人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

三ツ橋敬子+東京フィルで「シェエラザード」、ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」を聴く

2014年02月09日 08時53分55秒 | 日記

9日(日)。昨日は天気予報通り、朝から雪が降っていました 午後3時から文京シビックホールで”響きの森”コンサートがあるので、11時頃、開催するのか中止になるのか、同ホールのホームページで調べてみると、公式ツイッターに「予定通り開催する」と出ていました。その直後、同じ”響きの森”の定期会員であるAさんからメールが入りました。「意地悪雪 で交通機関が心配なので、今回のコンサートは断念します ブログを楽しみにしています」という内容でした。AさんとTさんは共に80歳を超えてコンサート通いする元気なシニア・レディですが、雪で足元が危ういので、それが賢明だと思います 「お二人の分もしっかりと聴いて、ブログに書きます」と返信しておきました

 

  閑話休題   

 

毎年6月にサントリーホール『ブルーローズ』(小ホール)で開かれている「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」が、今年も6月7日から22日まで開かれます 昨日はサントリーホール・メンバーズ・クラブの先行発売日だったので、午前10時の受付開始時間早々に、あらかじめ行くことを決めていた公演のチケットをインターネット経由で予約しました

 

          

 

今回予約したのは次の8公演です

Ⅰ.6月7日(土)午後6時開演 「オープニング 堤剛プロデュース2014」 ①ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」、②同「弦楽六重奏曲第2番」 チェロ=堤剛、ピアノ=若林顕、ヴェイオリン=依田真宣、ヴィオラ=高橋梓、弦楽四重奏=クァルテット・エクセルシオ

 

          

 

Ⅱ.6月13日(金)午前11時開演 「ENJOY! ウィークエンド」 ①ボロディン「弦楽四重奏曲第2番」より第3楽章「ノクターン」、②メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」より第1楽章ほか。弦楽四重奏=クァルテット・エクセルシオほか

Ⅲ.6月13日(金)午後2時30分開演 「ENJOY! ウィークエンド」 ①ベートーヴェン「モーツアルト”魔笛”~”恋か女房か”による12の変奏曲②同「チェロ・ソナタ第5番」。ピアノ=小山実稚恵、チェロ=堤剛

※ⅡとⅢはウィークデーの昼間の時間帯なので、当然休暇を取ることになります。何があっても休みます

Ⅳ.6月13日(金)午後7時開演 「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会Ⅰ」 ①弦楽四重奏曲第1番、②同第7番、③同第12番。キュッヒル・クァルテット(ウィーン・フィルのメンバー)

Ⅴ.6月15日(日)午後2時開演 「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会Ⅲ」 ①弦楽四重奏曲第3番、②同第9番、③同第14番。キュッヒル・クァルテット

Ⅵ.6月17日(火)午後7時開演 「室内楽アカデミー ゲストコンサート」 ①メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」ほか。パシフィカ・クァルテット(大ファンです)ほか

 

          

 

Ⅶ.6月21日(土)午後7時開演 「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会Ⅵ」 ①弦楽四重奏曲第6番、②ピアノ・ソナタ第9番(ピアノ=河村尚子)、③弦楽四重奏曲ヘ長調(ピアノ・ソナタ第9番の作曲者による編曲)、④弦楽五重奏曲(ヴィオラ=店村眞積)。キュッヒル・クァルテット

Ⅷ.6月22日(日)午後1時半開演 「ミュージックガーデン フィナーレ」 ①ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第9番」、②ヴィヴァルディ「四季」より「春」「夏」ほか。ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、フルート=佐久間由美子、ヴィオラ=川本嘉子、ハープ=吉野直子、弦楽四重奏=パシフィカ・クァルテット、クァルテット・エクセルシオほか

 

          

 

本当はキュッヒル・クヮルテットのベートーヴェンの弦楽四重奏曲は6月14日のⅡ(第2番、第8番、第13番)も、19日のⅣ(第4番、第10番、第15番)も、20日のⅤ(第5番、第11番、第16番)も含めてすべて聴きたかったのですが、すでに他のコンサートの予定が入っているので涙をのんで諦めました

ところで、サントリーホール・メンバーズ・クラブに入会(無料)すると会員先行発売でチケットが買えるばかりでなく、このチェンバーミュージックガーデンに関しては「早割」制度があって、かなり格安で買えます 例えば6月13日のキュッヒル・クァルテットによる「ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲演奏会Ⅰ」の公演は指定6,000円ですが、指定早割は4,000円です

もちろん、インターネットからの申し込みで、チケットぴあでの受け取りを選んだので、システム利用料210円、発券手数料105円、決済手数料210円の計525円が上乗せされますが、それでも4,525円で、通常通り買う場合の6,000円に比べれば大幅に格安です

