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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(447)村田光平氏が4号機の危険性と核廃絶を格調高くアピール(参院公聴会)

2012年04月10日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120410 23:30)

以下の記事は、気仙沼のアビスさんからの情報に基づいて書きました。

これまで僕はこの「明日に向けて」の紙面で、繰り返し4号機崩壊の危険性
を指摘し、それが日本の崩壊を招きかねないこと、それゆえ、強い危機意識
を持ち、これへの構えを作るべきことを主張してきましたが、3月22日に行
われた参議院予算員会の公聴会で、元スイス大使の村田光平氏が、4号機崩
壊は世界的危機をもたらすものであること。こうした中で脱原発に向かう
ことを躊躇することは「倫理の欠如というそしりを免れない」という指摘を
格調高く行われました。感動しました。

村田氏はこの中で、4号機のそばには、1号機から6号機までの共用プールが
あり、そこには6375本もの燃料棒が収められていることを指摘しています。
4号機が崩壊すれば、この管理も放棄しなければならなくなるため、放射能
の放出がさらに絶望的に拡大してしまうことになります。まさに世界的危機
の勃発です。私たちはそれを未然に防ぐために努力しなければなりません。

とくに日本政府は、いますぐにでもこのことを内外に明らかにし、日本の
すべての英知を福島事故の真の収束にむけて総動員するべきです。そのため
には、全くのウソでしかない冷温停止宣言をただちに取り下げ、危機の実相
を明らかにして、世界中に協力を仰ぐべきです。

同時に再び原発を大地震が襲い、4号機倒壊が現実的になった場合を世界的に
シミュレーションし、必要な限りの放射線防護を世界レベルで行うべきです。
そんなとんでもないことはできないという言い逃れは通用しません。できない
と言う論理は、そんなことは起こらないという希望的観測に結びつき、だから
対策をたてなくてよいという結論を生みます。とんでもないことです。

そもそもその発想で、原子炉の崩壊の可能性がありえないと退けられ、何らの
対策も立てないままに直面したのが今回の事故だったのです。そしてそれは、
本当に、とんでもない対処をしなければならない現実を作り出してしまった
のです。まさに世界が崩壊する危機が作り出されてしまった。核戦争をなん
とか回避してきた人類は今、最大の危機の前に立っています。

いやそもそもそれが、原子力政策の現実なのです。危機の前に立っているのは
福島原発だけではありません。世界中の原発が危険であり、再処理工場はそれ
を大きく上回る危険性を持っています。だからこそ、世界中でただちに、軍事、
民事を問わない核の廃絶に取り組み、核燃料の危険性をいかに減らしていくの
かの研究・実践に入り、何百年もかけて、核物質を大事にいたらないように管
理していかなくてはならないのです。

広島・長崎を経験し、今また原発大災害を経験した私たちの国は、その悲惨な
歴史と共に、今回の事故の加害責任にかけて、その先鞭をつけていかなければ
なりません。それを世界に向けて発信し、リードしていくべきです。
にもかかわらず、こんなときに、放射能の危険性を隠して、放射性がれきの
地方へのおしつけなど行なっている場合ではありません。

そうした行為の総体が、現実に目の前にある危機への対応を弱め、気の緩みや
隙を作り出し、そうして防げるべきものも防げない状態を作り出してしまうの
です。何度も言いますが、そうして福島原発事故は最悪のコースをたどったの
であり、まさにそれは「原発安全神話」の中で作られた破局への道だったの
です。しかも安全神話は今なおこの国を支配しています。私たちはこれをこそ、
ひっくり返していかなければなりません。

村田光平氏は、これらのことを実に格調高く、指摘してくださいました。後ろ
の方に出てくるアメリカへの評価等で、僕とは分析視角が違う面もありますが
それはともあれ、ぜひ多くの人にこの発言に触れて欲しいと思い、文字起こし
を始めましたが、途中で、これまでも有力な情報を発信してきた「カレイド
スコープさん」がすでに文字おこしした内容を、アップされていることを
知りました。

そこでアビスさんから提供を受けた動画とともに、カレイドスコープさんの文字
おこしした内容に若干の訂正を入れたものを、以下にご紹介しようと思います。
村田さんの訴えをぜひ多くの人で共有していきましょう!

***********************

参議院予算委員会公聴会での村田光平氏の発言(2012年3月22日)
(村田光平 地球システム・倫理学会常任理事 元駐スイス大使)

動画アドレス
http://www.youtube.com/watch?v=9bq81boQL_Y
文字おこし(カレイドスコープさん)アドレス
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1198.html

このような場で発言させていただくことは、大変光栄に存じます。
今日、ここに参りますに当たりまして、特に、みなさま方に伝えたいことが
ございます。それは、いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面し
ているかということであります。人間社会が受容できない、この原発のもた
らしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならない、と私は福島事故
は全世界に想起させつつあると信じております。

そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは
倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。
特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴され
るのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。
そして、これは人類が緊急に取り組まなければならない課題だと信じており
ます。そして、この放射能汚染と、これを許すあらゆる行為は、計り知れな
い害悪を永久に人類と地球に残すものです。

