Hiroshima Rising From The Abyss / Toshiko Akiyoshi Jazz Orchestra Featuring Lew Tabakin
好きなサックス奏者といえば、コールマンホーキンズ、ズートシムス、スタンゲッツ、ベニーゴルソン、スコットハミルトン・・・と続くが、ジャズのサックス奏者でテナーをもっとも上手く操るプレーヤーは誰かといえば自分はソニーロリンズだと思う。太くたくましいサウンド、次から次へと流れ出すフレーズ、絶妙なリズム感、どれをとってもこれぞテナーの見本というプレーヤーだ。80歳を過ぎてまだ健在、そして現役というのも嬉しい限りだ。ロリンズに次ぐのはというと、自分はルータバキンを推す。TOSHIKOのビッグバンドの重鎮だが、小編成での彼のプレーは、豪快そのもの。よく歌うテーナーで、音の太さもロリンズ張りだ。そのタバキンが来日中だが、トシコのオーケストラの曲をレパートリーの中心にしている、アートオウルジャズオーケストラと共演するというので出かけてみた。場所は神田の東京TUC、良いライブをやる所だ。アートオウルオーケストラも話には聞いていたが、実際の演奏を聴くのは初めてだったのでどちらも楽しみだったが、席は満員、期待通りの演奏だった。
ルータバキンはゲストのソロプレーヤーではなく、サックスセクションの一員としての参加。オリジナルのトシコのオーケストラでの定位置と同じ場所に構える。テーマ曲のロングイエローロードでスタートするが、タバキンとの共演に緊張しているのかオーケストラの鳴り方も少しノリが悪く心配したが、次の曲からはだんだんと調子が上がる。プロのバンドでも最初は少し調子が出ないことがあるがとろあえず一安心。タバキンとのコンビネーションもだんだんこなれてくる。昨年のカールサンダースもそうであったが、誰かリードするプレーヤーが一人入るだけでバンドのサウンドが変わってくるから不思議だ。セッションワークだけでなく、ソロもタバキンの迫力に圧倒されるのではなく、他のメンバーのソロもタバキンに引っ張られて聴き応え十分なプレーを繰り広げてくれた。
なかなか、他のオーケストラではTOSHIKO-TABACKINビッグバンドのレパートリーを聴く機会がないので、このライブ自体に大満足、それにタバキンのプレーも堪能できたのでさらに。アンコールの最後の仕掛けも良く考えられていて、タバキンがソロをとってる間にメンバーが徐々に退場し、最後はソロを延々吹きながらタバキンも退場するという嗜好であったが、これもエンドレスでソロができるタバキンだからこそできた仕掛けだと思う。
というわけで、昨夜の余韻も残っている中で、TOSHIKOのBIGBANDを一枚。秋吉敏子はピアノのプレーだけでなく、作曲、アレンジなんでもこなすオールマイティーな音楽家だ。そして、其の作品には社会的な意味合いを持っているものも多い。単発の曲だけでなく、其のテーマを表現するのにアルバム一枚を使ったり、組曲に仕立て上げた大作も多い。それを演じるのがTOSHIKOのBIGBANDだ。まさに、和製エリントンといっても過言ではないだろう。
このアルバムも、そのような一枚で広島に捧げた曲、”Hiroshima Rising From The Abyss”が中心になる。これ
を地元広島で演奏したライブだ。3楽章からなる43分の大作で原爆の体験から復興までを表現している。このような作品は彼女でなければなかなか書けないし、演奏できないであろう。昨晩のライブでは3章のHopeだけが演じられたが、このような大作をじっくり演奏するコンサートが地元で開かれたのは素晴らしいことだ。さらに其のライブがちゃんと記録として残されているのもまた喜ばしいことだ。
1. Long Yellow Road Akiyoshi 1:53
2. Hiroshima-Rising from the Abyss: Futility-Tragedy Akiyoshi 12:06
3. Hiroshima-Rising from the Abyss: Futility-Tragedy (Continued) Akiyoshi 3:26
4. Hiroshima-Rising from the Abyss: Survivor Tales Akiyoshi 6:40
5. Hiroshima-Rising from the Abyss: Survivor Tales (Continued) Akiyoshi 1:18
6. Hiroshima-Rising from the Abyss: Survivor Tales (Continued) Akiyoshi 13:14
7. Hiroshima-Rising from the Abyss: Hope Akiyoshi 6:41
8. Wishing Peace Akiyoshi 7:13
Toshiko AkiyoshiComposer, Liner Notes, Orchestration, Piano, Soloist
Lew Tabackin Soloist, Flute, Sax (Tenor)
Jim O'Connor Soloist, Trumpet
Mike Ponella Soloist, Trumpet
John Eckert Soloist, Trumpet
Jim Rotondi Soloist, Trumpet
Steve Armour Soloist, Trombone, Trombone (Bass)
Pat Hallaran Trombone
Tim Newman Trombone (Bass)
Scott Whitfield Soloist, Trombone, Trombone (Bass)
Tom Christensen Flute, Sax (Tenor), Soloist
Dave Pietro Flute, Sax (Alto), Soloist
Jim Snidero Flute, Sax (Alto)
Scott Robinson Clarinet (Bass), Sax (Baritone), Soloist
Paul Gill Bass
Valtinho Percussion
Andy Watson Drums
Reading Ryoko Shigemori
George Kawaguchi Drums, Guest Appearance, Soloist
Won Jang-Hyun Flute, Guest Appearance
Todd Barkan Executive Producer
Gerald Wiggins Executive Producer
Makoto Kimata Producer
Derek Kwan Assistant Producer
Hitoshi Endo Engineer
Recorded live at Hiroshimakoseinenkinkaikan on 6th August 2001
