25日(火)。ソチ五輪の閉会式で、開会式では「五輪」が開かず「四輪」になったハプニングを逆手に取った演出が笑いを誘ったというニュースがありました 最初に「四つの輪」を作って、右上の輪が開かない状況を再現して、「また四輪か」と思わせておいて、後から最後の輪を再現したというものです。これでまた失敗したら五輪中(ごりんじゅう)でしたね
閑話休題
一昨日、新国立劇場から「”死の都”ゲネプロ見学会のご案内」が届きました。あまりの遅さに愕然です
3月12日から新国立劇場で始まるコルンゴルトのオペラ「死の都」のゲネプロを3月9日(日)に挙行するが、抽選で当選したら観られるというものです 8月に申し込んで、9月末ごろ当選発表とのことで、当選したらしいことが判ったのですが、当日の時間がまったく分かりません いつ知らせが来るのだろうと、ずっと待っていたのですが、一向に来ないのでシビレを切らして、同日午後2時から開かれる東京フィルのコンサートのチケットを買ったのです シューマンのピアノ協奏曲を聴きたいというのが最大の理由です ゲネプロが夕方からであれば両方とも聴けるという期待がありました
これでまた振り出しに戻りました。「死の都」のゲネプロとシューマンのピアノ協奏曲のどちらを選ぶか、という問題です シューマンの協奏曲は、いくらでも次のチャンスがあるのに対して、「死の都」のゲネプロを観るチャンスはもう二度とないかも知れない・・・・というのが最終的な結論です 「死の都」は新国立劇場での初上演 オペラの中で歌われる「マリエッタのアリア」がゲネプロを含めて2度聴けるのが最大の魅力です
新日本フィルの次期シーズンへの定期会員継続を決めました 引き続き「トリフォニー・シリーズ」第2夜のS席(現在の席)とし、昨日、継続申込書を送付しました
も一度、閑話休題
昨夕、当ビル10階ホールで日本記者クラブ主催の試写会「60万回のトライ」を観ました これは、ソウル出身の女性監督が在日コリアンである大阪朝鮮高校ラグビー部の活躍を3年間にわたり密着取材したドキュメンタリー作品です
大阪朝鮮高級学校(オオサカチョーコー)は1952年創立で所在地は東大阪市。大阪、和歌山、奈良、三重から在日朝鮮人の生徒約350名が通っています ラグビー部はじめ全国区のスポーツ強豪校として知られていますが、ラグビー部が公式戦に参加できるようになったのは1991年のことで、創部から20年近く経っていました 全国大会初出場は2003年、以来、ベスト4を2度、ベスト8を1度経験しています
2010年正月、ラグビーの殿堂・花園で大阪朝高ラグビー部は、創部以来初めて全国大会準決勝の舞台に立ちます 惜しくも決勝進出は叶いませんでしたが、その戦いぶりは若さと情熱に溢れ、彼らの同胞とともに「頑張れ、チョーコー」と叫びたくなります。主将のケガによる戦線離脱など困難な山を乗り越えながら次の闘いに臨みます 映画で見る限り、彼らはごく普通の高校生。明るく情熱的です タイトル「60万回のトライ」は、日本で生きる在日朝鮮人約60万人の夢と挑戦(トライ)が込められています
印象に残ったことが2つあります。一つは、ラグビー部監督の呉英吉(お・よんぎる)先生が生徒たちに「なぜラグビーをやるのか」を解くシーンです。呉先生は言います
「日本の先生たちが頑張ってくれて、在日である我々のチームが日本の大会に出場できるようにしてくれた。日本の人たちが我々をどういう目で見ているか?日本の先生たちが流れを変えてくれたように、我々もラグビーを通じて、日本の人たちが我々を見る目を変えるのだ」
それには強くなければならない。呉先生は部員たちを鍛えます。部員たちはそれに応えます
もう一つは、高校授業料無償化から大阪朝鮮高校を排除するとの決定を受けて開かれた在日代表者の記者会見に出席したラグビー部主将・金寛泰(きむ・がんて)君の言葉です。金君は主張します
「ラグビーにはノーサイドという言葉があります。ラグビーでは試合中は敵と味方のサイドに分かれて闘いますが、試合が終了(ノーサイド)すると、敵も味方もなくお互いの健闘を讃え合います 今回の、高校授業料無償化から朝鮮高校だけを除外することは、我々のサイドだけを切り離して分離する行為で残念です しかし、いつか、こうしたことがなくなることを信じています」
彼らは厳しい練習の合間にビラ配りをやり、自分たちの希望を、主張を伝えようとします。私は今まで、大阪市の問題は橋本市長の言うことももっともかな、と思っていましたが、この映画を観て、考えを改めました大阪朝鮮高校は大阪にあるのです。朝鮮にあるのではありません
ラグビーはボールを足で蹴る以外は自分より前にボールをパスできないルールになっています。自分でゴールに走り込んでトライするか、後ろの選手にパスするかしかありません 彼らは練習を積んで試合に勝ち続けることによってオオサカチョーコーの存在を日本国民に認めさせる、全国一になるまで後ろの世代に希望をパスして繋いでいくしかないのです そんなひたむきな彼らを陰ながら応援したいと思います。在日の人たちが真に日本人と平等に扱われる”ノーサイド”の世界が一日も早く実現することを祈ります
東京では3月15日(土)からオーディトリウム渋谷(東急文化村交差点左折して1分。電話03-6809-0538)で上映されます 午前10時半からで、上映時間は106分です。日替わりで朴監督の舞台挨拶や、4月から法政大学学長になる田中優子さんなどのトークイベントがあるとのことです この映画は、朝鮮に対してヘイト・スピーチをやっている人たちにこそ、是非観てほしいと思います