人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

広上淳一 ✕ 小林沙羅・林美智子・西村悟・加来徹 ✕ 二期会合唱団 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「交響曲 第1番」「交響曲 第9番”合唱付き”」を聴く

2020年12月21日 07時10分10秒 | 日記

21日(月)。千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君から海の幸の詰め合わせが届きました 赤尾鯛、鯖、秋刀魚、赤魚、鯵が所せましと詰まっています ちょうど、魚料理を増やさなければ・・・と思っていたところだったのでグッドタイミングでした 持つべきものは友人ですね S君ありがとう。有難くいただきます

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2272日目を迎え、トランプ米大統領は19日、最近発覚した米政府機関に対する大規模なサイバー攻撃は「管理された状態にある。何か起きたらすぐロシア、ロシア、ロシアと言う」と述べ、ポンぺオ国務長官の姿勢とは著しく対照的な姿勢を示したが、ホワイトハウスはロシアを名指しして非難する声明を18日に発表する予定だったのを、何らかの理由で突如中止した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     4年前の大統領選に続き 第2の「ロシア疑惑」の浮上か と疑わせるトランプの態度

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第九」特別演奏会を聴きました 17日からの4日連続公演(横浜みなとみらいホール、オーチャードホール、サントリーホール、トリフォニーホール)の最終公演です

プログラムはベートーヴェン①交響曲 第1番 ハ長調 作品21、②交響曲 第9番 ニ短調 ”合唱付き” 作品125です 演奏は、②のソプラノ独唱=小林沙羅、アルト=林美智子、テノール=西村悟、バリトン=加来徹、合唱=二期会合唱団(16名)、指揮=広上淳一です

 

     

 

自席は3階RB列15番、3階右バルコニー席ですが、舞台の真横の上です 指揮者とヴァイオリン・セクションは良く見えますが、ヴィオラとコントラバスが全く見えません とは言え、楽団員を除けばソリストと合唱団に一番近い位置の席です 会場は9割以上は埋まっています 「第九」の力 恐るべしです

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスはチェ・ムンスです

1曲目は「交響曲 第1番 ハ長調 作品21」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1799年から1800年にかけて作曲、1800年4月2日にウィーンのブルク劇場で初演されました 第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・モト」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ ~ トリオ」、第4楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

広上淳一が指揮台に上がり、第1楽章が開始されます 迷いのある冒頭のアダージョの後、アレグロに移るとベートーヴェンの快進撃が続きます ハイドンでもない、モーツアルトでもない、「これが俺の最初のシンフォニーだ」と言わんばかりのベートーヴェンの意気込みを感じます それは第1楽章に限らず、全ての楽章に共通しています 広上 ✕ 新日本フィルはメリハリの効いた爽快な演奏を展開し、「第九」への第一歩を踏み出しました

 

     

 

休憩時間に、パトロネージュ部の登原さんとお話しする機会がありました 登原さんは昨日の「第九」公演(サントリーホール)を聴けたそうですが、「ベートーヴェンの音楽の素晴らしさと、ここまで来るのにいろいろあったという感慨とで、泣いちゃいました」と語っていました その時 彼女の脳裏には、2月以降のコロナ禍による相次ぐコンサートの中止、それに伴う払い戻し等の諸手続き、収入減に伴う給与削減措置、何よりオーケストラが存続できるのかという不安、そして現在、合唱の規模を縮小した形とはいえ「第九」が演奏できるまで漕ぎつけたこと・・・などの複雑な想いがよぎったに違いありません それはステージ上で演奏している楽団員や、陰で彼らを支えている事務局の皆さんの共通の想いだと思います コロナ禍はまだ続きますが、ワクチンの開発・普及など明るい兆しも見えてきました。あと少しの辛抱です。ブログや様々な形でできる限りの応援をします。頑張れ、新日本フィル

 

     

 