私が出席した2005年のOBサミットは最終文書で、「未来の世代を含む、すべ
ての人の認められる人権」ということで、未来の世代の人権を認めているわ
けですが、放射能汚染は、まさにそれを蹂躙するものであります。

原発の死角、使用済み燃料は過去に危機的な状況を何度も引き起こしてきた。
特に今日、みなさまにお伝えしたいのは、福島4号機の危険な状況でございます。
毎日、日本すべての国民は、余震が起きるたびに怯えております。
この燃料プールが、もし崩壊して、1535本の燃料棒が大気中で燃えだした場合
には、果てしない放射能が放出されると。もちろん、東京は住めなくなるわけ
です。

この1353本という数字は、実は控えめでございまして、つい数日前、私が発見
した数字がございます。それは、1号から6号、共有のプールがございまして、
それは4号機から50メートル離れたところでございますが、そこに、なんと
6375本の燃料棒が収められていると、いうことであります。まさに、この4号
機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。

それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。

政治家にも危機感がない。こんなときにも笑っている議員がいる
この対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が来年末以降という
のは断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております。
国の責任が極めて重要だと信じます。

この点に関して、ついにアメリカが動き出したようであります。
数日前、入った情報によりますと、この著名な核科学者が中立の評価委員会の
設置の提唱を始めました。

これは、元国連職員で、世界中の著名な学者と連携を取っている松村昭雄さんが、
米政府の元・上級政策アドバイザーで、使用済み核燃料の第一人者であるボブ・
アルバレス氏、他の科学者たちに働きかけたものです。
この経緯については、2月に4号機プールにはチェルノブイリ原発の8倍のセシウム
があるで書いておきました。

太平洋を越えて、アメリカ西海岸へも放射性プルームが飛んでいき、事実、多く
のアメリカ人に重大な健康被害が出ています。
4号機プールが破損でもすれば、本当に北半球が終ってしまうので、米政府も、
いまだに危機感もなく世界に対しての責任感もない野田政権と日本政府に業を煮
やしたのです。そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会
を開くように働きかけ出した、ということでございます。

次に日本から世界の究極の破局をもたらしうるものとして指摘できるのは、六ヶ
所村の再処理工場であります。この六ヶ所村の再処理工場(が、いかに危険か)
につきましては、1977年の1月15日、毎日新聞が記事を書いております。

これによりますと、ケルンの原子炉安全研究所の発表では、極秘レポートであり
ますが、西ドイツの人口の半分、3050万人が死ぬであろうという報告であります。
そして、この再処理工場の恐ろしさは、実はヨーロッパでもシェルブールの停電
事件としてグーグルで、すぐ出てまいりますが、欧州全土を滅ぼしうるもの
だったと言われております。

この再処理工場の危険性を、私は内外に伝えておりましたところ、先週、欧州の
代表的な環境学者、エルンスト・フォン・ワイゼッカー教授から、その伝えを正
式に支持するという連絡が入っております。

日本は、福島事故を経験しまして、民事・軍事双方の核使用の犠牲国となったわ
けでありますが、悲しいかな、今や世界的規模の放射能汚染の加害国にもなって
しまっています。

毎日、いまだに毎時1億ベクレル近い放射能が出ているということも、さきほど
東電で確認いたしました。毎時0.7億ベクレルでございますが、おびただしい量の
放射能がでているわけでございます。

これを聞くにつけ、私はメキシコの原油流出事故が止まらないときに戦慄したの
を覚えております。まさに原油ならぬ放射能が同じような状況に置かれていると
いうことであります。

私は、福島を経験した日本は、民事・軍事を問わない真の核廃絶を世界に伝える
歴史的責務を担っていると信じております。
私が今まで、あちこちで講演する際、この主張に対して異論を唱える人は皆無で
ありました。

そして、私はこのような危機的状況、そして福島では、まさに、事故当初、作業
員の全面撤退が考えられていた。もし、その全面撤退が行われていれば、確実に
世界の究極の破局の第一歩が始まっていたわけであります。

このような認識が世界に正確に伝わるならば、脱原発というものが非常に早い時
期に世界的に実現しうるし、また、そうしなければ今の危機的状況を回避できな
いと、そのように私は信じております。

私は、そういう中で、ひとつの希望を与えてくれるものは、お配りした資料に書
いてあります「天地の摂理」であります。天地の摂理は人類と地球を守る、これ
が悠久の歴史から導き出される歴史の法則であると。しかし、そのためには惨い
警告を与えてきました。

私は、1年半前、バーゼルの核戦争防止会議で、「次の大惨事は核惨事である。も
し、これが起これば究極の破局につながりかねないので、人類の英知を導入して、
これを未然に防ごう」という呼びかけを行いました。残念ながら事故は起きてし
まいました。

そうした中で、この日本の事故の経験から、ほとばしり出る声は、ますます国際
社会の心ある人からの支援の対象になりつつあります。

具体的事例を申しますと、一月ほど前、マハティール元首相(マレーシア第4代
首相)から私に対しまして、いかに脱原発というものが正しいかと、マレーシア
は、核技術-人類がまだ把握していない技術-を、断固拒否したという主旨の手
紙を受け取っております。

