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最上の自然

自分の見たものを自由気ままに紹介していきます。
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アカツヤドロムシ

2011-10-21 15:57:21 | ヒメドロムシ
前から採りたい採りたいと言っていたアカツヤドロムシ。
新潟では60年代以降記録が無く、記録があった胎内市は河川改修でいなくなったのでは?と言われていた。
他県では最近でも採れているとは知っていたが、やはりなんとかして新潟県で再記録してやろうと思っていた。
何度か記録のあった胎内市で挑戦したのは過去の記事で見てみてください。惨敗です

そんなアカツヤドロムシが新潟県で採集されたのは少し前から知っていた。それは実家から送られてきた一通のメール。
「もしかしてアカツヤ?」という軽い件名と、「フラッシュたくと赤く見える。採った時はもう少し赤かったように思う。○○川(採集地)」という感動も何もない短い本文。それと暗くてよく見えない添付画像が送られてきた。
実際の画像↓

隣に比較用のミゾツヤがいたことで違いはすぐにわかった。赤いし大きい、そして翅端は丸いと。
そしてすぐに電話。どこで採ったかと聞けば長岡にいたときに採集地に行くときに散々通った橋の上流とのこと。実家帰るたびに胎内で狙っていたがまさか長岡にいるとは!まさに灯台下暗し。
その後は追加採っといて、と言った所ホントに追加を採る始末。もう心はズタズタですね。
おまけに新産地も見つけてくれました。
先月新潟に帰ったのもほぼアカツヤが採りたい一心でしたが、結果は当然…惨敗でした。2ヶ所とも数時間ずつやったのに
この記事の胎内市での目標にアカツヤが入っていないのはこんな理由があったからでした。
ただそれ以降追加は採れていないようです


あと、山形県内のアカツヤドロムシの記録ですが、前に書いた記事で出展はわからないが…、と書いていたのはレッドデータブックとちぎで山形県(2ヶ所)と書いてあったものを参考にしてました。
つい最近、その元となったと思われる文献を頂いたので(Iさんありがとうございます!)さっそくチェック。
すると記録されていたのは最上川流域、しかも最上郡!これまた灯台下暗し…。
I川とK川で記録されていましたが、どっちもヒメドロ採集していた河川だけにショックは大きかった。
文献貰った後は当然探しに行きましたが、またしても惨敗。というかヒメドロ自体すごく少ないので採集してても心が折れる。
一時間やってもツヤヒメ1頭とかではさすがにモチベーションが保てない。でもいつかは採らねば


アカツヤドロムシ Zaitzevia rufa
2011年採集 新潟県長岡市産

来年はきっと…!

最上・長岡のヒメドロリスト

2011-10-19 07:20:27 | ヒメドロムシ
自分整理用。山形県最上地方と新潟県長岡市の比較もかねて。
文献未確認。採集したもののみ。文献は確認したら追加していきます。
ちなみに「新潟県のドロムシ類」では長岡市の記録は出てきません。
赤字は文献記録のみ。黒字は自己採集済み、長岡のものはほぼ母採集品。


山形県最上地方 17種
・ヒメハバビロドロムシ[Dryopomorphus nakanei]
・ゴトウミゾドロムシ[Ordobrevia gotoi]
・キスジミゾドロムシ[Ordobrevia foveicollis]
・クロサワドロムシ[Neoriohelmis kurosawai]
・マルヒメドロムシ属の一種[Optioservus sp.]
・ハセガワヒメドロムシ[Heterlimnius hasegawai]
・クロマルヒメドロムシ[Heterlimnius ater]
・ツヤヒメドロムシ[Optioservus nitidus]
・キベリナガアシドロムシ[Grouvellinus marginatus]
・ツヤナガアシドロムシ[Grouvellinus nitidus]
・ツブスジドロムシ[Paramacronychus granulatus]
・ホソヒメツヤドロムシ[Zaitzeviaria gotoi]
・マルヒメツヤドロムシ[Zaitzeviaria ovata]
・ヒメツヤドロムシ[Zaitzeviaria brevis]
・ツヤドロムシ[Zaitzevia nitida]
・ミゾツヤドロムシ[Zaitzevia revalis]
・アカツヤドロムシ[Zaitzevia rufa]


新潟県長岡市 15種
・ヒメハバビロドロムシ[Dryopomorphus nakanei]
・ゴトウミゾドロムシ[Ordobrevia gotoi]
・アカモンミゾドロムシ[Ordobrevia maculata]
・キスジミゾドロムシ[Ordobrevia foveicollis]
・アヤスジミゾドロムシ[Graphelmis shirahatai]
・クロサワドロムシ[Neoriohelmis kurosawai]
・ツヤヒメドロムシ[Optioservus nitidus]
・ケスジドロムシ[Pseudamophilus japonicus]
・ツヤナガアシドロムシ[Grouvellinus nitidus]
・ツブスジドロムシ[Paramacronychus granulatus]
・マルヒメツヤドロムシ[Zaitzeviaria ovata]
・ヒメツヤドロムシ[Zaitzeviaria brevis]
・ツヤドロムシ[Zaitzevia nitida]
・ミゾツヤドロムシ[Zaitzevia revalis]
・アカツヤドロムシ[Zaitzevia rufa]


