人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

オルフ:世俗的カンタータ『カルミナ・ブラーナ』を聴く~東京交響楽団第617回定期演奏会

2014年02月10日 07時00分36秒 | 日記

10日(月)。東京都知事選は残雪が大きく影響したせいか過去3番目の低い投票率に止まり、大方の予想通りの人が選ばれました 昨日は投票日だったので、近くの小学校に投票に行きました 実質的には3~5人による票の獲得競争ですが、何と16人もの候補者が立候補しました 立候補するには都民でなくともOKです(”殿、ご乱心”のH候補は湯河原在住ですね)が、当選せず、一定の票を獲得していないと供託金の300万円は戻ってきません。いわゆる”泡沫候補”と呼ばれる人たちは、それを覚悟で立候補しているのですから、何らかのメリットがあると確信しているはずです 例えば「世間に名前を売る」とか。しかし、名前を売ってどうしようというのでしょうか?テレビのバラエティ番組に出演して「いやー、立候補したんだけど、私の崇高な主張が都民の理解を得られなくて落ちちゃいました、ハハハハ・・・」とか言うのでしょうか? それ以前にテレビ局から声がかからないでしょうが。それにしても、スマイル党総裁のマック赤坂は偉いよな、落ちるの判ってて何度も立候補するんだから。今回は投票してやろうかな・・・・でも、お先マック・ラじゃスマイルも出ないしな、やっぱ止めとこ というわけで、政策本位で選んでおきました。それでよろしかったでしょうか?、今風に言い換えると、それで大丈夫でしょうか 

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第617回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲、②同「交響曲第38番ニ長調”プラハ”K.504」、③カール・オルフ:世俗的カンタータ「カルミナ・ブラ―ナ」で、③のソリストは、半田美和子(ソプラノ)、高橋淳(テノール)、与那城敬(バリトン)、合唱は東響コーラス、横須賀芸術劇場少年少女合唱団、指揮は飯森範親です ソリストの3人は新国立劇場のオペラ作品に何度か登場しているのでお馴染みです

 

          

 

会場入り口で配られたプログラムに「謹告」と題するシートが挟み込まれていました 

「本誌『シンフォニー』P33の記事、佐村河内守:交響曲第1番について」とあり、「マスコミ各社の報道により既にご存知の方も多いと思いますが、佐村河内守:交響曲第1番が、佐村河内守氏の作品ではないことが判明いたしました。当楽団といたしましても突然の情報に驚いており、思いを込めて演奏した作品であっただけに残念なことでございます。以下、CDの発売元であります日本コロンビア株式会社の公式発表(2/5付)を掲載いたします」として、コロンビア社の「商品の発売元として責任を痛感しており、深くお詫び申し上げます」というコメントを掲載しています

 

          

          

               (『シンフォニー』P33の記事=中央)

 

東京交響楽団が、「思いを込めて演奏した」作品としているのは嘘偽りのないことだと思います CDを聴けば判りますが大友直人指揮東響は渾身の演奏をしています

さて、昨日は雪の影響もほとんどなかったようで、会場はいつも通り満席です P席だけが合唱が入るため空いています。オケの配置を見て、おやっと思いました。向かって左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、そして管楽器奏者の後ろにコントラバスが横に並んでいます。日本のオケでこの配置を見たことはほとんどありません 数年前にロイヤル・フランダース・フィルがトりフォニーホールで演奏した時に採用していたことを思い出しました 

最初のモーツアルトの2曲は総勢40人前後の小編成で演奏します。指揮者・飯森範親はタクトを持たず、モーツアルトの2曲は暗譜で指揮をします まず、「フィガロの結婚」序曲です。飯森+東響にとっては挨拶代わりの曲、軽快なテンポで音楽を進めます 次の「交響曲第38番K504”プラハ”」も軽快なテンポで、歌劇「フィガロの結婚」のすぐ後に作曲しプラハで大成功を収めたこの曲の魅力を引き出します

