Chant / Donald Byrd
さて、ペッパーアダムスのアルバム紹介も前回のWarwick盤で1961年に入っている。
4年目に入ったアダムス&バードのコンビもこの1961年が最後の年になる。
皮肉な事に、前年の秋からのツアーも好評の内に終え、新たなメンバーにハービー・ハンコックも加わって益々期待が持てるスタートを切ったバード&アダムスクインテットであったのだが・・・。
事実、この年は2人にとってはこのクインテットでの活動が中心となり、ライブツアーも北東部だけでなく全米中を駆け巡って行われた。
レコーディングもバードの契約先であるブルーノートで3枚行われる、他にもライブの録音が陽の目をみているし、苦節三年やっとアダムス&バードのコンビの活動も軌道に載ってきたのだが、何故・・・?
ブルーノートでの3枚もフロントラインはバードとアダムスの2人だけ、これまではゲストのホーンが必ず加わっていたが、アダムスもクインテットとしてやっと認知されたようだ。しかし、ブルーノートの契約は相変わらずドナルドバードだけであり、アダムスは最後までブルーノートとは契約ができなかったのだ。
この年のブルーノートでの最初の録音は、このアルバム4月17日の“Chant”であった。
実は、このアルバムは当初お蔵入りされて、例のカスクーナの発掘シリーズによって1979年になって初めて陽の目を見たアルバムだ。ジャケットのデザインもこのシリーズで共通のブルーノートらしからぬレインボーデザインがオリジナルデザインとなっている。
演奏の完成度が高くとも諸々の事情でお蔵入りすることが多かったブルーノートなので、このアルバムがお蔵入りした理由にも興味が沸く。
1月にWarwick盤を録音したハンコックを加えたバード&アダムスクインテットの面々は、
ハンコックの故郷であるシカゴのBirdhouseに戻って凱旋ライブを行う。
ハンコックにとってもシカゴを離れて演奏したのは今回が初めてだったので、里帰りは嬉しかったであろう。
ドラムにはこのアルバムに加わっている無名のテディー・エドワーズがそのまま参加している。無名のドラマーだが、このテディーのドラミングが実にメロディアスだ。新メンバーで2月、3月と休み無くツアーを続け、3月の一週に再びシカゴへ。そして、さらにツアーは続き、4月2日にロチェスターでの演奏を最後に、バードは、今度はベースのレイモン・ジャクソンを首にする。
クインテットのツアーはここで中断し、17日にルディーバンゲルダースタジオでこのアルバムの録音に臨むことになる。
ピアノは加入してすでに4ヶ月経ったハンコック、ベースには旧友でありデトロイト仲間のダグ・ワトキンスが加わり、ハンコックのブルーノートへのデビュー作としては申し分の分ない布陣であった。しかし何故お蔵に・・・?
そして、2週間後の5月2日にはもう一枚Catwalkを録音する。こちらのピアノは以前のメンバーであったデュークピアソン。どうやらこの辺りに理由がありそうだ。
さて、このアルバムであるが販促用のキャッチコピーは、
・ハービー・ハンコックのブルーノートでの初録音
・幻の?ドラマー、テディーロビンソンの参加
・ピアソンの名曲「チャント」の初演
ということになるのだが、
他にも、まずは一曲目のアイム・アン・オールド・カウボーイ。ロリンズのWay out Westでの演奏で有名だが、この曲はWarwick盤でも演奏している。ライブ用のレパートリーの一つであったのだろう。バードのファンキーなオリジナルが2曲、そしてアダムスファンとして、最後のアダムスをフューチャーしたお馴染みのソフィスティケイテッドレディーのバラードプレーが嬉しい。バードとのコンビではファンキーなゴリゴリサウンドが多いが、アダムスのバラードプレーも捨てたものではない。ライブではこのアダムスのプレーもショーケースであったようだ。選曲もバラエティーに富んでいる。
ということで、アルバムコンセプトを大事にするブルーノートとしては、このアルバムは色々な要素がテンコ盛りだったのでお蔵入りしたのかもしれない。また、この時すでに将来を有望視されたハンコックをきちんと売り出したかったのか・・・?
いずれにしても、ブルーノートでのバード&アダムスの路線変更のきっかけともいえるこの一枚が無事に陽の目を見てよかった。
↓ このYou Tubeの演奏はWarwick盤の演奏のようだ。ブルーノート盤はテンポがもう少し速く、ソロの順序もバードから。
1. I’m An Old Cowhand Johny Mercer 7:34
2. You’re Next Donald Byrd 7:22
3. Chant Duke Pearson 8:53
4. That’s All B.Haymes-A-Brandt 9:34
5. Great God Donald Byrd 6:59
6. Sophisticated Lady D.Ellington 4:33
Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Doug Watkins (b)
Teddy Robinson (ds)
Produced by Alfred Lion
Produced for release by Michael Cuscuna
Recorded on April 17 1961 at Rudy Van Gelder Studios,New Jersey
さて、ペッパーアダムスのアルバム紹介も前回のWarwick盤で1961年に入っている。
4年目に入ったアダムス&バードのコンビもこの1961年が最後の年になる。
皮肉な事に、前年の秋からのツアーも好評の内に終え、新たなメンバーにハービー・ハンコックも加わって益々期待が持てるスタートを切ったバード&アダムスクインテットであったのだが・・・。
事実、この年は2人にとってはこのクインテットでの活動が中心となり、ライブツアーも北東部だけでなく全米中を駆け巡って行われた。
レコーディングもバードの契約先であるブルーノートで3枚行われる、他にもライブの録音が陽の目をみているし、苦節三年やっとアダムス&バードのコンビの活動も軌道に載ってきたのだが、何故・・・?
