈴音がかつての友人、滝川花梨だということに
 気づき・・・。

■感想 ☆☆*
 市川さんらしい温かいファンタジー。
 当初、心がすさんでいる私にとっては、ちょっぴり設定が結末が
 甘すぎるように感じられた。けれど、この物語の核は、当初、私が
 思っていたような、決してただ甘いだけの「男女のラブストーリー」
 ではないのだと思う。「友情」や「親子愛」なども含めた「愛情」
 の物語。そう思うと、「甘さ」が「気持ちのよい温かさ」に変わって
 感じられた。
 主人公である智史が友人たちに向ける愛情や、智史自身が両親から
 向けられる愛情は、私たちが普段、照れくささゆえに、なかなか
 口に出して伝えられない気持ち。だからこそ、そういった気持ちを
 素直に行動や口に出して行動できる主人公たちの様子が胸に響く
 のだと思う。最初は彼らをななめに見ていたが、いつのまにか
 そんな彼らにしっかりと感情移入してしまった私は、「そのときは
 かれによろしく」という言葉の温かさに、そしてそこに込められて
 いる気持ちの大きさ、暖かさ、果てしなさに、胸が詰まった。
 寒い冬、暖かい部屋の中で、暖かいストーブの傍で、暖かい飲み物を
 飲みながら読みたくなるお話。そして、読み終えた後、静かに
 大好きな人に思いを馳せたくなる。そんな気持ちにさせられる
 かわいらしい話だった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。