Concord On A Summer Night / The Brubeck Quartet
音楽、芸術の世界ではジャンルは何であっても一度「誰もが知る程の大ヒット」を放つと、反対にその呪縛から逃れ、新たな作品を生み出すには更なる努力が必要となるものだ。結局、本当の才能があるものだけが、次から次へと話題作を生み出すことができる。
プロゴルフの世界でもツアーで一勝するのはそれなりの実力があれば誰でも可能性があるが、2勝するのは本当の実力が伴わないと難しいといわれるのと同じかもしれない。
デイブ・ブルーベックといえば、テイクファイブの大ヒットでジャズファンのみならず、広く世の中に知られる存在になる。ポールデスモンドとのカルテットは不動のメンバーで67年まで活躍を続けるが、このテイクファイブのおかげでジャズファンだけでなく、多くの音楽ファンに受け入れられたグループであった。
テイクファイブがヒットする以前から活動をしていたが、当時のジャズの本流であったハードバップの流れとは異なり、かといって一般的なウェストコーストジャズとも違う存在であった。ブルーベックのピアノ自体がクラッシック、あるいは現代音楽に通じる独特の存在であったので、色々バリエーションの多いジャズの世界であっても独自の道を歩んでいたのだろう。
テイクファイブはたまたま変拍子へのチャレンジの一環、脈々と続く独自の世界の活動が背景にあったということであり、そもそもぽっと出のヒット曲とは基本的に違うものであった。
そのブルーベックカルテットも、ポールデスモンドが去り、次にジェリーマリガンとのコンビに代わり、息子たちと一緒にプレーをし、そしてこのコンコルドに移籍するときにはジェリー・ベルゴンツィ加えたカルテットに変わっていった。いわゆる大物プレーヤーとのコンビではなく、ファミリーや中堅メンバーとなると自然と世の中へ訴える影響力も変わっていたようだが、過去の名声をバックにカルテットとしての活動は相変わらず活発に行っていた。
このニューカルテットは79年のコンコルドジャズフェスティバルへの参加がConcordレーベル初登場であったが、Tritonis、Paper Moonと2枚のアルバムを作り、今回は82年のコンコルドジャズフェスティバルでの演奏になる。
ブルーベックはそもそも地元出身ということもあり、ここコンコルドでは他にも増して聴衆から盛大な歓待を受ける。それ故フェスティバルのステージもトラを努めることになったのだろう。
今回のカルテットはまたメンバーが替わっている。モーダルなプレーでカルテットに新しい風を吹き込んだジェリー・ベルゴンツィに代わり、クラリネットのビル・スミスが加わる。
あまり聞かない名前であるが、実はブルーベックとの付き合いは長く古くはオクテット時代のメンバーでもあり、その後のアルバムにも何度か登場しているのでブルーベックとの付き合いは長い。表舞台では活動をしていなかったようなので、今回が久々に旧友との再会の舞台ということになる。ブルーベック同様クラッシク、現代音楽にも造詣が深いプレーヤーなので相方としては適任かもしれない。
フェスティバルの舞台ということもあり選曲はバラエティーに富んでいるが、ベンジャミンはラテン調の初孫へのプレゼント曲。日本の印象から”Koto Song”、シンセサイザーを用いたような幻想的な響きがする”Softly, William, Softly”、そして最後にはあのテイクファイブの久々の再演という舞台構成になる。
モダンクラリネットで前面に出るプレーというのは難しい印象があるが、ブルーベックとのコンビでこれからしばらくはこのビル・スミスがブルーベックカルテットの表看板になった。
1. Benjamin Dave Brubeck 5:38
2. Koto Song Dave Brubeck 8:34
3. Black and Blue Harry Brooks / Andy Razaf / Fats Waller 7:03
4. Softly, William, Softly Dave Brubeck 7:24
5. Take Five Paul Desmond 8:50
Dave Brubeck (p)
Bill Smith (cl)
Chris Brubeck (b,tb)
Randy Jones (ds)
Produced by Russell Gloyd
Engineer : Ron Davis
Recorded live at The Concord Jazz Festival in August 1982
Originally released on Concord CJ-198
