百菜健美☆こんぶ家族ラボ

おいしい
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耳は心で。

二月十五日・うさぎや便り

2016-02-15 | Weblog

「良い商品」と「よさそうな商品」

 

こんにちは。


うさぎや  店主の岩佐です。
 
 
 
昨日は春を飛び越したようなびっくり陽気でした。
 
予報ではこのあとまた、雪もあるような気まぐれな天気ですとか。
 
皆様、どうぞくれぐれもお大事にお過ごし下さいますように。 
 
 
 
さて、今日は
 
「逆チョコ」や「友チョコ」などのように新しいライフスタイルの提案による
 
需要喚起に喧しいバレンタイン商戦に象徴されます、そんな「商品」のお話です。
 
 
 

良い商品を作れば売れるという考え方は

 

いつの間にか「昭和」になってしまい、

 

そういう「昭和人」はもう作り手だけになっているようです。

 

「良い商品が売れるという概念の崩壊」です。

 

買い手側からすれば「良い商品の意味」が完全に変容しているのですが、

 

作り手側はそれに気がついてないという感じですね。

 

では、今の買い手にとって良い商品とは何でしょうか?


それは「良い商品」ではなく「よさげな商品」です。

 

変な日本語ではなくて普通に言いますと、

 

「よさそうな商品」ですね。

 

「良い商品」ではなく「よさそうな商品」なんです

 

「これは良い!」というのは売れない。


ですが、「良いかも」と思わせる商品が売れる。

 

昭和人にとってはなんとも意味不明なことであり、

 

「かも」と「良い!」の違いなんぞ理解し難いものです。

 

料理も商品である以上、

 

基本的に同じ事だと思います。

 

と言いますよりも、料理こそが「かも」の極地でしょうか。

 

「良い」と「本物」の基準がこれほど曖昧な「もの」はあまり他にはありませんでしょう。

 

金科玉条のようになってるミシュランの星にしても、

 

あれは審査する人の「かも」でしかないわけで、

 

実証可能な汎用品として認定されるわけじゃありません。

 

つまり科学的な根拠はないということです。

 

料理を召し上がる(デパ地下などで買っていただける)お客様の指向は、

 

確実に「昭和」から「21世紀型」になっています。

 

近年の業界の数字をみていると、はっきりします。

 

「曖昧な料理ほどよく売れている」

 

「ホンモノ」「ニセモノ」という段階はもう終了しており、

 

お客様は次の空間に住んでいるんですね。

 

 

世界的な傾向ですから「昭和」という言葉は適しておりませんけれども、

 

日本国内においては昭和という表現が見事なくらい嵌ります。

 

和食の世界でも、

 

もう「職人技」というものが無意味になりつつあり、

 

何よりも大事なのは「食べる側の視点」になっております。

 

最近では京都・龍谷大学で

 

「日本料理の国境線」というテーマでシンポジウムが開催されました。

 

https://www.ryukoku.ac.jp/sympo_0211_shoku/

 

なんとも不思議な様相です。

 

その答えは<雑味を抜き和を尊ぶのが日本料理です>という意味不明な展開です。

 

 

「良さそう」という、

 

何ともつかみにくいユーザー感覚を自分も身につける。

 

それをしなきゃたぶん料理人にも「次」はないと思っています。

 

料理商売の現在と未来は

 

余計なムダを廃して、料理とサービスに特化する。

 


それは結果的に「料理の値段」も下げることが可能になる。

 

この場合、「結果的に」が分かれ道ですね。

 


「意図的な価格競争」では本末転倒になるからです。

 

価格競争に乗ってしまえば、やがて「質が低下」します。

 

料理の質を落とさずに、「スリム化」するのがミソになるわけです。

 

お客様のニーズは細分化が加速しています。

 

 


つまり「消費意欲」そのものがサイクルの「拡大期」を越えてしまって

 

「成熟期」に達し、「分散」か「霧消」か分かりませんが

 

そこら辺に来ているのだという事になるでしょうか。

 

 

そこで「質を落とせば」どうなるか?

 


「後戻り」する結果になるのです。

 

いまさら「拡大」や「競争」に戻ってどうなるのか。

 

それは「お客様とすれ違う」という事にしかなりません。

 

お客様のニーズと合致するには「同時進行」しかありません。

 

 

ところが、その同時進行がこの国、日本は問題なのです。

 

拡大がイコール安定だという「思い込み」が支配的だからです。

 

あらゆる環境において「新たな芽」が出てくるのを阻害しています。

 

「安定した手法」しか信頼せず、「チャレンジ」を理解できない。

 

 

では、お客様のニーズを理解している「同時進行」組はどうなるか。

 

あきらめてしまうか、「既に古びたやり方」に戻るということです。

 

そうでない者は「海外に出る」のです。

 

要するにこれは「質」も一緒に海外に出て行くということですね。

 

日本の空洞化は「ハードだけではない」って事でしょう。


料理やサービスの品質というソフトも消えつつある。

 

国内に残るのは、旧態依然とした「大量販売指向組」だけなのです。

 

 

先進国の「消費に飽きた人々」は、謂わば「細胞分裂」

 

それならば、商品を売る側も細胞分裂するしかないでしょうか。

 

ですが、「独占」は企業の命題であり、人間の宿命なんですね。

 

 

 

そのうちそのうち

日が暮れる

いまきたこの道

かえれない

 

相田みつをさんの言葉です。

 

 

明日、二月十六日(火曜日) は通常の 営業日 です。

 

今日も、皆さんの happy な一日を願っています(^-^)

 

ゆったり、ほっこり♪


巻寿司大使・昆布料理研究家・岩佐 優

コメント
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