最上の自然

自分の見たものを自由気ままに紹介していきます。
※このブログの内容・写真の無断転載を禁止します

オクエゾクロナガオサムシ

2010-02-28 10:51:05 | オサムシ・ゴミムシ



オクエゾクロナガオサムシ Carabus arboreus pararboreus
2009,4,9 網走市


北海道と本州に分布するキタクロナガオサムシの亜種。
オクエゾクロナガオサムシ[ssp.pararboreus]は道北、道東に広く分布している。
道内では他に、
エゾクロナガオサムシ[ssp.arboreus] 渡島半島
カリバクロナガオサムシ[ssp.karibanus] 渡島半島北部
イシカリクロナガオサムシ[ssp.ishikarinus] 石狩低地帯~夕張山地西側
の3亜種が記録されているが、標本を見ていないこともあり、自分にはさっぱり

因みにこの後、写真の切り株の右側(まだ皮がついている所)からはエゾマイマイカブリが一頭出てきた

アオカタビロオサムシ

2010-02-27 18:31:13 | オサムシ・ゴミムシ

アオカタビロオサムシ Calosoma inquisitor
2009,6,17 網走市


飛べない昆虫として有名なオサムシの仲間の中でも飛ぶことが出来るカタビロオサムシの仲間。網走支庁内では国内で記録されている全てのカタビロオサムシ(クロカタビロ・エゾカタビロ・ミヤマカタビロ)が記録されている。
写真のアオカタビロオサムシは、北に分布の中心を持ち、北海道ではもっとも個体数が多い。

新潟にいるときは本種の藍色型を採集(聞いた話では約1/200の確立で出現するらしい。因みに採集したのは私の母。母が採集すると約1/10くらいが藍色。恐るべき母親私自身はアオカタビロ自体1頭も採集できなかった)したこともあったのですが、北海道ではまだ普通の色彩のものしか採集できていない

クモマベニヒカゲ

2010-02-25 18:22:51 | チョウ





クモマベニヒカゲ Erebia ligea rishirizana
2008,7,28 遠軽町


国内では概ね標高1000m以上の地域に見られる高山蝶の仲間。
北海道には亜種rishirizanaが生息し、本州には亜種takanonisが生息している。

北海道では本州での高山蝶(オオイチモンジやコヒオドシなど)が低地に見られることが多いが、本種は道内でも標高1000m以下では少ない。

撮影したところは針葉樹林内の小さな草地だったが個体数が非常に多く、求愛している個体(写真2枚目)や、交尾している個体(写真3枚目)も観察できた。
他にもハンゴンソウで吸蜜している個体を多数見たが「原色日本蝶類生態図鑑Ⅳ」では吸蜜植物にハンゴンソウは入っていなかった。

シナノクロフカミキリ

2010-02-24 15:28:32 | カミキリムシ

シナノクロフカミキリ Asaperda agapanthina
2009,6,17 網走市


国内では北海道から九州まで分布していて、南に行くほど少なく、北に行くほど多くなる種類のはずなんですが、網走周辺ではなぜか少ない。
新潟にいるときは適当にカエデの枯れ枝を叩けばいくらでも落ちてくる種類のはずなのに、網走では叩いて採集したのは一頭のみ
「これは!」というカエデの枯れ枝もいくつもあったのですが、新潟とは勝手が違うのか、いまだにコツがうまく掴めていないです

ツバメシジミ

2010-02-22 01:04:10 | チョウ

ツバメシジミ Everes argiades
2007,8,21 網走市


各地で普通に見られるシジミチョウの仲間。
翅の表は普通は♂が青色で♀が黒色だが、北海道では春に現れる個体(春型)の♀で稀に全体が♂の様に青く輝く個体がいる。

昔、友達に「さっきそこにシジミが飛んでたね」といったら
友達は「えっ?シジミって飛べるの!?」と驚いていました
この「シジミチョウ」の「シジミ」とは小さいという意味で、味噌汁のシジミとは別種です

コツバメ

2010-02-21 04:24:18 | チョウ

コツバメ Collophrys ferrea
2009,4,30 網走市


春一番に出現する「スプリング・エフェメラル」と呼ばれるシジミチョウの仲間。
この写真を撮影した日は気温が高く、他にも数頭コツバメが飛んでいたが、中々敏感でこの写真を撮るのに30分くらいかかった
(ただし逆光で背景も網とリュック

チョウの撮影は難しいですね。うまく撮れる人の撮影方法と機材を見てみたい…。

センチコガネ

2010-02-19 20:37:03 | コガネムシ・クワガタ

センチコガネ Phelotrupes laevistriatus
2009,6,24 網走市


動物の糞などを食べる「糞虫」と呼ばれるコガネムシの仲間。
その中でも本種は樹液やキノコなどにも集まる。

北海道の個体は本州の個体と違って、なんと飛ぶことが出来ない。
初めてその話を聞いたときは信じられなかったが、観察してみると翅を広げる個体はいても、飛翔する個体はいなく、FITなどにも入る個体はいなかった。
これは飛翔するための筋肉が退化して、翅はあるが飛べないということだった。

北海道は鹿などが多くて餌に困らないために飛翔する必要がなくなったのだろうか?
その割には近縁種のオオセンチコガネはきっちり飛んでいるのだが…

ホソカタムシの誘惑

2010-02-16 20:28:07 | 日記

前々から気になっていた本だったが、「テントウムシの自然史」を買うときに一緒に買った。¥2.800.

