人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

広上淳一 ✕ 小林沙羅・林美智子・西村悟・加来徹 ✕ 二期会合唱団 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「交響曲 第1番」「交響曲 第9番”合唱付き”」を聴く

2020年12月21日 07時10分10秒 | 日記

21日(月)。千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君から海の幸の詰め合わせが届きました 赤尾鯛、鯖、秋刀魚、赤魚、鯵が所せましと詰まっています ちょうど、魚料理を増やさなければ・・・と思っていたところだったのでグッドタイミングでした 持つべきものは友人ですね S君ありがとう。有難くいただきます

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2272日目を迎え、トランプ米大統領は19日、最近発覚した米政府機関に対する大規模なサイバー攻撃は「管理された状態にある。何か起きたらすぐロシア、ロシア、ロシアと言う」と述べ、ポンぺオ国務長官の姿勢とは著しく対照的な姿勢を示したが、ホワイトハウスはロシアを名指しして非難する声明を18日に発表する予定だったのを、何らかの理由で突如中止した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     4年前の大統領選に続き 第2の「ロシア疑惑」の浮上か と疑わせるトランプの態度

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第九」特別演奏会を聴きました 17日からの4日連続公演(横浜みなとみらいホール、オーチャードホール、サントリーホール、トリフォニーホール)の最終公演です

プログラムはベートーヴェン①交響曲 第1番 ハ長調 作品21、②交響曲 第9番 ニ短調 ”合唱付き” 作品125です 演奏は、②のソプラノ独唱=小林沙羅、アルト=林美智子、テノール=西村悟、バリトン=加来徹、合唱=二期会合唱団(16名)、指揮=広上淳一です

 

     

 

自席は3階RB列15番、3階右バルコニー席ですが、舞台の真横の上です 指揮者とヴァイオリン・セクションは良く見えますが、ヴィオラとコントラバスが全く見えません とは言え、楽団員を除けばソリストと合唱団に一番近い位置の席です 会場は9割以上は埋まっています 「第九」の力 恐るべしです

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスはチェ・ムンスです

1曲目は「交響曲 第1番 ハ長調 作品21」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1799年から1800年にかけて作曲、1800年4月2日にウィーンのブルク劇場で初演されました 第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・モト」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ ~ トリオ」、第4楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

広上淳一が指揮台に上がり、第1楽章が開始されます 迷いのある冒頭のアダージョの後、アレグロに移るとベートーヴェンの快進撃が続きます ハイドンでもない、モーツアルトでもない、「これが俺の最初のシンフォニーだ」と言わんばかりのベートーヴェンの意気込みを感じます それは第1楽章に限らず、全ての楽章に共通しています 広上 ✕ 新日本フィルはメリハリの効いた爽快な演奏を展開し、「第九」への第一歩を踏み出しました

 

     

 

休憩時間に、パトロネージュ部の登原さんとお話しする機会がありました 登原さんは昨日の「第九」公演(サントリーホール)を聴けたそうですが、「ベートーヴェンの音楽の素晴らしさと、ここまで来るのにいろいろあったという感慨とで、泣いちゃいました」と語っていました その時 彼女の脳裏には、2月以降のコロナ禍による相次ぐコンサートの中止、それに伴う払い戻し等の諸手続き、収入減に伴う給与削減措置、何よりオーケストラが存続できるのかという不安、そして現在、合唱の規模を縮小した形とはいえ「第九」が演奏できるまで漕ぎつけたこと・・・などの複雑な想いがよぎったに違いありません それはステージ上で演奏している楽団員や、陰で彼らを支えている事務局の皆さんの共通の想いだと思います コロナ禍はまだ続きますが、ワクチンの開発・普及など明るい兆しも見えてきました。あと少しの辛抱です。ブログや様々な形でできる限りの応援をします。頑張れ、新日本フィル

 

     

 

さて、プログラム後半は「交響曲 第9番 ニ短調 ”合唱付き” 作品125」です この曲は1822年から24年にかけて作曲され、1824年5月7日にベートーヴェンによる立ち合いのもと、ウイーンのケルントナートーア劇場で、「献堂式」序曲等とともに初演されました この作品は その後、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世に献呈されました

この曲は第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポコ・マエストーソ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ・モルト・カンタービレ~アンダンテ・モデラート~アダージョ」、第4楽章「プレスト ~ アレグロ・マ・ノン・トロッポ ~ アレグロ・アッサイ ~ アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ ~ アラ・マルチャ ~ アンダンテ・マエストーソ ~ アレグロ・エネルジコ、センプレ・ベン・マルカート ~ アレグロ・マ・ノン・タント ~ ポコ・アダージョ ~ プレスティッシモ」の4楽章から成ります

広上氏が指揮台に上がり、第1楽章が開始されます    混沌とした中から生命が生まれてくるような冒頭の音楽を聴いて、マーラーの「交響曲第1番」の冒頭は、「第九」の出だし部分を参考にしたのではないか、と急に閃きました 広上 ✕ 新日本フィルは一歩一歩 確実に足で踏みしめるように説得力を持って音楽を進めます 第2楽章は、ベートーヴェンのウィットが垣間見られるような演奏です 第3楽章のアダージョを聴いていて、ファスビンダー監督による1979年製作西ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」を思い出しました 結婚式を挙げたばかりなのに、夫ヘルマンは第二次世界大戦に召集されてしまいます 戦争が終わり、マリアは駅のホームでヘルマンを乗せているはずの列車を待っています そのバックにこの楽章のアダージョが流れます その音楽は、夫ヘルマンが帰ってきて「歓喜の歌」が歌われるはずの第4楽章がきっと待ち受けているという希望の音楽なのです 「第九」はどの楽章も素晴らしいのは言うまでもありませんが、私はこの第3楽章の穏やかな音楽が一番好きです

第3楽章が終わりましたが、ソリストと合唱が入場する様子がないまま、広上氏のタクトが降ろされます 嵐のような耳をつんざく音楽に続き 低弦が有名なテーマを奏でます   そして、いよいよオケ総動員でテーマを演奏するタイミングで、ステージ左サイドからソリストの4人が登場、ティンパニの後方にスタンバイします それと同時に、二期会の男女各8人、計16人の合唱団が2階正面バルコニーに登場し横一列で配置に着きます テノールの加来徹が「おお友よ、こんな音楽はよそう!」と、シラーの「歓喜に寄す」にベートーヴェンが付け加えた一節をドイツ語で歌い始めます この瞬間、私は背筋が寒くなりました ベートーヴェンが主張したかったのは人間の声の素晴らしさだと思いました いくら管弦楽が大きな音を出しても人間の声には敵わないのです その後、テノールの西村悟と加来徹の二重唱が歌われ、アルトの林美智子とソプラノの小林沙羅が加わります 二期会の合唱はとても16人だけで歌っているとは思えないほどの大迫力で、圧倒されました

広上 ✕ 新日本フィルは、フィナーレのプレスティッシモを「これ以上速く演奏できない」と思われるほどの超高速テンポで疾走し、第九のクライマックスを築き上げました

指揮者、楽団員、ソリスト、そして合唱団、総力を挙げての「音楽を止めるな」という強い思いが伝わってくる熱い演奏でした

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、とりわけ二期会の16人の合唱団にはステージ上のソリストと楽団員からも大きな拍手が送られました

