18日(火)。ソチ五輪で「日の丸飛行隊」がジャンプ男子団体で銅メダルを獲得しました 41歳の葛西をはじめ4人がよく頑張りましたね。ソチはどう思う?
さて、昨日の朝日朝刊の「文化の扉」欄は「初めてのミュージカル」を取り上げています 「印象的な音楽、華麗なダンス、壮大なドラマ・・・・・・ミュージカルはオペラから発展し、ニューヨークやロンドンで花開いた」として、劇団四季の『キャッツ』は欧米型ロングラン公演を確立させ、『ライオンキング』は9,000回、観客動員数も900万人を超えることなどを紹介しています
私が興味を持ったのは記事の内容ではなく、アナウンサーの中井美穂さんが寄せているコメントです。彼女は冒頭からこう語っています
「舞台は年間200本ほど見ますが、ミュージカルも多い」
これは驚きです 私のクラシック・コンサート通いの年間170回は彼女に追いつきません 映画を含めれば200回を上回りますが、映画は映画であってライブではありません。これからは中井美穂さんに頭が上がりません
これに関連して思ったのは、プロの音楽評論家はいったい年間どのくらい生のコンサートを聴いているのだろうか、ということです というのは、もうかなり前のことですが、ある音楽評論家が「昨年100数回(クラシックの)コンサートに行ったが、その中でベストは・・・・」と書いていたので、「そんなに少ないのか」と呆れたことを覚えていたからです。最近まったく読んでいない「音楽の友」や「レコード芸術」を見ればそれらしい答えが書かれているのかも知れませんが、買う気になりません
閑話休題
昨日の朝日夕刊に「物語と音楽の矛盾に違和感~佐村河内守のゴーストライター問題」と題するインタビュー記事が載りました インタビューに答えているのは「『全聾の天才作曲家』佐村河内守は本物か」と題する論考を「新潮45」の昨年11月号に発表し、佐村河内を批判した音楽評論家・指揮者の野口剛夫氏です。インタビュー内容を超訳すると
「佐村河内の交響曲第1番を聴いたが、マーラーやショスタコーヴィチなどを彷彿とさせる部分が随所にある。和洋中何でもござれの定食屋のようだった 感じたのは、4畳半の青年の苦悩。悲劇らしさはあってもあくまで個人的な感傷にとどまっており、スケール感が不足していた クラシック愛好家以外にも聴いてもらえるように、メロドラマ的で分かりやすい音楽にしてある。佐村河内氏は、そうしたプロデュース術にはたけていた。『物語』にウソがあっても、音楽はウソをつけない。個々の聴き手が自分の頭で音楽の良しあしを判断できればいいが、なかなか難しい だからこそ、レコード会社やメディアには、強い自覚と厳しいチェックが求められている」
私も佐村河内の交響曲第1番のフィナーレを聴いた時、「まるでマーラーの交響曲第3番のフィナーレのように思った」旨をブログに書きました ただ、そのほとんどがクラシック音楽界の先陣の音楽をパクった音楽だとは夢にも思いませんでした それなりに”完結している”と思ったからです その意味では、野口氏が指摘されているように「個々の聴き手が自分の頭で音楽の良しあしを判断」できないし、ましてや現代音楽となれば、自分の頭で良しあしを判断するのは不可能とさえ思えるので、「レコード会社やメディアは、強い自覚を持って厳しいチェックをしてほしい」と思います
も一度、閑話休題
大沢在昌著「北の狩人(上)」(幻冬舎文庫)を読み終わりました これは当ブログの読者Nさんからいただいた本の1冊です。大沢在昌は1956年愛知県生まれ。91年に「新宿鮫」で第12回吉川英治文学新人賞。第44回日本推理作家協会賞長編部門を受賞しています
物語の主人公は秋田から新宿に上京してきた青年・梶雪人です。彼は10年以上も前に解散した田代組という暴力団のことを探りにきたのです 警察官だった彼の父親は10年以上前に何者かによって殺されたのです。なぜ殺されなければならなかったのか、それを突き止めるために上京してきたのでした 東北訛りで頼りなげに見える梶ですが、ヤクザに脅されてもビクともせずにやり返します。彼の祖父はマタギで、梶にもその血が流れています。キャッチバーで彼をカモにしようとした女子高校生の杏は梶を田舎者扱いしてバカにしていますが、あることから態度を改めざるを得なくなります。新宿署の一匹狼の刑事・佐江は梶の行動を怪しみ目を付けますが、後に梶の犯人探しに協力するようになります 田代組の幹部だった本藤組若頭・宮本、田代組で宮本に次ぐ位置にあり現在は指定暴力団・新陽会の次期組長最有力候補・近松、カタギでありながらヤクザの上前をはねようとするしたたかな金貸し・新島が密接に絡み合って誰が生き残り誰が殺されるかの物語は進みます
読み始めた時は、梶の本当の職業が分からないので、ヤクザに対してなぜそんなに強気に出られるのか、と思っていましたが、身分が明かされるとなるほどと思いました 主人公が新宿にやってきてキャッチバーに連れて行かれるという冒頭部分から、いったいどうなるんだろう、という期待感が湧いてきて、あっという間に上巻を読み終わってしまいました
同じハード・ボイルド・アクションでも「もぐらシリーズ」でお馴染みの矢月秀作の作品と違って、戦闘シーンがしつこくなく好感が持てます。下巻が楽しみです