それから福島の事故の教訓のひとつとして、これからは新しい文明作りを始めな
ければならないということでございますが、この新しい文明の突破口となるのが、
地球倫理の確立である、ということで、国連倫理サミットの開催と言うのを呼び
かけているのでございますが、これに対しまして、今月に入りまして、潘基文
(パン・ギムン)国連事務総長から、私に手紙がありました。

そして、加盟国が国連総会にこの議題を提出すれば、喜んで支持するという手紙を
くださいました。そして、アメリカのルース大使を通じまして、私たちがやってい
るこの国連倫理サミット、それから今の文明を、力の父性文明から和の母性文明に
変えると、こういう努力はオバマ大統領の提唱した「核兵器なきビジョン」が、
そのために力をあわせていくことがいかに大事であるかということを想起させる
ものであるとして、私に感謝の意を表明する手紙を下さっております。

そして、この核廃絶、真の核廃絶、民事・軍事を問わない核廃絶、これは福島事故
を契機に具体的な動機になってきましてた。それは、何と言えば、日本は、もし核
廃絶が実現せず、中国がおびただしい数の原発を造る場合には、黄砂だけでも被害
者は出てしまいます。これはなんとしてでも防がなければならないわけであります。

それから福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易で
あるかと、水と電気を止めればいいと。そして、防護されていない冷却燃料プール、
これさえ襲えばいいと。そういう事実を世界に知らせてしまったということで、
核保有国に取りましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということ
でございます。

そして、私は今までの経験から、核を進めようとしているフランス、インド、アメ
リカ等が、このような核廃絶を求める運動に対して、理解を示めしていると。中国
でさえ、天津科技大学が私に名誉教授の称号を与えました。

それからフランスは、昨年の国際会議に、私を招いてくれましたし、アメリカは、
先ほどのルース大使の書簡がありますし、インド前石油大臣は、私にエールを送っ
てきております。パチャウリIPCC議長も、しかりであります。

このように私は、核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目
を向けさせること、これこそ、こういった国々に対する最大の貢献であると、その
ような信念のもとに活動を続けております。

そして、特にこの際、みなさま、福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、
こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処に、急い
で、緊急に、もっと国が責任を持って、対処、対応できるような体制づくりに、ぜひ
ご尽力いただきたいと思います。

以上であります。


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明日に向けて(446)膨大なストロンチウムが環境を汚染している!(焼却は極度に危険)

2012年04月09日 23時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120409 23:00)

ストロンチウム発見の報が再び流れました。福島県の浜通りと中通りで発見された
というもので、毎日新聞では「半径20キロの警戒区域を越えて広範囲に飛び散った
ことが分かった」とされています。最高値は、原発から3キロの大熊町で、1平方
メートルあたり、3070ベクレルだそうです。

しかしこのニュースを読んでいるとなんとも不可解なことに突き当たる。第一に発表
を行なったのは福島県ですが、調査が行われたのは、昨年7月13日から10月13日であり、
それから半年近く経っての発表であることです。ここから考えられるのは、この情報を
隠していたのではないかということです。

ストロンチウムの計測には時間がかかるとされていますが、それでも3週間ぐらいとさ
れており、12月ぐらいにはデータが揃っていたはずです。そう考えるとき浮かんでくる
のが12月16日の「冷温停止宣言」=事故収束宣言です。それを前に、浜通りや中通りが
ストロンチウムで汚染されている事実を隠したのではないでしょうか。

さらに毎日新聞の記事を見ると沈着量の「分析から大熊町ではプルトニウムも事故の
影響で増えたと結論づけた」と一行だけ書かれています。これもこれまで見つかった
プルトニウムをかつての核実験もものとしてきた見解を変えているわけですが、いか
にもこそっと行なっている。実際には、プルトニウムの汚染そのものも、冷温停止の
前につかんでいたはずです。

さらに記事を検索していて、昨年の12月18日に、朝日新聞が、ものすごい試算を出し
ていたことがわかりました。東電発表のデータを解析したところ、これまで海に流れ
出したストロンチウムはなんと462兆ベクレルになるというものです。ものすごい量
です。さらに重要なのは、これは東電が発表した4月から5月に海に流出した放射性
ヨウ素とセシウム、4720兆ベクレルの10分の1にもあたると見積もられていること
です。

同じ原子炉から出てきているのですから、海に、ヨウ素とセシウムの10分の1の
ストロンチウムが出たというのならば、土壌にも同じく、ヨウ素とセシウムの1割の
ストロンチウムが出たと考えるのが合理的ではないか。しかもストロンチウムが
ヨウ素やセシウムほどには飛ばないのだとすれば、それはより近隣を激しく汚染して
いるのでないか。こうした推論がただちに成り立ちます。

政府は今、がれきの広域処理による各地方への押し付けにやっきになっていますが、
そこにはストロンチウムも入っている可能性大です。焼却は極度に危険です。いや
そもそもがれきだけではないのでないでしょうか。一般ゴミにも大変な量の放射性
物質が入ってしまっていると思われます。つまり東北は関東では、そもそも焼却一般
がかなりの危険を作り出していると思われます。