二期会の出演メンバーは、ソプラノ=梶田真未、北原瑠美、舟橋千尋、松永知史、アルト=小野綾香、喜田美紀、小林紗季子、塩崎めぐみ、テノール=伊藤潤、木下紀章、児玉和弘、新海康仁、バス=栗原剛、小林大祐、菅原洋平、野村光洋の皆さんです

コロナ禍の蔓延により欧米諸国ではライブのコンサートが聴けない現状の中で、日本では生で「第九」が聴けることがどんなに幸せなことか、あらためて感じたコンサートでした

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「MUZA パイプオルガン クリスマス・コンサート2020 聖夜のバッハ」を聴く ~ バッハ国際コンクール優勝者・冨田一樹を中心に / ビタミンDで免疫調整 ~ 日経の記事から

2020年12月20日 07時18分57秒 | 日記

20日(日)。昨日の日経朝刊 別冊「NIKKEI プラス1」のコラム「元気のココロ」に、管理栄養士・安中千絵さんが「ビタミンDで免疫調整」というテーマで書いていました 超訳すると、

「コロナ禍の流行に伴って、がぜん注目されるようになった栄養素にビタミンDがある 血中のビタミンD濃度の高さと、コロナの罹患リスクや重症化に関係がある可能性を示唆する研究結果が相次いでいるためだ ビタミンDには免疫機能を調整するはたらきがあることに研究者は注目している ビタミンDは、最近では糖尿病などの生活習慣病や、がんの発症リスクを抑えることにも関係していることが分かっている ビタミンDは日光を浴びることで、体内でつくることができるが、コロナで外出機会が減っている今年の冬は、食事から意識して補う必要がある ビタミンDを含む食品は少なく、魚、卵、きのこ類ぐらいに限定される 魚ではニシン、サンマ、サバなど青魚や、カワハギやサケに特に多く含まれる 同じ海産物でも、貝類やエビ、イカ、タコには含まれない。卵黄にも含まれているが、卵1個で成人が1日に取りたいビタミンD量の5分の1程度である やはり魚を食べるのが最も手軽にビタミンDを補給する方法だ イワシの丸干しなら1尾、サケなら1切れを2日に1度は食べるのが良い 骨の健康のためには、ビタミンKも一緒に取ると相乗効果が得られるので、魚と納豆を揃えることを勧める

わが家はもっと魚料理を増やさなければいけないな、と思いました

ということで、わが家に来てから今日で2271日目を迎え、バイデン次期米大統領の政権移行チームは、国防総省が突然、情報共有のためのブリーフィングを中止したことを明らかにしたが、トランプ政権のミラー国防長官代行は18日、「休暇期間中はブリーフィングを行わないことで合意していた」と述べた一方、政権移行チームを統括するエーブラハム氏は「そのような合意はない」と説明し「政権移行チームとしては国防総省にブリーフィングの即時再開を望んでいる」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ政権はどこまでも 新政権に嫌がらせして 米国民を危険に晒そうとしてる

 

         

 

昨日、ミューザ川崎で「MUZAパイプオルガン  クリスマス・コンサート2020  聖夜のバッハ」公演を聴きました プログラムは①J.S.バッハ「ピエス・ドルグ(幻想曲)ト長調」BWV572、②同「かくも喜びに満てるこの日」BWV605、③同「高き天より我来れり」BWV606、④同「天使の群れ、天より来れり」BWV607、⑤同「甘き喜びのうちに」BWV608、⑥R.ジャゾット/アルビノーニ「アダージョ ト短調」、⑦A.マルチェッロ「オーボエ協奏曲 ニ短調」、⑧J.S.バッハ「オーボエ協奏曲 ニ短調」BWV1059R(富田一樹による補筆版)、⑨同「マニフィカトによるフーガ(我が魂は主をあがめ)」BWV733、⑩同「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」BWV659、⑪同「前奏曲とフーガ  ハ長調」BWV547です

演奏はヴァイオリン=長岡聡季、大光嘉理人、ヴィオラ=吉田篤、チェロ=西沢央子、コントラバス=諸岡典経、バロックオーボエ=前橋ゆかり、パイプオルガン=冨田一樹です

冨田一樹は第20回バッハ国際コンクールのオルガン部門で日本人初となる第1位と聴衆賞を受賞しています。また、ヴィオラの吉田篤は藝大フィルハーモニアの首席奏者としてお馴染みです

 

     

 

自席は3階の3RB1列23番、右バルコニー1列目右通路側です。会場は市松模様の座席配置ですが、完売御礼です ミューザの3階席で聴くのは初めてですが、このホールはつくづく面白い作りだと思います 同じヴィンヤード方式でもサントリーホールのように左右対称になっていません。いわば全体が螺旋状になっているのです

1曲目はJ.S.バッハ「ピエス・ドルグ(幻想曲)ト長調」BWV572です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が20代の時に作曲した作品ですが、ドイツから外に出なかったバッハにしては珍しくフランス語によりタイトルが書かれています 「とても速く」「荘厳に」「遅く」の3つの部分から成ります 冨田氏がパイプオルガン席に着いて演奏が始まりますが、なるほど「ドイツのバッハ」というよりも「フランス風のバッハ」を感じさせる”軽み”のある曲想でした バッハは若い時 こういう曲も書いていたんだな、と意外に感じました

次に演奏されるバッハ「かくも喜びに満てるこの日」BWV605、同「高き天より我来れり」BWV606、同「天使の群れ、天より来れり」BWV607、同「甘き喜びのうちに」BWV608の4曲は教会暦におけるクリスマスに対応した音楽です    キリストの生誕の喜びや、天使が飛び回る様子などが描かれていますが、1曲が極めて短いのであっと言う間に終わってしまいました

次の曲はR.ジャゾット/アルビノーニ「アダージョ ト短調」です この曲は音楽学者R.ジャゾット(1910-1998)がトマゾ・アルビノーニ(1671-1751)をオマージュして弦楽合奏とオルガンのために書きました 私はてっきり、アルビノーニが作曲したのだと思っていましたが、違うのですね この曲は映画音楽などでよく使われますが、人の深層心理に訴えかけるような重く深い音楽です

前半最後の曲はA.マルチェッロ「オーボエ協奏曲 ニ短調」です この曲はA.マルチェッロ(1669-1751)の代表作ともいえる傑作です。第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

オルガン席の冨田氏がP席の階段からステージに降り、ポジティブオルガンに着き、バロックオーボエの前橋ゆかりが臙脂色のシックな衣装で登場、弦楽合奏をバックに演奏が開始されます バロックオーボエ特有の柔らかく渋い音色が会場に響き渡ります バックを務める弦楽奏者たちも古楽器を使用しているので、全体的に落ち着いた雰囲気の中にも優雅な風情が感じられました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はJ.S.バッハ「オーボエ協奏曲 ニ短調」BWV1059Rです この曲は第1楽章の途中までしか譜面が残っていないため、内容が酷似しているカンタータ第35番「霊と心は驚き惑う」のオルガン・パートをオーボエに置き換えて第1、第3楽章を再構築し、第2楽章を富田一樹氏が「こんな感じだったかもしれない」と作曲して完成した補筆版により演奏されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「速度指定なし」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります。演奏を聴く限り、冨田氏の作曲による第2楽章は「アダージョ」で、曲想も第1楽章、第3楽章とのバランスが取れていて、しっくり馴染んでいました

