↑は金賢姫さんのポジャギ展図録です(左が表紙、右が裏表紙)
一夜明けて、ようやく少しアタマが冷えてまいりました。
ノックアウトパンチの衝撃が退いたと思ったら
ボディブローがじょじょに効いてきた…という感じではありますが。
今回の作品展は、金賢姫さんの過去から現在にかけてを
絶妙なバランスで展開させたものでした。
「布と繍──ハギレの記憶と時間」というタイトルにもあるように
テーマは過去から未来へと流れる「時間」であり、
すべての作品はその「記憶」として位置づけられています。
2年前、大病から復活された頃のポジャギと刺繍を拝見したとき、
最も驚いたのは、「色彩」の激しさでした。
しかし今回は、その激しさの中に、
濃密なメッセージ、あるいは物語を感じ取れたような気がします。
不遜を承知で敢えて言わせていただけば、
2年前の激しさは、
より高く飛び上がるための原点回帰ではなかったか。
それがあったからこそ過去のあらゆる制約から脱皮して、
不羈自由の境地を得られた(あるいは得つつある)のではないか──
この先、金賢姫という希代のアーティストが無限に変化していくことを
今回の作品展ははっきりと示していたと思います。
例によって手前勝手な印象ですが。
もっとも、新しい作品ばかりで構成されていたら
このような思いには至らなかったかもしれません。
その意味で、POSCO美術館のキュレーターのセレクトは
実に心憎いと言えます。
写真でご紹介できないのが残念。
いくら言葉を連ねても、百聞は一見にしかずですから。
無理と不義理を重ねてのソウル行きでしたが、
見るべきもの、見なければいけないものを
しっかりと捉えることのできた幸福に
今は心から感謝しています。
(ちっとばかり脚が痛くてもね(~_~;)