守田です。(20111216 23:00)
すでにお知らせしましたが、朗読劇「ガザ 希望のメッセージが」本日と
明日17日に行われています。演じるのは「国境なき朗読者たち」。そのほ
とんど多くが友人たちです。明日の講演は午後2時と6時半から。京都の方、
お近くの方にぜひご覧いただきたいです。
今日は毎日新聞に載った、友人で、主演者の一人、片岡大輔さんに関する
記事を紹介したくて、この一文を書いています。片岡さんは、11月にパレ
スチナまで実際に行ってきました。ガザには入れませんでしたが、ヨルダ
ン川西側地区を歩き、人々と交流してきました。素晴らしいことだと思い
ます。住民のデモにも参加しました。
記事の中で片岡さんはこう語っています。「デモで一緒に歩いたあの少年
や、検問で涙を浮かべたあの学生とつながっていたい。彼らの思いを少し
でも伝えることができれば」・・・。
片岡さんは、この朗読劇に4回目の出演になります。回を重ねて、どんどん
演技が迫真のものになっていく過程を僕は見てきました。前回講演の時も
格段にパワーが増していました。しかしその後に彼は、パレスチナを見な
ければと旅たった。彼の中で増したパワーが彼を駆り立てたのだと思いま
す。そしてそこでつかんだものを今、前に押し出しています。そんな演技
を僕も明日、見にいきます。
パレスチナのことを思うこと、そこにある痛みを感じること、そしてその
中から未来を目指して生きる人々の尊厳に触れ、大切な何かを思うこと、
それは今の私たちにとってとても大切なことです。私たちの社会が放射能
被曝で、本当に深刻なダメージを受けているからこそです。
私たちは、今、パレスチナの痛みをより深いところでシェアできる。そし
てそこから、悲しみと怒りだけでなく、何か強いもの、したたかで、かつ
しなやかな何かを、生み出すことができるはずだと僕は思っています。だ
から今、みなさんとガザからの声に耳をすましたい。
可能な方は、京都市国際交流会館(左京区)にお越しください!
**********************
朗読劇:震災被災者への思い込めて 16、17日「ガザ 希望のメッセージ」 /京都
◇「国境なき朗読者たち」上演
約3年前にイスラエル軍の侵攻で1400人以上が殺されたパレスチナ自治
区ガザ地区の声を伝える朗読劇「ガザ 希望のメッセージ」が16、17日、
京都市国際交流会館(左京区)である。同館の東日本大震災チャリティー企
画として、府内や滋賀県の市民有志でつくる「国境なき朗読者たち」が上演。
収益金は被災地を支援するNGOに寄付する。【太田裕之】
朗読劇(90分)は、08年12月~09年1月の侵攻下で実態を伝えた現
地の大学教授の電子メール▽ガザの難民青年の手紙形式で1956年にパレ
スチナ人作家が発表した小説▽イラク戦争直前の03年に人権活動で現地入
りした米女子大生の手紙の三つを、岡真理・京都大大学院教授が組み合わせ
て09年に脚本化。これまで京都、神戸、広島で計5回上演された。
岡教授は「あのガザ侵攻から間もなく3年を迎えるが、忘却は次の虐殺を準
備する。東日本大震災でも、被災者の痛みや苦しみにどれだけ迫れるか、私
たちの想像力が問われている。ガザの人々の声を、東日本の被災者への思い
を込めて朗読したい」と話す。
上演は16日午後7時、17日午後2時と同6時半からの3回で開演の30
分前に開場。一般1800円(前売り1500円)、学生1500円(同
1200円)で。各回定員100人で要予約。申し込み・問い合わせは
津久井さん(080・5314・1539)。
◇「彼らの思い伝えたい」--主演の片岡さん
主演する大津市の飲食店店員、片岡大輔さん(32)は先月14~30日、
パレスチナ自治区を訪問した。イスラエルによる入植や、パレスチナ人の往来
を遮る分離壁建設に反対するデモに3回参加し、若者と交流。「彼らの思いを
具体的に想像できるようになった」と、練習に熱を込めている。
元々パレスチナに特別な関心があったわけではなかったが、友人の誘いで09
年に朗読劇に加わり、3回上演してきた。だが、今回の上演決定後、友人の1
人に「パレスチナのことを本当に理解しているのか」と問われて現地訪問を決
意。ガザ地区に入るのは極めて困難なため、ヨルダン川西岸を歩いた。
現地の人々は親しみやすかった。町を歩くと「お茶を飲んでいきなさい」と声
をかけてくる。家に招かれると「どこから来た? アラビア語は話せるか?