最後にバッハのオルガン独奏曲が3曲続けて演奏されます 最初は「マニフィカトによるフーガ(我が魂は主をあがめ)」BWV733です 「マニフィカト」とは聖母マリアの祈りに基づくラテン語典礼文のことです 2曲目の「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」BWV659は「精霊の不思議な力によりマリアの子として生まれる救い主、イエス・キリストを待ち望む」という内容です そして、最後の曲は「前奏曲とフーガ  ハ長調」BWV547です この曲は有名な曲なので何度か聴いたことがあります

やはり、「前奏曲とフーガ」が圧倒的に素晴らしい演奏でした 冨田氏の解説によると、「何度も示されるペダルの下降音型はイエス・キリストの降誕を表現すると言われている」とのことですが、重厚なフーガは音の大伽藍を築き上げるかのようです

満場の拍手に冨田氏は弦楽合奏を呼び戻し、バッハ「管弦楽組曲第3番」から「エア」(G線上のアリア)をアンコールに演奏し、コンサートを締めくくりました

この日のコンサートは、バッハのオルガン曲を聴けたのも良かったですが、滅多に聴く機会がないマルチェッロの「オーボエ協奏曲ニ短調」をライブで聴くことができたのがラッキーでした

帰りがけにミューザの地下に飾られたクリスマスツリーを撮りましたが、例年の3分の1位のスモールサイズに縮小されていました これもコロナの影響でしょうか

 

 

     

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読響2021-2022シーズン会員継続へ / グレタ・ガーウィグ監督「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」を観る ~ ルイザ・メイ・オルコットの小説「若草物語」を映画化

2020年12月19日 07時18分20秒 | 日記

19日(土)。昨日の朝日朝刊 文化・文芸欄の「やっぱり第九が歌いたい」コーナーの連載第4回目で、編集委員の吉田純子さんが次のように書いていました

「第九は掟破りの宝庫でもある。さまざまな楽器が戯れていたユートピアに、いきなり生々しい人間の声が乱入する 統一的な形式や体裁は、内部から吹き上げるマグマに突き崩される この異様なまでのエネルギーは、全曲を通して聴かなければ感得できない 人気の第4楽章だけを演奏する風潮に朝比奈隆は異を唱え、楽曲の最初から合唱団とソリストの全員を舞台に載せた。『全楽章を一緒に体験してこそ第九だ』と」

これを読んで、「朝比奈隆は正しい」と思いました。私は常々、特定の楽章だけを抜き出して演奏するのはおかしいと思っていました 個人が読書のBGMとして聴く分にはそれも良いでしょうが、ライブのコンサートで演奏する時は「違うだろう」と言いたくなります 「音楽を消費している」としか思えません 「クラシック音楽の普及のためには抜粋演奏もやむを得ないのではないか」という考え方もあるかも知れませんが、それでは作曲家の意図は正しく伝わらないと思います

さて、明日はトリフォニーホールで新日本フィルの「第九」を聴きます ソリストと合唱はどのタイミングで舞台に上がるでしょうか。明日が楽しみです

ということで、わが家に来てから今日で2270日目を迎え、世界保健機構(WHO)が新型コロナウイルスの発生源などを調べるため、中国に本格的な調査団を2021年1月にも送ることが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新型コロナ発生から1年も経ってから調査って ちょっと遅いような気がするけどね

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のから揚げ」「生野菜サラダ」「キャベツの中華スープ」を作りました お歳暮に冷酒をいただいたので開栓しました

 

     

 

         

 

読売日響から2021-2022シーズンへの会員継続案内が届きました 現在、私はサントリーホールでの「定期演奏会」の会員ですが、「現在の席を継続するか、継続しシリーズや席を変更するか、全く継続しないか」を1月6日までに返信するよう求めています 読響には「定期演奏会」の他に、「名曲シリーズ」(サントリーホール)、土曜・日曜マチネーシリーズ(東京芸術劇場)、川崎マチネ―シリーズ(ミューザ川崎)、大阪定期演奏会(フェスティバルホール)の5シリーズがあります

 

     

     

 

まず「定期演奏会」のラインナップを見渡すと、デュティユー、ヴァレーズ、マルティヌー、フランツ・シュミット、ゴリホフ、ライマン、アデス、メシアンといった現代音楽の作曲家が目立ちます はっきり言って私は、自分から進んで聴こうとまでは思いません 次に「名曲シリーズ」を見ると、私好みのマーラーの「第4番」、ブルックナーの「第3番」をはじめ魅力のあるプログラムが組まれています また「土曜・日曜マチネ―シリーズ」を見ると、サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、シューマン「ピアノ協奏曲」、ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」「チェロ協奏曲」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」など、協奏曲に魅力があります 私としては「名曲シリーズ」か「土曜・日曜マチネ―シリーズ」か迷うところです 会場としてはサントリーホールが一番好きなのですが、日程やプログラムを比較しながら考えて最終的に決めたいと思います 読響には「継続し変更する」で返信することにしました 前回はインターネットから手続きできたのですが、今回は郵送のみに変わっています

 

         

 

昨日、早稲田松竹でグレタ・ガーウィグ監督による2019年製作アメリカ映画「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」(135分)を観ました

主人公の姉妹は、しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、活発で信念を曲げない次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、内気で繊細な三女べㇲ(エリザ・スカンレン)、人懐っこいが頑固な末っ子エイミー(フローレンス・ピュー)の4人 女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた 性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣家の青年ローリー(ティモシー・シャラメ)からのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進む

 

     

 

この映画は、ルイザ・メイ・オルコットの名作「若草物語」を 新たな視点で映画化した作品です    アメリカの南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーに焦点を当てて描いています

この映画は、次女のジョーが過去を振り返る形で物語が進行します したがって、過去のシーンになったり、また現在に戻ったりするのでちょっと戸惑うところもあります

4人の姉妹を演じた女優はそれぞれ個性的ですが、なかでも長女メグを演じたエマ・ワトソンは魅力的です。「ハリーポッター」シリーズのハーマイオニー役でブレイクし、ディズニーアニメ「美女と野獣」のベルを演じ莫大な興行成績に貢献しました

この映画のポイントはジョーの「女性の幸せが結婚だけなんておかしい」という叫び声です 今の時代にこそ相応しい主張だと思います この映画の原題は「Little  Women」(日本語題「若草物語」)ですが、19世紀の南北戦争時代に女流作家としての能力を発揮したジョーは決して「小さな女性」ではありません

この映画では、比較的多くのクラシック音楽が使われています 三女べスによってシューマン「トロイメライ」、J.S.バッハ「カンタータ『羊は安らかに草を食み』BWV208より第9曲」、ベートーヴェン「ピアノソナタ 第8番 ”悲愴”」より第2楽章「アダージョ・カンタービレ」などが弾かれます   また、ジョーとローリーが舞踏会場の外で踊るシーンではドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調「アメリカ」より第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」が流れました なるほど、この映画の舞台はアメリカです このほかショパンの「ノクターン」やシューベルトのピアノ曲も流れていました グレタ・ガーウィグ監督のセンスの良さを感じました

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井上道義 ✕ NHK交響楽団でプロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ」、チャイコフスキー「交響曲第4番」を聴く / 新日本フィル2021-2022シーズン定期公演プログラム発表

2020年12月18日 07時22分13秒 | 日記

18日(金)。わが家に来てから今日で2269日目を迎え、国際自然保護連合は17日までに、世界の絶滅危惧種を集めたレッドリストの最新版を公表したが、日本近海のサメの仲間や、北海道や東北に分布する植物オオバナノエンレイソウなどが新たに絶滅危惧種に評価された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「絶滅してほしい危惧種」枠があれば推薦したい人類がいる  現職の米国大統領さ