好きなサックス奏者といえば、コールマンホーキンズ、ズートシムス、スタンゲッツ、ベニーゴルソン、スコットハミルトン・・・と続くが、ジャズのサックス奏者でテナーをもっとも上手く操るプレーヤーは誰かといえば自分はソニーロリンズだと思う。太くたくましいサウンド、次から次へと流れ出すフレーズ、絶妙なリズム感、どれをとってもこれぞテナーの見本というプレーヤーだ。80歳を過ぎてまだ健在、そして現役というのも嬉しい限りだ。ロリンズに次ぐのはというと、自分はルータバキンを推す。TOSHIKOのビッグバンドの重鎮だが、小編成での彼のプレーは、豪快そのもの。よく歌うテーナーで、音の太さもロリンズ張りだ。そのタバキンが来日中だが、トシコのオーケストラの曲をレパートリーの中心にしている、アートオウルジャズオーケストラと共演するというので出かけてみた。場所は神田の東京TUC、良いライブをやる所だ。アートオウルオーケストラも話には聞いていたが、実際の演奏を聴くのは初めてだったのでどちらも楽しみだったが、席は満員、期待通りの演奏だった。
ルータバキンはゲストのソロプレーヤーではなく、サックスセクションの一員としての参加。オリジナルのトシコのオーケストラでの定位置と同じ場所に構える。テーマ曲のロングイエローロードでスタートするが、タバキンとの共演に緊張しているのかオーケストラの鳴り方も少しノリが悪く心配したが、次の曲からはだんだんと調子が上がる。プロのバンドでも最初は少し調子が出ないことがあるがとろあえず一安心。タバキンとのコンビネーションもだんだんこなれてくる。昨年のカールサンダースもそうであったが、誰かリードするプレーヤーが一人入るだけでバンドのサウンドが変わってくるから不思議だ。セッションワークだけでなく、ソロもタバキンの迫力に圧倒されるのではなく、他のメンバーのソロもタバキンに引っ張られて聴き応え十分なプレーを繰り広げてくれた。
なかなか、他のオーケストラではTOSHIKO-TABACKINビッグバンドのレパートリーを聴く機会がないので、このライブ自体に大満足、それにタバキンのプレーも堪能できたのでさらに。アンコールの最後の仕掛けも良く考えられていて、タバキンがソロをとってる間にメンバーが徐々に退場し、最後はソロを延々吹きながらタバキンも退場するという嗜好であったが、これもエンドレスでソロができるタバキンだからこそできた仕掛けだと思う。
というわけで、昨夜の余韻も残っている中で、TOSHIKOのBIGBANDを一枚。秋吉敏子はピアノのプレーだけでなく、作曲、アレンジなんでもこなすオールマイティーな音楽家だ。そして、其の作品には社会的な意味合いを持っているものも多い。単発の曲だけでなく、其のテーマを表現するのにアルバム一枚を使ったり、組曲に仕立て上げた大作も多い。それを演じるのがTOSHIKOのBIGBANDだ。まさに、和製エリントンといっても過言ではないだろう。
このアルバムも、そのような一枚で広島に捧げた曲、”Hiroshima Rising From The Abyss”が中心になる。これ
を地元広島で演奏したライブだ。3楽章からなる43分の大作で原爆の体験から復興までを表現している。このような作品は彼女でなければなかなか書けないし、演奏できないであろう。昨晩のライブでは3章のHopeだけが演じられたが、このような大作をじっくり演奏するコンサートが地元で開かれたのは素晴らしいことだ。さらに其のライブがちゃんと記録として残されているのもまた喜ばしいことだ。
1. Long Yellow Road Akiyoshi 1:53
2. Hiroshima-Rising from the Abyss: Futility-Tragedy Akiyoshi 12:06
3. Hiroshima-Rising from the Abyss: Futility-Tragedy (Continued) Akiyoshi 3:26
4. Hiroshima-Rising from the Abyss: Survivor Tales Akiyoshi 6:40
5. Hiroshima-Rising from the Abyss: Survivor Tales (Continued) Akiyoshi 1:18
6. Hiroshima-Rising from the Abyss: Survivor Tales (Continued) Akiyoshi 13:14
7. Hiroshima-Rising from the Abyss: Hope Akiyoshi 6:41
8. Wishing Peace Akiyoshi 7:13
Toshiko AkiyoshiComposer, Liner Notes, Orchestration, Piano, Soloist
Lew Tabackin Soloist, Flute, Sax (Tenor)
Jim O'Connor Soloist, Trumpet
Mike Ponella Soloist, Trumpet
John Eckert Soloist, Trumpet
Jim Rotondi Soloist, Trumpet
Steve Armour Soloist, Trombone, Trombone (Bass)
Pat Hallaran Trombone
Tim Newman Trombone (Bass)
Scott Whitfield Soloist, Trombone, Trombone (Bass)
Tom Christensen Flute, Sax (Tenor), Soloist
Dave Pietro Flute, Sax (Alto), Soloist
Jim Snidero Flute, Sax (Alto)
Scott Robinson Clarinet (Bass), Sax (Baritone), Soloist
Paul Gill Bass
Valtinho Percussion
Andy Watson Drums
Reading Ryoko Shigemori
George Kawaguchi Drums, Guest Appearance, Soloist
Won Jang-Hyun Flute, Guest Appearance
Todd Barkan Executive Producer
Gerald Wiggins Executive Producer
Makoto Kimata Producer
Derek Kwan Assistant Producer
Hitoshi Endo Engineer
Recorded live at Hiroshimakoseinenkinkaikan on 6th August 2001
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