明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(345)花園大、ヴィレッジ、仏教大、大文字、弁護士会館でお話します。

2011年12月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20111203 23:30)

今後のスケジュールをお知らせします。
12月8日(木)に、花園大学の人権週間にお招きいただいてお話します。
花園大学は禅宗の大学ですので、冒頭に少しだけ、仏教と放射能に
ついて、僕の思うところをお話してみます。何せ、原子力行政が、
もんじゅ、ふげんという、大切な菩薩の名前を使ってきましたので・・・。

12月11日(日)に、北白川北大路近くのヴィレッジで、京都の歌姫
和製ヴィヨーク、まーりんの歌と僕の講演のセッションを行います。
みなさま。とにかく、まーりんの歌はものすごいです。本当に
感動します。僕の講演はさておき、まーりんの歌に酔いしれにきて
ください。
講演のあとに、みんなで未来について語り合います!

12月16日(金)に、仏教大学で仏教大学9条の会と、「チェルノブイリ
ハート」上映実行委員会共催の映画上映会に参加。前段で30分の講演を
行います。映画の後のディスカッションにも参加します。

12月24日(土)「クリスマスチャリティ福島を思うウォーク」で引率と
解説を行います。主催はサクセスランニングです。これだけ少し長く
説明しておきます。

なぜ東山なのかですが、その中の若王子山に同志社墓地があり、その
まわりにキリスト者の墓地が大きく広がっています。十字架の墓標が
たくさんあり、クリスチャンの方たちがここに寄り添って、眠っている
ことがわかります。

ここに明治の京都復興の立役者、山本覚馬が眠っています。彼は
元会津藩士。砲兵隊長として、御所に攻め寄せる長州軍を打ち破った
経歴を持つ人物です。

その後、明治維新で会津が蹂躙され、国を守るのは武力ではないと実感、
教育と法律に展望を託します。まず京都町衆と、日本で最初の小中学校を
創設。さらに近代日本で最も強固なフェミニストであった彼は、女子校を
作ると共に、売買春の禁止と祇園の芸子の解放をめざし、明治6年「娼妓
解放令」にこぎつけます。しかし「女性による自由な売買」という抜け道
ができたことに失望。法律ではなく、人の心を磨くことこそ第一と考えて、
キリスト教に接近。やがてアメリカから帰って、キリスト教精神の学校を
作ろうとしていた新島襄と知り合い、「新島君、君と僕は同志だ!僕らの
やしろ(社)を造ろう!」と同志社創設に向かうのです。

教徒の旦那衆は、そんな山本を尊重し、明治10年に始まった普通選挙で
立候補をしていない山本に多くの人が投票。彼は京都府会議員に当選して
しまいます。覚馬は驚きつつも迎えに応じて、議会に参加。今度は議員
の自由投票において、京都府府議会の初代議長に選ばれてしまいます。
近代の京都は、初代議長にキリスト者を選んだのです。

山本は同時に京都の諸産業を育てました。京都の名だたる会社の多くが
山本の手で育てられています。これらの点から僕は、山本覚馬は、坂本
龍馬と同じような開明的な観点を持ちつつ、しかし海軍という暴力装置
の創設で終わってしまった龍馬を大きく越え、暴力を越え、教育に、
さらには女性の尊重に未来をみようとした人物として尊敬しています。
彼のお墓の前では、「山本先生」と呼びかけさせていただいています。

そんな会津とゆかりの深い京都の成り立ちを知るために、クリスマスイブ
に若王子墓地=クリスチャン墓地にみなさんをお招きしたいと思います。

この他、大文字山から京都市内を一望します。そこから見える御所の周り
は実は教会関連の施設だらけ。なぜ、京都を象徴する御所をぐるりと
キリスト教会が囲んでいるのか、どんなガイドブックにも書いていません。
しかしそれでは近代京都の成り立ちを何も知ったことにはならない。
そんなことも現場で解説します。