 

         

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 「生姜焼き」は肉に小麦粉を振って弱火で焼くとマイルドになるとCOOKPADにレシピに書かれていたので、やってみたら絶品に出来ました

 

     

 

         

 

新日本フィル「2021-2022シーズン定期演奏会」の日程・プログラムが発表されました 同シーズンは「新日本フィル創立50周年」のプレ・シーズンと位置づけ、2021年9月~2022年3月の7か月間となり、2022年4月からシーズン期間が4月~3月に変更となります また、これまで「トパーズ」「ジェイド」として設定していた定期演奏会を「トリフォニーホール・シリーズ」と「サントリーホール・シリーズ」に発展的に統合し、2日間同一プログラム(各1回)により開かれます また、これまで「ルビー」として設定していた定期演奏会を「すみだクラシックへの扉」と改称し、従来通り金曜・土曜 同一プログラムにより開かれます プログラムの詳細は下の通りです

なお、この間(2021年9月~23年3月)は、今シーズンで退任する上岡敏之氏の後任の常任指揮者は置かず、これまでの新日本フィルにゆかりのある指揮者を起用するとしています

私は現在「ルビー」会員ですが、次シーズンもこれを引き継ぐ「すみだクラシックへの扉」の会員になるつもりで、来年の手帳に予定を入れておきました

 

     

 

また、新日本フィルのホームページによると、1月、2月の演奏会で上岡敏之氏の指揮が予定されている公演は、ドイツにおけるコロナの状況等から来日できなくなり代演となるとのことです 「ルビー」(1月15,16日)の指揮者は調整中、「トパーズ」(2月5、6日)の指揮者は阪哲朗に変更、曲目も一部変更になるとのことです 非常に残念です 詳細はHPをご覧ください

 

         

 

昨夕、サントリーホールでN響12月公演を聴きました    プログラムは①プロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ 作品87」(抜粋)、チャイコフスキー「交響曲 第4番 ヘ短調」です   指揮は井上道義です

 

     

 

自席は2階RA4列7番、ステージ右サイドの3列目右から2つめです 会場を見渡すと、「これがN響のコンサートか」と言いたくなるほどガラガラ・スカスカです 半分どころか、4割も埋まっていないと思われます 東京のコロナ感染者数が毎日のように記録を更新しているという理由だけではないでしょう 主催者は原因を究明しておくべきだと思います

さて、オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものN響の並びで、弦は12型(第1ヴァイオリンが12人)です    コンマスは”マロ”こと篠崎史紀です

1曲目はプロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ 作品87」(抜粋)です     この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が「眠れる森の美女」と同じく、シャルル・ペローの台本に基づき1941年から44年にかけて作曲、1945年11月21日にモスクワのボリショイ劇場で初演されました   この日演奏されたのは、第1曲「序奏」、第5曲「仙女のお婆さん」、第7曲「踊りのレッスン」、第29曲「舞踏会に着いたシンデレラ」、第30曲「グランドワルツ」、第34曲「来客へのごちそう」、第36曲「王子とシンデレラのデュエット」、第37曲「ワルツーコーダ」、第38曲「真夜中」です

井上道義の指揮で演奏に入りますが、面白かったのは第7曲「踊りのレッスン」です 井上は第1ヴァイオリンの最後列の2人(N響最年少コンビ?の宮川奈々と後藤康)を立たせ、まるでバレエの初心者が踊るようにギコチナク演奏させていました 第30曲「グランドワルツ」はまさにチャイコフスキーのワルツを思い浮かべさせます クラシックバレエをやっていた井上は、時に指揮台の上で踊ります そして、クライマックスは舞踏会の途中で機械仕掛けの時計が夜中の12時を告げる「真夜中」です 秒針の刻む音が大げさに鳴り響き、時の鐘が12回鳴らされます 打楽器群大活躍の迫力の演奏でした

井上はカーテンコールに応えますが、出て来たと思ったら指揮台に何やら琥珀色の液体が入ったブーツの形をしたボトルを置いて、引っ込みます コンマスの篠崎氏は「あれはウイスキーではないか」と疑いの目で見ています 井上は次に出て来た時、そのボトルを持って第1ヴァイオリン最後列の宮川のところまで行き、片足つま先立ちで彼女に捧げました つまり、シンデレラ(を弾いた)宮川にガラスの靴ならぬ靴の形のウィスキー瓶を捧げたというわけです こういうところは演歌テナー、もとい、エンターテナーだと思います ちなみに、あのウィスキーはサントリーだと思います

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲 第4番 ヘ短調」です    この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1877年から翌78年にかけて作曲、78年にモスクワで初演されました     第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ~モデラート・アッサイ・クアジ・アンダンテ ~ アレグロ・ヴィーヴォ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

井上の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭の今井仁志率いるホルン群のファンファーレが素晴らしい 第2楽章は冒頭の吉村結実のオーボエが抒情的で素晴らしい また、フルート、クラリネット、ファゴットといった木管群が冴えた演奏を繰り広げます 第3楽章は弦楽器のピッツィカートが心地よく会場に鳴り響きます 木管によるトリオも素晴らしい 間を置かずに入った第4楽章は、まさに総力を上げての迫真の演奏です 井上はオケを煽り立て、弦楽器がうねり、金菅楽器が咆哮し、打楽器が炸裂します 会場の温度が2度上がったように感じました。井上の指揮に応えた熱い演奏でした

温かいホールから北風が吹くカラヤン広場に出ましたが、例年広場に設置される華やかなイルミネーションによるクリスマスツリーは、今年はコロナ禍のせいか姿が見えません コロナは当たり前の風景をすっかり変えてしまいました

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バッハ・コレギウム・ジャパン「第138回定期演奏会 ~ 教会カンタータVol.78を聴く」~カンタータ第78番BWV78、マニフィカトBWV243他 / 菜食主義よりバランスを ~ 日経の記事から

2020年12月17日 07時13分23秒 | 日記

17日(木)。昨日の日経夕刊のコラム「がん社会を診る」に東大病院の中川恵一准教授が「菜食主義よりバランスを」というテーマで書いていました 超訳すると、

「完全菜食主義者『ビーガン』が世界的に増えている。米国では2017年に1960万人になり、3年で5~6倍に増えたという 日本でも、ビーガンに似た『マクロビオティック』が若い女性を中心に支持されている 自然農法でとれた玄米や雑穀などに限る極端な菜食主義だが、市場も拡大しているようだ。『野菜は体に良く、肉は悪い』とイメージが社会に浸透しているようだが、菜食主義者に がんが少ないわけでも、長生きするするわけでもない とくに65歳を超える高齢者では高タンパク質の食事をとる人たちは、低タンパク質群に比べて、全死亡率が28%、がん死亡率も60%も低かったことが判明している 肉や乳製品を含めた様々な食物をバランスよく食べることが、がん予防の面でもオススメだ 実際、今年改訂された『食事摂取基準』でも、高齢者のタンパク質の摂取目標値が引き上げられている

「バランス良い食事」は、何も高齢者に限ったことではなく、年齢を問わず大事なことです 野菜と肉があれば野菜から食べることも大事ですね

ということで、わが家に来てから今日で2268日目を迎え、英科学誌ネイチャーは15日、科学分野で重要な役割を果たした『今年の10人』に、世界保健機構のテドロス・アダノム事務局長や、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長らを選んだと発表したが、10人中7人が新型コロナウイルスに関連した業績や活動が評価されての選出だった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新型コロナの感染を拡大させた貢献者だったら トランプがダントツ1位だったな!

