五輪真弓
そぼ降る小雨の中を
二人はひとつの傘に
濡れないようにと
寄りそい歩くのよ
サンダルはいてるわたし
裸足の指先には
よけきれない雨 冷たくしみるわ
だからもっとそばに居てほしいのよと
言いたいのだけれど胸の奥の
愛は何故か素直になれないの
・・・・・・・・・・
日かげの葉っぱは
泣きむしだ、
ほろりほろりと
泣いている。
泣きむしだ、
ほろりほろりと
泣いている。
日向ひなたの葉っぱは
笑い出す、
なみだの痕あとが
もう乾く。
笑い出す、
なみだの痕あとが
もう乾く。
日かげの葉っぱの
泣きむしに、
たれか、ハンカチ
貸してやれ。
泣きむしに、
たれか、ハンカチ
貸してやれ。
(金子みすゞ)
金子みすゞさんは、光と影、目立つものと目立たないもの、どちらにも目を向けて、影や目立たないものをすくい上げるような詩を生みだしています。
ですから、目立たない立場にいる人がみすゞさんの詩に触れると、自分のさみしさや人知れず努力していることなどに、そっと光を当たられたような
思いになります。
すっと心が軽くなりますよね。
「雨のあと」の詩でも、日かげの葉っぱに思いやりを示しています。
泣きむしの葉っぱに、「ハンカチ貸してやれ」と呼びかけているのが、とても素敵です。
日向があれば、日かげが生ずるのは、仕方ないこと。
それでも、みすゞさんのような優しい見方で世界を包み込むことができれば・・・いいですよね。