結婚しているのか?」と質問攻め。「いい人が多い。悔しいくらいに」と、し
みじみ話す。
だが、楽しむための旅ではない。ベツレヘムとラマラの近郊のベイト・オマー
ルなど三つの地区で、住民らが国際NGOの支援も受けて毎週続けるデモに参
加した。いずれもイスラエル入植地が目の前にあり、パレスチナ人はイスラエ
ル軍兵士に監視され抑圧されていた。
デモは「もう占領は止めて」と訴え、入植地に続く道路に向かう。行く手には
武装したイスラエル兵士が立ちはだかり、放水や催涙弾を浴びせてきた。
デモには若者の姿が多く、子供たちも兵士の装甲車の到着を防ぐため岩を路上
に並べ投石する。リュックに詰まった爆竹を示し「これを鳴らしてやるんだ」
と笑顔で話した12歳の少年は、デモが始まるとものすごい形相で兵士とやり
合った。
人権活動家の女性は自宅から徒歩3分ほどの位置に入植地があった。パレスチ
ナ人の居住地側に大幅に食い込む形で分離壁が建設されていた。「止まれ」と
命じる兵士に、彼女は「パレスチナの土地。私たちには歩く権利がある」と叫
んだ。
ヘブロンでは19~22歳の大学生4人と知り合った。自宅に招かれてお茶を
ごちそうになり、町を案内された。「入植者は兵士の先導で町に入ってくるが、
我々は向こうに入れない」。あちこちの建物の上に兵士が立って人々を監視し
ていた。「あなたはエルサレムにも自由に行けるが、我々若いパレスチナの男
は誰も行けない。外に出られないんだ。ずっとこんな人生かも」
最後にモスクを案内してもらったが、身分証を携帯していなかった1人が最初
の検問で止められた。次の検問でもう1人が金属探知機に反応され、2人の兵
士にはさまれ10分あまり詰問された。靴まで脱いでようやく通行を認められ
た彼は、涙を仲間に悟られまいと懸命にこらえていた。
「外国人の自分は自由に歩けるのに、住民の彼らはどこに行くにもチェックさ
れる。そんなことの積み重ねが日常。彼らの悔しさを思い知った」
滞在中も、兵士が夜間に民家を急襲して若者を連行するニュースが流れていた。
朗読劇の舞台のガザ地区では、イスラエルによるもっと厳しい封鎖と抑圧が続
けられてきた。
「これまでの朗読では、人々の思いを抽象的に考えていたのかも知れない」。
片岡さんは、そう振り返る。「デモで一緒に歩いたあの少年や、検問で涙を浮
かべたあの学生とつながっていたい。彼らの思いを少しでも伝えることができ
れば」
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20111209ddlk26040559000c.html
すでにお知らせしましたが、朗読劇「ガザ 希望のメッセージが」本日と
明日17日に行われています。演じるのは「国境なき朗読者たち」。そのほ
とんど多くが友人たちです。明日の講演は午後2時と6時半から。京都の方、
お近くの方にぜひご覧いただきたいです。
今日は毎日新聞に載った、友人で、主演者の一人、片岡大輔さんに関する
記事を紹介したくて、この一文を書いています。片岡さんは、11月にパレ
スチナまで実際に行ってきました。ガザには入れませんでしたが、ヨルダ
ン川西側地区を歩き、人々と交流してきました。素晴らしいことだと思い
ます。住民のデモにも参加しました。
記事の中で片岡さんはこう語っています。「デモで一緒に歩いたあの少年
や、検問で涙を浮かべたあの学生とつながっていたい。彼らの思いを少し
でも伝えることができれば」・・・。
片岡さんは、この朗読劇に4回目の出演になります。回を重ねて、どんどん
演技が迫真のものになっていく過程を僕は見てきました。前回講演の時も
格段にパワーが増していました。しかしその後に彼は、パレスチナを見な
ければと旅たった。彼の中で増したパワーが彼を駆り立てたのだと思いま
す。そしてそこでつかんだものを今、前に押し出しています。そんな演技
を僕も明日、見にいきます。
パレスチナのことを思うこと、そこにある痛みを感じること、そしてその
中から未来を目指して生きる人々の尊厳に触れ、大切な何かを思うこと、
それは今の私たちにとってとても大切なことです。私たちの社会が放射能
被曝で、本当に深刻なダメージを受けているからこそです。
私たちは、今、パレスチナの痛みをより深いところでシェアできる。そし
てそこから、悲しみと怒りだけでなく、何か強いもの、したたかで、かつ
しなやかな何かを、生み出すことができるはずだと僕は思っています。だ
から今、みなさんとガザからの声に耳をすましたい。
可能な方は、京都市国際交流会館(左京区)にお越しください!