ゴミ焼却の総体の見直しが必要です。「そんなことをしたらゴミ処理ができない」と
言われるかもしれません。そうです。そんなとんでもないことになっているのです。
それが今回の原発事故の実体なのです。社会がとても成り立たないようなことがしで
かされてしまったのです。そして、そんなとんでもないことになっている事実の隠蔽
も狙って、がれきの広域処理が強制されようとしているのではないか。調べている
うちにそんな疑念もよぎってきました。

ともあれストロンチムに最大の警戒を行い、情報解析を進める必要があります。また
各研究機関、研究者などに、各地でのストロンチウム計測を依頼する必要があります。
同時に、東北・関東の各焼却場の職員の、被曝対策の現状や健康被害についての調査
を行うことが必要です。ぜひとも各地で、焼却場の職員さんとの連携をとってくださ
い。今、行なっている焼却がどれほど危険なことであるかを知らせてください。

西日本など、汚染の低いところへのがれき押し付けに反対して行動しているみなさん
(僕もその一人です)は、自分たちのところで燃やしてはならないものは、当然にも
東北でも燃やしてはいけないことを一緒に主張し、政府による東北・関東の人々への
被曝の強制に対する抗議も同時に行なっていきましょう。

以上の点から、さらにストロンチウム、プルトニウム情報の収集、解析を進めます。

****************************

ストロンチウム、県内過去最大の3倍
2012年04月07日

●大熊の土壌で検出、県が発表
県は6日、大熊町夫沢の土壌から、県内での過去最大値の3倍にあたる1平方メートル
あたり3070ベクレルのストロンチウム90が検出されたと発表した。第一原発事故
で飛散したとみられる。

県と政府の原子力災害現地対策本部が昨年7月13日~10月13日、県内55地点
(原発周辺7地点、ほか48地点)でストロンチウム90の放射能を調べ、双葉町郡山
でも同502ベクレルと高い値が出た。県内の過去最大値は1973年に大熊町で検出
された同999ベクレル。

また、浜通りと中通りでも原発事故前の調査時(2005年度)の平均値を上回ってい
るとし、「今回の事故の影響と考えられる」とした。会津地方では大きな変化は見られ
なかった。
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000001204060008

***

福島原発事故:浜通りと中通りでストロンチウム沈着量増加
毎日新聞 2012年04月07日 11時15分

福島県が6日発表した土壌の放射線モニタリング調査(昨年7〜10月)結果で、
浜通りと中通りでストロンチウム90の沈着量の増加が確認され、福島第1原発事故
により、半径20キロの警戒区域を越えて広範囲に飛び散ったことが分かった。
最高値は、原発から約3キロの大熊町夫沢で検出した1平方メートル当たり3070
ベクレルだった。

発電所周辺と県内全域の計55地点を調べた。浜通りや中通りの36地点中34地点
は05年度の前回調査に比べ、減衰を考慮して計算すると平均約4割増えていた。
残り2地点は原発に最も近い大熊町と双葉町の2カ所で、過去15年間の最大値の
それぞれ18倍、4倍。

事故で放出量の多かったセシウムに比べ健康影響は小さいと県はみている。沈着量の
分析から大熊町ではプルトニウムも事故の影響で増えたと結論づけた。【乾達】
http://mainichi.jp/select/news/20120407k0000e040150000c.html

***

ストロンチウム、462兆ベクレルが海に流出
朝日新聞2011年12月18日3時2分

東京電力福島第一原発から事故後、海洋に放出された放射性ストロンチウムの総量は、
少なくとも約462兆ベクレルになることが朝日新聞の試算でわかった。水産庁は
魚介類への蓄積を調べるサンプリング調査の強化を検討している。

試算は東電などが発表した資料をもとに行った。4月に2号機、5月に3号機から流出
した放射能汚染水については、流出源である両号機の建屋内のたまり水に含まれる放射
性ストロンチウムの濃度を、流出した水の体積にかけて算出。これらに、今月4日に
流出が確認された処理水に含まれていたと見られるストロンチウムの量を足し合わせた。
大気から海への降下量は含まれていない。

東電は4~5月に海に流出した汚染水中の放射性ヨウ素とセシウムの総量を推定
約4720兆ベクレルと発表した。ストロンチウムの量はその約1割に相当する。
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY201112170581.html
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明日に向けて(445)関東の各地でしいたけ、タケノコなどからセシウム検出

2012年04月07日 10時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120407 10:30)

NHKWEBニュースによると、食料品の放射性物質限度値が引下げられた
ことを背景に、各地で食材からのセシウム検出の報告が相次いでいます。
新たに汚染が広がったということではなく、限度値が500ベクレルから
100ベクレルに下がる中で、発見が相次いでいることが基本です。これ
まで500ベクレルという限度値にマスクされて見えていなかったものが
可視化されだしたとも言えます。

食材を選ぶときのポイントとして、ニュースの情報をまとめておきます
が、同時に大事なことは、これが示すのは、その食材が栽培された地域
の放射能汚染情報でもあるということです。そのため私たちには、当該
地域の食材を避けるためだけにこの情報を参照するのではなく、当該地
域の人々の健康を守るための措置を政府・行政に求めていく必要があり
ます。