大文字山から遠く、会津を、福島を、東北を思い、痛みを背負った
人々と苦しみをシェアしていく来年の展望を語り合いたいと思います。

1月21日(土)京都市弁護士会館。
来年になりますが、「京都から東北へ‐地震、津波、原発事故‐」
というタイトルでお話します。ここでも東北の痛みをいかにシェア
するのか、お話したいと思います。

この他、いくつかの保育園での講演がありますが、クローズドな会合
のため情報掲載は割愛します。同年代のお子さんがおられたり、保育園
に勤務している等々、興味がある方は、守田までご連絡ください。

***

◇12月8日 午後1時から 花園大学無聖館ホール◇

第25回花園大学人権週間「知ることから」
2011年12月5日~8日
講演 12月8日(木)午後1時から2時半)
講師 守田敏也
「放射線被曝の恐ろしさとは?防ぐために必要なことは?
~核戦略のもとで隠されてきた内部被曝の脅威~」

詳しくは下記に
http://www.hanazono.ac.jp/jinken/jinkenweek2011

宮西優誌さんの講演に関する解説がこちらに
http://www.hanazono.ac.jp/jinken/jinkenweek2011/04_20111208

問い合わせ先
〒604-8456
京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1
花園大学人権教育研究センター(栽松館407)
TEL 075-811-5181(内線407)
E-mail jinken@hanazono.ac.jp

***

◇12月11日19時半から ヴィレッジ◇

VISION・・・明日に向けて(放射能の時代をどう越えるのか)
歌  マーリン
講演 守田敏也
その後に講師を交えて討論
・・・歌と講演による投げ銭ライブ

ヴィレッジの場所は以下の通り
http://r.tabelog.com/kyoto/A2603/A260302/26004328/dtlmap/

***

◇12月16日18時半から 仏教大学◇

9条映画会のお知らせ

佛大9条の会と、北区の「チェルノブイリハート」上映実行委員会が共催し
映画会を上映します。
本学の学生だけでなく、地域のお母さんグループや保育士の方々など、子ど
もに関わる人たちの御協力で取り組んでいます。
保育もありますので、お母さん方へもお知らせくださいますようお願いします。
転送お願いします。

日時 12月16日(金)18時開場、18時30分~19時ミニ講演 19時~20時 上映
場所 佛教大学 5号館-101教室
http://www.bukkyo-u.ac.jp/bu/guide/access/campus/
保育 13号館3階和室(正門横) *軽食を用意しています。

* ミニ講演は守田敏也さん.
* 上映費用がかかるので学生は300円一般500円以上のカンパをお願いして
います.

***

◇12月24日 大文字山◇

クリスマスチャリティー福島を想うウォーク@大文字山
~会津藩士 山本覚馬を想いながら~

実は京都と福島は深いつながりがあります。会津藩士 山本覚馬
明治維新のころ、京都の発展に尽力された方です。新島襄さんと
同志社大学を設立、新島襄さんが妹さんの八重さんとと結婚され
て、再来年?のNHK大河ドラマで取り上げられると聞いています。

そんな山本覚馬に想いを馳せながら、山本覚馬が眠る同志社墓地を
訪ねて、大文字山を歩いて、最後は火床からの素敵な夕焼けを眺め
ます。
収益の全ては、福島での除染活動、情報収集&提供など、OHANAの
活動で一緒に東北に行った守田敏也さんの震災支援の活動に寄付
させて頂きます。

日時 : 12月24日(土)
集合 : 13:30 平安神宮
参加費 : 3,000円
詳細: http://www.success-running.com/news/2011/12/20111224.pdf

***

◇1月21日 京都弁護士会館地階大ホール◇

当会の「人権救済基金制度」という法律援助事業を、もっと多くの市民に知っ
て頂くため、「第16回 法律援助を広げる市民のつどい」を開催します。
内容は以下のとおりです。制度説明や事例報告の他に、フリーライターの守田
敏也氏に「京都から東北へ‐地震、津波、原発事故‐」をテーマとした講演を
行って頂きます。また、中国琵琶親子演奏のミニコンサートも予定しています。
事前予約や参加費は不要ですので、皆さんどうぞお気軽にお越し下さい。
http://www.kyotoben.or.jp/event.cfm#605

