夢七雑録

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子年のお年玉切手シート

2020-02-25 19:51:32 | 随想ほか雑記

今年は、お年玉付き年賀はがきの末等、お年玉切手シートが2枚当たったので、先日、郵便局で入手した。この結果、手持ちの切手アルバムに、今年までの子年のお年玉切手シートが一通り揃ったことになった。

 

(1)昭和35年(1960)

昭和35年用の5円の年賀切手は、昭和34年12月に発売されている。郵便料金は昭和26年から、はがき5円、封書10円のまま変わらなかった。昭和35年のお年玉切手シートは、5円の年賀切手4枚を1シートにしたものである。

昭和35年の子年の年賀切手(お年玉切手シート)の図柄は、金沢の郷土玩具“米食いねずみ”になっている。この郷土玩具は天保の頃に藩の足軽が手内職として始めたものに由来し、竹ひごをおさえると、ねずみの頭としっぽが下がり前に置かれた米を食べるというカラクリ仕掛けになっている。お金が増えるとも言われた玩具であった。本来の“米食いねずみ”は桐の廃材を焼いた黒いねずみで、台も木材をそのまま使っていたが、年賀切手では正月向きの図柄にするため、白ねずみに変え、台と竹ひごを緑に、背景を金色にしている。

 

(2)昭和47年(1972)

郵便料金は昭和41年に、はがき7円、封書15円に値上げされ、昭和47年2月には、はがき10円、封書20円に値上げされている。昭和47年用の年賀切手は昭和46年12月に発売され額面は7円で緑を背景色としている。昭和47年の1月に発売された時は、同じ図柄ではあっても額面は10円となり背景色は青になっていた。

昭和35年の子年以来、年賀切手の図柄には十二支が使われてきたが、一巡したことから昭和47年の年賀切手には米俵や金銀サンゴを積んだ宝船の図柄が使用されることになった。この年のお年玉切手シートは青の背景色に宝船の図柄で額面10円の切手3枚である。

 

(3)昭和59年(1984)

昭和59年の郵便料金は、はがき40円、封書60円になっていた。昭和59年用の年賀切手は昭和58年12月に額面40円で発売されている。

この年のお年玉切手シートは40円の年賀切手2枚になっている。年賀切手の図柄は、滋賀県東近江市五個荘小幡町の郷土玩具“小槌乗りねずみ”になっている。この郷土玩具は素焼き粘土に彩色した小幡人形(おばたでこ)と呼ばれるもので、元禄年間に飛脚屋だった細居安兵衛が伏見で技術習得して始めた土人形に由来する。年賀切手になったものは8代目の細居文蔵の作という。

 

(4)平成8年(1996)

この年、郵便料金は、はがきが50円に封書が80円になっていた。年賀切手は50円切手と80円切手で、平成7年11月に発売されている。

この年のお年玉切手シートは、50円と80円の年賀切手各1枚からなる。そのうち、50円切手は仙台市の堤人形“唐辛子乗りねずみ”が図柄になっている。堤人形は昭和58年の年賀切手として“ししのり金太郎”が取り上げられているので、今回が2回目ということになる。堤人形は元禄時代に仙台藩主が足軽の副業育成のため江戸の今戸の陶工を招いて窯場を設けたことに始まる。江戸時代の堤町には土人形屋が13軒あったというが、明治以降は衰退し、現在では、文化年間から続く人形師、芳賀家だけがその伝統を継承している。80円の年賀切手の図柄は鹿児島県霧島市の“米倉ねずみ”で、しっぽを動かすと、ねずみが見え隠れするカラクリ仕掛けの玩具になっている。なお、この年のお年玉切手シートは1枚しか当たらなかったが、その1枚をうっかり折ってしまっている。切手シートとしての価値は額面だけという事にはなるが、それも思い出の一つなので、そのまま残してある。

 

(5)平成20年(2008)

平成20年用の年賀切手は平成19年11月に50円と80円が発売されている。なお、通信販売用としてオリジナル年賀切手50円が平成19年11月に発売されている。

お年玉切手シートは50円と80円の年賀切手各1枚になっている。なお、切手シートの銘版は国立印刷局になっているが、平成15年の組織替えで切手の印刷が大蔵省印刷局から国立印刷局に変更されたことによる。50円の年賀切手は長野県塩尻市奈良井の福徳十二支土鈴のうち、ねずみの図柄のもので、ちゃんちゃんこを着たねずみが並んで福俵に乗っている。80円の年賀切手は山梨県甲府市の十二支招福土鈴のうち、ねずみの土鈴を図柄としている。この土鈴は武田神社で参拝者に授けられるものという。

 

(6)令和2年(2020)

令和2年用の年賀郵便切手は令和元年11月に発売され、63円切手が川崎巨泉画による伏見小判鼠、84円切手は川崎巨泉画による伏見唐辛子鼠を図柄としている。銘版にはカルトール社の名がある。また寄付金付お年玉付年賀郵便切手は、ねずみと米俵の図柄の63円切手と、ねずみと赤かぶの図柄の84円切手で、何れも切手デザイナーによるオリジナルデザイン、銘版は国立印刷局になっている。2017年からはフランスのカルトール社も日本の切手の製造を行うようになっていた。

お年玉切手シートは、福の字を図柄とする63円切手と寿の字を図柄とする84円切手で、切手デザイナーによるデザインである。銘版はカルトール社になっている。シートにはねずみが描かれ、福の字の切手にもねずみが描かれている。シートには★が描かれているほか★の形の特殊穿孔もある。シートは6色でシートの右下に6色の星印のカラーマークがある。

<参考資料>「年賀状の戦後史」ほか。

 


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