以下、情報をまとめます。

まず、愛知県岡崎市の幼稚園で使われた乾燥シイタケから1キロあたり
1400ベクレルという高い値の放射能が検出されました。茨城県から出荷
され、岡崎市などで30キロが流通しているそうです。

千葉県木更津市で生産されたタケコノから120ベクレル、市原市のタケノ
コからも110ベクレル、我孫子市のタケノコから170ベクレル、栄町のタ
ケノコから130ベクレルが検出されています。また宮城県村田町の原木
から栽培されたシイタケからも350ベクレルが検出されています。

茨城県では、潮来市で生産されたタケノコから240ベクレル、小美玉市で
生産されたタケノコから168ベクレル、つくばみらい市で生産されたタケ
ノコから137ベクレル、またつくばみらい市と常陸大宮市、守谷市の3つ
の市で原木を使ったシイタケから、158ベクレルから960ベクレルが検出
されました。

神奈川県では、真鶴町で地元の原木を使ったシイタケから141ベクレルが
検出されました。

このように、シイタケとタケノコからのセシウム検出が相次いでいます。

この他、検査で採られた、福島県いわき市沖のコモンカスベなど10種類
の水産物から最高で640ベクレルが検出されています。

食材と地域の汚染に関する情報の収集を続けます。

********************

以下、NHKWEBニュースより

幼稚園給食から放射性セシウム
4月5日 20時34分

愛知県岡崎市の幼稚園で、先月、給食として出された乾燥しいたけから
厳しくなる前の暫定基準値の3倍近い1キロ当たり1400ベクレルの
放射性セシウムが愛知県などの検査で検出されました。

乾燥しいたけは茨城県から出荷され、およそ30キロが流通しています
が、愛知県は直ちに健康に影響するおそれはないとしています。

愛知県などによりますと、先月21日、岡崎市の幼稚園の園児と教職員
およそ530人分の給食で、うどんの具として出された乾燥しいたけを
保健所で検査したところ、暫定基準値の3倍近い1キロ当たり1400
ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。これは、今月
から食品に適用された新しい基準にすると14倍になります。

幼稚園では2キログラムが給食として出されましたが、愛知県は、1人
が摂取する放射性物質の量にすると少なく、直ちに健康に影響するおそ
れはないとしています。これまでの調査で、乾燥しいたけは茨城県から
出荷され、愛知県豊川市の加工業者が仕入れ業者を通じて仕入れて、
1袋500グラムに分けて販売し、合わせて30キロが岡崎市などで流
通しているとみられています。

愛知県などは乾燥しいたけを回収するよう販売業者に求めるとともに流
通のいきさつについて調べています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014248141000.html

***

3県食品で放射性セシウム新基準超
4月5日 0時10分

今月から基準が厳しくなった放射性セシウムの食品検査で、千葉県の一
部の地域で生産されたタケノコなど、3つの県の食品から基準を超える
放射性セシウムが検出されました。

新しい基準を超えたのは初めてですが、いずれも出荷が自粛されるなど、
市場に流通することはないということです。

厚生労働省によりますと、千葉県木更津市で生産されたタケノコからは、
新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを超える120ベクレル、
市原市のタケノコからは110ベクレルの放射性セシウムが検出されま
した。また、宮城県村田町の原木を使って育てた露地栽培のシイタケから
は350ベクレルの放射性セシウムが検出されました。

これらの食品は出荷が自粛されているため市場に流通することはないとい
うことです。

このほか、福島県では検査のためにいわき市沖で採ったコモンカスベなど
10種類の水産物からも最大で640ベクレルの放射性セシウムが検出さ
れましたが、福島県では現在、漁は行われていないということです。

新しい基準は、今月1日から適用され、野菜や米などの「一般食品」は、
これまでの暫定基準値の5分の1の1キログラム当たり100ベクレルな
どと大幅に厳しくなりました。

これを受けて各地の自治体で行われている検査で、新たな基準を超えたの
は初めてです。

政府は、地域的な広がりがあることから、千葉県の市原市と木更津市で生
産されたタケノコについては、出荷停止の指示を検討することにしてい
ます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014218401000.html

***

シイタケから新基準超える値
4月7日 4時33分

今月から基準が厳しくなった、放射性セシウムの食品検査
で、神奈川県真鶴町で、地元の原木を使って育てた露地栽培のシイタケか
ら、基準を超える放射性セシウムが検出されました。
神奈川県は、地元の生産者や農業団体に出荷を自粛するよう要請しました。

神奈川県によりますと、今月から厳しくなった基準を超える放射性セシウム
が検出されたのは、真鶴町の原木を使って育てた露地栽培のシイタケで、
地元のJAの要請を受けて、5日に収穫されたものを、県の衛生研究所で
調べたところ、新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを超える、
141ベクレルが検出されました。

このため神奈川県は、真鶴町の地元の生産者や農業団体に対して、5日、
収穫されたものやそれ以降について、シイタケの出荷を自粛するよう要請し
ました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120407/k10014280941000.html

