人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

映画「凶悪」を観る~本当のジャーナリストが追い詰めた未解決殺人事件の首謀者

2014年02月15日 08時45分56秒 | 日記

15日(土)。昨日の朝日夕刊に「高橋の演技曲にNHK言及せず~代作問題」という小さな記事が載りました。超訳すると

「ソチ・オリンピックのショートプログラムに出場した高橋大輔は、佐村河内守氏が自作と偽っていた楽曲の一つ『ヴァイオリンのためのソナチネ』を予定通り使用し、14日未明にNHKが中継した 演技開始後、アルファベットで高橋の名前と曲名が表示されたが、作曲者名は他の選手とは違い、表示されなかった NHKアナウンサーの実況でも、羽生結弦、町田樹の演技の時にはあった楽曲への言及はなかった。NHK広報部は『佐村河内氏を巡る一連の問題を踏まえ、現場の判断で曲の紹介をしないことにした』としている」

これは、佐村河内守氏の存在を最も広く世間に認知させたのは昨年3月に放送されたNHKスペシャル「魂の旋律~音を失った作曲家~」だったことに基づいています。結果として、”公共放送”NHKが嘘に塗り固められた内容の放送を流したため、多くの人たちが騙されたからです。この機に及んで佐村河内氏の名前も、真の作曲者である新垣隆氏の名前も出す訳にはいかなかったのだと思います

週刊文春の記事によると、NHKスペシャルで佐村河内氏を特集するに至った経緯については、今なお調査中ということのようです 私はNHKは取材の過程で「ある程度、佐村河内氏の耳は聞こえている」ことに気が付いていたのではないか、と勘繰っています また、作曲中の彼を写さないようにという条件設定も実に怪しかったのではないか思っています

 

  閑話休題  

 

東京は2週連続、週末に大雪です 雪は都民に何か恨みでもあるのでしょうか?

高田馬場の早稲田松竹で映画の2本立てを観ました 1本は白石和彌監督「凶悪」、もう1本は園子音監督「地獄でなぜ悪い」です。今日は「凶悪」について書きます

「凶悪」は、このtoraブログでもご紹介した新潮45編集部編「凶悪~ある死刑囚の告発」(新潮文庫)を脚色して映画化したものです

 

          

 

ある日、雑誌社に死刑囚・須藤から手紙が届きます。その内容は、自分を貶めて、のうのうと生きている”先生”と呼ばれる男を告発して復讐したい ついては”先生”がかかわった未解決事件を告白するのでそれを記事にしてほしいというものです その手紙は記者の藤井に託されます。藤井は刑務所に収監されている須藤に面会に行き、未解決殺人事件の全貌を訊き出します。そして自ら現場に赴いて須藤の証言の信ぴょう性を確認していきます 藤井がそれを記事にしたことから、警察が動き、ついに”先生”は逮捕され裁判にかけられ”無期懲役”の判決を受けます。告発した須藤はそれで満足だと言いますが、取材により悪の実態を知り尽くした藤井は”死刑”にしなければ気が収まりません。ジャーナリストである藤井にとって、この事件はなお未解決で、まだまだ”先生”を追い詰める作業が続きます

真実をあばき出そうともがく雑誌記者・藤井を山田孝之がクールに演じます 未解決殺人事件の首謀者”先生”を告発する死刑囚・須藤を、テクノバンド電気グルーヴのメンバーで俳優のピエール瀧が演じます。本物のヤクザのような迫真の演技に思わず後ずさりしそうになります そして、諸悪の根源、未解決殺人事件の首謀者”先生”に個性派のリリー・フランキーが当たります この3人の”役者”がそろって「凶悪」は”ノンフィクション”に深みを与えます

この作品を観て思うのは、かつて週刊誌の記者の中には、藤井のような骨のある記者が確かに存在したのだということです 今はどうでしょう。芸能人や、ちょっとした有名人のスキャンダルを追いかけることに血眼をあげ、人の人権なんかそっちのけで「週刊誌が売れれば良い」という記者が多いような気がします

 

          

                 

コメント
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