会員先行発売開始日の発売開始時間に予約を入れて、苦労してチケットを取った経験からすると、主要公演のほとんどが一般発売(2月22日)を待たずにソルド・アウトになる可能性が高いと思われます もし、どうしても聴きたいコンサートがあったら、すぐに会員登録してインターネットで予約を入れた方が良いと思います その場合「座席を指定する」か、「座席をお任せする」かを問われたら、「お任せする」を選んだ方が良いでしょう。多くの人が同時刻に同じ席に殺到する可能性が高いので、欲しい席はほとんど確保できないからです。ご健闘をお祈りします

 

  閑話休題  

 

昨日、午後3時から文京シビックホールで”響きの森クラシックシリーズ”コンサートを聴きました プログラムは①ベルリオーズ「”ローマの謝肉祭”序曲」、②ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」、③リムスキー・コルサコフ「シェエラザード」で、演奏は三ツ橋敬子指揮東京フィル、②のピアノソロは舘野泉です

 

          

    

開演時間の3時になりましたが、会場に空席が目立ちます いつもの3分の2くらいしか埋まっていないと思われます。AさんやTさんのように、雪のせいで、高齢者の方々を中心に会場に来るのを断念した方が多かったのではないかと思います 逆に言えば、このシリーズは多くの高齢者の会員によって支えられている、と言えなくもないでしょう

指揮者の三ツ橋敬子は、2010年第9回アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールの準優勝者で、東京フィル100年の歴史の中で、定期演奏会を任された初の日本人女性指揮者です

いつものように髪を後ろで束ねた小柄な三ツ橋がさっそうと登場、コンマスの三浦章宏氏と握手し指揮台に登壇します。1曲目のベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」は、つい先日、川瀬賢太郎指揮読売日響による演奏で聴いたばかりです

 

          

 

三ツ橋のタクトで激しい音楽が開始されます。そして、すぐにアンダンテのゆっくりした部分に移行します アレグロの激しい場面の音楽作りもいいのですが、三ツ橋の本領はこうしたアンダンテの場面の方がいいと思います 歌うべきところはテンポを落として十分に歌わせ”カンタービレ”の魅力を発揮します それは彼女がイタリアのヴェネツィアに住んでいることに無関係ではないような気がします。そこが、先日の川瀬賢太郎との違いかも知れません

ピアノが舞台左袖からセンターに移動し、2曲目のラヴェル「左手のための協奏曲」に備えます。この曲は、第1次世界大戦で右腕を失ったオーストリアのピアニスト、ヴィトゲンシュタインの依頼によって作曲されました 単一楽章の曲ですが、「ピアノ協奏曲ト長調」と同様、ジャズの手法が用いられています

指揮者とともにソリストの舘野泉が登場、ピアノに向かいます。冒頭、コントラバスによる重低音の中、コントラファゴットがテーマを奏でます 管弦楽が頂点に達したところでピアノが重々しく登場し、そのまま長いカデンツァに入ります 聴いていて、とても左手だけで演奏しているとは思えません。切れ目なく続くのは、行進曲風のリズムです。ここからが第2部で、ジャズのイディオムが採用されています そして再び緩やかな音楽の第3部に入り、長いカデンツァが演奏され、フィナーレになだれ込みます。ここでも舘野による、まるで両手で演奏しているかのような名人芸を聴くことになります

大きな拍手 に迎えられ、舘野はカッチー二の「アヴェ・マリア」(吉松隆編曲)を左手でロマン豊かに演奏しました

 

          

 

休憩後はリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」です。彼は元々は海軍の軍人だったとのこと。珍しい職歴ですね

シェエラザードというのは「千一夜物語(アラビアン・ナイト)」の語り部となる女性の名前です。「妃の不貞に怒ったサルタンの王シャーリアールは、処女と初夜を過ごし、翌朝殺すという習慣を続けていた。しかし、聡明なシェエラザードは、王に毎晩面白い話を聞かせ、遂にはそれが千一夜にも及んで、王の残忍な心は消えてしまった」という物語です

三ツ橋が再度登場、タクトを振り下ろします。小柄な三ツ橋は動作を大きくし、管弦楽からスケール感と色彩感を醸し出します この曲でも、第3楽章「若き王子と王女」のアンダンティーノのようなゆったりした部分を、カンタービレで十分に歌わせます 最初から最後まで全体を”締めていた”のは曲の随所で名人芸を見てせてくれたコンマス・三浦章宏氏によるヴァイオリン独奏でした ”音による物語”を十分堪能したコンサートでした 

コンサートが終わった午後5時になっても、まだ雪は降りやまず、道路は雪で滑りやすくなっていました。AさんもTさんも来なくて良かったと思います。雪で滑って骨折でもしたら元も子もありませんから それにしても、今日は朝から晴れ間さえ見えます 昨日、コンサートを諦めた方々は「昨日と今日と天気が逆だったら良かったのに・・・・・・とため息をついていらっしゃるのではないでしょうか。同情に耐えませんが、自然には勝てません 私は今日もコンサートに行くので同じことです

 

 

          

 

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