人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

川瀬健太郎+読売日響コンサートでベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く

2014年02月05日 07時01分13秒 | 日記

5日(水)。昨日の各紙朝刊を見て驚きました。ゲルト・アルブレヒト氏死去のニュースです 記事によると、ドイツの指揮者ゲルト・アルブレヒト氏が2日、病気のためベルリンで死去、78歳だったとのこと 彼はチェコ・フィルで、外国人で初めて主席指揮者を務めましたが、日本では98年から2007年まで読売日本交響楽団の常任指揮者を務めました 私はその時期に定期会員になっていましたが、彼が常任を退任してから退会しました ちょっと見がドイツの巨匠フルトヴェングラーに似ていて、とくにドイツ音楽には定評がありました 私は彼の指揮するブラームスの交響曲が大好きでした。ご冥福をお祈りいたします

 

  閑話休題   

 

その因果か、昨夕、雪の降りしきる中、池袋の東京芸術劇場に出かけ、読売日本交響楽団のコンサートを聴きました これは都民芸術フェスティバルの一環として挙行された公演で、プログラムは①ベルリオーズ「ローマの謝肉祭序曲」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、③ベルリオーズ「幻想交響曲」で、②のヴァイオリン独奏は志茂美都世、指揮は川瀬健太郎です

 

          

 

自席は1階N列23番、センターブロック右サイド。会場はほぼ満席。開演に当たりアナウンスが入ります

「読響桂冠指揮者アルブレヒトの死去を悼んでバッハの『アリア』を演奏します。演奏後、拍手はご遠慮ください

弦楽器奏者と指揮者・川瀬賢太郎が登場し、静かに「アリア」の演奏を始めます。演奏中、私は在りし日のアルブレヒトの演奏姿を思い浮かべていました。演奏が終わると、しばらく川瀬は頭を垂れ楽員とともに黙とうを捧げていました 聴衆もそれぞれ目を閉じ故人を偲びました。多分1~2分程度だったと思いますが、すごく長く感じました

指揮者とオケのメンバーは一度舞台袖に引き上げ、再度登場してコンマス小森谷巧の合図でチューニングをしました オケを見渡すと、相変わらず男性比率が高いことが分かります。ひょっとするとN響よりも高く、日本のオケでは一番男性が多いかも知れません 読響は普段、あまり聴く機会がないので、メンバーが数えるほどしか判りません コンマス以外で顔と名前が判るのは首席チェロの鈴木康浩、ソロ・チェロの毛利伯郎、首席コントラバスの西澤誠治(B.C.Jメンバー)、首席オーボエの蠣崎耕三くらいで、あとは弦楽セクション数人の顔に覚えがあるくらいです

1曲目の序曲「ローマの謝肉祭」は、ベルリオーズが作曲したオペラ「ベンヴェヌート・チェッリー二」の中の旋律をアレンジしてコンサート用の序曲として作曲したものです 弱音から強音までダイナミックレンジの広い曲で、謝肉祭に相応しい賑やかな曲です 川瀬は”元気溌剌”そのものでオーケストラの持てる力を引き出します 聴いていて特に感じたことは、ヴィオラセクションの充実です。首席に鈴木康治という名手がいることが大きいと思います

この曲を聴いて思い出すのは、LP時代に、レコード会社のキャンペーンか何かで巨匠メンゲルベルクの指揮による序曲「ローマの謝肉祭」を収録したレコードをもらったのですが、嬉々としてプレーヤーにかけてみたら、何ともひどい録音だったことです SPレコードからのコピーのようでしたが、音が団子状になって聴こえ、この曲が本当はどんな楽器で演奏しているのかサッパリ分かりませんでした いくらキャンペーンで無料だとはいえ、あまりにもひどく、巨匠メンゲルベルクに対するイメージが悪くなってしまいました こういうのはレコード会社にとってマイナスだと思いました

2曲目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調、いわゆる”メンコン”です。指揮者とともにソリストの志茂美都世(しも・みとせ)が淡いピンクのロングドレスで登場します。マリリン・モンローが来ているようなボディコン型で裾が広がっているドレスです

志茂はオケのサポートに乗って美しいメロディーを奏でていきますが、どうも衣装が気になって弾きにくそうです 演奏するには不向きなドレスを選んだようです。せっかく第63回日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門で優勝した実力を持っているのに、十分に発揮できないように見えます。動きが制約されているため、小手先で演奏しているように見えてしまいます 天下の読響との協演、”ハレの舞台”での演奏ですから、綺麗に着飾りたくなることも分かりますが、演奏することを最優先に考えた場合、どうなのでしょうか?

志茂の弓が上がり演奏が終了すると、緊張感から解放されたためか、満面の笑顔を見せ、聴衆の拍手に応えました さて、バックを務めたオケの皆さんはどのように感じていたのでしょうか

 

          

 

休憩後のベルリオーズ「幻想交響曲」は、信じられないことに、ベートーヴェンの死後わずか3年後に初演されました 標題を掲げたロマン派音楽の幕開けを告げる傑作です 聴いていていいなあ、といつも思うのは第2楽章の「舞踏会」のシーンです。第1ヴァイオリンを中心に優雅なワルツを奏でます。夢の中でベルリオーズが女優のスミスソンと踊るシーンが目に浮かぶようです

第3楽章の「野の情景」におけるコーラングレとオーボエの会話はのどかで、どこか懐かしさを感じさせます そして白眉は第4楽章の「断頭台への行進」です。色彩感覚に溢れた力強いメロディーは、ベルリオーズの代名詞と言っても良いでしょう

フィナーレは第5楽章の「ワルプルギスの夜の夢~魔女のロンド」です。高音クラリネットが魔女の奇怪な踊りを表現、弔いの鐘が鳴る中、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」のメロディーが鳴り渡ります オーケストラはモテる力をフルに発揮して狂気の饗宴のクライマックスを描きます

川瀬賢太郎は若さあふれる指揮ぶりで全力投球でした 若くして落ち着いた指揮をする指揮者よりもずっと好ましく思います プログラムに載ったプロフィールによると、今年4月から神奈川フィルの常任指揮者に就任することが決まっているとのこと。私はあまり聴く機会がないと思いますが、新しいオケでの活躍を期待したいと思います

 

          

 

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