※10/19 最上のリストにハセガワヒメドロムシとクロマルヒメドロムシ、アカツヤドロムシを追加。長岡市のリストにゴトウミゾドロムシとツヤドロムシ、アカツヤドロムシを追加。
それぞれの詳しいことはまたいずれ…。

アヤスジミゾドロムシ

2011-09-17 17:23:18 | ヒメドロムシ

アヤスジミゾドロムシ Graphelmis shirahatai
2011,8,10採集 新潟県長岡市産

大きさ3.4~3.7mmのヒメドロムシの仲間。
鞘翅の線と黄色い足、強靭な爪と他の種類との区別は容易。
山形県がタイプロカリティーの種類だが、山形県では1947年と1954年にそれぞれ1頭採集されているだけで以後の記録は無し。
主に河川の下流に生息しているとのことでしたが、今回長岡市の採集場所を見る限り、上流寄りの中流のようなところでの生息も可能なようです。狭い範囲で複数採集されているので普通に繁殖もしているのでしょう。
長岡市には大河川の信濃川も流れており、そちらがメイン産地なのでは?との意見もありましたが、おそらくは支流のほうがメインになっているかと思います。このあたりは来年以降の課題でしょうか?信濃川はツツガムシさえいなければもう少しやりやすいのですが…。

実家に帰省した際には本種も目標だったのだが、時期が悪いか腕が悪いか採集はできず。
ただ、今回の感じからして山形県内でも生息している可能性は高いと思う。最上でもここは!という場所があるのでなんとか見つけてみたい。

ツヤドロムシ

2011-09-15 11:08:06 | ヒメドロムシ

ツヤドロムシ Zaitzevia nitida
2011,9,6採集 新潟県長岡市産

大きさ1.7~1.8mmのヒメドロムシの仲間。
近縁のミゾツヤドロムシよりも下流を好んで生息しているが、最近はかなり上流でも採れる事がある。
本種はアワツヤドロムシと違って北のほうに分布の中心がある様子。
砂礫を好む種類で、大きな川だと瀬の部分にしかいないが、上流の轟々と水が流れるようなところでは入らない。

昔の記事で新潟県ではツヤドロムシの記録は無いとしていたが、最近新潟の黒川の個体がParatypeということを知った
これも記載年の関係で「新潟のドロムシ類」では出てこない種類。でも、長岡では未記録だったので長岡市のリストに追加ですね!


実家からツヤドロとミゾツヤの区別ができないとの事なので、以下に比較写真を。
両個体とも2011,9,6採集の長岡市の同じ所の個体です。





左がミゾツヤドロムシ。右がツヤドロムシ。
大きな違いとしては鞘翅の光沢、体の幅などでしょうか。

今回は長岡市の2つの河川で確認。
そのうち一つはアヤスジミゾドロが採れた場所で、母も何度も通っていたはずだが、採集していた個体(2~300くらい?もっと?)は全てミゾツヤドロムシだった(とおもう)
狭い範囲でも採集者によって採れる種類は傾向がありそう。採集方法も若干異なってましたし
それぞれの採集方法についてはまたいずれ…。

ヒメドロ採集(2011/9/5)

2011-09-10 18:44:11 | ヒメドロムシ
5日~8日まで新潟の実家に帰省してました。
帰省する際は胎内市でセマルヒメドロムシを狙うことにしているので、今回も狙ってきました。
今回の採集地は前回よりも下流。河川がいくつか合流し、川の名前も変わっています。

浅いが水量は多目。大き目の石が多く、小さくても拳ほどの大きさ。20~30cmくらいの石が多い。


早速網を入れて、川底をガラガラとかき回すとゴトウミゾドロムシが!これは幸先がいいかもと思いながら採集していくも入るのはなぜかゴトウばかり…。ツルヨシ根元ではヒメドロムシ類は入らず、ゴマフガムシが1頭とカジカが入ったのみ。
ゴトウばかりなので環境を変えようと瀬の部分を掬う。


ここならツヤドロ類が入るだろうと思っていたが、なぜかここでもゴトウがぽつぽつ、というか大量に入った
一網で20頭以上は中々無いんじゃないだろうか?

ここでは1時間ほどで53頭のヒメドロムシを採集。
そしてそのすべてがゴトウミゾドロムシ[Ordobrevia gotoi]でした

もっと少ない種類だと思っていたのだが、なんか拍子抜け…。
生息環境もイメージから少しずれるなぁ

セアカヒメドロムシ?