さて、プログラム後半は「交響曲 第9番 ニ短調 ”合唱付き” 作品125」です この曲は1822年から24年にかけて作曲され、1824年5月7日にベートーヴェンによる立ち合いのもと、ウイーンのケルントナートーア劇場で、「献堂式」序曲等とともに初演されました この作品は その後、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世に献呈されました

この曲は第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポコ・マエストーソ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ・モルト・カンタービレ~アンダンテ・モデラート~アダージョ」、第4楽章「プレスト ~ アレグロ・マ・ノン・トロッポ ~ アレグロ・アッサイ ~ アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ ~ アラ・マルチャ ~ アンダンテ・マエストーソ ~ アレグロ・エネルジコ、センプレ・ベン・マルカート ~ アレグロ・マ・ノン・タント ~ ポコ・アダージョ ~ プレスティッシモ」の4楽章から成ります

広上氏が指揮台に上がり、第1楽章が開始されます    混沌とした中から生命が生まれてくるような冒頭の音楽を聴いて、マーラーの「交響曲第1番」の冒頭は、「第九」の出だし部分を参考にしたのではないか、と急に閃きました 広上 ✕ 新日本フィルは一歩一歩 確実に足で踏みしめるように説得力を持って音楽を進めます 第2楽章は、ベートーヴェンのウィットが垣間見られるような演奏です 第3楽章のアダージョを聴いていて、ファスビンダー監督による1979年製作西ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」を思い出しました 結婚式を挙げたばかりなのに、夫ヘルマンは第二次世界大戦に召集されてしまいます 戦争が終わり、マリアは駅のホームでヘルマンを乗せているはずの列車を待っています そのバックにこの楽章のアダージョが流れます その音楽は、夫ヘルマンが帰ってきて「歓喜の歌」が歌われるはずの第4楽章がきっと待ち受けているという希望の音楽なのです 「第九」はどの楽章も素晴らしいのは言うまでもありませんが、私はこの第3楽章の穏やかな音楽が一番好きです

第3楽章が終わりましたが、ソリストと合唱が入場する様子がないまま、広上氏のタクトが降ろされます 嵐のような耳をつんざく音楽に続き 低弦が有名なテーマを奏でます   そして、いよいよオケ総動員でテーマを演奏するタイミングで、ステージ左サイドからソリストの4人が登場、ティンパニの後方にスタンバイします それと同時に、二期会の男女各8人、計16人の合唱団が2階正面バルコニーに登場し横一列で配置に着きます テノールの加来徹が「おお友よ、こんな音楽はよそう!」と、シラーの「歓喜に寄す」にベートーヴェンが付け加えた一節をドイツ語で歌い始めます この瞬間、私は背筋が寒くなりました ベートーヴェンが主張したかったのは人間の声の素晴らしさだと思いました いくら管弦楽が大きな音を出しても人間の声には敵わないのです その後、テノールの西村悟と加来徹の二重唱が歌われ、アルトの林美智子とソプラノの小林沙羅が加わります 二期会の合唱はとても16人だけで歌っているとは思えないほどの大迫力で、圧倒されました

広上 ✕ 新日本フィルは、フィナーレのプレスティッシモを「これ以上速く演奏できない」と思われるほどの超高速テンポで疾走し、第九のクライマックスを築き上げました

指揮者、楽団員、ソリスト、そして合唱団、総力を挙げての「音楽を止めるな」という強い思いが伝わってくる熱い演奏でした

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、とりわけ二期会の16人の合唱団にはステージ上のソリストと楽団員からも大きな拍手が送られました

二期会の出演メンバーは、ソプラノ=梶田真未、北原瑠美、舟橋千尋、松永知史、アルト=小野綾香、喜田美紀、小林紗季子、塩崎めぐみ、テノール=伊藤潤、木下紀章、児玉和弘、新海康仁、バス=栗原剛、小林大祐、菅原洋平、野村光洋の皆さんです

コロナ禍の蔓延により欧米諸国ではライブのコンサートが聴けない現状の中で、日本では生で「第九」が聴けることがどんなに幸せなことか、あらためて感じたコンサートでした

コメント (2)
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