● 日 時
2012年(平成24年)1月21日(土)
開場:午後1時  開演:午後1時30分

● 場 所
京都弁護士会
京都市中京区富小路通丸太町下ル

● 内 容
◆人権救済基金等についての説明
◆人権救済基金利用者からの報告
◆ミニコンサート(中国琵琶親子演奏)
◆講演 守田敏也氏 「京都から東北へ‐地震、津波、原発事故‐」

★☆★参加無料★☆★

問い合わせ
京都市弁護士会館
075-231-2378





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明日に向けて(344)3月に降ったセシウム、過去最高の50倍超 気象研観測

2011年12月03日 10時00分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20111203 10:00)

表題と同じタイトルの記事が朝日新聞に昨日出ました。気象庁気象研究
所(茨城県つくば市)での観測です。この記事は、事故当初流布した、
「今回、福島原発から出た放射能よりも過去の核実験で出たものの方が
膨大」という「説」が間違っていたことを裏付けるものです。しかも
50倍超と圧倒的に今回の方が多いことが示されています。

50倍超も降ってしまったという事実は、なんとも悲しいものですが、それ
でも「核実験の方がいいんだ」⇒「気にする必要はないんだ」という誤っ
た考え方を修正するのには大変、重要な情報だと思います。

「核実験ででたものの方が多い」という俗説の流布は、一つは意図的に
事故を小さくみせたくて流されたものだと思われますが、他方では、事
故が小さいと思いたい、それで心理的に現実から逃げたいという願望が
広めたものでもあり、災害心理学にいう正常性バイアスのもたらしたも
のです。

こうした見解をきちんとおさえることで、一つ一つ、正常性バイアスの
ロックをはずしていき、今、私たちの目の前にある危機をきちんと見据え
ていくことこそ大切だと思います。


ところで3月につくば市に降った量は、1平方メートル当たり3万ベクレル
弱とあり、夏に数十ベクレルになったとされています。セシウムはどこに
いったのでしょうか。半減期はセシウム134が2年、137が30年。つまりそ
れほど急激に崩壊していくことはありえない。降ったセシウムはどこかに
必ずあるわけです。

それが減ったのだとしたら、風雨で長された可能性が一番、高いと思いま
す。梅雨や台風の影響だと思われます。あとは風で飛んだと考えられます。
土壌にはそれほど深くには浸透していないのではないか。ただし、地下に
のびた何らかの裂け目等々がある場合は別です。

しかし福島に除染で訪れた経験からすると、筑波山ろくなどに降ったセシ
ウムは、風雨では流されきりません。まだそこに存在しているはずです。
乾燥してそこから再び飛来するものもあるでしょうが、山の中の腐葉土な
どにたくさん集まっているのではないか。そのため山に入るのはかなり
危険だと思います。山の幸ももちろん危険です。

野生動物たちは、この秋に、たくさんの山の幸を食べているはず。たくさ
んの動植物も被曝しているはずです。それらが地域の生態系や植生に変化
をもたらしてくことが考えられます。その点で、数十ベクレルになったか
ら安心なのではなく、何がどうなっているのか。調査を行っていくことが
大切だと思います。

それにしても、この気象研の予算が3月末で切られてしまったというのは
なんとも腹立たしいことです。明らかに事故実態、放射能拡散の動きを国
民・住民に知らせないための観測所つぶしです。一番観測が必要なときに
こういうことをするのが私たちの国です。

それに対して気象研の科学者たちは、予算を打ち切られながら、計測を
続けてきた。大変立派です。日本にはまだまだこうした気骨ある科学者の
皆さんがいます。同時にそうした方たちこそ優秀です。科学を政治によっ
て曲げることを拒否する科学者に必須の強い信念もあるからです。こうい
う方たちがいることに私たちの未来の可能性があると思います。

