Tsuny'sブログ

老人が感じた日常生活を気ままに綴ったあれこれ

「ありがとう」は先に言うべきだった

2006-12-09 15:13:25 | インポート
 うれしいことは、人に親切にされた時だ。
 思いがけなく混んでいる路線バスの中で、高校生に席を譲られた。
 うれしかった。
 敬老の精神からは、当然にことで些細なこととなのかもしれないが、正直とてもうれしかった。

 普段のこの通学バスは、特有の高笑いやふざけ合う騒音で印象は悪く、通学時間帯には乗りたくはないとかねがね思っていた。
 先日、めったにしか乗らないそのバスの中で、敬老や障害者などの特別席は埋まり、席を譲るような気配すらないし、みっともなくも、はしたなく鏡を出して化粧をしている女子高生を見て、何というあさましい時代になったものだと、一人で嘆いた。
 
 そんなことがあった2日後、絵の仲間の会合に出かけるため、高校生で混雑している時間帯のそのバスに乗った。
 寒い雪の中待ったバスに乗ったので、眼鏡が曇って見づらかったが、席をスッと立った少年が気持ちのいい笑顔で「どうぞ」と手を差しのべて席に誘導してくれたとっさのことに驚き、少し戸惑った。
 その好意に素直に甘えて座りながら「どうもありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。
 行儀の悪い若者の中に、さりげなく親切な行動ができる少年がいたことは、意外に思えた。これまでは高校生に席を譲られたなかったことがなかったわけではないが、忘れるくらい前のことだったし、普段も期待はしていなかった。
 
 お土産として絵の仲間のために持っていた封筒に入りの手作りクリスマスカードを、彼に渡した。びっくりしたようだったが、笑顔で「ありがとうございます」と応え、仲間の高校生に見せて喜んでいることを表現していた。

 10数分後、先に降りてしばらく歩くと、後ろから誰かが追いかけてくる気配を感じ振り向くと、封筒を持った彼の「ありがとうございます」の言葉だった。
 降りる前に、彼に感謝の言葉を伝えなかった己を責めた。