人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

きょう12月5日はモーツアルトの命日~モーツアルト没後220年

2011年12月05日 07時00分10秒 | 日記

5日(月)その2.今日はモーツアルトの命日です.1756年1月27日生まれのモーツアルトは1791年12月5日に死去しました.今日からちょうど220年前のこの日でした.35年11ヶ月の短い生涯でした 彼の死後モーツアルトの作品を研究したオーストリア生まれのルートヴィヒ・ケッヘルによる「モーツアルト全音楽作品の年代別主題別目録」によれば,モーツアルトは626曲の作品を残しています.「ケッヘル番号」として現在その名が残るケッヘルについては,講談社現代新書「モーツアルトを”造った”男~ケッヘルと同時代のウィーン」(小宮正安著)に詳しく書かれています.これについては4月6日のブログで紹介しました

 

            

 

モーツアルトの命日に際して,クラシック音楽を聴き始めてまだ日が浅い人のために,”どんな曲を聴いたらいいのか” 「モーツアルト入門」をお贈りします  彼の音楽は数も多く,ジャンルも多岐にわたっているので,ジャンルを搾り込んで,あくまで独断と偏見で選びました

1.交響曲

  第39番,40番,41番(ジュピター)の後期3大交響曲は甲乙つけ難い名曲ですが,まず「第39番K.543」の第3楽章「メヌエット」を聴いてみてください.踊りだしたくなるような楽しい音楽です また,「第25番K.183」は映画「アマデウス」で一躍有名になりました.初めてこの曲の冒頭部分を聴く人にとっては衝撃の出会いとなるでしょう.このほか,「第31番k.297(通称”パリ交響曲”)」がモーツアルトの青春の息吹を感じさせる名曲だと思います

2.ピアノ協奏曲

  第20番,第21番,第23番,第24番,第26番,第27番といったところです.このうち「第20番K.466」と「第24番K.491」は短調の魅力溢れる名曲です.一番好きなのは「第23番K.488」です.このほか彼の最初の協奏曲である「第5番K.175」は17歳のときの作品ですが,溌剌として心がウキウキする名曲です(第1番から4番までは他の作曲家の曲の編曲なのでオリジナルではない).どの曲も第2楽章(アダージョ)がしみじみと心に沁みます.

3.クラリネット協奏曲イ長調K.622  第2楽章「アダージョ」は地上の音楽ではありません.天国の音楽です

4.セレナード第9番「ポストホルン」k.320 七つの楽章から成りますが,どの楽章もモーツアルトの魅力に溢れています

5.ピアノ・ソナタ第15番K.545 12分程度の小曲ですが,愛らしいキラキラした曲です

お薦めしたい曲は山ほどありますが,とりあえず上に挙げた曲を聴いてみてください なお,CDショップやTUTAYAなどで,誰の演奏がいいのか,と悩むかもしれませんが,結論を言えば誰の演奏でも良いのです.お店に並んでいるCDはプロの演奏家による演奏なので,どれもが鑑賞に堪えうるものです.不安ならCDショップだったらお店の人に相談するのもいいかもしれません 大切なこと,とくにビギナーにとって大切なのは,同じ曲を何回も繰り返して聴くことです.いつしか,メロディーを口ずさむようになった時,あなたはモーツアルトの世界から抜け出せなくなります

今夜,コンサートから帰ったら,「レクイエム」を聴いてモーツアルトを偲びたいと思います

 

     〔ピアノ協奏曲第23番,19番〕      〔ポストホルン・セレナード〕

       

     マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)      ジョージ・セル=     

     カール・ベーム=ウィーンフィル      クリーヴランド管弦楽団

 

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ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」,ストラヴィンスキー「ぺトルーシュカ」を聴く~東響定期公演から

2011年12月05日 06時11分07秒 | 日記

5日(月).一昨日の夜,サントリーホールで東京交響楽団の第595回定期演奏会を聴いてきました この日,錦糸町のすみだトリフォニーホールで新日本フィルの定期演奏会を聴いた後だったので,身体的にはシンドイものがありました.

