夢七雑録

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富士山の貨幣・紙幣・切手

2013-07-02 19:20:28 | 随想ほか雑記


 富士山ほど多くの絵画に取り上げられた山は、他に無いだろう。富士山を撮った写真に至っては、ほとんど無数と言っても良いぐらいである。また、富士山の図柄は様々なところで使用されてもいる。そこで、富士山が世界遺産に登録されたのを機に、手持ちの貨幣・紙幣・切手の中から、富士山の図柄を用いているものを探してみた。

(1)貨幣

 上の写真は、昭和17年発行の1銭アルミ貨幣で、富士山を図柄としている。現行の1円玉より一回り小さい、吹けば飛ぶような貨幣で、当時も、この貨幣で買えるものはあまりなかっただろう。貨幣カタログによると、現在の価値は美品でも50円なので、世界遺産登録記念の富士山グッズとして買っておくのも良いかもしれない。

 上の写真は、昭和39年の東京オリンピック記念の1000円銀貨幣で、富士と桜の図柄が使用されている。この銀貨は日本初めての記念硬貨として人気が高く、一時は額面の20倍ほどの値を付けたという。その頃に売ってしまえば儲かったのだろうが、その後は値下がりを続け、貨幣カタログによると、現在の価格は美品で3000円だという。むろん、買取価格はずっと低く儲かるようなものではない。それでも、二度目の東京オリンピック開催が決まれば、少しは値上がりするのだろうか。

 富士山を図柄とする記念硬貨は、財務省のホームページによると、上記のほかに、次のようなものがある。このうち、③と④はプルーフセットとして、額面をかなり上回る高額で販売されている。また、地方自治法施行60周年記念貨幣の発行が予定されているが、静岡県と山梨県のものは富士山の図柄を用いるようである。

①日本万国博覧会記念100円白銅貨。昭和45年。図柄は北斎の凱風快晴(赤富士)。
②天皇陛下御在位10年記念500円白銅貨。平成11年。図柄は富士山と菊。
③2007ユニバーサル技能五輪国際大会1000円銀貨。平成19年。図柄は富士。
④第67回国際通貨基金世界銀行グループ年次総会記念1000円銀貨。平成24年。図柄は富士山と江戸の庶民。


(2)紙幣

 上の写真は500円札に使われていた富士山の図柄で、大月市の雁ケ腹摺山から見た富士山の写真を原図としている。

 現行の1000円札は、本栖湖の逆さ富士の写真を原図とする富士山の図柄を使用しているが、新渡戸稲造の旧5000円札も、同じ写真を原図としている。

(3)切手

 切手カタログによると、普通切手に富士山の図柄を用いたのは、大正11年の富士鹿切手が始まりということになる。翌年には、別の図柄の富士山による震災切手が発行され、大正15年には富士山の風景切手が発行される。昭和15年になると、富士山と桜の切手が発行され、この図柄を簡略化した切手が昭和19年に発行される。上の写真は、その翌年に戦後初めて発行された切手で、昭和19年の切手の図柄をそのまま用いているが、目打(ミシン目)は無い。昭和21年には、北斎の赤富士を図柄とする切手が発行されるが、その後、富士山の図柄は、記念切手に移るようになる。

 富士山を図柄とする記念切手は種類が多いので、今回は主なものだけを取り上げる。富士箱根の記念切手は、国立公園シリーズの一つとして昭和11年に発行されているが、昭和24年と昭和37年にも図柄を変えて発行されている。このほか、観光地百選として昭和26年に発行された日本平の図柄には富士山も含まれている。国際文通週間の記念切手には、北斎の富嶽三十六景の図柄が数多く採用されており、上の写真は、そのうちの昭和44年に発行された甲州三島越の図である。国際文通週間の記念切手には広重の東海道五十三次の図が採用されており、その中に富士が描かれているものが幾つかある。ふるさと切手のシリーズでは、静岡県と山梨県に富士山を図柄とするものがある。このほか、自然公園の日や国際観光年、東京サミットなどの記念切手や日本の歌シリーズなど、富士山を図柄とした切手が多数発行されている。

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