気がつけばふるさと離れて34年

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司法通訳

2014-07-13 17:58:07 | 日記


通訳といっても個人の商談通訳から大きな国際会議の会議通訳まで種類は色々です。

司法通訳にも警察で調書を取るときや裁判所での法廷通訳などさまざまなケースがあります。

特別の資格試験というものはドイツにはなく、私の場合、州の商工会議所の通訳士・翻訳士試験の合格証明書と無犯罪証明書

無債務証明書などを添付して警察署、上級裁判所に登録しました。

登録は以前は無料だったのですが、現在は有料になっています。

法廷通訳で思い出に残っているのはある日本人女性のことです。

彼女はご主人が問題のある方だったこともありストレスで罪を犯してしまいました。

最初は男性弁護士と通訳が彼女の担当だったのですが、男性だということで中々お話ししてくれなかったため、

女性弁護士と私が指名されました。

彼女はドイツの刑務所で服役後、現在は日本に帰っています。

結審後、彼女が服役している刑務所へ訪ねる義務はもちろんなかったのですが、日本へ帰国するまで定期的に訪ねて行ったの

は彼女のお母様からお手紙をいただいたからです。

近所の公園から子供たちの声が聞こえてきて彼女のことが思い出されたことや知り合いもいない地なので宜しくお願いします

といったことが切々と書かれていました。

お母様は私と同じ年ということもあり、さぞかしご心配してらっしゃるだろうと涙が出てしまいました。

その頃、私は短歌に興味があったので私の心情を以下のように詠みました。

法廷で通訳をしぬその人の母の頼むの手紙おろそかならず

母親のことを詠った短歌で涙を誘われるのは郷隼人さんの歌です。

無期懲役の判決を受けてカリフォルニア州の刑務所で服役している郷さんへはいつも鹿児島のお父様が英語で宛名を書いて

手紙を送っていたのだそうですがそのお父様も亡くなられ英語が書けないお母様が書いた手紙を受け取ったときの思いです。

老い母が独力で書きし封筒の歪んだ英字に感極まりぬ

郷さんは朝日歌壇に何度も登場される方なので日本に一時帰国する度に朝日新聞を購入して彼の名前を見ると

「ああ、まだご健在なのだ」とお歌を眺めていたのですが、今回の一時帰国では何故か見つけられず残念でした。





コメント (2)
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