***

茨城 タケノコなど新基準値超
4月5日 20時34分

茨城県内の5つの市で生産されたタケノコや原木シイタケから国の新しい
基準を超える放射性セシウムが検出され、県は、農家に出荷や販売の自粛
を要請しました。

今月、新しい基準が導入されたあとの検査で、茨城県内で基準を超える食
品が出たのは初めてです。

茨城県によりますと、4日に行った検査で、潮来市で生産されたタケノコ
から、新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを超える240
ベクレル、小美玉市で生産されたタケノコから168ベクレル、つくば
みらい市で生産されたタケノコから137ベクレルの放射性セシウムが
それぞれ検出されました。

また、つくばみらい市と常陸大宮市、守谷市の3つの市で原木を使って育て
た露地栽培のシイタケからは、1キログラム当たり158ベクレルから
960ベクレルの放射性セシウムが検出されました。茨城県は、これらの
タケノコと露地栽培の原木シイタケについて、5つの市を通じて出荷と販売
を自粛するよう農家に要請しました。国も6日、茨城県に出荷停止を指示
する方針です。

茨城県内では、すでに先月末、タケノコや原木シイタケで新しい基準を超え
る放射性セシウムが検出され、県が関係する市と町に出荷と販売の自粛を
要請していますが、今月、新しい基準が導入されたあとの検査で基準を超え
る食品が出たのは、茨城県内では初めてです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014245151000.html

***

千葉 またタケノコで基準超放射性物質
4月5日 16時19分

千葉県の我孫子市と栄町で収穫されたタケノコからも5日、新たに今月から
厳しくなった基準を超える放射性セシウムが検出されました。
これらの地域のタケノコは、今のところ市場に流通していないということです。

千葉県によりますと、5日行われた出荷前のタケノコの検査で、我孫子市で
3日に収穫されたタケノコから1キログラム当たり170ベクレル、栄町で
3日に収穫されたタケノコから130ベクレルの放射性セシウムが検出され
たということです。

いずれも、1日から厳しくなった野菜や米などの「一般食品」に適用される
基準の1キログラム当たり100ベクレルを上回っているため、千葉県は
我孫子市と栄町を通じて農家に出荷の自粛を求めました。
これらの地域のタケノコは、今のところ市場に流通していないということです。

千葉県内では、木更津市と市原市で収穫されたタケノコから、4日、新しい
基準を超える放射性セシウムが検出されています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014239471000.html
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明日に向けて(444)がれき焼却を止めよう!さまざまなアクションへ!

2012年04月04日 06時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120404 0630)

「明日に向けて」前号で、岩手県の被曝状況を示す一つの指標とも言える
岩手県焼却施設の焼却灰の汚染値について触れましたが、このこと一つと
ってみても、政府が市民に対して、被曝を強制し続けていること、その上
により多くの地域の市民・住民に被曝をもたらそうとしていることは明ら
かです。

背景にあるのは、内部被曝の危険性の軽視であり、隠蔽です。それは広島
長崎における原爆投下の非人道性を隠してきたことの延長にあるものです。
私たちが進めなければならないのは、何よりも内部被曝の危険性をしっか
りとつかみ、どの地域の市民・住民をも内部被曝から守っていくことです。

そのために、危険な焼却を進めようとしている行政に説得と抗議を行い、
現に進行しているものも含めて、危険な放射性物質の焼却をやめさせるこ
とを訴えていく必要があります。やることがあって大変ですが、ぜひ、自
分の住んでいる地域を越えて、積極的なアクションを続けましょう。

僕が住んでいる京都市もがれきを受け入れるかどうかの瀬戸際にあります。
京都市民発で、幾つかのアクションが提起されているのでご紹介します。
また同じく京都府の京丹波町などでもがれき受け入れが進もうとしており、
これに対して緊急の学習・講演会が組まれ、僕が講師として参加すること
になりました。近隣の方、ぜひご参加ください。

以下、案内を色々と貼り付けます。

****************

京都のロクローです。

重複御容赦下さい。拡散、転載、よろしくお願いします。

京都市瓦礫受入断固反対!

京都市へ電話アクションしましょう!
・担当課(施設整備課)075-212-8500
・市長公室 秘書担当 075-222-3066 FAX 075-222-3177

両方に電話入れましょう。
担当課は抗議のカウントをしていますが、決定するのは市長でしょ
うからどちらにも意見を伝えることが効果的だと思います。

4月6日の環境省への回答期限までもう少しです。週明けから
全力で電話・FAX・メール・手紙・・・できる限りのアクショ
ンしませんか!

土曜日の京都駅前に沢山の市民が集まりました。参加した方は止め
れる実感を持てたと思います。
後もう少しです。出来る限りのアクションが未来につながります。
是非是非、沢山の方に拡散下さい!

*****************

4月5日 門川京都市長を説得しよう!

京都市民のみなさんへ。4/6環境省への回答前の最後のアクションと
なるでしょう。ぜひ、拡散してください!
京都在住民も、新しく京都市民になった方、なる予定の方も!

