人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「クラシック音楽 今年の収穫」 ~ 音楽評論家はどの公演を選んだか?:日経の記事から / 松山善三脚本・渋谷実監督「酔っぱらい天国」&「好人好日」を観る ~ 笠智衆の別の魅力を発見!

2020年12月23日 07時16分07秒 | 日記

23日(水)。昨日の日経夕刊 文化欄に「今年の収穫  音楽」が掲載されていました 5人の音楽評論家がそれぞれ「今年のベスト3」を選んでいます このうちオペラは1人、クラシックは2人(東京と関西)がそれぞれ「ベスト3」を選び 選評を書いています

山崎浩太郎氏が選んだ「オペラ」のベスト3は、①藤倉大「アルマゲドンの夢」(11月、新国立劇場)、②バッハ・コレギウム・ジャパンによる「リナルド」(11月、東京オペラシティコンサートホール)、③「ルチア ~ あるいはある花嫁の悲劇~」(11月、日生劇場)です

このうち①について山崎氏は「新たな状況下でも失敗を恐れず、新たな創造に挑戦するオペラ芸術監督、大野和士の功績である」と論評しています

江藤光紀氏が選んだクラシック公演(東京)は、①ワレリー・ゲルギエフ指揮ウィーン・フィル(11月、サントリーホール)、②サントリーホール「サマーフェスティバル2020」(8月)、③イリーナ・メジューエワ「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会第5・6回」(9月、東京文化会館)です

このうち①について江藤氏は「様々なハードルを越え来日したウィーン・フィルは演奏によって壮絶なメッセージを発し、芸術の力・存在感を示した」と評価しています

藤野一夫氏が選んだクラシック公演(関西)は、①沼尻竜典企画「神々の黄昏」(3月、びわ湖ホールより配信)、②小林研一郎指揮読売日響によるベートーヴェン「交響曲題3番」(10月、フェスティバルホール)、③ワレリー・ゲルギエフ指揮ウィーン・フィル(11月、フェスティバルホール)です

このうち①について藤野氏は「無観客ライブ配信で注目を集めた 最強の自主制作オペラ」と高く評価しています

上記のうち私が実際に聴いた公演は藤倉大「アルマゲドンの夢」だけです 偶然にもオペラの内容がコロナ禍の不安な現況を映し出した公演で、作曲家の高い予知能力を感じました

私の今年の「マイベスト10」は12月31日にアップする予定ですが、今年はコロナ禍の影響で例年の半分も聴けなかったので、「ベスト5」に留まるかもしれません こんなに酷い年は初めてと言っても過言ではありません

ということで、わが家に来てから今日で2274日目を迎え、安倍晋三前首相が開いた「桜を見る会」前夜蔡を巡る収支が安倍氏の関連政治団体の政治資金収支報告書に記載されていない問題で、東京地検は22日までに、安倍氏から任意で事情聴取したが、特捜部は聴取の結果を踏まえ、安倍氏の刑事責任追及は難しいとみているもようだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どうせ「秘書に任せていたので知らなかった」と言い逃れたんだろう  政治屋だな

 

         

 

