人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

都響「室内楽トークコンサート」を聴く~モーツアルト、ウェーバー、ドビュッシー、ラヴェル

2014年02月03日 07時00分31秒 | 日記

3日(月)。昨日、上野の東京文化会館小ホールで東京都交響楽団による室内楽トークコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲第21番ニ長調”プロシャ王第1番K.575」、②ドビュッシー「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」、③ウェーバー「クラリネット五重奏曲変ロ長調」、④ラヴェル「序奏とアレグロ」です

 

          

 

会場は文字通り満席。自席はQ列13番、左ブロック最後列です。最初に都響のフルート奏者・小池郁江さんが登場、1曲目のモーツアルト「弦楽四重奏曲K.575」について簡単に解説します

「この曲は『プロシャ王四重奏曲』と呼ばれている3曲のうちの1曲目で、プロシャ王であるフリードリヒ・ヴィルヘルム2世から直々に作品の依頼を受けたと言われています 王はチェロをたしなんでおり、相当な腕前だったようです したがって他の四重奏曲に比べてチェロの活躍が随所に見られます

演奏者の登場です。左から第1ヴァイオリン=及川博史、第2ヴァイオリン=篠原智子、ヴィオラ=村田恵子、チェロ=森山涼介という面々です

私はモーツアルトの弦楽四重奏曲の中でも特にこの曲が好きで、LP時代にはよくヴェラー弦楽四重奏団の演奏を聴いていました。第1楽章冒頭のメロディーを聴くとワクワクします 都響のメンバーによるカルテットは、モーツアルトの音楽の楽しさをよく表現していました

 

          

 

再び小池さんが登場し、次のドビュッシー「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」について解説します

「この曲はフルートとヴィオラとハープという珍しい組み合わせの曲ですが、この編成はドビュッシーが最初に採用したと思われます 後世に大きな影響を与え、日本では武満徹にもこの組み合わせによる素晴らしい曲があります 午前中、リハーサルをやったのですが、ハープを弾く山宮さんは、本番はドレスですが、リハーサルの時はパンツ姿で、足の動きがよく見えるのです ハープは傍から見ていると優雅に見えますが、実は足元のペダルで”調性を調整”するために足をバタバタと忙しく動かしていて、まるで白鳥の足掻きのようなのです。目に見えないご苦労があるのが判りました

演奏者の登場です。左からフルート=小池郁江、ハープ=山宮るり子、ヴィオラ=村田恵子の順にスタンバイします。幽玄といったら良いのか、ドビュッシー特有の浮遊感を感じさせる曲想です 3つの楽器の絡み合いが実に自然です。ヴァイオリンでなくヴィオラを起用したところにドビュッシーの天才ぶりが垣間見られます。素晴らしい演奏でした

演奏の途中、左ブロックの前から3列目の左通路側席からテレビ画面のような明りが見えました よく見ると、ケータイよりはるかに大きなサイズのタブレットらしき画面を見ているのです。女性の二人連れのようで、隣の女性も覗いています 3列目ですよ、奥さん これは相当目につきます。左ブロックの4列目より後ろの全ての聴衆の目に入っているはず。残念ながら、多くの聴衆が集まる公演の中には、まだまだこういう傍若無人で非常識なヤカラが一人はいるのです コンサートの生演奏中に堂々とタブレットを見る行為は、当選するはずもなく東京都知事選に立候補した上に、ライバル陣営の選挙カーに乗り上げて、自分の名前を連呼する行為と同じくらい無謀な暴挙です

休憩時間が終わって、自席に着いてその席を見ると、2つの席が空いたままになっていました 誰かが腹に据えかねて直接注意したか、係員にチクッた、もとい、注意を促したに違いありません こういう人はお金を払ってコンサートに来る必要はありません。お金をドブに捨てるようなものです。自宅で、どのチャンネルを回しても出てくるお笑い芸人の、上がる一方の(つまり、下らない)番組でも見ていればいいのです 昨日、左ブロックの4列目から後ろの席で聴いていた全ての聴衆を代表してお二人にお願います。もう二度と都内のコンサート会場に姿を現わさないでください。それが日本の平和と安全のためです

 

          

 

再度、進行役の小池さんが登場、ソリストの三界秀実さんを呼んで、次のウェーバー「クラリネット五重奏曲」について会話します

小池「クラリネット五重奏曲といえばモーツアルトの作品が有名ですね。リハーサルでウェーバーの作品の演奏を聴きましたが、弱音から強音まで幅広い音域で、凄いテクニックを必要とする曲だと思いました

三界「モーツアルトのほかに、ブラームスもクラリネット五重奏曲を作曲しています ウェーバーの作品は2人のちょうど中間に当たる時期に書かれました。モーツアルトの作品は当時の名手アントン・シュタートラーのために書かれ、ブラームスの作品は同じく名手ミュールフェルトのために書かれました それと同じように、ウェーバーの作品は、名手ハインリヒ・ベールマンのために書かれました

演奏者の登場です。今度はヴァイオリンが入れ替わり、左から第1ヴァイオリン=篠原智子、第2ヴァイオリン=及川博史、クラリネット=三界秀実、ヴィオラ=村田恵子、チェロ=森山涼介という編成です

第1楽章はアレグロですが、アダージョのように静かに始まります。そしてテンポアップして劇的な雰囲気を醸し出します 聴きどころは第2楽章の「ファンタジア」のアダージョです。三界のクラリネットの本領発揮といったところです。最弱音から弱音へ、弱音から強音へと移り変わるその音色の変化はさすがです 弾むような第3楽章メヌエット、そして再び名人芸の見せ所、第4楽章フィナーレです。ウェーバーってこういう魅力的な曲も書いていたのか、と再認識した演奏でした

小池さんが登場、最後のラヴェル「序奏とアレグロ」の解説をします

「この曲はフルート、クラリネット、ハープと弦楽四重奏という珍しい組み合わせによる七重奏曲です どの楽器をどこに配置するか、リハーサルでいろいろと試してみたのですが、ハープはセンター前面に配置することにしたまではよかったのですが、あとの楽器をどうするか問題が残りました またまたいろいろと試してみた結果が、これから演奏する配置です

どの楽器をどういう配置にすべし、という指定はないのでしょうから、実際に演奏する時に演奏者が話し合って決めるのだということがよく分かりました。実際の現場では「俺がセンターだ」とか「私は客席に近い端の席がいいわ」とか(心の底で)言い争いがあるのかも知れませんが、そこは天下の音楽家です。”謙譲の精神”でうまくハーモニーを奏でるのでしょう その結果、7人の奏者は、ハープをセンター前面にして、それを囲むように左からフルート、クラリネット、ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロという編成を採りました 

この曲は七重奏曲ですが、実質的にはフルートとクラリネットと弦楽四重奏をバックにして演奏するハープ協奏曲のような感じの曲です 後半にはハープによる華麗なカデンツァがあるのがその証左です 11分足らずの短い曲ですが、色彩感豊かな曲想で、天才ラヴェルを感じました

アンコールにラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」を三界秀実氏が編曲した版によって演奏しましたが、これもまた素晴らしい演奏でした

この日の「都響メンバーによる室内楽トークコンサート」にしても、新日本フィルがやっている「室内楽シリーズ”音楽家たちの饗宴”」にしても、オーケストラのメンバーが、小編成で聴衆と距離が近い小ホールで室内楽を演奏するのはとても良いことだと思います 機会があればまた聴きたいと思います

 

           

 

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