人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

下野竜也+新日本フィルで「展覧会の絵」を聴く~座席は選んだ方が良い

2014年02月22日 07時01分58秒 | 日記

22日(土)。昨日の朝日朝刊に「NHK調査『代作気づかず』という記事が載りました。超訳すると

「NHKが昨年3月に放送したNHKスペシャル『魂の旋律~音を失った作曲家』について、NHKの石田研一総務局長は20日の定例会見で『ゴーストライターがいた事実を誰も知らなかった。責任を重く受け止めている』と謝罪した NHKの調査によると、担当ディレクターは放送の5年前から佐村河内氏の取材を続けていたが、代作には気がつかなかった。『診断書や障害者手帳を持っており、いつでも手話で会話していた。耳が聞こえないことにも疑いをもっていなかった』と話しているという。NHKは佐村河内氏本人にも再度話を聞くなど、調査を続ける方針」

別のニュースソースによると、石田総局長は「実際に作曲の場面を撮らせてくれと要求したが、譜面を書くのは神聖なものだということで映像をとらえられなかった」と説明したとのこと

さてどうなんでしょうか?「5年前から取材を続けていた」というのは、佐村河内氏の自宅はもちろんのこと、福島県の被災地をはじめ行く先々に同行して取材をしていたということです それでも、彼が「実際には耳が聞こえていた」ことに全く気がつかなかったというのは素直に信じられません 何となく佐村河内氏と担当ディレクターとの間に暗黙の了解があったような気がしてなりません

 

  閑話休題   

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場で新日本フィルのコンサートを聴きました プログラムは①ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、③ムソルグスキー/ラヴェル「展覧会の絵」です。指揮は下野竜也、②のピアノ独奏は小山実稚恵です このコンサートは都民芸術フェスティバルの一環として挙行されたものです

 

          

 

自席は1階E列1番。前から6列目の最左端です。前方の左端の席は初めてです 会場はほぼ満席。オケがスタンバイし、コンマス・西江辰郎(王子と呼ばれている)の合図でチューニングが始まります 自席からは第1ヴァイオリンの背中しか見えず、管楽器などは一人も見えません。在京オケの中で新日本フィルは、室内楽シリーズを聴いているため、ほとんどのメンバーの顔が分かりますが、演奏中その顔が見えないのは残念です

2001年の第47回ブザンソン国際指揮者コンクール優勝者・下野竜也のタクトにより「運命の力」序曲が金管のファンファーレで始まります 序曲はオペラの縮図とも言われますが、ヴェルディの序曲は劇的です。途中、オーボエの哀しげな旋律が悲劇を暗示します。序曲を聴いただけでもヴェルディの良さが感じられます

第1ヴァイオリン奏者が舞台袖に引き上げ、グランドピアノが左袖からセンターに移動します。ソリストの小山実稚恵がマリンブルーのドレスに身を包まれて颯爽と登場します モーツアルトの頃のピアノ協奏曲は長い序奏の後に、女王のごとくおもむろにピアノが登場しますが、このラフマニノフの第2番は冒頭からピアノが登場します 私はテレビを見ませんでしたが、ソチ五輪フィギュアスケート女子フリーで浅田真央がこの曲に乗せて演技したようです ロマンティックな曲の代名詞的な曲です。小山実稚恵にとってこの曲は、何回弾いたか分からないほど弾きこんだ曲に違いありません 自席からは彼女の後ろ姿しか見えませんが、右手の動きはよく分かります。滑らかな指の運びがよく見えます

拍手で何度も舞台に呼び戻され、アンコールにラフマニノフの「プレリュード作品32-5」を演奏しました

休憩後はムソルグスキー作曲、ラヴェル編曲による組曲「展覧会の絵」です。ムソルグスキーはもともとピアノのためにこの曲を作りました。その後、ラヴェルが管弦楽用に編曲したのです。私はかつてピアノ独奏でこの曲を聴いたことがありますが、言ってみれば”墨で描いた”絵でした。それがラヴェルのオーケストレーションによる演奏で聴くと、絵の具でカラフルに色づけられた”油絵”のように感じます。ラヴェルが『オーケストレーションの魔術師』と呼ばれる所以です この日の演奏がまさに”油絵”のような色彩感豊かなタブローでした

第1ヴァイオリンが目の前なので、彼らの演奏姿を見ながら聴いていた訳ですが、どうも落ち着きません いつもは前方にしても後方にしても、センターブロックの席に座っているので全体がよく見通せるのですが、前方の端の席は見通しが悪く、まったく慣れません やはり、管楽器、弦楽器、打楽器といったオケ全体を見通せる席で、どの楽器からどんな音が出ているのかを確認しながら聴かないと、音楽がすんなりと耳に入って来ないのです。演奏者の近くで聴けるのは迫力もあり良いのですが、せっかくの素晴らしい演奏が頭の上を通り過ぎていくようでとても残念です。今回はいい経験になりました。これからは同じ端の席でも後方席を選ぼうと思います

下野+新日本フィルはアンコールにエルガーの「エグニマ変奏曲」から「ニムロッド」を感動的に演奏しました。新日本フィルの”アフター”の根城はすみだトりフォニーホールのある錦糸町とサントリーホールのある赤坂アークヒルズ付近だと思います。池袋ではどんな店に打ち上げに繰り出すのでしょうか

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする