人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

超絶技巧オン・ステージを聴く~JTアートホール室内楽シリーズから

2011年12月20日 06時31分35秒 | 日記

20日(火).昨夕,虎ノ門のJTアートホール「アフィニス」で,JTアートホール室内楽シリーズ2011.10月~2012.2月の「超絶技巧オン・ステージ」を聴いてきました

プログラムは①ロッシーニ「弦楽のためのソナタ第3番」,②コダーイ「セレナード」,③イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」,④チャイコフスキー「カプリッチョ風小品」,⑤グリエール「タランテラ」,⑥ヘンデル(ハルヴォルセン編)「パッサカリア」,⑦ラヴェル「ヴァイオリンとチェロのためのソナタより第3,第4楽章,⑧サラサーテ「ナヴァラ」の8曲です

出演者は,1981年ヴィニャフスキー国際コンクールで日本人初の優勝者・漆原啓子,18日にイイノホールで演奏した黒川侑(以上ヴァイオリン),NHK交響楽団首席・佐々木亮(ヴィオラ),第59回ミュンヘン国際音楽コンクール・チェロ部門第2位・横坂源(チェロ),NHK交響楽団首席・吉田秀(コントラバス),日本国際音楽コンクール公式ピアニスト・林絵里(ピアノ)という面々です.なぜか男性は名前が一文字で共通していることに気がつきました

自席は13列1番.かなり後方の左端ですが,会場が小さいのであまり気になりません.250ほどの座席はほぼ満席です

1曲目のロッシーニ「弦楽のためのソナタ第3番」は,何とロッシーニが12歳の時に作曲した全6曲のうちのひとつです.ヴァイオリン2,チェロ,コントラバスの弦楽だけの四重奏により演奏されます 今年デビュー30周年を迎える漆原啓子が第2ヴァイオリンに回って,弟子の第1ヴァイオリン黒川侑を気遣いながら演奏します.とても12歳の作品とは思えない流麗な音楽が流れます 

2曲目のコダーイ「セレナード」は,ヴァイオリン2,ヴィオラによる三重奏によって演奏されます.ハンガリー民謡のような独特の音楽が奏でられます.ここでも漆原が黒川を気遣いながら演奏します.黒川はマイペースですが,演奏は確かです

休憩後の1曲目,イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」はジョルジュ・エネスクに献呈された「バラード」の名前で知られる名曲です.漆原はヴァイオリン1本から出ているとは思えないほど色彩豊かな流麗な音でメロディーを紡ぎます

チャイコフスキーの「カプリッチョ」は,チェロとピアノによって演奏されます.チェロが哀愁を帯びたメロディーを奏でたかと思うと,後半は急速なテンポで展開します

グリエールの「タランテラ」はピアノの伴奏でコントラバスが演奏します.ウクライナ人のグリエールが若いときに作曲した「間奏曲とタランテラ」の一部です.コントラバス1本が主役の曲を生で聴くのは初めてですが,なかなか面白い曲でした

ヘンデルの「パッサカリア」はヴァイオリンとヴィオラによる対話が面白い曲です.こういう音楽を聴くと,バッハにないヘンデル特有の素晴らしさを感じます

ラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」の第3楽章の冒頭を聴いたとき,思わず「これは”君が代”ではないか」と心の中で叫んでしまいました.出だしのメロディーがそっくりなのです 荘重な音楽が続きます.

最後のサラサーテ「ナヴァラ」は,ピアノの伴奏でヴァイオリン2本が演奏します.ナヴァラとはサラサーテの生まれ故郷に近い土地の名前です.2本のヴァイオリンは高音部の美しさを強調して,ジプシー音楽の要素を含んだ魅力的な音楽を奏でます.演奏直後,初めて漆原,黒川の師弟コンビが握手をしました.会心の出来だったのでしょう

会場いっぱいの拍手に応えてアンコールを演奏しました.シューべルトのピアノ五重奏曲「ます」の有名なテーマです.黒川を除く5人により演奏されました.ここで初めて,ピアノが伴奏から主役へと躍り出ました

アンコール2曲目はパガニーニの「無窮動ハ長調」という早いパッセージの曲で,出場者全員が主役を交代しながら演奏しました.演奏が終わると,出演者は満足そうな笑顔で拍手に応えていました

このシリーズは,これだけ盛りだくさんの内容が一流のアーティストによる演奏で3,000円で聴けます.素晴らしい企画だと思います

 

 

            

 

今日はモーツアルトの「ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219」が完成した日です。1775年12月20日にザルツブルクで完成しました この曲は、当時流行っていたトルコ趣味が曲に反映しているところから「トルコ風」というあだ名が付けられています

モーツアルトは1775年に一連のザルツブルク協奏曲と呼ばれる5つのヴァイオリン協奏曲(K.207,K211,K216,K.218,K.219)を書いていますが、その最後の曲です。明るく陽気なフランス趣味と翳りのあるドイツ趣味が入り混じって独特の魅力を発散しています

いま聴いているCDは,寺神戸亮(てらかどりょう)のヴァイオリン,ラ・プティット・バンドの古楽器による演奏です.寺神戸の使用楽器は1691年製のジョバンニ・グンランチーノ,モーツアルトよりも古い時代の楽器です.古楽器特有のくすんだ音色が魅力です

 

       

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