鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

大江山酒呑童子図小柄 Kozuka

2011-05-23 | 小柄
大江山酒呑童子図小柄


大江山酒呑童子図小柄

 丹後国と丹波国の境にそびえる大江山に、京の街を荒らす酒呑童子が潜んでいた。これを退治するために組織されたのが、源頼光を大将として、四天王と呼ばれた渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部李武の四人、これに藤原保昌を加えた六人が修験者に身を変え、大江山を目指す。
 この小柄は、大江山へ向かう谷で、酒呑童子にさらわれた洗濯女に出会う場面。この案内で洞窟へと侵入し、 酒呑童子を見事に討ち取るのだが、その背後には、仏神の加護があったことを物語は述べている。この辺りを眺めると後の創作か。
 大江山辺りは、実は地質的に異様な岩石が露出している場所である。青黒い蛇の背模様のような斑があることから不気味な地域として捉えられていたのかもしれない。また、この地質の地域では、特殊な金属が産出したという。その鉱山業に携わる集団が、鬼として捉えられたのかもしれない。もちろん頼光ら武家とは、中央権力側からの視点によるもの。