明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(353)伊達市で除染作業中の男性(60歳)が亡くなった・・・。

2011年12月13日 02時00分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20111213 02:00)

ついに福島県伊達市で除染作業中の男性(60)が亡くなるという、と
ても痛ましい事件がおこってしまいました。伊達市霊山下小国の集
会場の近くのトラックの中で心肺停止状態で亡くなられていたそう
です。亡くなられた方のご冥福を、心から祈ります。

この伊達市霊山下小国地区は、年間の被ばく線量が、20ミリシーベ
ルトを上回ると予測されるため、「特定避難勧奨地点」にあたると
ころです。今回の除染の試みは、この特定避難勧奨地点の解除を目
的にすすめられてきた作業の一環で、11月13日に、細野大臣自らが
参加して行われたパフォーマンスを受け継ぐものです。

僕はこのときも、同日に福島市で行われた東日本女子駅伝への批判
と同時に、軽装で除染にのぞんだ細野大臣のパフォーマンスや、除
染へのボランティアの募集の危険性を批判して記事を書きましたが、
今回の事態は、これに続くものであることをおさえておく必要があ
ります。監督者としての細野大臣の責任は極めて重大です。

明日に向けて(323)危険な除染作業にボランティアを募るのは間違っている
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9f26257e8badf109b9bce79ecaac52b5

今回の実行主体は、日本原子力研究開発機構でした。亡くなられた
のは、そのもとで除染に従事していた建設会社の社員の方でしたが、
原子力機構はただちに、「被曝との関係はない」と声明しています。
しかしまだ何も調べてはいない段階のはず。にもかかわらず、関係
はないといいきる点に、絶対に関係を認めない、可能性を検討しよ
うともしないという強い意図が感じられます。

まず調べるべきことは、亡くなった方が、これまでこうした除染
活動に関わってきたか否かで、僕は原子力機構によって指定された
業者なのだから、会社が除染に関わってきた可能性は高いと思いま
す。それをこの方が担ったかどうかは調べればすぐに分かるはずの
ことで、その点をすぐに公表すべきです。

またこの方が居住されている地域も線量が高い可能性があり、そう
すると311以降に度重なる被曝を受けていて、その上に、この間の
除染での被曝が重なった可能性があります。伊達市は飯舘村のすぐ
隣であり、飯舘村ではプルトニウムが見つかっていますから、同じ
ものや、ストロンウムなどもここにはある可能性が高くある。放射
性テルルや銀など、他の核種もたくさんある可能性があります。

にもかかわらず、全体として除染は非常に軽装で行われており、
被曝対策がほとんどなされてないといってもいい状態なので、被曝
を重ねた可能性が高い。そもそも、除染が除去すべき危険物質があ
るところにいって、それをどける作業であるという認識が非常に
弱いので、被曝のかなりの積み重ねが考えられるのです。

これにもともと抱えていた病気やさまざまなストレスが複合した
可能性がある。放射線は、免疫力の弱っている人に、より被害を
与えます。ダメージは常に複合的な要因によって形成されてくる。
とくに内部被曝による局所への密集したダメージは、今、抱えて
いる疾病を急速に悪化させる可能性があります。実際にチェルノ
ブイリでは、早い時期から心臓の病が多く起こっています。
政府と日本原子力研究開発機構はこうしたことをきちんと見据え
て調べ、明らかにすべきです。

ともあれ、除染活動の場で死者が出てしまった現実を、私たちは
深刻に受け止める必要があります。今後も同様のことが出てくる
可能性が懸念されます。因果関係を認めない限り、除染活動によ
る被曝の深刻さが反省されず、被曝が重ねられる可能背が高いか
らです。

やはり今、目の前にある危機の実相は、私たち市民の手でなけれ
ば、明らかすることができないようです・・・。
除染活動と、今回の死去に関するする情報解析を続けます。

******

除染の作業員死亡=「被ばく無関係」モデル地区で-福島
時事通信 2011年12月12日20時32分

政府の原子力災害現地対策本部は12日、福島県伊達市で日本原子
力研究開発機構が実施中の除染モデル事業に従事していた建設会社
の男性作業員(60)が死亡したと発表した。原子力機構は死因を
明らかにしていないが、被ばくとの関係はないとしている。国など
の除染事業で作業員が亡くなったのは初めて。

男性は12日午後1時ごろ、同市霊山町下小国のモデル地区で、休
憩中のトラック内で心肺停止状態で見つかり、約1時間後に病院で
死亡が確認された。この日は午前10時から正午まで、マスクを着
けて側溝の土砂を撤去していた。重労働ではなかったという。

下小国地区は6月末、放射線量が局地的に高いとして特定避難勧奨
地点に指定された。原子力機構は一部地域をモデル事業の対象とし、
同日から除染作業を始めていた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011121200846

******

除染作業:伊達市で60歳男性が死亡
毎日新聞 2011年12月12日 19時57分(最終更新 12月12日 20時37分)

12日午後1時ごろ、福島県伊達市霊山町下小国で、除染活動をして
いた男性(60)が車の中で倒れているのを別の作業員が見つけ、
119番した。男性は救急搬送されたが、約1時間後に死亡が確認さ
れた。政府の原子力災害現地対策本部が発表した。

対策本部は死因を調査中だが、現地の状況から放射線の影響は考えに
くいとしている。

対策本部によると、男性はこの日、下小国の集会所付近で午前中から
除染活動をしていた。昼休み後に行方が分からなくなり、周辺を捜し
ていた別の作業員が車内にいる男性を見つけた。(共同)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111213k0000m040053000c.html
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