人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未の弾くモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調」を聴く~「生きる:若い命を支えるコンサート」

2011年12月24日 06時36分47秒 | 日記

24日(土).昨日,横浜みなとみらいホールで「生きる~若い命を支えるコンサート」を聴いてきました 毎日新聞社(毎日新聞東京社会事業団)は1996年から,小児ガンと闘う子どもたちを支援するキャンペーン「小児ガン征圧キャンペーン・生きる」を展開していますが,07年からは横浜市との共催で「クラシック・ヨコハマ」音楽祭の一環としてコンサートを開催しています

巣鴨からJRで桜木町まで行き,徒歩でランドマークタワーを抜けて,やっと,みなとみらいホールに到着です.横浜は遠いなあ 自席は2階席なのでエスカレーターで上がってロビーに出ると,一画に事業団のデスクが出ていて「小児がん征圧キャンペーン」の募金箱が置かれていました.そこに一人の男性が立っていました.覚えのある顔だったのでジッと見ていると,ハッと気がついて「やあ」と驚いた様子でした.大学で同じゼミだったS君でした.S君は大学卒業後,毎日新聞社に記者として採用され,地方勤務を経て本社に戻り,読者室長やNIE(Newspaper in Education)事業関係の仕事をして昨年定年を迎えました.名刺交換をすると,公益財団法人毎日新聞東京社会事業団事務局長と書かれていました.毎日新聞社は社会福祉事業に積極的に取り組む姿勢が伝統的にある素晴らしい新聞社です

本当に久しぶりの再開でした.まさかコンサート会場で彼に出会うとは思いもよりませんでした.彼は学生時代から社会福祉に関心を持っていたので今の仕事は本望でしょう.募金箱に志を入れて,「近いうちに飲もう!」と約して席に向かいました 自席は2階C2列4番.センターの2列目通路側で見通しの良い席です.会場は9割方埋まっています

 

      

 

演奏曲目は①グリーグ「組曲:ホルベアの時代より」,②モーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466」,③ラヴェル「ツィガーヌ」,④サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」,⑤サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」の5曲です.

トップバッターは第65回全日本学生音楽コンクール全国大会ピアノ部門小学校の部第1位・山本大誠です.グリーグの「組曲:ホルベアの時代」から前奏曲,エア,リゴドンの3曲を演奏しました.一見”小学校の優等生”という感じの男の子で,礼儀正しくていねいにグリーグの世界を再現していました

さて,次は待ちに待った萩原麻未の登場です 彼女は2010年の第65回ジュネーブ国際コンクール優勝者.弾くのはモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466」です.彼女は7月30日の新日本フィル・サマーコンサートでこの曲の第2楽章だけ演奏しましたが,全曲を通して弾くのは今回が初めてです.期待が高まります

アンサンブルof トウキョウのメンバーが登場します.フルート奏者・金昌国を中心に結成された小編成のオーケストラですが,女性は他のオーケストラのコンサートと違って,各自が思い思いの服装を身につけています ブルーあり,グリーンあり,パープルあり,もちろんブラックありとカラフルです.そして赤いドレスの萩原麻未が,2009年のブザンソン国際指揮者コンクール優勝者で来シーズンからスイス・ロマンド管弦楽団の首席客員指揮者に内定している山田和樹とともに登場です

第1楽章アレグロは短調特有のデモーニッシュな曲想で惹きつけます.山田は慌てず騒がず,丁寧に音楽をつむいでいきます そこに萩原が,一音一音を慈しむかのような弾きぶりで加わります カデンツァはベートーヴェンによるものとのことですが,集中力ある演奏に惹き付けられました.

第2楽章ロマンツェは,映画「アマデウス」のエンドロールで流れていましたが,実に見事な選曲でした.萩原はどこまでも優しく軽やかに音をつむいでいきます

第3楽章アレグロ・アッサイは再びデモーニッシュな世界の再現を経て,ドラマチックなフィナーレを迎えます

鳴り止まない拍手に応えてアンコールを演奏しました.出だしを聴いて”これは一度聴いた曲だ”と思いました そう,9月27日に紀尾井ホールで開いたハープの高野麗音とのデュオ・コンサートのときに演奏したサン=サーンスの「トッカータ」です.ピアノ協奏曲第5番の終楽章に基づいて作曲されたこの曲は,超難曲で有名な曲です.萩原は道路上で言えば,スピード違反の超高速で,しかもあっさりと弾き切りました 初めて聴いた人は,あまりの凄さに呆気にとられたのではないでしょうか とにかく凄いピアニストです

演奏後に指揮の山田がマイクを携えて再度登場し,萩原にインタビューを始めました.「好きな食べ物は?」「広島生まれなので,お好み焼きが好きです」「あれ?広島と言えば牡蠣ではないんですか?」「牡蠣は,最近克服しました」「克服?・・・・あぁ,そうですか・・・」といった調子です.そして,萩原がこのコンサートに向けてメッセージを述べました

「人の心を幸せにすることのできる不思議な力が音楽にはあると思います.私はその幸せを届けるために誠心誠意心を込めて演奏しました」

休憩後はNHK交響楽団の元コンサートマスター徳永二男の登場です ラヴェル「ツィガーヌ」はフランス語で「ロマ」を指す言葉とのこと.この曲はハンガリー地域のロマを構想して作曲されました.サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」はヴァイオリンの鬼才サラサーテに贈った曲です.そのサラサーテの作曲した「ツィゴイネルワイゼン」は,ドイツ語で「ロマの旋律」という意味とのこと.徳永は3曲とも確かな技術の裏づけによって見事に弾き切りました

最後に演奏者が再び舞台に登場して,子どもたちから 花束 が贈られました.私の今年最後のコンサートに相応しい素晴らしいコンサートでした 

今年は通算124回聴きました.このブログは今年2月15日から始めましたが,この日以降のコンサートの模様はすべてブログに書いてきました.これからも,コンサートの無い日もブログは書き続けます.ご覧いただき,コメントをいただけると嬉しいです

 

      

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2 コメント

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良いお年を (中田久乃)
2011-12-24 23:48:37
Toraさん
いつもブログありがとうございます。毎日、続けることは大変なことだと思います。私は、このブログの良い意味で「普通、自然体」が大好きです。
来年もよろしくおねがいします。
返信する
ありがとうございます (tora)
2011-12-25 09:13:45
中田様,いつもアメリカからコメントをありがとうございます 中田様はじめこのブログを読んでくださる方々の暖かいお心を支えにこれまで毎日書いてきました
正直言って体調の良い時ばかりではありません(特にヘベレケに飲んだ翌日は)それでも毎朝6時には起きてパソコンに向かって書いています.
このブログを楽しみにしていてくださる方々を思うと”休めない”のです
これからも毎日書き続けますので,コメントをいただけると嬉しいです
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