旅の醍醐味の一つに、慣れない現地の乗り物に乗る楽しみがある。
外国での場合は所詮旅人だから、異国の言葉ペラペラであれば効率よく乗りこなせるのだろうが、言葉に関係なくいろいろ予想外の驚きに遭遇するものだ。
最初の上海の旅では、恐怖のぼったくりタクシーで失敗したので、再度ガイドブックを参考に、失敗無くタクシーに乗ることができるようになったと思っていた。
今回も上海浦東空港のタクシー乗り場からホテルまで、タクシーを使った。
上海時間で午後6時30分頃だったが、幸いにも待ち時間なしで係の指示に従って指定のタクシーに乗ることができた。
行き先を簡体字で書いた紙片を渡した。「行き先直近の交差点の道路名を書くと分かり易い」とガイドブックにはあったが、住所とホテル名だけ書いた紙片だったので、ホテルに着くまで若干の不安があった。
発車後にもっと不安なこととなったのは、ドライバーのスマホを見ながらのあきれた運転ぶりだった。
ホテルに着くまでの約45分間、殆どスマホ片手に時々大声で歌ったり、話相手を複数替えて何者かに話し続け、明らかな前方不注意運転なのだ。
客のことを忘れたか無視してか、大声だったり小声だったりで歌うのだからあきれかえる。
メーターを覗くと時速80kmを越えているから、危なくて気が気ではない。
中国語でニーハオ(您好)シェーシェ(谢谢)くらいしかわからないから、話かけることはできず無言で無事を祈るしかなかった。
209元の料金に対して、小額紙幣の持ち合わせがなかったので300元渡すと、おつりとしてか80元渡されたので、足りないことを手話のようにして伝えると10元だけかえってきた。しつこく足りない1元を請求してやっと91元のおつりを獲得した。
市内でも何度かタクシーに乗ったが、こんなことはなかった。
帰りのホテルから上海浦東空港までのタクシーは、2010年の上海万博の時に登場した車種で、ガイドブックには殆ど紹介されていない車種だ。
早朝5時30分出発だったためか、パンを食べながらスイスイと追い抜きながら、時には120kmの猛スピードを出して突っ走った。昨年の同じ区間のタクシーも、こんな無謀運転だった。
同じホテルと空港間でも行きと帰りの料金の差が65元だったが、ドライバーによってルートが違うにしても差があり過ぎだ。
数少ない上海でのタクシー経験なのに、平常とは思われない貴重な経験だったが、ガイドブックには掲載されない事柄だ。