気象研の今回のデータ公表に、感謝の意を捧げます。

***********************

3月に降ったセシウム、過去最高の50倍超 気象研観測
朝日新聞 2011年12月2日0時57分

気象庁気象研究所(茨城県つくば市)は1日、福島原発事故で放出され、
3月に観測したセシウム137は1平方メートル当たり3万ベクレル弱
(暫定値)で、核実験の影響で過去最高を記録した1963年6月の
50倍以上だったと発表した。船を使った調査で、北太平洋上に広く
降ったこともわかった。

つくば市に降ったセシウム137は4月には数十分の1に減り、夏には
1平方メートル当たり数十ベクレルとチェルノブイリ事故後のレベルに
なったという。環境・応用気象研究部の五十嵐康人室長は「福島原発事
故前の水準に下がるまで数十年かかるのでは」と話している。過去最高
値は同550ベクレル(移転前の東京都で観測)。

4~5月に海水を採った調査では、福島原発から大気中に出た放射性物
質は北太平洋上の広範囲に降り注いだことがわかった。米西海岸近くで
も降っていた。

大気中から降るものとは別に、福島原発から海に流れ出たセシウム137
とセシウム134は、それぞれ少なくとも3500テラベクレルと試算
した。

表層では北太平洋を東へ広がり、その後潜り込んで南西に流れ、中層の
流れにのったものの一部は20~30年後に日本沿岸に戻ると予測して
いる。地球化学研究部の青山道夫主任研究官は「北太平洋全域の継続調査
が必要」と話している。

核実験の影響を監視するため、気象研は1954年から放射能を観測して
きたが3月末、今年度予算が突然凍結され、観測中断を迫られた。今回の
結果は、それを無視して観測を続けた研究者の努力で得られたものだ。
(中山由美)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112010588.html
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明日に向けて(343)格納容器は破られていないという発表の恣意性(東電・経産の原発生き残り戦略を暴く)

2011年12月03日 01時00分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)

守田です。(20111203 01:00)

このところ、東電・経産省・政府による、事故収束演出の攻勢がかけられて
います。ストーリーの構成としては一つに原発が「冷温停止」に向かってい
ることを呼号し続け、そのように思えるデータを出すこと、二つには事故原
因が地震ではなく津波であることを強調し、津波対策さえすれば停止中の原
発の再稼動は可能だと主張することです。

三つには、すでに完全に破産しているもんじゅの廃炉を、野田政権の能動的
な政策化のように押し出していくこと。ただし「検討」としか銘打たず、ど
のようにも転換できる余地は残しながら、国民・住民に、対策をしているか
のような雰囲気を演出しつつ、狙いを軽水炉の運転継続にしぼって当面の延
命をはかること。これを「脱原発依存政策」と銘打ち、「脱原発」であるか
のようなダマシを行いつつ進めることです。

四つには、吉田所長を英雄に持ち上げつつ入院辞任とし、被曝の可能性をち
らつかせながら、一方で、想定を超える津波への対策を怠った罪や、事故発
生時に、「非常用冷却装置の稼働を誤認」したという責任を吉田所長にかぶ
せ、双方への東電としての責任追求を回避することです。

ちなみに2日には、ネット上に吉田所長が吐血して倒れたと病院が発表したと
いう情報がかけめぐりました。しかしこのニュースはソースが明らかになっ
ておらず、現段階では意図的なリークの可能性もあります。前にも述べまし
たが、吉田所長が被曝し吐血していたとしたらそれ自身はお気の毒ですが、
吉田所長の事故への責任はそれとは別に厳然としてあります。だからといっ
てそれは吉田所長だけのものではなく、東電と政府全体のものでもあります。

さてこうした「攻勢」の一環として新たに出てきた情報が、東電が出した、
福島第1原発1号機のメルトダウンした燃料が、原子炉は突き破ったけれども、
格納容器は破らずにとどまっているという11月30日の発表です。これについ
ては、新聞記事を読んだだけで、その恣意性がすぐに見抜ける代物です。な
ぜなら、ここには「炉内は直接観察できないため、シミュレーションソフト
を使って解析した」とあるからです。