門川市長に私達のガレキ阻止の願いを訴えましょう。
4月5日(木) 京都国際ホテル(二条城前)
集合時間:PM6:00  持ち物:横断幕、ポスター、プラカードなど
これが最後です。大勢の方が集結してほしいと思います。
京都が終わらないで欲しい人、意思表示をしましょう!!

*****************

みなさん、お疲れさまです。

私もこの報道には呆れ果てました。
本当に戦時中ですね。

札幌市長にはエールを送った方も多いと思います。私も送りました。
それと同時に、この長谷川岳という議員さんにも「がれき広域処理の問題点」を
勉強していただかないといけないと思います。
私たちは上田札幌市長を応援していますということ、その根拠、
貴方のなさっていることはいかがなものでしょうか、ということ。
長谷川岳参議院議員にもメッセージを送りませんか?

【長谷川岳氏 連絡先↓】
走っています。長谷川岳.jp
http://www.hasegawagaku.jp/

長谷川 岳 事務所
〒060-0004
札幌市中央区北4条西4丁目ニュー札幌ビル7階
TEL 011-223-7708
FAX 011-223-7709

ニシダ

>本当に、使えない議員どもです。役立たずどころか、居るだけで有害。
>ホンマに腹立たしい。以下から札幌市長に応援メッセージを届けましょう。
>札幌には、東北からの避難者の方も結構居ますし。
>
>市長宛のメール(入力フォーム)
>https://www.city.sapporo.jp/city/mayor/mail/koe.html
>
>
>がれき拒否の札幌市長に「アクションを」参院委
>http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20120403-OYT1T00108.htm
>
>東日本大震災で発生した震災がれきの処理を巡り、受け入れ拒否の意向を
>表明している札幌市の上田文雄市長の発言が、2日の参院予算委員会集中
>審議で取り上げられた。
>細野環境相は「しっかり説明し、理解をいただきたい」と述べ、札幌市に
>改めて受け入れを要請する考えを示した。
>道選挙区選出の長谷川岳参院議員(自民党)の質問に答えた。岩手、宮城県
>のがれきでも放射性物質の汚染を疑っている上田市長の発言について、長谷
>川議員は「非常に残念」と批判。細野環境相に対し「政令市の市長がどうい
>う発言をしているのか、もっと敏感に考えて、札幌市長に何らかのアクション
>を起こすべきだ」と迫った。
>政府は既に、被災3県などを除く35道府県と札幌市を含む10政令市に文
>書で受け入れを要請し、今月6日までの回答を求めている。細野環境相は
>「札幌市長がどういう発言をしたのか確認する」とした上で「私どもの考え
>と違うようであれば、しっかり説明し、理解をいただきたいと思う」と応じた。
>
>(2012年4月3日07時31分 読売新聞)
>

****************


守田さんと瓦礫を考える勉強会

4月5日(木)
午後7時半 菓歩菓歩 横クラフト館

参加費 カンパ 差し入れ歓迎。
簡単なおにぎりは用意しときます。

ゲスト 守田敏也さん 福島から避難された明美さん

平日の夜ですし 集まりにくい時間かとも思いますがどう​かお一人でも多く 
近隣住民の方をお誘いあわせの上ご参​加いただければなって思っています。

問合せ
Bio sweet's capo.capo
京都府船井郡京丹波町坂原シヨガキ16番地
tel 0771.84.0959 fax 0771.84.2025
http://www.capocapo.com/
JR和知駅近く

***************

内部被曝の驚異を一から知るアイテム
岩波ブックレット『内部被曝』矢ヶ克馬・守田敏也著発売中です!
お求めは以下から
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明日に向けて(443)岩手県における放射能汚染の実態(がれき問題によせて)

2012年04月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120403 23:30)

がれき問題に関する資料をたくさん集めて解析中ですが、調べれば調べるほど
なんとも胸が痛くなる情報ばかりがでてきます。その一つに、岩手県における
放射能汚染の実態があります。

これは環境省の「広域処理情報サイト」の中の、「岩手県と宮城県の災害廃棄
物の安全性について」というページを批判的に検討する中でいきついたもので
す。というのは環境省はこの中で、次のように述べています。

「広域処理のご協力をお願いする岩手県と宮城県の沿岸部の災害廃棄物は、処
理の過程で健康に影響を及ぼさないという安全性が確認されたものだけが対象
となっています。」

そしてその横に、東北沿岸部の諸都市と、関東・愛知・大阪の空間線量を表示
し、「岩手県及び宮城県沿岸部の空間放射線量は高くありません」と表示して
たったそれだけで、これらの地域の廃棄物が安全かのように粧っています。
これについては以下のページからみれます。
http://kouikishori.env.go.jp/howto/

しかし、実際に焼却灰の調査から見ていくと、岩手県にも非常に大量の放射能
が降ってしまった現実が浮かび上がってきます。焼却灰の調査は、各焼却場
毎に行われているだけで、必ずしもどこに沿岸部のものが持ち込まれて焼却さ
れているかは分かりにくいのですが、沿岸部がさまざまな被害を受けたことを
考えると、内陸部の焼却場でもこれらが燃やされたことも考えられます。
各焼却場のデータは以下の資料を見ると分かります。