音楽、芸術の世界ではジャンルは何であっても一度「誰もが知る程の大ヒット」を放つと、反対にその呪縛から逃れ、新たな作品を生み出すには更なる努力が必要となるものだ。結局、本当の才能があるものだけが、次から次へと話題作を生み出すことができる。
プロゴルフの世界でもツアーで一勝するのはそれなりの実力があれば誰でも可能性があるが、2勝するのは本当の実力が伴わないと難しいといわれるのと同じかもしれない。
デイブ・ブルーベックといえば、テイクファイブの大ヒットでジャズファンのみならず、広く世の中に知られる存在になる。ポールデスモンドとのカルテットは不動のメンバーで67年まで活躍を続けるが、このテイクファイブのおかげでジャズファンだけでなく、多くの音楽ファンに受け入れられたグループであった。
テイクファイブがヒットする以前から活動をしていたが、当時のジャズの本流であったハードバップの流れとは異なり、かといって一般的なウェストコーストジャズとも違う存在であった。ブルーベックのピアノ自体がクラッシック、あるいは現代音楽に通じる独特の存在であったので、色々バリエーションの多いジャズの世界であっても独自の道を歩んでいたのだろう。
テイクファイブはたまたま変拍子へのチャレンジの一環、脈々と続く独自の世界の活動が背景にあったということであり、そもそもぽっと出のヒット曲とは基本的に違うものであった。
そのブルーベックカルテットも、ポールデスモンドが去り、次にジェリーマリガンとのコンビに代わり、息子たちと一緒にプレーをし、そしてこのコンコルドに移籍するときにはジェリー・ベルゴンツィ加えたカルテットに変わっていった。いわゆる大物プレーヤーとのコンビではなく、ファミリーや中堅メンバーとなると自然と世の中へ訴える影響力も変わっていたようだが、過去の名声をバックにカルテットとしての活動は相変わらず活発に行っていた。
このニューカルテットは79年のコンコルドジャズフェスティバルへの参加がConcordレーベル初登場であったが、Tritonis、Paper Moonと2枚のアルバムを作り、今回は82年のコンコルドジャズフェスティバルでの演奏になる。
ブルーベックはそもそも地元出身ということもあり、ここコンコルドでは他にも増して聴衆から盛大な歓待を受ける。それ故フェスティバルのステージもトラを努めることになったのだろう。
今回のカルテットはまたメンバーが替わっている。モーダルなプレーでカルテットに新しい風を吹き込んだジェリー・ベルゴンツィに代わり、クラリネットのビル・スミスが加わる。
あまり聞かない名前であるが、実はブルーベックとの付き合いは長く古くはオクテット時代のメンバーでもあり、その後のアルバムにも何度か登場しているのでブルーベックとの付き合いは長い。表舞台では活動をしていなかったようなので、今回が久々に旧友との再会の舞台ということになる。ブルーベック同様クラッシク、現代音楽にも造詣が深いプレーヤーなので相方としては適任かもしれない。
フェスティバルの舞台ということもあり選曲はバラエティーに富んでいるが、ベンジャミンはラテン調の初孫へのプレゼント曲。日本の印象から”Koto Song”、シンセサイザーを用いたような幻想的な響きがする”Softly, William, Softly”、そして最後にはあのテイクファイブの久々の再演という舞台構成になる。
モダンクラリネットで前面に出るプレーというのは難しい印象があるが、ブルーベックとのコンビでこれからしばらくはこのビル・スミスがブルーベックカルテットの表看板になった。
1. Benjamin Dave Brubeck 5:38
2. Koto Song Dave Brubeck 8:34
3. Black and Blue Harry Brooks / Andy Razaf / Fats Waller 7:03
4. Softly, William, Softly Dave Brubeck 7:24
5. Take Five Paul Desmond 8:50
Dave Brubeck (p)
Bill Smith (cl)
Chris Brubeck (b,tb)
Randy Jones (ds)
Produced by Russell Gloyd
Engineer : Ron Davis
Recorded live at The Concord Jazz Festival in August 1982
Originally released on Concord CJ-198
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