ちょうど一週間前の金曜日の朝。
私は宇都宮駅前の某ビジネスホテルのベッドの上でドキドキとしながらテレビを観ていた。
なんと女子フィギュアスケートで思いもかけなかった金メダルが獲れそうなのであった。
やがて金メダル最有力候補のロシアのスルツカヤがずっこけた。
この瞬間、荒川静香に金メダルが確定したわけだが、それよりもなによりも、彼女の演技があまりに完璧であったため、金メダルは演技終了とともに決まっていたと言っても過言ではない。
オリンピックで日本人選手がメダルを獲得すると自分がメダルを獲得したような錯覚をして大喜びする能天気な人々が我が国には多いが、じつは私もそのうちの一人である。
今回のトリノオリンピックは日本人選手がまったくメダルを獲ることができず、このまま無冠の大会に終ってしまうのではないかと思っていた。
これはちょうど毎年6月以降優勝争いから取り残され、ただただ惰性で甲子園へ足を運んだりテレビ観戦をしていたかつての阪神ファン(私)のように諦観した気持ちであっということができる。
そこへまさかの「金メダル」。
それだけに観戦者の私としても喜びは小さくなかったのだ。
オリンピックで日本人選手が金メダルを獲得すると何が嬉しいかというと、表彰式でどでかい日の丸が掲揚され、君が代が演奏されるからだ。
世界一シンプルで美しいデザインといわれる国旗「日の丸」。
他の国のほとんどの国家がマーチや軍国勇まし調なのに対して厳かで格調高い曲調の「君が代」。
そして日本人選手の誇らしげな笑顔がテレビから流れてくるのは、ほんとに嬉しいことなのである。
今回の表彰式の生中継を見ていたら、その国旗掲揚の場面で、なんと荒川静香選手が君が代を口ずさんでいるではないか。
近ごろの若い者は日教組などのアホタレ教師の教育で、国旗に反感を持つアホ共が少なくないが、荒川選手のごく自然な姿は私の胸を強く強く激しく打ったのであった。
で、問題なのはここからだ。
つい昨日まで、私はこの表彰のシーンのすぐ後に感動的なシーンが繰り広げられていたことを知らなかった。
それはなにも無料のおにぎり朝食を食べるためにホテルのロビーへ下りたからではない。
それは生中継を行っていたNHKが画面を切り替えたからだ。
NHKが画面を録画ビデオなどに切り替えた裏では、大きな日の丸を手に持ち会場をウイングランする荒川選手の姿があったというのだ。
かつて荻原健司選手、清水宏保選手などが金メダルを獲得後、大きな日の丸を持ってウイニングランを行ったシーンは多くの国民の記憶に焼き付いていることだろう。
ところが「みなまさのNHK」は観客の大歓声の中、国旗を持って笑顔でウイニングランを行っている荒川選手の姿をなぜかカットしたのだ。
これは、いったいどういうわけだ?
幻の「荒川静香のウイニングラン」
また1つ、NHKの存在を必要としない現象を発見した瞬間であった。
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