A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

DNAがきちんと引き継がれると、本物の魅力が一段と・・・

2013-06-01 | CONCORD
Woody Herman presents Vol.2 / “ Four Others”

最近はとかく遺伝子の話題がニュースを賑わす。一昔前は遺伝子組み換えの農作物の是非が話題の中心になった。もちろんメリット・デメリット両方あるが、昔から環境の変化と共に種の存続のために自然に遺伝子の優勝劣敗が決まってきた流れとは間違いなく異なる。人為的に作られた種により長らく生きながらえてきた種が滅んでしまうのは、必ずどこかでしっぺ返しがくるに違いない。どんなに大掛かりな土木工事をやっても自然の驚異には無力なように。きっとその時は「時すでに遅し」、取り返しのつかない不幸な結末が待っているかもしれない。そのような事を聞くにつけ、「何事も自然体がいい」というのが、歳をとって最近自分の思う所である。

もうひとつ最近のニュースとして、アンジェリーナ・ジョリーの乳がん回避の為の手術が話題になっている。これも遺伝子検査の結果といわれている。ある病院でこの遺伝子検査を受けるのは年間で6人程度だったのが、このニュースの後はすでに20名を越える問い合わせがあったという。
しかし、病気の遺伝子を持っていても必ず病気になるという訳ではない。遺伝子が発現しなければ何も変わらない。要は体に良い遺伝子、例えば長寿遺伝子、反対にガンの遺伝子のように体に悪い遺伝子も発現して始めてその遺伝子の影響が体に現れるということだ。

ではこの発現を抑えたり、促進するにはどうすればよいかというと、日頃の体調管理&体質改善が一番らしい。健康的な生活をおくり、食事に気をつければ、良い遺伝子は発現し、悪い遺伝子は発現せずに病気にならずに心身ともに健康な生活をおくれるということだ。これも結局「自然体でいること」に他ならない。悪い遺伝子の発現は不摂生な生活をしていた罰だと考えれば分かりやすい。

このバロメーターとして遺伝子検査が注目されているが、これは遺伝子治療でも、人為的な遺伝子組み換えでなく、誰もが自らの健康状態を知るための道具に過ぎない。
同じ遺伝子の話でも中身は千差万別。本物を見抜く眼力を持たねばこの世は生きていけない時代になった。世論のマインドコントロールに惑わされないように日々の勉強が大事ということになる。

ビッグバンドの世界でも、そのバンドの起源からのDNAが脈々と引き継がれていると思う。エリントンでもベイシーでも、グレンミラーであってもサドメルであっても・・・・・。
リーダーの個性もあるが、そのサウンドの特徴はリーダーが替わり、アレンジャーが代わってもどこかに必ず見出すことができる。

スイングバンド全盛時代、白人中心でありながらブルースをレパートリーに数多く加えたのがハーマンバンド。バップ時代に入った時、そのバップサウンドをビッグバンドでチャレンジしたのはディジーガレスピーとこのウディーハーマンであった。
それが、ハーマンバンドのDNAとなり、ハーマンのビッグバンドは白人中心のバンドでありながら、バップの泥臭いサウンドにチャレンジし続けた。そして、突然アーリーオータムのようなクールな清涼剤を交えながら。さらにハーマンのビッグバンドを特徴付けるのは、セカンドハードの時の”Four Brothers”に代表されるテナーを全面に出したサックスセクション。他のバンドがアルトリードなのと較べて、いつの時代もこのテナーリードのサックスセクションが注目される。
これらが、ハーマンオーケストラのDNAだろう。実はハーマンのアルトはあまり関係が無い。

ハーマンがこのコンコルドに登場したのは、エリントントリビュートのアルバムへのゲスト参加を除けば、‘79年のモンタレージャズフェスティバルのライブが最初。これは自己のオーケストラなので、いわゆる、「コンコルド組」に加わったのは、ハーマンプレゼンツVol.1と称した、ハーマンが率いるジャムセッション。これは'80年のコンコルドジャズフェスティバルのライブであった。

その続編ともいえるのがこのアルバム。ハーマンPresentsのVol.2となっている。前作と異なり、これは翌年7月のニューヨークでのスタジオ録音。そしてハーマンのDNAを色濃く出したアルバムだ。
4人のテナー奏者が集められた。これは完全にFour brothersの再現だ。それも初代のフリップフィリップスから、セカンドハードのアルコーン、そしてビルパーキンス、そして60年代に活躍したニスティコまで3世代が勢揃い。それだけで嬉しくなる。
アレンジはアルコーン(一曲はニスティコ)が務めているので、必然的にFour brothersのDNAは引き継がれている。ドラムもドンラモンド。唯一デュビビエだけがハーマン門下生ではないようだが。

この面子が揃うと当然“Four brothers"の再演という企画になりがちだが、ここではもう一捻り。タイトルも”Four Others”となっているように、フォーブラザースの再演はない。
その代わりに、トロンボーンサンサンブル用に書かれたこの”Four Others”をテナー用にアレンジし直している。他の曲はやはりブルースが多い。
アルコーンのアレンジはサックスアンサンブルといっても、スーパーサックスのような超絶技巧を求めるようなアレンジではなく、ハーマンのDNAの引き継いだ物。突然変異を狙った新種というのではなく、ハーマン門下生がハーマンのDNAの良さを色々持ち寄って生まれた、「1981年の新種」になっている。やはり、食べ慣れた味は美味しい。

ハーマンほどの活躍をすれば、老後は悠々自適だったかといえば、税金絡みの借財の返済のため晩年まで働き続けねばなかったと聞く。歳をとっても衰えなかったエネルギッシュな活躍の源泉がどこにあるのかも人様々。理由はともあれ、人生歳をとっても元気にしていると仲間や弟子に囲まれて良いことはあるものだ。

1. Not Really the Blues         Johnny Mandel 3:32
2. Woody's Lament              Al Cohn 4:27
3. Tiny's Blues            Tiny Kohn-Al Cohn 5:20
4. I Wanna Go Home              Al Cohn 6:46
5. Loose Aberrations             Sal Nistico 6:03
6. Four Others              James Giuflie 4:52
7. Tenderly         Walter Grass-Jack Lawrence 3:51
8. The Goof and I               Al Cohn 7:38

Woody Herman (as)
Al Cohn (ts)
Sal Nistico (ts)
Bill Perkins (ts)
Flip Philips (ts)
John Bunch (p)
George Duvivier (b)
Don Lamond (ds)

Arranged by Al Cohn(Except for #5 by Sal Nistico)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded At Soundmixers, New York ,N.Y. on July 1981

Originally released on Concord CJ-180

Presents Vol 2
Woody Herman
Concord
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