富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

安中市上秋間地内『蚕神の修復』<絹笠大明神の石碑>活動報告

2019年06月07日 18時04分16秒 | 世界遺産伝道師協会

安中市の『蚕神修復』活動報告

 

令和元年6月4日(火)蚕神調査プロジェクトチーム有志8名で、安中市西上秋間地内にある小高い崖上の台座から下の畑に落下してしまった「絹笠大明神碑」を元の場所に戻す修復作業を行いました。

この「絹笠大明神碑」をチームリーダーの㎜田睦伝道師が発見するにあたっては、地元在住の女性との偶然ともいえる出会いがありました。

M田さんが以前、同地区にある線刻碑の蚕神調査をしている時、近くで農作業をしている女性にもう一つの蚕神の所在について尋ねたところ、「私の畑に雑草に埋まっている蚕神がある」と聞き、現地へ案内してもらいました。案内されて行ってみるとそれは正に㎖田さんが探していた「絹笠大明神碑」であることが分かりました。

その「絹笠大明神碑」は2011年の東日本大震災の影響で、本体が3メートルほど下にある今は耕作していない畑に落下し、枯れ枝や雑草に埋もれてしまっていました。

その二つの蚕神は昨年7月に出版された蚕神調査報告書『群馬の蚕神』26頁に掲載されている№3と103頁の№144の蚕神ですが、今回、修復するのは№144です。

M田睦チームリーダーはこのまま放置しておくと近い将来、何も分からなくなってしまうのではないかと危惧していました。

その後、蚕神調査プロジェクトチームはパンフレット『群馬の蚕神めぐり』を今年4月に発刊し漸く一段落しましたので、気になっていた落下している蚕神修復に取り掛かった次第です。

本日は8時20分に前橋の駐車場に集合して、7名の伝道師は井上車と中島車に分乗して安中に向かいました。S藤英子伝道師は現地集合です。

今回の修復作業に当たっては、文化財であることを充分に認識して、安中市文化財保護課の担当者の指導を受けながら、また、地元にお住いのS氏の協力をいただき行いました。

作業は、先ず現状をきちんと記録してから、本体を傷つけぬよう厳重に毛布などで包みロープをかけて、S氏提供の運搬車に載せて細い山道を登り、台座のある場所まで慎重に運びました。重量は凡そ70~80キロはあるあると思われますが、崖の下の畑で運搬車に載せるのも、台座のある場所で降ろすのも全員で行いました。

予め台座の窪みに詰まっていた小石や砂、枯葉などを丁寧に取り除き準備しておいた元の位置にはめ込んで、水糸を垂らして水平を取り、モルタルを台座と碑身の接合部に慎重に詰め込みました。

最後に台石との接合部の乾燥が済むまでの仮の支えとして、用意しておいた竹の棒3本で補強して作業は終了しました。

周辺はうっそうとした竹藪や、杉などの大木に覆われていて、葉がつやつやとした藪椿もありましたので、またいつか花の季節に尋ねてみたいと思いました。

昼食をはさんで約4時間余り、足元の悪い細い山道を登ったり下ったり、普段はあまり縁のない力仕事で疲れましたが、とても気持ちよく楽しみながらの活動でしたので、充実感がありました。言われるままに右往左往しながらの活動でしたが、終わってみますと、蚕神修復という意義ある仕事が形になりました。

この修復作業の実施によって、後世の人たちが先人の養蚕に託した思いを感じてもらえることを願っています。

今回の修復作業はM田睦さんの知識と熱意がなくては叶わなかったことは言うまでもありませんが、本日参加の8名の伝道師は皆さん大車輪の活躍でした。特に久々にお会いしたS藤英子さんの知識と準備の巧みさには流石と驚きました。

また、本日の修復対象物はとても重い石碑でしたので、時には緊張した場面もありましたが、お互いを認め信頼し合って作業できたことが、良い結果に結びついた要因かなとも思いました。

作業終了後は、M田さんの案内で近くの蚕神4か所を見学して帰りました。

本日の作業開始から終了まで、ずっと現場で指示してくださった安中市文化財保護課職員の方には大変お世話になりました。又、地元にお住いのS氏の知識と知恵、提供いただいた運搬車が無くてはとても無理でした。お二人に感謝です。

本日の参加者はM田睦さん、I上さん、N島進さん、U沢さん、Y澤さん、O田さん、S藤さんとY田の8名でした。

企画して、安中市との折衝、地元住民の方との打ち合わせ、資材の準備等、M田睦さん有難うございました。

細い山道を運転してくださった井上さん、N島進さんお世話になりました。

U沢さん、Y澤さん、O田さん、S藤さんお疲れ様でした。(Y田節子 記)

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