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2023-02-08 06:27:04 | Weblog
滋賀県立美術館で川内倫子の写真展をやっているので観に行ってきた。
写真展が大きな普通の美術館で行われることは少ない。
滅多にない機会だから、見逃さないよう会期中早めの予定を入れた。
川内倫子は淡くて光溢れる感じの写真を撮る写真家だ。
自分は暗めの、明暗のはっきりした写真が多いので対照的だが、参考にできるところはないかと開催を楽しみにしていた。



展示は過去の発表作毎にグルーピングしてあり、映像作品もあって変化に富んだ構成。
映像作品を除いて写真撮影可という嬉しいもの。
額装の方法が凝っていて、厚みのあるボードにプリントされた写真を、さらに透明なプラスチックで覆って展示されていた。
作品の透明感をより引き立てる効果があるように思った。



また、どういう構造になっているのか目を凝らして見たのだが、よくわからない額装も。
アクリルだろう厚みのある透明な直方体の内側に写真がプリントしてあり、底面から仕組み不明の照明装置が光を放ち、写真が透明な直方体面に反射して、見る角度により平たかったり、重層して見えたりする面白いものがあった。
20cm四方くらいでテーブルに立てて置かれていたので、洒落た写真立てとして売れそうだ。



倫子調と勝手に名付けている写真は、ピントの深さが絶妙だった。
階調は自分の写真と対照的だが、浅い被写界深度での撮り方は同じ。
自分はパンフォーカスの写真をあまり撮ることはなく、見せたいところのピントを如何に合わせ、如何に外すかで見せたい派。
なのに大抵開放で撮ってしまって、ピントの合う深さが足りないことが多い。
彼女の写真は必要な範囲にピントが合い、それ以外のところはきれいにボケていた。
芸術作品としての評価は自分には難しいので、そんな技術的なところに目が行く。



川内倫子は出身が滋賀で、その繋がりもあって滋賀県立美術館での開催となったよう。
企画展と併せて常設展として滋賀の福祉施設の様子を撮った作品も見ることができた。
企画展に比べて小ぶりの写真が多かったが、施設の人たちの表情がよく捉えられていた。
施設の生徒?が作ったアートが写真と一緒に飾られていて、手間暇かけないと幅や厚みを感じさせる作品にはならないのだと再認識させられた。





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