**********************
朗読劇:震災被災者への思い込めて 16、17日「ガザ 希望のメッセージ」 /京都
◇「国境なき朗読者たち」上演
約3年前にイスラエル軍の侵攻で1400人以上が殺されたパレスチナ自治
区ガザ地区の声を伝える朗読劇「ガザ 希望のメッセージ」が16、17日、
京都市国際交流会館(左京区)である。同館の東日本大震災チャリティー企
画として、府内や滋賀県の市民有志でつくる「国境なき朗読者たち」が上演。
収益金は被災地を支援するNGOに寄付する。【太田裕之】
朗読劇(90分)は、08年12月~09年1月の侵攻下で実態を伝えた現
地の大学教授の電子メール▽ガザの難民青年の手紙形式で1956年にパレ
スチナ人作家が発表した小説▽イラク戦争直前の03年に人権活動で現地入
りした米女子大生の手紙の三つを、岡真理・京都大大学院教授が組み合わせ
て09年に脚本化。これまで京都、神戸、広島で計5回上演された。
岡教授は「あのガザ侵攻から間もなく3年を迎えるが、忘却は次の虐殺を準
備する。東日本大震災でも、被災者の痛みや苦しみにどれだけ迫れるか、私
たちの想像力が問われている。ガザの人々の声を、東日本の被災者への思い
を込めて朗読したい」と話す。
上演は16日午後7時、17日午後2時と同6時半からの3回で開演の30
分前に開場。一般1800円(前売り1500円)、学生1500円(同
1200円)で。各回定員100人で要予約。申し込み・問い合わせは
津久井さん(080・5314・1539)。
◇「彼らの思い伝えたい」--主演の片岡さん
主演する大津市の飲食店店員、片岡大輔さん(32)は先月14~30日、
パレスチナ自治区を訪問した。イスラエルによる入植や、パレスチナ人の往来
を遮る分離壁建設に反対するデモに3回参加し、若者と交流。「彼らの思いを
具体的に想像できるようになった」と、練習に熱を込めている。
元々パレスチナに特別な関心があったわけではなかったが、友人の誘いで09
年に朗読劇に加わり、3回上演してきた。だが、今回の上演決定後、友人の1
人に「パレスチナのことを本当に理解しているのか」と問われて現地訪問を決
意。ガザ地区に入るのは極めて困難なため、ヨルダン川西岸を歩いた。
現地の人々は親しみやすかった。町を歩くと「お茶を飲んでいきなさい」と声
をかけてくる。家に招かれると「どこから来た? アラビア語は話せるか?
結婚しているのか?」と質問攻め。「いい人が多い。悔しいくらいに」と、し
みじみ話す。
だが、楽しむための旅ではない。ベツレヘムとラマラの近郊のベイト・オマー
ルなど三つの地区で、住民らが国際NGOの支援も受けて毎週続けるデモに参
加した。いずれもイスラエル入植地が目の前にあり、パレスチナ人はイスラエ
ル軍兵士に監視され抑圧されていた。
デモは「もう占領は止めて」と訴え、入植地に続く道路に向かう。行く手には
武装したイスラエル兵士が立ちはだかり、放水や催涙弾を浴びせてきた。
デモには若者の姿が多く、子供たちも兵士の装甲車の到着を防ぐため岩を路上
に並べ投石する。リュックに詰まった爆竹を示し「これを鳴らしてやるんだ」
と笑顔で話した12歳の少年は、デモが始まるとものすごい形相で兵士とやり
合った。
人権活動家の女性は自宅から徒歩3分ほどの位置に入植地があった。パレスチ
ナ人の居住地側に大幅に食い込む形で分離壁が建設されていた。「止まれ」と
命じる兵士に、彼女は「パレスチナの土地。私たちには歩く権利がある」と叫
んだ。
ヘブロンでは19~22歳の大学生4人と知り合った。自宅に招かれてお茶を
ごちそうになり、町を案内された。「入植者は兵士の先導で町に入ってくるが、
我々は向こうに入れない」。あちこちの建物の上に兵士が立って人々を監視し
ていた。「あなたはエルサレムにも自由に行けるが、我々若いパレスチナの男
は誰も行けない。外に出られないんだ。ずっとこんな人生かも」
最後にモスクを案内してもらったが、身分証を携帯していなかった1人が最初
の検問で止められた。次の検問でもう1人が金属探知機に反応され、2人の兵
士にはさまれ10分あまり詰問された。靴まで脱いでようやく通行を認められ
た彼は、涙を仲間に悟られまいと懸命にこらえていた。
「外国人の自分は自由に歩けるのに、住民の彼らはどこに行くにもチェックさ
れる。そんなことの積み重ねが日常。彼らの悔しさを思い知った」
滞在中も、兵士が夜間に民家を急襲して若者を連行するニュースが流れていた。
朗読劇の舞台のガザ地区では、イスラエルによるもっと厳しい封鎖と抑圧が続
けられてきた。
「これまでの朗読では、人々の思いを抽象的に考えていたのかも知れない」。
片岡さんは、そう振り返る。「デモで一緒に歩いたあの少年や、検問で涙を浮
かべたあの学生とつながっていたい。彼らの思いを少しでも伝えることができ
れば」
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20111209ddlk26040559000c.html