風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

ひまわりのような観覧車で

2010年04月22日 | 詩集「風の記憶」
Kanransya01


観覧車のなかで
ふたりっきりになったからって
告白なんかしないでね


おじさんの足
もう2センチほど浮きあがってるよ
ゆらゆら ゆらゆら
空の始まりって知ってるみたいね
やっぱり本当なのかしら
ぐるぐる回ってるだけで宇宙まで行ってしまうなんて
さよなら地球のような軽い衝撃


ビルも道路も車も電車も
ごちそうみたいな地上絵だから
トレーごとひっくり返してやりましょうか
きっとゴビ砂漠の端っこで
ざざざってアスファルトの雨みたいな音がするよ


おじさんは知ってるかな
ざざざってそんなやさしい音じゃないよね
津波とか鉄砲水とか水漏れとか
海が空まで上がっていったらどうなるの


ほらあそこ
水びたしの空へ投げ出されている
あの鳥はわたし
もっともっと
空気の層が薄くなるあたり
わたしたちの祈りが集まっているところ


風よりも軽くなりたいから
わたし
さよなら 地球
さよなら みんな
パパもママも
わたし もう帰らないから
わたし もう帰れないから


だから
おじさんのだいじなことは告白しないでね
ただ祈っていてね


(2005)


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