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました ビーフと言っても、わが家の場合は細切れ肉を使います。また、市販のルーを3種類使いましたが、美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン「第138回定期演奏会 教会カンタータVol.78」を聴きました    この公演は5月24日に予定されていたものがコロナ禍のため延期になった振替公演です

プログラムはJ.S.バッハ①「ファンタジアとフーガ  ト短調」BWV542、②カンタータ第78番「イエスよ、あなたはわが魂を」BWV78、③「マニフィカト  ニ長調」BWV243です    出演は、ソプラノ=松井亜希、澤江衣里、アルト=青木洋也、テノール=櫻田亮、バス=渡辺祐介、オルガン独奏=鈴木雅明、管弦楽・合唱=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木優人です

会場は7割くらいに入りでしょうか。通常の「教会カンタータ・シリーズ」と同じくらいの入りです 例によって、2000円のプログラムは購入していないので、どこまでコメントできるか分かりませんが、やってみます

1曲目は「ファンタジアとフーガ  ト短調」BWV542です    オルガン独奏はBCJ音楽監督・鈴木雅明です。バッハの曲をパイプオルガンで聴くといつもそうなのですが、なぜか敬虔な気持ちになり、にわかクリスチャンになります

2曲目はカンタータ第78番「イエスよ、あなたはわが魂を」BWV78です  オケは 扇状に配置されますが、壁に近い最後列の左サイドにコンミス・若松夏美率いる弦楽器群が、右サイドにオーボエが配置され、その手前の列にフルート(左サイド)と合唱団が入り、その手前の列にソリスト陣が並び、センターに通奏低音群(チェンバロ=大塚直哉、オルガン=鈴木雅明、チェロ、ファゴット)がスタンバイするといった感染症対策シフトをとります

鈴木優人が登場し演奏に入りますが、何か違和感があると思ったら、いつもは父親の雅明氏が指揮をしてオルガンを息子の優人氏が担当するのに、逆になっているからです    BCJの世代交代を象徴するこの逆転シフトを見たのは今回が初めてです   格言に「老いたら子に従え」とありますが、雅明氏はまだ老いていません。現役バリバリです

演奏では、何と言っても、ドイツ人も驚くという正確なドイツ語で歌われる透明感のある合唱が素晴らしい 松井亜希、青木洋也、櫻田亮、渡辺祐介ら、名唱を繰り広げるソリストを支えるオーボエの三宮正満、フラウトトラヴェルソの前田りり子の演奏が冴えています

 

     

 

休憩後、後半の演奏に先立って、鈴木雅明・音楽監督がマイクを持ってパイプオルガン席に登場

「今日はようこそおいでくださいました 今から30年前(1990年)、この日と同じプログラムでBCJの第1回目のコンサートを開きました 今回は創立30周年記念コンサートということで、プログラムにはありませんが、バッハの『いざ、神にのみ栄光あれ』を演奏いたします

とあいさつ、オルガン独奏で演奏に入りました 再び にわかクリスチャンになりましたが、私がBCJの定期会員になったのは2000年シーズンからなので、30年のうち20年間 演奏を聴いてきたのだな、と感慨深いものがありました

最後の曲は「マニフィカト  ニ長調」BWV243です    オケは左サイドは変わりませんが、右サイドのオーボエにトランペットとティンパニが加わります

前半で活躍した松井亜希、青木洋也、櫻田亮、渡辺祐介に加え、この曲では澤江衣里が美しいソプラノを聴かせてくれました    三宮正満のオーボエ、前田りり子のフラウトトラヴェルソの演奏も健在でした

第1回目を指揮した雅明氏は、30年後のこの日、自身は裏方の通奏低音にまわり、息子の優人氏にタクトを預けました 優人氏は見事に自身の役割を果たしたと言うべきでしょう

拍手が続く中、ロビーに飾られたクリスマス・ツリーに別れを告げて会場を後にしました

 

     

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インバル ✕ 都響のブルックナー「第3番」、尾高忠明 ✕ 大阪フィルのブルックナー「第9番」のチケットを取る / 芸術支援に370億円 / シュルツ監督「WAVES ウェイブス」を観る

2020年12月16日 07時21分53秒 | 日記

16日(水)。昨日の朝日朝刊 総合面に「芸術支援に370億円   3次補正  オンライン配信など」という見出しの記事が載っていました 記事によると、

「政府は14日までに今年度の第3次補正予算案に、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けている文化芸術関連の団体や施設などの活動支援策として、総額370億円を盛り込む方針を固めた うち250億円で、他団体との協力やオンライン配信などの積極的な取り組みを進める公演やライブ、展覧会などの開催に、1件あたり最大2500万円までを補助する 他に文化施設の感染予防対策などの支援にも50億円を盛り込む方針だ

金額の妥当性については何とも言えませんが、文化芸術活動の維持・向上のため、政府には引き続き支援を続けてほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2267日目を迎え、米大統領選は14日、次期大統領を正式に選出する手続きである選挙人による投票が全米と首都ワシントンで実施され、民主党のジョー・バイデン前副大統領が当選に必要な538人の選挙人の過半数(270)を上回る306人を正式に獲得したが、トランプ大統領は「選挙に不正があった」と従来どおりの主張を繰り返した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     選挙人投票で負けたら退任する と言ってたのは誰だ?  いよっフェイクの大統領!

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜サラダ」を作り、「真鯛の刺身」とともにいただきました あとは前夜の鍋の残りです   リユース・リデュース・リサイクル・・・皆さん、やってますか

 

     

 

         

 

チケットを2枚取りました 1枚目は1月13日(水)19時からサントリーホールで開かれる「都響スペシャル2021」です。プログラムは①ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」、②ブルックナー「交響曲第3番ニ短調”ワーグナー”」です 演奏はエリアフ・インバル指揮東京都交響楽団です。待望の指揮者による待望の楽曲です

2枚目は2月15日(月)19時からサントリーホールで開かれる大阪フィルの「第53回東京定期演奏会」です プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491」、②ブルックナー「交響曲 第9番 ニ短調」(コールス校訂版)です 演奏は①のピアノ独奏=アンヌ・ケフェレック、指揮=尾高忠明です。ケフェレックのモーツアルトと尾高のブルックナーと言ったら、何の躊躇もなく聴きに行きます

 

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールでトレイ・エドワード・シュルツ監督による2019年製作アメリカ映画「WAVES  ウェイブス」(135分)を観ました

ギンレイホールは通常2本立て上映ですが、私は年間パスポート会員なので、今回のように 時間の都合で1本だけ観て、別の日にもう1本を観るなど自由に観られるので便利です

さてストーリーは、

フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀なレスリング部のエリート選手で、美しい恋人アレクシスもいる 厳格な父親ロナルドとの間に距離を感じながらも、恵まれた家庭に育ち、何不自由ない生活を送っていた そんなある日、不運にも肩の負傷が発覚し医師から選手生命の危機を告げられる そして追い打ちをかけるかのように、恋人の妊娠が判明する タイラーは 少しずつ狂い始めた人生の歯車に翻弄され自分を失っていく そして ある夜、タイラーが引き起こした事件によって家族の運命が大きく変わってしまう    1年後、心を閉ざして過ごす妹エミリーの前に、すべての事情を知りながら好意を寄せるルークが現れる ルークの不器用な優しさに触れ、エミリーは次第に心を開いていく やがて2人は恋に落ちるが、ルークも 母と自分に暴力を振るい 家を出て行った父親との葛藤を抱えながら生きていた    癌で余命いくばくもない入院中の父親に会いたくないというルークに、エミリーは「今 会わないと後で後悔する」と説得し、2人で会いに行く決心をする