 

               

               〔サントリーホール・ホワイエ〕

 

プログラムは①バッハ(シェーンベルク編)「プレリュードとフーガBWV552」,②ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲ニ長調」(ピアノ:館野泉),③ストラヴィンスキー「バレエ音楽:ペトルーシュカ」の3曲,指揮はオーストリア出身のギュンター・ノイホルトです

シェーンベルクはバッハを深く尊敬していたということで,1928年にバッハの「クラヴィーア練習曲集第3部」に収められている「プレリュードとフーガBWV552」をオーケストラのために編曲しました.クラヴィーアは鍵盤楽器のことですが,この第3部はオルガンのための曲集になっています.オルガンが単色だとすれば,シェーンベルクはそれにカラーを付けて色彩感溢れる曲に変貌させました ノイホルト指揮による演奏は,まさに,バッハが現代に蘇ったという印象を受けました

ピアノがセンターに運ばれて,ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」の始まりです.ソリストの館野泉が足を引きずりながら登場します.

オーストリア生まれのピアニスト,パウル・ヴィトゲンシュタインは,第1次世界大戦に従軍して右腕を失ってしまいます そこで彼は,R・シュトラウス,プロコフィエフ,ブリテン,コルンドルト,ヒンデミット,ラヴェルといった世界中で名の知れた作曲家に「左手のためのピアノ協奏曲」の作曲を依頼しました.このうち現在に至っても演奏されているのがラヴェルの曲なのです 曲は単一楽章ですが,大きく3つの部分から成ります.

ソリストの館野泉は1936年生まれ.64年からヘルシンキに住んでいます.02年に脳溢血で倒れ右半身不随となりましたが,04年に「左手のピアニスト」として復活しました 06年には「シベリウス・メダル」を授与されています.

目をつぶって聴いていると,左手だけで弾いているとは信じがたいほど色彩感溢れ,技巧的にも相当難しそうな曲想です 館野は左手に全神経を集中させて困難な曲に対峙します

圧倒的な拍手に応えてカッチーニ(吉松隆編曲)「アヴェ・マリア」をしみじみと演奏しました彼の弾いている姿を見て,「脳溢血で倒れた時は”もうピアノは弾けない”と絶望感に捕らわれてつらかったろうな」と思い,目がかすんで舞台が滲んで見えました.館野泉は人格的にも優れた人なのだろうと思いました

ストラヴィンスキー「バレエ音楽:ペトルーシュカ」は,ロシアの興行師セルゲイ・ディアギレフが率いるロシア・バレエ団のために作曲されました.「火の鳥」に次いで2作目です.もともとピアノ協奏曲的な作品として途中まで作曲されていたのですが,ディアギレフの勧めでバレエ音楽になりました.したがって,ピアノが大活躍します

1830年代のサンクトペテルブルクを舞台とするこの作品は4つの場面から成ります.

第1場「謝肉祭の広場」見世物小屋で人形使いがペトルーシュカ,バレリーナ,ムーア人に息を吹き込むと,3つの人形は踊り始めます

第2場「ペトルーシュカの部屋」ペトルーシュカはバレリーナに恋をし,気を引こうとしますが相手にされません

第3場「ムーア人の部屋」バレリーナはムーア人と意気投合してワルツを踊ります.それを見たペトルーシュカは嫉妬し,喧嘩になります

第4場「謝肉祭の夕方」ペトルーシュカが群集の前でムーア人に殺されます.人形使いがペトルーシュカの人形を運ぼうとしたとき,ペトルーシュカの亡霊  が小屋の屋根の上に現れます.

これらのシーンに付けられたストラヴィンスキーの音楽は,色彩感に溢れ,目をつぶって聴いていると,人形たちが踊っている様子が手に取るように感じられます.演奏がそれだけ優れていた証拠です.ピアノの尾崎有飛(1989年生まれ)の演奏は特筆に値します

こうしてみると,この日のプログラムに共通していたのは”色彩感あふれる音楽”です.ノイホルトは東響の力を十二分に引き出してそれを表現していました

 

                〔プログラム表紙〕

             

           (絵はシェーンベルク作Vision of Christ)

 

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