12月1日(火)。わが家に来てから今日で2252日目を迎え、世界で初めて新型コロナウイルス ワクチンを承認したロシアが、安全性や価格の安さをアピールして国外への売り込み攻勢をかけているが、プーチン大統領がいまだに接種を避けていることが国民の不信感を増大させている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
政権与党の世論調査で 73%がワクチンを打ちたくないと回答したのも もっともだ
昨日、夕食に「とんぺい焼き」を作りました 材料は豚バラ肉、モヤシ、卵、チーズで、ソースとマヨネーズをかけて仕上げます。シンプルで美味しいです
昨夕、よみうり大手町ホールで「第27回読響アンサンブル・シリーズ~鈴木優人プロデュース」を聴きました プログラムはヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』第1番~第4番(『春・夏・秋・冬』)」とジョン・ケージの音楽を組み合わせた新しい試みです
出演は、プロデュース・チェンバロ=鈴木優人(読響クリエイティヴ・パートナー)、独奏ヴァイオリン=長原幸太(コンマス)、ヴァイオリン=小田透、川口尭史、對馬哲男、肥田与幸、ヴィオラ=鈴木康治(ソロ・ヴィオラ)、二宮隆行、チェロ=高木慶太、木村隆哉、コントラバス=小金丸章斗、打楽器=西久保友広、野本洋介です
曲目と演奏順は次の通りです
①ジョン・ケージ「私たちの春が来る」(ピアノ独奏)
②ヴィヴァルディ「四季」から第1番「春」
③ケージ「ヴァイオリンと鍵盤のための6つのメロディ」から1,3,5(ピアノとヴァイオリン)
④ヴィヴァルディ「四季」から第2番「夏」
( 休 憩 )
⑤ケージ「リビングルーム・ミュージック」から「メロディ」(独奏ヴァイオリンと打楽器)
⑥ヴィヴァルディ「四季」から第3番「秋」
⑦ケージ「クレド・イン・アス」(ピアノと打楽器)
⑧ヴィヴァルディ「四季」から第4番「冬」
⑨一柳慧「イン・メモリー・オヴ・ジョン・ケージ」(ピアノ独奏)
7時半からの開演に先立って鈴木優人からプレトークがあり、演奏曲目について一通り説明がありましたが、実に分かり易い解説で参考になりました この人はバロックから現代まで幅広いジャンルで、オルガンやチェンバロ奏者として、また指揮者として活躍していますが、演奏だけでなくトークの能力も高いと思いました
さて本番です。ステージ後方には後半1曲目のケージ「リビングルーム・ミュージック」を想定して、本棚やソファーや椅子、テーブルなどの家具、クマのぬいぐるみなどが置かれています プレトークでは、ケージは日本の禅に興味を持っていたので、鈴木大拙の禅の本も用意したことや、ケージがキノコ研究家でもあったことからキノコのオブジェも飾ったことなどが紹介されました あんたら黒澤明のリアリズムに もろに影響を受けてないかい? と言いたくなりました
1曲目のケージ「私たちの春が来る」は、音楽評論家・大西穣氏のプログラム・ノートによると、ジョン・ケージ(1912-1992)が1943年に作曲した作品で、プリペアド・ピアノによって演奏されます これはピアノの弦の間にボルトや金属などを挟み込んで演奏するもので、鈴木氏の解説では、この日は釘が10本、竹ひごなどが挟み込んであるとのことでした 演奏を聴くと、ピアノと言うよりも、複数の打楽器で演奏しているように聴こえました
3曲目のケージ「ヴァイオリンと鍵盤のための6つのメロディ」から1,3,5は、ケージが1950年代に作曲した作品で、ピアノ、ヴァイオリンとも静謐な世界を表現していました
5曲目のケージ「リビングルーム・ミュージック」から「メロディ」は 一般家庭にある家具などが打楽器のように演奏される音楽です 長原幸太がヴァイオリンを弾く間、鈴木優人と打楽器の西久保友広と野本洋介が本を手で叩いたり、小さな箱のような物をテーブルに打ち付けたりしてリズムをとります 短いながら面白い音楽でした
7曲目のケージ「クレド・イン・アス」は1942年に作曲されたピアノと打楽器とラジオによる音楽です ピアノと打楽器が交互にリズムを刻むかと思えば一緒に演奏したりして進行しますが、その間、ラジオから実況中継のような音声が流れます ピアノと打楽器の音が止むとそれに合わせるかのようにピタッとラジオが鳴り止みます そしてまた演奏が始まるとラジオの音声が流れます それが何度も繰り返されます。これは非常に面白い曲でした 最後は、ピアノも打楽器も演奏が終わったのにラジオだけが大きな音声で流れていて、「ひょっとしてラジオの消し忘れでは?」と思ったりしましたが、どうやら次のヴィヴァルディ「四季」の「冬」に 拍手で中断されることなく移行するため 意図してやったのではないか、と思い直しました
分割演奏されたヴィヴァルディ「四季」では、鈴木優人がチェンバロで参加し、長原幸太が独奏ヴァイオリンを務めましたが、長原はメリハリのある演奏でリードし、若手の第1ヴァイオリン・對馬哲男やチェロの髙木慶太との掛け合いも素晴らしく、終始刺激的な演奏に徹しました 時に自由に崩して(演歌で言えば”こぶし”を回して)弾きこなしている時は、すぐ後ろで演奏していたソロ・ヴィオラの鈴木康浩が、「あ~、やってる~」という顔で笑いをこらえているのが垣間見えました この二人は実に面白いです
6曲目の「秋」の第3楽章では、演奏中に突然「パーン」という鉄砲を撃つ音が聴こえましたが、ヴィヴァルディがこの楽章に付けたソネット(詩)によると、この楽章は「狩り」の情景を表しているので、ソネット通りの演出です
8曲目の「冬」のフィナーレで弦楽奏者が最後の音を弾き続ける中、舞台が暗転し、その間に鈴木優人が舞台左サイドのピアノに移り、最後の 一柳慧「イン・メモリー・オヴ・ジョン・ケージ」の演奏に移ります そして、ケージの名前 C A G E (ド、ラ、ソ、ミ)を織り込んだ音が鳴らされ、曲を閉じました
この日の演奏会は、これまで現代音楽ということで敬遠してきたジョン・ケージの音楽のエッセンスを聴くことができ、今までよりもずっと身近に感じることが出来たことは大きな収穫でした 実に楽しいコンサートでした
最後に一つだけ注文を付けるとすれば、この日の出演者はすべて男性奏者でしたが、米国バイデン次期大統領の広報幹部は全て女性が選ばれるというニュースに接すると、今回の公演は寂しさをぬぐい切れません 次回は総合的・俯瞰的な見地から女性奏者の出演につき配慮をお願いしたいと思います