ブルーノートでの3枚もフロントラインはバードとアダムスの2人だけ、これまではゲストのホーンが必ず加わっていたが、アダムスもクインテットとしてやっと認知されたようだ。しかし、ブルーノートの契約は相変わらずドナルドバードだけであり、アダムスは最後までブルーノートとは契約ができなかったのだ。
この年のブルーノートでの最初の録音は、このアルバム4月17日の“Chant”であった。
実は、このアルバムは当初お蔵入りされて、例のカスクーナの発掘シリーズによって1979年になって初めて陽の目を見たアルバムだ。ジャケットのデザインもこのシリーズで共通のブルーノートらしからぬレインボーデザインがオリジナルデザインとなっている。
演奏の完成度が高くとも諸々の事情でお蔵入りすることが多かったブルーノートなので、このアルバムがお蔵入りした理由にも興味が沸く。
1月にWarwick盤を録音したハンコックを加えたバード&アダムスクインテットの面々は、
ハンコックの故郷であるシカゴのBirdhouseに戻って凱旋ライブを行う。
ハンコックにとってもシカゴを離れて演奏したのは今回が初めてだったので、里帰りは嬉しかったであろう。
ドラムにはこのアルバムに加わっている無名のテディー・エドワーズがそのまま参加している。無名のドラマーだが、このテディーのドラミングが実にメロディアスだ。新メンバーで2月、3月と休み無くツアーを続け、3月の一週に再びシカゴへ。そして、さらにツアーは続き、4月2日にロチェスターでの演奏を最後に、バードは、今度はベースのレイモン・ジャクソンを首にする。
クインテットのツアーはここで中断し、17日にルディーバンゲルダースタジオでこのアルバムの録音に臨むことになる。
ピアノは加入してすでに4ヶ月経ったハンコック、ベースには旧友でありデトロイト仲間のダグ・ワトキンスが加わり、ハンコックのブルーノートへのデビュー作としては申し分の分ない布陣であった。しかし何故お蔵に・・・?
そして、2週間後の5月2日にはもう一枚Catwalkを録音する。こちらのピアノは以前のメンバーであったデュークピアソン。どうやらこの辺りに理由がありそうだ。
さて、このアルバムであるが販促用のキャッチコピーは、
・ハービー・ハンコックのブルーノートでの初録音
・幻の?ドラマー、テディーロビンソンの参加
・ピアソンの名曲「チャント」の初演
ということになるのだが、
他にも、まずは一曲目のアイム・アン・オールド・カウボーイ。ロリンズのWay out Westでの演奏で有名だが、この曲はWarwick盤でも演奏している。ライブ用のレパートリーの一つであったのだろう。バードのファンキーなオリジナルが2曲、そしてアダムスファンとして、最後のアダムスをフューチャーしたお馴染みのソフィスティケイテッドレディーのバラードプレーが嬉しい。バードとのコンビではファンキーなゴリゴリサウンドが多いが、アダムスのバラードプレーも捨てたものではない。ライブではこのアダムスのプレーもショーケースであったようだ。選曲もバラエティーに富んでいる。
ということで、アルバムコンセプトを大事にするブルーノートとしては、このアルバムは色々な要素がテンコ盛りだったのでお蔵入りしたのかもしれない。また、この時すでに将来を有望視されたハンコックをきちんと売り出したかったのか・・・?
いずれにしても、ブルーノートでのバード&アダムスの路線変更のきっかけともいえるこの一枚が無事に陽の目を見てよかった。
↓ このYou Tubeの演奏はWarwick盤の演奏のようだ。ブルーノート盤はテンポがもう少し速く、ソロの順序もバードから。
1. I’m An Old Cowhand Johny Mercer 7:34
2. You’re Next Donald Byrd 7:22
3. Chant Duke Pearson 8:53
4. That’s All B.Haymes-A-Brandt 9:34
5. Great God Donald Byrd 6:59
6. Sophisticated Lady D.Ellington 4:33
Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Doug Watkins (b)
Teddy Robinson (ds)
Produced by Alfred Lion
Produced for release by Michael Cuscuna
Recorded on April 17 1961 at Rudy Van Gelder Studios,New Jersey
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