昨日の夕食は仕事休みの娘が「ハンバーグ」と「野菜とチーズのスープ」を作ってくれました とても美味しかったです ハンバーグにはワインですね

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「酔っぱらい天国」と「好人好日」の2本立てを観ました

「酔っぱらい天国」は松山善三脚本・渋谷実監督による1962年製作映画(モノクロ・94分)です

会計課長の渥美耕三(笠智衆)は30年前に妻を亡くし一人息子の史郎(石濱朗)と二人で暮らしているが、二人とも大酒飲み 耕三は史郎を溺愛しているが、ある日、史郎が看護婦をしている櫻井規子(賠償千恵子)と結婚したいと言い出す。史郎は結婚したいがために赤ん坊ができたと嘘を言う 耕三はしぶしぶ規子と会う。史郎は喜んで友人の森山と飲み歩く 二人はバー「ベンハー」でプロ野球の東京ファイターズのエース片岡(津川雅彦)と出会う。森山と片岡は些細なことで喧嘩を始め、止めに入った史郎はバットで殴られ入院してしまう 耕三は片岡を告訴しようとするが、ファイターズの監督が耕三の会社の専務と友人関係にあり、専務を通じて示談にされてしまう しかし、その後 史郎は死んでしまう     耕三は妊娠している規子を引き取り一緒に過ごそうと考える。一方、規子は片岡に復讐を果たそうとするが、逆に片岡自身も悩んでいることを知り、同情心が湧き、付き合うようになる 耕三は片岡と規子が一夜を共にしたことを知り、また規子が妊娠していることが嘘だったことを知り絶望する 耕三はトップ屋くずれの小池にそそのかされ、バーで酒を飲んで片岡を殺傷しようとするが、誤って別人を刺してしまい、殺人未遂の罪で告訴され、収監されてしまう

 

     

 

笠智衆といえば、小津安二郎監督による「晩春」「東京物語」をはじめとする「小津作品」や、山田洋二監督による「男はつらいよ」シリーズの柴又帝釈天(題経寺)の御前様としてお馴染みの俳優です 俳優に「静」と「動」があるとすれば、「静」を代表するような穏やかで静かな佇まいを思い浮かべます しかし、この映画における笠智衆は、そのイメージを根底から覆す「動」の顔を見せています。上司に対してはこびへつらい、部下に対しては高圧的な態度を取る。普段は真面目だが、一旦酒が入ると前後不覚になるまで飲み倒しハチャメチャな行動を取ります。こんな笠智衆を見たのは初めてで、びっくりしました 渋谷実監督が多くの俳優の中から あえて笠智衆を起用したのは小津作品への対抗意識があったのだろうか、とさえ思ってしまいます

 

         

 

「好人好日」は松山善三脚本・渋谷実監督による1961年製作カラー映画(88分)です

奈良の大学の教授を務める尾関等(笠智衆)は世界的な数学者だが、数学以外のことには全く無関心で、奇行奇癖が多く世間では変人で通っている 妻の節子(淡島千景)はそんな尾関に30年連れ添ってきた    娘の登紀子(岩下志麻)は市役所に務めているが、職場の同僚・佐竹竜二(川津祐介)と付き合っている    しかし、竜二の家は飛鳥堂という墨屋の老舗で、何かと格式にこだわり 登紀子との結婚に乗り気でない 竜二は尾関に気に入ってもらおうと羊羹やポータブル・テレビを持っていくが、尾関は娘を取られたくないので良い顔をしない そんな折、尾関に文化勲章の授賞が決まったという知らせが舞い込む 尾関は勲章はどうでもよいが50万円の年金が出るというので喜んで受けることにする 授賞式に出席するため夫婦で東京に赴き、学生時代にいたオンボロ下宿に泊まり、主人の修平を感激させる その夜、宿に泥棒(三木のり平)が忍び込み、勲章を盗まれてしまう そんな中、奈良では尾関の授賞を祝う会を開こうと関係者が大騒ぎをしていた 奈良に帰った尾関はマスコミの取材に追われ、疲れ果てて独り下市の和尚のところに身を隠してしまう 尾関は迎えに来た娘に「登紀子は良いお嫁さんになる。お母さんのようにね」と伝え、結婚を祝福する その後、勲章を盗んだ泥棒が「文化勲章を受けた先生が 同じ貧乏だと知らずに勲章を盗んでしまった。お返ししたい」と返しに来た   幸せそうな親娘を東大寺が優しく見守っていた

 

     

 

この作品は日本有数の数学者・岡潔をモデルに製作されたとのことです

笠智衆はこの映画でも、小津作品におけるイメージをぶち壊すような演技力を見せています 少年とボクシングをやって身軽なところも見せています

「酔っぱらい天国」では呑兵衛を演じている笠智衆ですが、「好人好日」では一切酒が飲めず、その代わりコーヒーが大好きという役柄も面白い設定です

なお、この日上映の2本を含め、渋谷実監督映画の多くは 黛敏郎が音楽を担当しています この当時の日本映画の多くは、黛敏郎に限らず、伊福部昭、武満徹などクラシック(現代音楽)の作曲家が手掛けています 作曲家にとって、まだテレビが全盛前の”古き良き時代”でした

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