鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

ヤマトタケルノミコト図縁頭 Fuchigashira

2011-05-16 | 縁頭
ヤマトタケルノミコト図縁頭


ヤマトタケルノミコト図縁頭

 スサノオがヤマタノオロチの体内から見出した『天叢雲剣』は、神話では後にヤマトタケルノミコトが東征する際にヤマトヒメから授かり、後に火攻めにあった際にこれで逃れていることから『草薙剣』の呼称もある、と言われている。ヤマトタケルノミコトの死後に熱田神宮に奉納され、現代まで伝えられているという。
 即ち、『天叢雲剣』と『草薙剣』は同じ剣であるということだが、神話時代のことであり、しかも、『天叢雲剣』は三種の神器の一つであるはずだから・・・何しろ、神話時代のことでもあるし、また、後に源平合戦の際に壇ノ浦に沈んだとも、それが引き上げられたとも・・・。とにかく伝説の積み重ねであることだから突き詰めないことにする。ただ、東国を支配するための東征があり、これに抗う部族があったことは明らか。
 この縁頭は、ヤマトタケルノミコトが芦原で火攻めに遭い、これを剣でなぎ払う場面を描いた作。赤銅魚子地を高彫にし、金銀素銅の色絵を施している。
 永峯は江戸時代中期から後期にかけての、京都の工。綾小路を姓としているが、居住地であろう。