 

     

 

この映画の特徴は、ふんだんに音楽が流れるところです それもそのはず、トレイ・エドワード・シュルツ監督は事前に本編に使用する楽曲のプレイリストを作成し、そこから脚本を着想し製作したと言うのですから アニマル・コレクティブ、テーム・インパラ、フランク・オーシャン、ダイナ・ワシントン・・・と並べられても私には「どこのだれやねん」で、一人も知りません ある意味「ミュージカルのような作品」ですが、登場人物が歌って踊るわけではなく、全31曲の音楽が登場人物の個性やその時々の感情に寄り添うように使用されています この映画の”売り”はミュージカルを超えた「プレイリスト・ムービー」とのことです

本作は、誰もが体験するであろう青春の挫折、恋人との別れや新たな出会い、親子の確執、家族の絆などを描いています テンポの速いストーリー展開なので2時間15分があっという間に過ぎてしまいます 上記の音楽が好きな人にはたまらない映画だと思います

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ダルデンヌ兄弟監督「その手に触れるまで」を観る ~ イスラム原理主義に凝り固まった少年の物語:ギンレイホール

2020年12月15日 07時22分04秒 | 日記

15日(火)。わが家に来てから今日で2266日目を迎え、米紙ワシントンポストによると、米政府は13日、財務省など少なくとも2つの政府機関のコンピューターネットワークがロシア政府のハッキンググループからサイバー攻撃を受けたことを認めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが駄々をこねてる隙を狙って攻撃してくる  次は北朝鮮のハッカー集団か

 

         

 

昨日の夕食は「野菜と豚バラ肉の塩豚骨鍋」にしました 材料は豚バラ肉、白菜、シメジ、モヤシ、人参、豆腐です 寒い夜は鍋に熱燗が一番です

 

     

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールでダルデンヌ兄弟監督による2019年製作ベルギー・フランス合作映画「その手に触れるまで」(84分)を観ました

13歳のアメッド(イディル・アディ)はどこにでもいるゲーム好きな普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者(導師)に感化され、次第に過激な思想にのめり込んでいく やがて学校のイネス先生(ミリアム・アケディウ)をイスラムの敵だと考え始めたアメッドは、先生を抹殺しようと企む

 

     

 

この作品を観て真っ先に思ったのは、純真な若者がイスラム原理主義に毒されると、自分が信じている神だけが絶対的な存在になってしまい、排他的な考えに凝り固まってしまうということです イスラム国の台頭などはその最たるものでしょう この物語の舞台はベルギーになっていますが、現代はネット社会です。現実に どこで同じようなことが起こっても不思議ではありません イネス先生は宗教の壁を乗り越えて理解し合うように説得しますが、アメッドは聞く耳を持ちません 教育に力はないのか、と虚しくなるシーンです

あまりにも重いテーマの作品なのに、ラストが 息も出来ないほど あっけなかったので いささか拍子抜けしました     別の展開があっても良かったのではないかと思います

この作品では、主人公のアメッドを演じたイディル・アディが素晴らしかった 信じるものに一途に突き進む13歳の少年を等身大で演じていました

エンドロールではシューベルトのピアノ曲が静かに流れていましたが、残念ながら作品名を特定することが出来ませんでした

この映画は2019年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しています

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ソフィア・コッポラ監督「オン・ザ・ロック」、オリビア・ワイルド監督「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」を観る ~ 女性監督による味わい深い作品:早稲田松竹

2020年12月14日 07時19分09秒 | 日記

14日(月)。わが家に来てから今日で2265日目を迎え、米大統領選の当選者を正式に決める選挙人の投票を14日に控え、首都ワシントンなど主要都市で12日、大統領選での不正を主張するドナルド・トランプ大統領の支持者らが集会を開いたが、各地で反トランプ派との衝突が発生し、1人が銃撃を受け、4人が刃物で刺された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが 根拠もなく支持者を煽るから こういう事態になる 先が思いやられる!

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「オン・ザ・ロック」と「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」の2本立てを観ました

「オン・ザ・ロック」はソフィア・コッポラ監督による2020年製作アメリカ映画(97分)です

ニューヨークで暮らすローラ(ラシダ・ジョーンズ)は順風満帆な人生を送っていると思っていたが、夫ディーン(マーロン・ウェイアンズ)が新しい同僚フィオナ(ジェシカ・ヘンウィック)と残業を繰り返すようになり、結婚生活に疑いを抱き始める そこでローラは、プレイボーイで男女の問題に精通している父フェリックス(ビル・マ―レイ)に相談を持ちかける。フェリックスはこの事態を調査すべきだとアドヴァイスし、父娘二人でディーンを尾行することになる アップタウンのパーティーやダウンタウンのホットスポットを一緒に巡るうちに二人は距離を近づけていき、自分たちの父娘の関係について見つめ直す

 

     

 

ビル・マーレイの出演する映画を観るのは10月9日に新文芸坐で観たソフィア・コッポラ監督による2003年製作アメリカ映画「ロスト・イン・トランスレーション」以来です 日本を舞台にスカーレット・ヨハンソンとともに東京や京都を彷徨う秀逸な映画でした 本作はあの映画から17年経っているので、さすがのビル・マーレイも歳を感じさせます

彼の演じるフェリックスは絵画の売買を仕事にしており、相当の金持ちらしく運転手付きの車で移動します 私はてっきりビル・マーレイが運転できないからそういう役柄にしたのだと思っていたのですが、彼がイケてるオープンカーに乗ってローラの前に現れた時にはぶっ飛びました 何ともカッコイイのです そのスポーツカーは実はポンコツで今にもエンストを起こしそうなのですが、ディーンとフィオナの乗ったタクシーを追跡するのに信号を無視して突っ走り、警察に捕まってしまいます ところが、尋問する警官を見て、知り合いの警察官の息子だと見抜いたフェリックスは、彼の名前を言い当て、旧知の友人のように味方にしてしまい、首尾よく罰金を逃れてしまいます この辺にソフィア・コッポラ監督のユーモアを感じるし、ビル・マーレイの とぼけた演技力を感じます

この映画は、「たとえ夫婦と言えども個人対個人。お互い何を考え、見えないところで相手が何をやっているのか本当のところは分からない お互いを信じることがいかに難しいか それでも信じようとしないと夫婦生活は成立しない」ということを描いているように思います

フェリックスが車に乗っているシーンでは、カーラジオからシューベルト「即興曲 第3番 作品90」が静かに流れていました このシーンはウィスキーのオン・ザ・ロックを片手に観たいところですが、残念ながら映画館は禁酒です

 

         

 

「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」はオリビア・ワイルド監督による2019年製作アメリカ映画(102分)です

