A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

長い人生で区切りというものは誰でも何度かあるが・・・・

2014-04-28 | MY FAVORITE ALBUM
Great Connection / Oscar Peterson

芸術の世界はどうも寡作家の方が神格化されがちである。反対に多作家の方はどうも粗製濫造のイメージがあり、素晴らしい作品でも有難味を感じないものだ。前回紹介したウィリーウィルソンなどはたまたま旧友のデュークピアソンのセッティングがなければ、彼の存在自体も今の時代に痕跡が残されていないと思う。何の世界でも、実は長い歴史の中では世に認められずにこの世を去った才人は数多くいるだろう。

オスカーピーターソンは多作家の代表の一人だろう。リーダーとしてだけでなく、他のミュージシャンとの共演や、ジャムセッションへの参加など活動の幅は広く、そして長かった。
大実力者であるが、超絶デクニック故反対に好き嫌いも分かれる結果になってはいる。
ジャズの世界はテクニックがあるから上手というわけでもなく、衆目を集める訳にはいかない。音符の中に独自の個性を作り、例えそれが朴訥としたものであっても、それが良いという事が多い。それがジャズの面白さだろう。

そのピーターソンも長い活動歴の中ではいくつかの節目がある。JATPに始まりトリオとしての活動を確固たるものにしたVerve時代はひとつの区切りだが、ライムライトを経て次のMPS時代もひとつの区切りになる。

長年コンビを組んだレイブラウンと別れたのが1966年。その後しばらくしてMPSにアルバムを残した。いつも多くの聴衆を前に檜舞台を歩んできたピーターソンにとって、このMPSで始まったプライベート録音は、演奏に集中するという意味でもそれまでの活動と全く別次元の世界であったのかもしれない。事実、最初の録音はヴァーブの専属時代の1964年から始まっており、同時進行で別世界を味わっていたのだ。

このMPSの録音はそれまでジャズの世界の代表格であるルディーバンゲルダーサウンドとは全く違うピアノサウンドを提供してくれた。ピーターソンのテクニックをさらにクリアに、そして重厚に再現したピアノサウンドを当時非常に斬新に感じたものだ。

このMPS時代にも終わりがある。このアルバムがMPSでの最後の録音となる。
エドシグペン、レイブラウンが去った後、トリオのメンバーは色々変わった。後任のサムジョーンズのベースは、レイブラウンと較べると重厚感が無くピーターソントリオ自体のイメージ自体も少し変わってしまった。MPSでせっかく厚みの増したピアノにブラウンの重厚感のあるベースが聴けたらなあと思ったものだ。

このMPSの最後のアルバムに新たなベーシストが登場する。ヨーロッパではすでにデクスターゴードンなどと多くの実績を積んでいたニールス・エルステッド・ペデルセンだ。
ベースが本来の重々しさよりも軽快なベースが増えてきていた中で、テクニックと重量感を併せ持ったペデルセンのベースはピーターソンにピッタリだった。このアルバムで意気投合したのか、その後Pabloに移っても、ピーターソンはこのペデルセンとの共演は多い。
その意味では、このアルバムはMPSでのラストアルバムであると同時に、ペデルセンとのコンビがスタートした節目のアルバアムだ。

2人の演奏は素晴らしいが、録音はピアノの良さに較べてベースは今一つ。出戻りのルイスヘイスのドラムの音も少し切れが悪い。これは演奏自体なのか、ドラムのセッティングなのか、それともMPSの録り方なのか?

ピーターソンはあまりオリジナルが多くない。このアルバムではスタンダード曲に交じって自作のカナダ組曲の中からWheatlandが演奏されているが、この曲は晩年になっても良く演奏された。アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアと世界を股にかけて活躍していたが、いつも母国を思う気持ちを忘れないためか。



1. Younger Than Springtime     Oscar Hammerstein II / Richard Rodgers 5:24
2. Where Do I Go from Here?     Jerry Bock / Sheldon Harnick 5:53
3. Smile               Charlie Chaplin 3:59
4. Soft Winds             Fletcher Henderson / Fred Royal 6:44
5. Just Squeeze Me          Duke Ellington / Lee Gaines 7:28
6. On the Trail            Ferde Grofé 5:51
7. Wheatland             Oscar Peterson 7:11

Oscar Peterson (p)
Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)
Louis Hayes (ds)

Recorded at Hans Georg Brunner-Schwer Studio, Villingen, West Germany,
On October, 1971


グレート・コネクション(紙ジャケット仕様)
オスカー・ピーターソン
ユニバーサル ミュージック クラシック
コメント
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