当たり前の話ですが、シミュレーションソフトは、入力があってはじめて結
果がでます。その入力データはどうやってとったのか。その点がなんら明ら
かになっていない。だとすれば恣意的な入力がなされた可能性が極めて高い。
要するに東電にとって都合のいい結果を出すための操作で、これは本当に
「子どもだまし」のようなやり方です。

もっとも滑稽なのは、反対にこうした原子炉の状況の解析もなしに、「冷温
停止がもうすぐ」と語ってきたことです。その点で、今回のシミュレーション
は語るに落ちているところがある。というのは「炉内は直接観察できない」
ためにそれを行ったというのなら、これまで、つまりシュミレーションを行う
前にどうして「冷温停止がもうすぐ」と分かっていたといえるのか。いえない
のです。どうなっているのか分かっていなかったのだから。

ところが東電は、シミュレーションしてみたら、格納容器は破れたなかったと
言い出した。これではそれ以前に冷温停止はもうすぐだと言っていたことに
あわせてシミュレーションを行ったことはあまりに明白です。事故の主因が地
震ではなかったというシミュレーションと同じで、自分たちの主張に合わせて
数字を入力しているだけなのです。そうやって繰り返し繰り返しウソをつく。
職業的倫理観の、著しい崩壊といわねばなりません。

こうしたウソでも繰り返されているうちに、社会に通ってしまうとこまるので
こうして逐一、反論を続けようと思いますが、困るのはこれだけではいつまで
たっても、私たちが直面している危機の真相に迫れないことです。・・・と頭
をひねらせているときに、科学者の友人が、重要な情報を伝えてきてくれまし
た。このシミュレーションの背後にある現在進行形の危機についてです。今宵
はさらにこの点の解析に進んでいきたいと思います。とりあえずここまでで
この記事を発信します。

*************

福島1号機の溶融燃料 底部コンクリ65センチ侵食
東京新聞 2011年12月1日

東京電力は三十日、最も早く炉心溶融が進んだ福島第一原発1号機では、溶け
た核燃料の大部分が原子炉圧力容器から格納容器に落ち、床面のコンクリート
を最大六十五センチ溶かしているとする解析結果を公表した。核燃料は格納
容器内にとどまっているが、外殻の鋼板まであと三十七センチに迫っていた。

2、3号機でも溶けた核燃料の一部が同様に格納容器内に落ち、コンクリート
床を侵食している可能性があるとの解析結果だった。廃炉で最重要なのが核燃
料の回収だが、困難さがあらためて浮き彫りになった。

炉内は直接観察できないため、シミュレーションソフトを使って解析した。

1号機は冷却できなかった時間が最も長いため、核燃料のすべてが溶融して圧力
容器を壊し、格納容器内に落下したと想定して解析した。

落ちた核燃料の高温で、球形をした格納容器の底に施されたコンクリートを熱
分解する「コア・コンクリート反応」が起きたとの結果になった。

ある程度の時間は炉心を冷却できた2、3号機では、それぞれ最大で57%と
63%の核燃料が溶けたと説明。この場合、底部のコンクリートの侵食は、
2号機で最大十二センチ、3号機で同二十センチになるとした。

東電の松本純一原子力・立地本部長代理は同日の会見で「格納容器内は水位が
三十~四十センチあり、落ちた核燃料は水に漬かっているとみられる。仮に
コンクリートが侵食されていたとしても容器の強度面での問題はない」との
見解を示した。

解析結果は経済産業省原子力安全・保安院が開いた研究会で報告した。参加し
た岡本孝司・東京大教授(原子力工学)は「コンクリートの侵食の度合いに
ついてはなんとも言えないが、格納容器に落ちた燃料が冷やされていること
は確実だと思う。複数の機関の解析を持ち寄ることで炉の状態が少しずつ分
かってくる」と話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011120102100003.html
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