高校卒業を目前に控えたエイミー(ケイトン・デバー)と親友モリー(ビーニー・フェルドスタイン)は成績優秀な優等生であることを誇りに思っていたが、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレヴェルな進路に進むことを知り、自信を失ってしまう 勉強のために犠牲にしてきた時間を一気に取り戻すべく、卒業パーティーへ繰り出すことを決意する2人だったが、別のパーティー会場に連れていかれたり、やっと会場に着いたと思ったら、2人とも恋の駆け引きが思うように運ばない その上 パーティーで薬物使用があったことから警察が駆けつけ、エイミーは仲間の犠牲になって逮捕されてしまう    そして翌日を迎え卒業式が始まってしまう。2人は無事に卒業式に出られるのか

 

     

 

女優オリビア・ワイルドが長編監督デビューを果たしたこの作品は大爆笑の連続です エイミーを演じたケイトン・デバーとモリーを演じたビーニー・フェルドスタインのキャラが立っていて超面白い映画です

目的のパーティー会場がどこか分からない2人は、ピザを大量に注文する家を探そうと閃き、ピザ配達用の車の後部座席に潜んで、長い髪の毛を前に垂らして覆面のように顔を隠し、ピザ屋の店員が乗り込んでくると、パーティー会場の動画を見せて、その家の住所を教えるように脅します しかし、逆にピストルで脅され、もっと危機感を持てと説教されてしまいます 実はこの男は指名手配犯だということが後で分かります。丸腰で脅そうとするのですから、怖いもの知らずの2人は天下無敵です

卒業式は何故か屋外で開かれますが、檀上の片隅に設置されたピアノでベートーヴェンのピアノ・ソナタ(8番、14番、23番のいずれか)の第3楽章「プレスト(又はアレグロ)」が弾かれます なぜベートーベンの「プレスト(アレグロ)」なのかといえば、エイミーとモリーの車が猛スピードで会場に駆けつけるからです

ところで、「BOOK  SMART」とは、「賢いけれど、世間知らず」という意味だそうです

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コバケン ✕ 川久保賜紀 ✕ 東京フィルによるベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」「交響曲第7番」のチケットを取る ~「響きの森クラシック・シリーズ」 / 井上ひさし「四捨五入殺人事件」を読む

2020年12月13日 07時29分22秒 | 日記

13日(日)。わが家のお風呂の浴槽は「ワンプッシュ排水栓」になっていて、浴槽の上部にある排水ボタンを押すと底にある排水栓が上下して水を流したり貯めたりします 今夏あたりから、ボタンを押しても排水栓が閉まらず 水が流れっ放しになっていて焦ったことが何回かあったのですが、一昨日、排水栓の掃除をしている時、中の部品が飛び出して壊れてしまいました 何とか修復しようと試みたのですがどうにもならないので、6年前にユニットバスを購入したTOTOに修理依頼の電話をして、修理に来てもらったのが昨日午後でした したがって一昨日の夜は今年初めて入浴しませんでした 部品(下の写真)を交換して無事に工事が完了しましたが、部品代、出張費等を含めて合計17,435円もかかってしまいました 予想外の出費ですが、この寒い中、安心してお風呂に入れることを考えれば高くはないか、と自分に言い聞かせています   いずれにしても、今まで当たり前に出来たことが急に出来なくなってしまうと不安になりますが、目の前の不安材料は自分で何とかしなければ何も解決しないということを改めて感じた”事件”でした

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2264日目を迎え、米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、メドウズ大統領補佐官は11日、米食品医薬品局(FDA)のハーン長官に対し、同日中に米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を許可できないならば辞任すべきだと圧力をかけ、一方 トランプ大統領はFDAについて「大きくて年老いた、のろまなカメ」とツイッターに投稿し、その後緊急使用が許可された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     4年後の大統領選に向けた実績作りのためには 科学を無視して国民を不安に貶める

 

         

 

3月27日(土)15時から文京シビックホールで開かれる「響きの森クラシック・シリーズVol.75」のセット券購入者先行発売日だったので電話して取りました なぜかこの公演はネットでの受付がありません 午前10時から電話受付開始だったのですが、何度かけてもまったく繋がらず、やっと繋がったのは午後4時半過ぎでした 何とか1階中央のS席を確保できましたが、通路側席は夢のまた夢でした プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、②同「交響曲第7番」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=川久保賜紀、指揮=小林研一郎です この公演は当初、ベートーヴェンの「第九」が演奏される予定でしたが、コロナ禍のため曲目・出演者が変更になりました

 

     

 

         

 

井上ひさし著「四捨五入殺人事件」(中公文庫)を読み終わりました 井上ひさしは1934年生まれ。上智大学仏語科卒。NHKテレビで放映の「ひょっこりひょうたん島」など放送作家として活躍後、戯曲、小説などの執筆活動に入る。小説では「手鎖心中」で直木賞、「吉里吉里人」で日本SF大賞および読売文学賞を受賞したほか受賞多数 戯曲では「道元の冒険」で岸田戯曲賞ほか受賞多数 2010年4月死去

 

     

 

小説界の大御所・石上克二と中堅作家・藤川武臣は奥羽山脈と仙北平野の中間にある成郷市に講演のため赴いた ところが、宿泊先はテレビもない山間の成郷温泉にある「高屋旅館」で、しかも折からの大雨で村に一つしかない橋「鬼哭橋」が流されてしまい、成郷市に行けなくなってしまった 孤立した2人の作家を待ち受けていたのは連続殺人だった 最初に高屋旅館の女主人の妹・織田小夜が、次に姉の織田加代が何者かによって殺された しかし、石上も藤川も織田姉妹が言い争いをしている声は聴いても、一緒にいるところを見たことがない 織田家は代々この地域を支配してきた家柄で、村人から搾取してきた過去から恨まれていたことが分かる 藤川は村人たちの動きから推理を働かせる

巻末の「解説」を編集者の松田哲夫氏が書いています   それによると・・・「四捨五入殺人事件」は「吉里吉里人」と似通っているところがある。簡単に言えば、どちらも作家の先生が東北旅行に出かけ、その先で事件に巻き込まれるという話で、農業問題に直面しているなど類似点はいろいろある・・・と書かれています

これを読んで思ったのは、井上ひさしは農業問題を訴えたいがために本書を書いたのではないか、ということです 成郷市の観光課長補佐・岡田に次のように言わせています

「昭和35年から40年にかけて、経済同友会だの、経団連だの、日本商工会議所だのというところが、いわば日本の独占資本の代表どもが、日本農業に対して、さまざまな提言をしております。(中略)連中の提案というのをまとめるとこうなりますかな 『高度の経済成長を遂げるためには安い農産物が必要である。安い農産物を得るためには労賃を安くしなければならない。そこで農業を機械化するのが急務である。一方、農業を機械化すれば農業労働力が余る。これを他産業が雇い入れればよい』。これが日本独占資本の代表どもの提案だった この提案の背景には米国による強力な自由化の圧力がかかっていた・・・こうして、農家は耕運機だのコンバインだのを買わされることになった

「四捨五入殺人事件」の初出は実業之日本社の「週刊小説」昭和50年(1975年)7月18日号~9月19日号ですが、その当時の日本の農業が置かれていた立場は上記のようなものだったのだと思います

岡田課長補佐は次のように続けます

「とにかく、いろんな理由が重なって、いまのような状態になっておるわけですが、ひとことで言って、農民以外の人間は農民をいまだに虫けらと同じように考えている 国の方策如何で、必要になったり必要でなくなったり、農民は一や二や三や四にしか過ぎない。決して五、六、七、八、九ではない・・・四捨五入というやつですよ 四以下は国の都合で切り捨てられる。農民は、その四以下の数字と同じことなのです

ここで本書のタイトル「四捨五入殺人事件」の根拠が出てくるわけですが、これが2人の作家が直面した殺人事件解決のヒントになっています

最後のどんでん返しでは、井上氏の”してやったり”の どや顔 が思い浮かぶようです

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東京交響楽団「モーツアルト・マチネ 第45回~第48回」公演のチケットを取る / 原田マハ著「ゴッホのあしあと」を読む ~ 「耳切り事件」の真相は?

