Paper Moon / The Dave Brubeck Quartet
デイブブルーベックの訃報を聞いたのは昨年の暮れ。スイングジャーナルが廃刊になってから、ジャズの雑誌も読まないし最近は新聞も読まない。有名人であっても訃報を見過ごしてしまうことが多い。ましてジャズのプレーヤーとなるとあまりニュースに接することもなく大分経って知ることになることが多い。デイブブルーベックは流石に一世を風靡したプレーヤー、テレビでもニュースになったらしく息子が教えてくれた。
1920年カリフォルニアのConcordの生まれ。そうコンコルドレーベル発祥の地だ。12月6日の誕生日の前日に亡くなっている。享年91歳。昨年夏に亡くなった母も91歳だったので同い年だった。急に親近感が沸いた。
そのブルーベックが、コンコルドレーベルに移籍したのは、’79年のコンコルドジャズフェスティバルへの参加から。還暦を前にしての故郷への凱旋であった。息子のクリスをメンバーに入れて、テナーはデスモンドやマリガンと一味違ったモーダルなプレーをするバゴンジーを加え、それまでとはガラッと雰囲気を変えたカルテットを編成した。どちらかというと伝統的なスタイルやプレーの得意としていたオーナーのジェファーソンであったが、このようなベテランの新境地への船出にも門戸を開放していた。
このアルバムは、コンコルドでは3枚目のアルバム。この4人による編成もすっかり馴染んできた所だ。収められている曲はどれもスタンダードばかり。作曲も得意のブルーベックとしては珍しい選曲だ。と思ってジャケットを見ると、このアルバムはブルーベックが兄のヘンリーに捧げたと記されている。子供の頃よく兄から教えて貰った曲で、ブルーベックをジャズの道に導いたのも兄のヘンリーだそうだ。「今日のブルーベックがあるのも兄のお陰」という心境だったのだろう。
タイトル曲のペイパームーンは、自分はナットキングコールの歌が一番思い出深い。キングコールの歌で歌詞も覚えた。スタンダード曲というものは、長い歴史の中で演奏する方も、聴く方もそれぞれの思い出があるものだろう。ブルーベックの思い出をこのような形で聴くのも、ブルーベックの思いを共有化できたようで嬉しいものだ。
演奏は、特にスタンダードだからといってブルーベックそして4人のスタイルが変わることは無い。息子のエレキベースにバゴンジーのテナーという、最初は少し違和感のあったニューカルテットのスタイルがすっかり定着してこなれてきている。カリプソのリズムのシンフォニー、最後はブルーベックのソロのセントルイスブルースで締めているが、通して聴くとブルーベックのピアノがいつもよりリラックスして聴けるのはやはりスタンダードだからか。
90歳過ぎまで活躍したブルーベックだが、丁度還暦を迎えた60歳、人生を2/3過ぎた時点で息子と一緒に兄への思い出をいい記念で残せたアルバムだ。自分も丁度ブルーベックがこのアルバムを作ったのと同じ年代、息子と一緒に何か思い出作りができればと思う今日この頃だ。
1. Music, Maestro, Please! Herbert Magidson / Allie Wrubel 8:58
2. I Hear a Rhapsody Jack Baker / George Fragos / Dick Gasparre 6:06
3. Symphony Alex Alstone 5:10
4. I Thought About You James Van Heusen / Johnny Mercer 5:21
5. It's Only a Paper Moon Harold Arlen / E.Y. "Yip" Harburg / Billy Rose 5:34
6. Long Ago and Far Away Ira Gershwin / Jerome Kern 8:03
7. St. Louis Blues W.C. Handy 3:10
Dave Brubeck (p)
Jerry Bergonzi (ts,b)
Chris Brubeck (eb,tb)
Randy Jones (ds)
Produced by Russell Gloyd
Recorded at Coast Recorders, San Francisco on Sept. 1981
Recording Engineer : Ron Davis
Originally Released on Concord CJ-178