休憩時間が終わり、コーラス陣がP席(舞台の裏側)に入場します。向かって左から女声、中央後列に女声、前列に少年少女、右サイドに男声がスタンバイします

カール・オルフはドイツの作曲家(1895-1982)ですが、バイエルンのボイロン修道院に所蔵されていた「カルミナ・ブラーナ」の写本と出会い、作曲を思い立ちます オルフはラテン語、フランス語、ドイツ語などで書かれていた写本の中からテクストを選んで舞台音楽として編成しました 全体は25曲から成りますが、序(2曲)、第1部「春に」(8曲)、第2部「居酒屋にて」(4曲)、第3部「求愛」(11曲)から構成されています

さすがの飯森も、この曲についてはタクトと譜面は欠かせません。バリトンの与那城敬とともに登場します 第1曲「おお、運命よ」が力強い管弦楽と合唱で始まります。この曲全体を支配するのはリズムです。打楽器が効果的に使われます。また、強弱のレンジが広く、ダイナミックな音楽が展開します

第4曲でバリトン独唱がありますが、気持ちよく聴いていると、1階席左サイド後方席で、男性が歌を口ずさんでいるのが聴こえました バリトン歌手に合わせて歌っているつもりのようなのですが、まったく外れています。多分、周囲の人も唖然として注意ができなかったのだと思います 春がまだ遠いのに、時々このような周囲の迷惑を顧みない徘徊老人が出現します 一般の聴衆は、何も高いお金を払って見も知らぬ老人の独り言を聴きにきたのではないのです。そこのところ分かっていただけないでしょうか

第1部が終わり、第2部「居酒屋にて」に入ろうとするとき、舞台左袖からテノールの高橋淳が、酔っぱらいのような足取りで現われ、舞台中央の椅子にどっこいしょと腰を下ろします そして第12曲「焙られた白鳥の歌」をファルセット(裏声のような高い声)で歌います。迫真の演技と歌声で嘆き歌います

第3部「求愛」に入り、「カルミナ・ブラーナ」で一番有名な歌、第21曲の「揺れ動く、わが心」がソプラノの半田美和子によって歌われます。本当に美しい曲です

そして最後の第25曲「おお、運命よ」になだれ込みますが、これは第1曲の力強い歌の繰り返しです 

「おお、運命よ。月のように姿は欠ける。常に満ち、常に欠ける。不快なこの世にもつらいのは一時。次には気まぐれに遊戯の心に味方する。貧乏も権力もしょせん氷のようにとかし去る・・・・・」

圧倒的な迫力のフィナーレで全曲を締めくくります。ブラボーと拍手の嵐です

本当に久しぶりに「カルミナ・ブラーナ」を聴きましたが、管弦楽と合唱による圧倒的な大迫力の作品です。飯森の指揮のもと、東響のメンバー、ソプラノの半田美和子、テノールの高橋淳、バリトンの与那城敬、東響コーラス、横須賀芸術劇場少年少女合唱団は渾身の力で20世紀最大の世俗的カンタータを歌い上げました マーラーやブルックナーの交響曲と同様に、この曲も、家の中でチマチマとCDで聴いていても、曲の良さが分かりません。生演奏で聴いてこそ感動があります

ところで、この曲を聴くといつも思い浮かべるのは、映画「インディー・ジョーンズ」で使われた恐怖を煽り立てる音楽です メロディーを聴くと、明らかに「カルミナ・ブラーナ」をパクったのではないかと思うような音楽なのです 皆さん、心当たりありませんか?

最後に、この曲で歌われる第21曲「揺れ動く、わが心」で忘れられないのはポピュラー・シンガー、バーブラ・ストライザンドが歌ったCDです 「クラシカル・バーブラ」(1976年)のタイトルで発売されたCDに収められた曲の中に「In Trutina」という曲名で入っています このアルバムにはドビュッシー「美しい夕暮れ」、フォーレ「パヴァーヌ」、フォーレ「夢のあとに」などの美しい歌が収録されています。素晴らしいのでお薦めしたいのですが、かなり古いCDなので廃盤になっているかもしれません。その時はごめんなさい

 

          

 

ところで、このアルバムの曲の紹介ページは次のようになっています。この中に大きな誤りがあります。さてどれでしょうか?答えは明日のブログで発表します。これがすぐに分かる人は相当のクラシック通です

 

          

 

コメント (5)
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