2020年12月12日 07時18分09秒 | 日記

12日(土)。わが家に来てから今日で2263日目を迎え、菅義偉首相は11日のインターネット番組で、新型コロナウイルス感染拡大を受けた「Go  To  トラベル」一時停止について「まだ、そこまでは考えていない」と否定したが、一方、日本病院会は同日、「医療現場では、今でも重傷者らの診療を必死で行っているが、感染拡大がこのまま続けば、医療崩壊は必至だ」として、需要喚起策「Go To  」キャンペーンの(一時的な)即時停止などを国に求める声明を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      政権延命策の継続と 国民の命を守ることと 今どちらを優先すべきかは明らかだろう

 

         

 

昨日は仕事休みだった娘が、夕食にハンバーグを作ってくれました 肉とトマトとレタスが挟んであります。ハンバーグは”つなぎ”なしで作ったらしく 肉の旨みが凝縮されていました オニオン・スープも美味しく出来ていました    たまには人の作ってくれた料理も食べたいものです

 

     

 

         

 

昨日は三ユーザ川崎で開かれる東京交響楽団の「モーツアルト・マチネ」の第45回~第48回公演の優先販売日だったので、WEBからアクセスして1階席を取りました。日程とプログラムは以下の通りとなっています。開演はいずれも午前11時、会場はミューザ川崎シンフォニーホールです

第45回:5月1日(土)①モーツアルト「交響曲第32番」、②同「ヴァイオリン協奏曲第3番」(Vn:山根一仁)、③同「交響曲第36番」:指揮=太田弦。

第46回:8月22日(日)①モーツアルト「フィガロの結婚」序曲、②同「交響曲第35番」他。指揮=鈴木優人。

第47回:12月11日(土)①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」(Vn:グレブ・二キティン、Va:西村眞紀)他。指揮=ジョナサン・ノット。

第48回:3月6日(日)①モーツアルト「交響曲第25番」、②同「グラスハーモニカのためのアダージョとロンド」(Gh:大橋エリ)、③同「交響曲第29番」。指揮=井上道義。

 

     

 

         

 

原田マハ著「ゴッホのあしあと」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 原田マハは1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第2文学部卒。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立、フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する 2005年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー。2012年「楽園のカンヴァス」で山本周五郎賞を、2017年「リーチ先生」で新田次郎文学賞を受賞 マハという名前はゴヤの「着衣のマハ」「裸のマハ」に由来しているそうです

 

     

 

私は文庫本を買う時に、著者名を見て無条件に購入する癖があります 日本人で言えば 中山七里とか柚月裕子とか伊坂幸太郎とかいった作家です それに準じて、以前読んで面白かったのを思い出したかのように、同じ著者の本を買うケースもあります 本書「ゴッホのあしあと」もそうでした。以前読んだことのある「キネマの神様」や、ピカソを主人公にした「暗幕のゲルニカ」が面白かったので、この著者なら間違いないと思って買ったのです ところが、買った後で、本の帯を見て「しまった!」と思いました そこには「累計24万部のベストセラー『たゆたえども沈まず』副読本!」とあります。つまり、順番としては最初に「たゆたえども沈まず」を読んでから本書を読むべきなのです そうは言うももの、読むべき本は手元に積み上げられているので、本書を読むことにしたのです

本書は著者のゴッホとの出会い、ゴッホへの日本の影響、ゴッホの辿った足跡を巡る旅などについて書かれています

「はじめに」で原田さんは次のように書いています

「ゴッホは日本に憧れ、風景の中に日本の浮世絵にあるような清澄な色を求めて、オランダからパリへ、そして南仏アルルへと移住していったのだ ゴッホといえばすぐに思い出される絵の数々・・・あの息をのむほどの鮮烈な色彩とうねるような筆触の絵画は、日本美術の洗礼を受けたあと、パリ、アルル、サン=レミ=ド=プロヴァンス、そして彼の終焉の地、オーヴェル=シュル=オワーズで、わずか4年間に生み出されたのである ゴッホが見た風景は、いったいどんなふうだったんだろう 川や、麦畑や、糸杉や、花々や、教会や、地元の素朴な人たち。彼の感性に響いた数々のものは、今なお変わらずにその土地にある。追いかけてみよう、と思い立ち、私は旅に出た。運命の画家、フィンセント・ファン・ゴッホのあしあとを辿って

原田さんは、「なぜ日本人はゴッホが好きなのか」について次のように書いています

「浮世絵を含む日本美術が、印象派や後期印象派の画家たちに大きな影響を与え、やがて現代アート誕生の源になったことは、よく知られています つまり日本美術のDNAを、画家たちが受け継ぎ、作品へと昇華したのです。同じものが体内に流れているのですから、なるほど好きにならずにはいられないわけです

この本を読んで初めて知ったことは少なくありません 一番意外だったのは1889年に描かれた「包帯を巻いた自画像」の題材になった、有名な「耳切り事件」です 私はてっきり、耳たぶを切り落としたと思っていましたが、真相はそうではないようです。原田さんは書きます

「(ゴッホとゴーギャンは共同生活を送っていたが)ゴーギャンが『もう君との共同生活は続けていけない』とゴッホに告げ、家を出て行くといい、1888年12月、ゴッホが自分の耳たぶを切る事件を起こします 喧嘩や議論の絶えない2人。アルルの街中で、ゴーギャンの後についてきたゴッホの手には剃刀が握られていました。しかしゴーギャンが睨みつけると、ゴッホは帰っていきました。身の危険を感じ、ゴーギャンはその日、アルルのホテルに泊まります 一人、家に帰ったゴッホは、左耳の耳たぶの一部を切り落とし、その肉片を自分の馴染みの娼婦に届けて警察沙汰になりました ゴッホの耳切り事件について、片耳をまるまるスパッと切ったと思っていませんでしたか? 私は最初そう思っていました でもよく考えてみてください。自分の耳ってそんなに簡単に切れるものではありません。耳たぶの先端をちょっと切っただけ。でも血がたくさん出るので、大騒ぎになったのではないかと思います

また、ゴッホが頭脳明晰な人だったというエピソードを紹介しています

「『ゴッホの手紙ー絵と魂の日記』という本を監訳された千足伸行先生が、以下のようなことをおっしゃっていました。ゴッホはオランダ人で、フランス語が母語ではない しかし弟テオとの手紙は、ほとんどフランス語で書かれている。オランダ語に比べるとフランス語の方が理解されやすく、世界中で翻訳されることになった その手紙を読み解くと、スペルミスが一切なく、正確なフランス語で書かれている。自分の感情も、的確な言葉を選んで書いている かなりの知性派、明晰な頭脳の持ち主であり、インテリであると

原田さんは、こうした事実を背景に、「ゴッホ狂人説を覆したい」と主張しています

本書は生前1枚しか絵が売れず、37歳で自殺したフィンセント・ファン・ゴッホの真実の姿に迫った傑作です 私としては、「たゆたえども沈まず」を読まなければならないと思っていますが、取りあえず本書をお薦めしておきます

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