A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

誰か影響を受けた人に捧げる演奏は一段と熱が入るもの・・

2013-06-02 | MY FAVORITE ALBUM
Down For The Count / Harry Allen

日本人はサックスはテナー好きかもしれない。純粋ジャズではないが、サムテイラーとかジョージオールドは絶大な人気があった。もちろんコルトレーンやロリンズもファンが多い。ハンクモブレーやジーンアモンズ。ゲッツやシムスも。アルトよりもテナー好きが多いような気がする。モダンスイング系のプレーヤーも好まれるようだ。少し前はスコットハミルトンであったが、今ではハリーアレン。毎年のように来日しているし、CDの数も半端でなく日本で企画された物も多い。

今年も、富士通Concordで来日中だ。前回ライブを聴いたのは、角田健一のビッグバンドへゲスト出演した時。確か3年前の同じ頃だったと記憶している。いつもコンボ主体の演奏ばかりなので、興味半分で出掛けたが、フルバンドをバックにしても期待にたがわず素晴らしい演奏だった。

今回はグラントスチュワートとフロントがテナー2本でバトルの様相だ。バックがジェフハミルトントリオとくれば聴かずにはいられない。前回のツノケンバンドとの共演も同じであったが。大きなホールではなく場所が東京TUCというのも最高だ。

会場に早めに着いたがすでに満員。やはり人気プレーヤーは出足が早い。開演前のBGMに流れていたのはJATPのライブ。日本語のMCも聞こえたので、53年のJATPの日本公演の時のものか?そういえば、今回の、富士通Concordは“Tribute To Noman Granz”と銘打ったJATP仕立てだった。バトルが期待できる。

という訳で、演奏も客席もいつもより熱っぽい。どちらかとポーカーフェースのアレンのプレーも、曲が進むに連れてノリノリに。あっという間の2ステージだった。やはりJATPという看板が演奏を普段よりホットにする効果があるのかもしれない。ジェフハミルトンのドラムも相変わらず切れ味が良いが、思わぬ拾い物(失礼な言い方だが知らなかったので)はピアノのタミールヘンデルマン。初めて聴くイスラエルのピアニストだが、スインギーなプレーはこのようなセッションにはピッタリでなかなかいい。これで来週末のブルーノートも迷っていたが行かねばならない。JATP伝統の大ジャムセッションが期待できそうだ。「ノーマングランツに捧げる」とタイトルされると熱の入れ方も変わるであろう。

アレンのプレーは、モダンスイングに根差した良くうたうテナーだ。父親もドラマーだったそうで、早くからジャズには慣れ親しんでいたようだ。ジャズレコードに囲まれていたスコットハミルトンと同様、子供の頃の育った環境は矢張り大事かも。

ある日、アレンが高校時代というから80年代に入ってすぐの頃、アレンは父親に連れられてカウントベイシーオーケストラを聴きに行ったそうだ。もう車椅子になった頃かもかもしれない、晩年の演奏だ。それは昔のビッグバンドの時代のように踊り子をバックに従えたステージだったそうだが、それをかぶりつきで聴いたアレンはすっかりベイシーの虜になったとか。
ベイシーオーケストラがエリントンをやったが、ベイシーをやる者がいても不思議ではない。最近、日本では高瀬龍一。これはベイシーオーケストラのカバー。多分譜面も新たにおこしたのではなくベイシーと同じだろう。

このハリーアレンもベイシーに捧げたアルバムを作った。アレンは同じカバーでもあえてベイシーの真似をすることなく、素直な気持ちで臨んだとライナーノーツに記されている。

ギターの入ったクインテット編成だが、この編成でのベイシーナンバーも乙なもの。特にカンサスシティー風にしなくても、ハリーアレンのテナーとベイシーの十八番としている曲は相性がいい。
Concord好きの自分の好みの演奏だが、間違いなくアレンも日本人が好むテナー奏者の一人だと思う。

1. Topsy
2. Li’l Darlin
3. Whirly Bird
4. The Secon Time
5. AroundJunpin’ At The Woodside
6. I Wanna Be Around
7. Splanky
8. Cute
9. April In Paris
10. Doggin Around
11. Wives And Lovers

Harry Allen (ts)
Ray Kennedy (p)
Joe Cohn (g)
Joel Forbes (b)
Chuck Riggs (ds)

Produced by Ikuyoshi Hirakawa
Recorded on Sep.5&6, at Skyline Studios,NYC


ダウン・フォー・ザ・カウント
ハリー・アレン・クインテット
スイングブロス
コメント (2)
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