夢七雑録

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新宿御苑の梅と桜

2017-03-05 08:02:37 | 公園・庭園めぐり

「梅は咲いたか桜はまだかいな・・」という端唄があるが、新宿御苑では梅と桜が同時に咲いている。新宿門から入り大木戸門の方向へ進むと、園路の分岐点(場所ナンンバーV3)があり、ここにオカメという名の桜が咲いていた。イギリスの愛好家により作られてオカメと名付けられた栽培品種が戦後に移入されたもので、カンヒザクラ(寒緋桜)とマメザクラ(豆桜)の種間雑種という。花は中輪一重で淡紅色、下向きに咲いている。

オカメとは園路の反対側になるコフクザクラの北側に、ツバキカンザクラ(椿寒桜)が咲いていた。カラミザクラ(唐実桜)とカンヒザクラ(またはカンザクラ)の種間雑種とされ、松山市の椿神社に原木がある。花は中輪一重で桃色、雄しべは長い。

園路を先に進みサービスセンター近くまで来ると、園路の右側に河津桜(カワヅザクラ)が咲いていた。カンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種の栽培品種で、河津町の民家に原木がある。花は紅色の大輪で一重。ここの河津桜は開花とともに若芽も伸びている。

今回は大温室を割愛し、大木戸休憩所から玉藻池を眺める。梅は咲いているが、桜はまだのようである。池を渡って梅を振り返り、それから、イギリス風景式庭園の芝生に出る。

向こうに見える桜らしき姿に向かって芝生を横断すると、芝生の端(場所ナンバーC4)に、寒桜の大木があった。寒桜はカンヒザクラとヤマザクラの種間雑種で、寒桜という栽培品種名があるものと無いものがあるらしい。ここでは、名札に従って寒桜としておく。花は淡紅色の中輪一重である。

坂を下って下の池に沿って左に行くと、カンヒザクラ(寒緋桜)があった。中国南部や台湾に分布する種で、江戸時代後期から栽培されている。花は濃紅色の中輪一重で釣鐘状である。

下の池に沿って進み、擬木橋を過ぎて坂を上がり、梅が咲くモミジ山を通り過ぎる。先に進めば桜園地となるが、ここに桜が咲きそろうのは、もう少し先のことになる。

今の季節、桜園地の中で唯一咲き誇っている大寒桜を見に行く。大寒桜(オオカンザクラ)はカンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種の栽培品種で亜高木となる。花は淡紅色の中輪一重で、先端に切れ込みのある円形の花弁を持つ。大寒桜は安行から広まったという。

中の池沿いに歩くと、向こう岸の桜に人が集まっているのが見える。その桜、修善寺寒桜を見に対岸のレストハウスに向かう。この桜は大寒桜と同じくカンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種の栽培品種で、修善寺に原木がある。花は淡紅色の中輪一重で、高木となる。

旧御凉亭から見えた桜の大木を見に行く。その桜は、翔天亭の近くにあり、人々が集まっていた。この桜は、イギリス風景式庭園の隅にあった桜と同じ、寒桜のようである。

茶室の楽羽亭の周辺には梅が多い。近くから見ても、また、遠くから見ても、茶室には梅が良く似合う。白梅の中に紅梅が少し交じっているのもいい。

上の池の近くにも、寒桜があった。花見の頃とは異なり、彩の少ない今の時期、其々の寒桜がよく目立つ。

日本庭園からエコハウス(レストランゆりのき)に行く。近くのスイセンの植え込みには梅と桜が植えられている。植え込みの周囲を一回りし、途中の梅を眺めながら新宿門へと戻る。

参考「新宿御苑の桜」「これだけは見ておきたい桜」

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