2011-08-29 13:35:37 | ヒメドロムシ



セアカヒメドロムシ Optioservus maculatus 
2011,6,3採集 山形県最上群産

大きさ2.4~2.6mmのヒメドロムシの仲間。
ツヤヒメドロムシそっくりだが、大きさが本種のほうが一回り大きい。
この種類も山形県がタイプロカリティー。

源流に生息し、今のところ確認している産地は1ヶ所のみ。
ブナ林の中を流れる沢で、年中日陰になっているのが胆か?

本種には斑紋に変異があり4紋型と紋が繋がる型がある。


↑の文章を書きながら、色々と文献を見ていたらどうも違和感が…。
大阪とか島根とか福岡で記録されているセアカヒメドロムシはこの個体より全体的に太く感じる。
「島根県の水生甲虫」に出てるマルヒメドロムシ属の一種に近い種類なのだろうか?
標高は600mちょいだが、付近にオサバグサが生えてるブナ林のなかの暗い沢での採集品。


参考文献
林 成多(2011)島根県の水生甲虫.ホシザキグリーン財団研究報告特別号,(1)

クロサワドロムシ

2011-08-27 16:32:05 | ヒメドロムシ

クロサワドロムシ Neoriohelmis kurosawai
2010,7,13採集 山形県最上群産

大きさ3.8~4.1mmのヒメドロムシの仲間。
確認している場所は上流の流れが速い瀬だが、淀みの部分や止水域などにも生息しているらしい。
淀み・止水で採集される割には中流とかでは見たこと無いなぁ。

こんどこそキベリナガアシ???

2011-08-25 14:14:24 | ヒメドロムシ
前に「ナガアシドロムシ類」として書いた記事。
その中で、本州にはキベリナガアシドロムシとツヤナガアシドロムシが分布しているということを書いた。

書いたときは「新潟県のドロムシ類」を入手していなかったので、新潟の分布はわからなかったが、見てみるとキベリナガアシは記録されていた。
が、ツヤナガアシの記載が1963年、「新潟県のドロムシ類」が出たのは1961年。
ツヤナガアシのパラタイプに新潟県のもの(9産地264個体)が使われていることから、「新潟県のドロムシ類」の中のキベリナガアシはツヤナガアシのことだと思われる。
「福岡県のヒメドロムシ」でも本州中部以北での確実な記録は無いとしている。

ツヤナガアシとキベリナガアシの区別点は前回も書いたが、「福岡県のヒメドロムシ」によれば確実な区別点は前胸背の隆起とされている。
以下、「福岡県のヒメドロムシ」から。

上がツヤナガアシドロムシ
下がキベリナガアシドロムシ

この文献はWeb上に上がっているので写真を出しても問題ないと思ったが、なにか問題があるようならお教えください

「福岡県のヒメドロムシ」ではJeng and Yang(1998)による再記載を元に区別したと書いてあったが、最近その文献を入手したところ、ツヤナガアシとG.montanus(台湾に分布)の前胸背の隆起を比較した画像はあったが、キベリナガアシとツヤナガアシを比較した画像は入っていなかった。ちなみにこの文献は全部英文…。いつになったら内容が理解できるのか

さて、問題の最上産のキベリナガアシと思われる個体↓



2011,6,18採集 山形県最上群産(若干前のめり)

これは前回の記事の写真。

両方とも山形県最上群産。下の個体はほぼ間違いなくツヤナガアシだと思われる。
私が撮った写真はボケてたり、汚かったりもしますが、なんとか輪郭はわかるはず!


今回は採集した場所も川幅の広い中流域だったので、その辺りからもちょっと期待している



その後、再度採集に行ったが追加は出来ていない



参考文献
緒方 健・中島 淳(2006)福岡県のヒメドロムシ.ホシザキグリーン財団研究報告,(9):227-243.
Ming-Luen Jeng and Ping-Shih Yang(1998)Taxonomic review of the genus Grouvellinus Champion (Coleoptera:Elmidae) From Taiwan and Japan.Proc.Entomol.Soc.Wash.,100(3):526-544
野村 鎮・馬場 金太郎(1961)新潟県のドロムシ類.昆虫学評論,13(1):27-34.

ムナビロツヤドロムシ

2011-08-23 14:08:05 | ヒメドロムシ

ムナビロツヤドロムシ Elmomorphus brevicornis
2011,6,11 新潟県胎内市

大きさ3.6mm~3.9mmのヒメドロムシの仲間…、ではなく近縁のドロムシ科の一種。
ドロムシの仲間は北海道に1種、本州から沖縄に1種(奄美大島以南は別亜種)が生息し、国内では2種類のみが分布。

上流~中流に生息し、ツルヨシなどの根元にいることが多い。
新潟では長岡でも県北の胎内市でも多数の個体を採集しているが、最上では確認できていない。
いれば見つかると思われる種類なだけに分布していないのだろうか?