デイブブルーベックの訃報を聞いたのは昨年の暮れ。スイングジャーナルが廃刊になってから、ジャズの雑誌も読まないし最近は新聞も読まない。有名人であっても訃報を見過ごしてしまうことが多い。ましてジャズのプレーヤーとなるとあまりニュースに接することもなく大分経って知ることになることが多い。デイブブルーベックは流石に一世を風靡したプレーヤー、テレビでもニュースになったらしく息子が教えてくれた。
1920年カリフォルニアのConcordの生まれ。そうコンコルドレーベル発祥の地だ。12月6日の誕生日の前日に亡くなっている。享年91歳。昨年夏に亡くなった母も91歳だったので同い年だった。急に親近感が沸いた。
そのブルーベックが、コンコルドレーベルに移籍したのは、’79年のコンコルドジャズフェスティバルへの参加から。還暦を前にしての故郷への凱旋であった。息子のクリスをメンバーに入れて、テナーはデスモンドやマリガンと一味違ったモーダルなプレーをするバゴンジーを加え、それまでとはガラッと雰囲気を変えたカルテットを編成した。どちらかというと伝統的なスタイルやプレーの得意としていたオーナーのジェファーソンであったが、このようなベテランの新境地への船出にも門戸を開放していた。
このアルバムは、コンコルドでは3枚目のアルバム。この4人による編成もすっかり馴染んできた所だ。収められている曲はどれもスタンダードばかり。作曲も得意のブルーベックとしては珍しい選曲だ。と思ってジャケットを見ると、このアルバムはブルーベックが兄のヘンリーに捧げたと記されている。子供の頃よく兄から教えて貰った曲で、ブルーベックをジャズの道に導いたのも兄のヘンリーだそうだ。「今日のブルーベックがあるのも兄のお陰」という心境だったのだろう。
タイトル曲のペイパームーンは、自分はナットキングコールの歌が一番思い出深い。キングコールの歌で歌詞も覚えた。スタンダード曲というものは、長い歴史の中で演奏する方も、聴く方もそれぞれの思い出があるものだろう。ブルーベックの思い出をこのような形で聴くのも、ブルーベックの思いを共有化できたようで嬉しいものだ。
演奏は、特にスタンダードだからといってブルーベックそして4人のスタイルが変わることは無い。息子のエレキベースにバゴンジーのテナーという、最初は少し違和感のあったニューカルテットのスタイルがすっかり定着してこなれてきている。カリプソのリズムのシンフォニー、最後はブルーベックのソロのセントルイスブルースで締めているが、通して聴くとブルーベックのピアノがいつもよりリラックスして聴けるのはやはりスタンダードだからか。
90歳過ぎまで活躍したブルーベックだが、丁度還暦を迎えた60歳、人生を2/3過ぎた時点で息子と一緒に兄への思い出をいい記念で残せたアルバムだ。自分も丁度ブルーベックがこのアルバムを作ったのと同じ年代、息子と一緒に何か思い出作りができればと思う今日この頃だ。
1. Music, Maestro, Please! Herbert Magidson / Allie Wrubel 8:58
2. I Hear a Rhapsody Jack Baker / George Fragos / Dick Gasparre 6:06
3. Symphony Alex Alstone 5:10
4. I Thought About You James Van Heusen / Johnny Mercer 5:21
5. It's Only a Paper Moon Harold Arlen / E.Y. "Yip" Harburg / Billy Rose 5:34
6. Long Ago and Far Away Ira Gershwin / Jerome Kern 8:03
7. St. Louis Blues W.C. Handy 3:10
Dave Brubeck (p)
Jerry Bergonzi (ts,b)
Chris Brubeck (eb,tb)
Randy Jones (ds)
Produced by Russell Gloyd
Recorded at Coast Recorders, San Francisco on Sept. 1981
Recording Engineer : Ron Davis
Originally Released on Concord CJ-178
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