この本では昔、ホソカタムシ科(今はカクホソカタムシ科・ムキヒゲホソカタムシ科・コブゴミムシダマシ科というらしい)と呼ばれていた仲間の内、カクホソカタムシ科を除く48種類がほとんど全て著者の手書き(!)の図入りで紹介されている。

内容も採集法や標本作成法、図の描き方などを堅苦しくなく、分かりやすく紹介されていて頭の良くない自分にはありがたかった

ただ、どうしても納得のいかないことは
北海道ではホソカタムシが少ない!
ということ。

本州では31種、四国では20種、九州では30種、琉球列島では20種も記録されているのに、北海道ではたったの7種だけらしいしかも原記載の記録のみや北海道では1頭だけしか採集されていない種などもある上に、道東方面でホソカタムシの記録はほとんどないらしい。

網走市内ではヒラタホソカタムシ[Colobicus hirtus]とマダラホソカタムシ[Ttachypholis variegata]を採集しているが、今後他の種類も採集することが出来るだろうか?

オオニジュウヤホシテントウ種群 その2

2010-02-14 13:45:41 | テントウムシ
今朝は中途半端で終わってしまったので、その続きです。

前回は分布的にオオニジュウヤホシテントウかエゾアザミテントウかと考えていたが、ルイヨウマダラテントウも分布することが分かったので、近縁種と比較してみることに。

まずはオオニジュウヤホシテントウ Epilachna vigintioctomaculata


2008,6,5採集 北見市産
1紋が左右で融合せず、丸くなり、腿節は黒色部が少ない。
ナス科とウリ科の植物を食べ、日向に多い。

次にエゾアザミテントウ Epilachna pustulosa


2008,6,8採集 遠軽町産
1紋、d紋、g紋が融合し、腿節は真っ黒。写真の個体は体高が高いので層雲峡型。
アザミ類を食べ、日陰に多い。


こう見てみると網走市の個体はこのどちらとも違うように見え、消去法で行くとルイヨウマダラテントウ Epilachna yasutomiiということになるが結局よくわからない

今年は数とって比較して、なんの植物で採れたのかをきちんと調べていかないとですね


まったくまとまらなかったですが、今回は問題提起ということで…

オオニジュウヤホシテントウ種群

2010-02-14 00:02:29 | テントウムシ
最近めっきり寒くなった網走市。
流氷も来て、写真も撮りに行きたいとも思うが、寒いし車の運転は出来るだけしたくないので、家にこもって標本整理をする日々です。

そんな中、先日タトウの標本を標本箱に入れようとマウントしていた時に見つけたのがこの個体。

横から↓

2009,10,18採集 網走市産

オオニジュウヤホシテントウだと思って、普通にラベルを印刷して刺そうとしたときになにか違和感があったので、もう一度調べなおすことに。

「原色日本甲虫図鑑Ⅲ」では、

オオニジュウヤホシテントウ
 上翅斑紋はふつう比較的大きく、2-b-3-d紋が弧状に並ぶ。
 通常d紋はとくに大きくなく長円形か円形。1紋はまるいことが多い。
 後腿節は赤褐色で、つねに黒斑があるが全体にひろがらず、後脛節は赤褐色。

解説を読んでもよくわからなかったが、図を見るかぎりは今回の標本はオオニジュウヤホシテントウとは違うように見えた。
じゃあこのテントウはなに?となって近縁種を調べると、北海道内にはヤマトアザミテントウ、ルイヨウマダラテントウ、エゾアザミテントウが生息しているらしい。
ただ、分布を見てみるとヤマトアザミテントウは渡島半島、ルイヨウマダラテントウは北海道南部となっており、残るエゾアザミテントウは網走支庁内では層雲峡型(背中が凄く盛り上がる型)だよな?ということでこのテントウがなにか分からなくなってしまった

その時、昔地元の博物館から借りて読んだ「テントウムシの自然史」にたしかエピラクナ問題としてこの仲間が詳しく書かれていたことを思い出したが、見事になにも思い出せなかったので、まだ売ってるかなとAmazonで調べてみると1冊在庫有りとなっていたので早速購入。昨日、無事に届きました。

早速読んでみると、この仲間の分布図が出ていました。
道東のエゾアザミテントウの分布が書いてないですが、これを見ると道東でもルイヨウマダラテントウの記録はあるらしいことは分かった。そういえば知床で採れた話を聞いたことがあったような気もする…。



ちょっと疲れたので、続きはまたあとで書きます…

※掲載していた図鑑の写真を消しました。近いうちに代わりの図を載せます。