今年は、お年玉付き年賀はがきの末等、お年玉切手シートが1枚当たったので、昭和38年から令和5年まで卯年(ウサギ年)のお年玉切手シートが一通り揃うことになった。十二支と十干を組み合せた干支で、今年は癸卯(みずのと・う)に相当するが、前回の癸卯は60年前の昭和38年(1963)ということになる。
(1)昭和38年(1963)
昭和38年のお年玉切手は5円切手4枚からなるシートで、佐賀県の郷土玩具である“のごみ人形”の干支シリーズから卯の土鈴の図柄が使用されている。のごみ人形は佐賀県の鹿島で昭和20年(1945)から作られていた土人形がもとになっている。なお、昭和26年(1951)11月に葉書は5円で封書は10円となったが、その後、昭和41年(1966)までは変わらなかった。
(2)昭和50年(1975)
昭和41年(1966)7月には、葉書は7円に封書は15円となり、昭和47年(1972)2月には葉書は10円に封書は20円に値上がりした。昭和50年(1975)のお年玉切手は10円切手3枚のシートで、図柄には桂離宮の水仙の釘隠しが使われていた。釘隠しとは長押などの釘の頭を隠すための装飾具を言うが、桂離宮の参観者で水仙の釘隠に気づいた人は少ないかも知れない。
(3)昭和62年(1987)
昭和51年(1976)1月に葉書20円、封書50円に値上がりしたが、さらに昭和56年(1981)1月には葉書30円で封書60円となり、同年4月からは、葉書40円、封書60円となる。昭和62年(1987)のお年玉切手は40円の切手1枚と60円の切手1枚からなるシートになっている。40円の図柄は、明治になって旧士族が始めた名古屋土人形の継承者による“めおとうさぎの餅つき”で、60円の図柄は慶事用折鶴になっている。
(4)平成11年(1999)
平成1年(1989)4月に葉書41円で封書62円となり、平成6年(1994)1月には葉書50円、封書80円に値上がりする。平成11年(1999)のお年玉切手は50円切手1枚と80円切手1枚からなるシートになっている。50円切手の図柄は千葉県佐原の郷土玩具、佐原張子の“もちつきうさぎ”で、80円切手の図柄は、幕末に始まった渋江人形を継承した山形張子の“玉乗兎”である。
(5)平成23年(2011)
平成23年(2011)のお年玉切手は50円切手と80円切手の2枚からなるシートで、50円切手の図柄は福島県西会津町の”首振り招福卯”という西会津張子、80円切手の図柄は兵庫県丹波市の稲畑人形のうち“子兎土鈴”という土人形が使われているが、何れも江戸時代からの郷土玩具の流れを汲むものという。
(6)令和5年(2023)
平成26年(2014)4月に葉書は52円、封書は82円になり、平成29年(2017)6月には葉書62円、封書82円に値上げされ、そして令和元年(2019)10月には葉書63円、封書84円となった。お年玉切手シートは平成28年まで国立印刷局が印刷していたが翌年以降は委託するようになり、令和5年の場合は、凸版印刷(株)の製造になっている。図柄は干支に因んだ84円と63円のうさぎのデザインである。