人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

マーラーとウィーンの世紀~ヤマハホール「マーラー没後100年記念プロジェクト」を聴く

2011年12月06日 06時14分26秒 | 日記

6日(火).昨夕,銀座のヤマハホールで,マーラー没後100年記念プロジェクト「マーラーとウィーンの世紀末」コンサートを聴いてきました新しいヤマハホールで聴くのは初めてです.ヤマハのビル自体がすっかりきれいで新しくなっていて新鮮な感じがしました.開演の7時まで時間があったので,CD売り場に行ってみましたが,どうしてこう品揃えが少ないのだろうか,という印象です 渋谷や新宿のタワーレコードを基準に見てしまうせいかもしれません

座席はざっと見たところ250から300席くらいでしょうか.自席は1-Eー6でセンターブロックの通路側で前の方.若い人が多いのにはびっくりしました 銀座で買い物ついでにヤマハに寄ったらコンサートのチラシがあって,たまには行ってみようかな,というノリでしょうか?舞台の中央に置かれたピアノはもちろんYAMAHAです

プログラムは①ベートーヴェン「エグモント序曲」,②マーラー「ピアノ四重奏曲断章イ短調」,③シェーンベルク「清められた夜」(ピアノ三重奏版),④サン=サーンス「タランテラ」,⑤デュカス「ヴィラネル」,⑥シェーンベルク「室内交響曲第1番」(ピアノ五重奏曲版)の6曲です.このコンサートのチケットを買ったのは,言うまでもなくマーラーの「ピアノ四重奏曲」を聴くためです

演奏は瀬尾和樹(フルート),ニコラ・バルデイルー(クラリネット),アントワンヌ・ドレイフェス(ホルン),ニコラ・ドートリクール(ヴァイオリン),小峰航一(ヴィオラ),ベルトラン・レイノー(チェロ),ローラン・ヴァグシャル,朴鐘和(ピアノ)というメンバーです.経歴を見るとピアノの朴さんを除くメンバー全員がパリ国立高等音楽院の出身ということです

1曲目のベートーヴェン「エグモント序曲」が始まります.ハリソン・フォード似のヴァイオリン,ドートリクールが,「さあ,ベートーヴェンをやるぞ」といった凄い気力で弾き始め,他のメンバーを引っ張ります.ヴァイオリン,クラリネット,ホルン,チェロ,ピアノ,フルートの6重奏による演奏ですが,これほどの小編成で「エグモント序曲」を聴いたのは初めてです.なかなか迫力があってベートーヴェンらしさが伝わってきました

さて,2曲目は待望のマーラー「ピアノ四重奏曲」です.ピアノ,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロによる演奏です.ここでもメロディー・メーカーのヴァイオリン,ドートリクールがリードします.まるでブラームスの室内楽とも思えるマーラー初期の音楽を,静かに,そして豊かに演奏します.チェロも,ヴィオラも,もちろんピアノもよく歌っています

3曲目のシェーンベルク「清められた夜」は,1899年に,もともと弦楽六重奏のために作曲されたものですが,今回はヴァイオリン,チェロ,ピアノによって演奏されました.たった3つの楽器による演奏にもかかわらず,曲の持つ印象はしっかり伝わってきます.演奏が優れている証拠でしょう

休憩後の第1曲目,サン=サーンス「タランテラ」は,作曲者が20代のときに作曲されました.フルート,クラリネットと管弦楽による曲ですが,管弦楽に代わってピアノによる三重奏で演奏されました.テンポの速い曲で,相当の技術が必要とされると思いました

次の「ヴィラネル」という曲は,「魔法使いの弟子」で有名なデュカスが作曲したホルンとピアノのための曲です.1906年にパリ音楽院の試験曲として書かれたといいます.ヴィラネルというのは,田園詩や牧歌の意味だそうで,まさにそのような雰囲気の曲でした

さて,最後はシェーンベルク「室内交響曲第1番」です.フルート,クラリネット,ヴァイオリン,チェロ,ピアノによって演奏されました.交響曲といえば管楽器の方が少なく弦楽器が圧倒的に多いのですが,この曲は弦楽器よりも管楽器の方が多いのです.しかも全体の楽器の数は最小限に絞られています

シェーンベルクはこの作品に自負を持っていたようですが,初演は大スキャンダルを呼んだとのことです 「さもありなん」だと思います.現代においても「頭で理解しようと思っても耳が拒否してしまう」のですから.ただ,先日,東京交響楽団の定期演奏会でフル・オーケストラでこの曲を聴いた時よりも,曲の骨組みというか構成が,少しは明確にわかったような気がします.楽器が少ない分,一つ一つの楽器のメロディーや音そのものが聴き分けられたのかもしれません

アンコールに,室内交響曲第1番のフィナーレ部分を演奏したのですが,帰りがけにロビーの掲示板を見ると「アンコール曲=シェーンベルク”逢引より”」と書かれていました.この曲の最後の部分はそう呼ばれているのでしょうか?よく分かりません

今回,初めてヤマハホールで聴いた室内楽演奏会でしたが,演奏レベルは相当高かったのではないかと思います.十分楽しめました

 

 

            

 

 閑話休題 

 

今日はモーツアルトの交響曲第38番”プラハ”が完成した日です.1786年12月6日のことでした.この年に作曲したオペラ「フィガロの結婚」は大きな評判を呼び,当時プラハの町は「フィガロ」一色に染まったと言われています モーツアルト夫妻は現地で歓迎され,「フィガロ」初演の前夜,1787年1月19日にこの交響曲を演奏しました 通常,交響曲は4つの楽章から成りますが,この「プラハ交響曲」はメヌエット楽章のない3つの楽章から成り立っています.

よく聴くCDはヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏です.この組み合わせによるモーツアルトは最高です

 

           

コメント (2)
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