一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性物質濃度の測定結果について
http://ftp.www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=4406&of=1&ik=1&pnp=50&pnp=2648&pnp=4406&cd=37948

特にこの中の9月14日発表の情報が重要なのですが、そこにあげられた各焼却
施設のうち、三陸海岸にあるものをみていくと、まずもっとも北部の青森県境
の近くにある「久慈地区ごみ焼却場」で、飛灰からセシウム134と137が合計で
604ベクレル計測されています。主灰からは31ベクレルです。それぞれの1キロ
グラムあたりの値で、以下も同じです。(6月30日)

ちなみに飛灰とは、飛び散り舞い上がった灰のことで、バクフィルターなどの
集塵機で集められたもののこと。これに対して炉の底部に残ったものが主灰で
す。温度の問題等から、セシウムはおもに飛灰に集まる傾向があります。

さて続いて岩手県沿岸部の中部にある「宮古清掃センター」をみると、飛灰に
同じく240ベクレル、主灰に31ベクレル計測されており、(7月21日)さらに
南に下がり、釜石市にある「岩手沿岸南部クリーンセンター」をみると、飛灰
で1128ベクレル、スラグで30ベクレルが出ています。(7月5日)

さらに南に下り、陸前高田市のすぐ北の大船渡市にある「太平洋セメント(株)
大船渡工場」を見ると、飛灰に905ベクレル、主灰に194ベクレルが出ています。
(7月5日)

三陸海岸の焼却場で、飛灰だけで240ベクレル(宮古)から、1128ベクレル
(釜石)と非常にたくさんのセシウムが「がれき」に含まれていることが分か
ります。このことをみただけでも、空間線量で「安全」を粧う、環境省HPの
発表の嘘が見えてきます。


ただよりショッキングなのは、内陸部の一関市周辺でとても高い値が出ている
ことです。一関市狐禅寺にある「一関清掃センター」では、7月22日に、飛灰
からなんと30000ベクレルが計測されています。主灰にも1550ベクレルです。
同じく7月5日には、飛灰で26000ベクレル、主灰で1640ベクレル。8月24日には
飛灰で14700ベクレル、主灰で1830ベクレルと、とんでもない数値の連続です。

また一関市の北方にある奥州市の「胆江地区衛生センター」でも、7月9日に
飛灰で10100ベクレル、7月13日に10500ベクレルが計測されています。この数値
は9月2日には5700ベクレルに下がっていますが、これらのことは、岩手県民に
広く伝えられないままに、行われてきたのではないでしょうか。

この一関や奥州ののデータから、すでにこの焼却場の職員の方たちに、甚大な
被曝が起こっていることが懸念されます。大変、深刻です。職員の方たちは、
十分な被曝対策をしてきたでしょうか。ガラスバッチなどはつけていたでしょ
うか。つけてないと思います。

また一関の7月22日と8月24日の数値が倍もちがっていること、奥州でも7月9日
と9月2日の数値がやはり倍もちがっていることをみるとき、焼却灰の放射能
汚染に関するデータは、1日とっただけではまったく不十分なことも同時に見え
てきます。ここに記載された以上のセシウムが出ていたことも十分考えられ
ます。

いやそれだけではない。このように焼却灰から大量のセシウムが出てくるのは
その地域が深刻に被曝していることの証左です。なのになんの目立った対策も
されていない。被曝の話は福島県に集中してしまっている感が否めません。
さらにその上に焼却場からの二次被曝が起こっている可能性が大です。

このように、岩手県の焼却場の灰に含まれる放射性物質のデータをみるならば、
がれきが安全などころか、岩手県が深刻な被曝を受けていながら、政府や環境
省がまったくそれらを放置してきていることこそが浮かび上がってきます。
人々を放射性物質の降下、食べものによる内部被曝、さらに焼却場からの被曝
と、二重三重の被曝の中に晒しながら、「岩手・宮城を救うために廃棄物の
広域処理を」と言い出しているのが政府なのです。

自分で人々を苦しめておきながら、その苦しみを軽減するのに協力せよと言っ
ているわけです。こんなことを許せるわけが到底ありません。私たちは、がれき
受け入れ拒否にとどまらず、岩手県・宮城県での放射線防護を徹底せよ、これ
以上、東北の人々を被曝させるなという声をこそ上げていく必要があります。
がれき問題で見抜いていかねばならない重要な点です。

人々に被曝をおしつける政府に、東北の人々と手を携えて、立ち向かっていき
ましょう!





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明日に向けて(442)京都・市民放射能測定所オープンに際してお話します。(4月8日)

2012年04月02日 22時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120402 22:30)

京都・伏見区で設立を目指していた京都市民放射能測定所に、いよいよ
測定器がやってくることになり、測定所が開設されることになりました。
正式には5月からとのことですが、これに先立つ4月8日に、開設記念の
講演会と、食品測定会が行われます。会場は測定所直近の京都市呉竹
文化会館。午後に測定所に移って、測定会を行います。

この測定所は、避難者支援活動から立ちげにいたってきたユニークな経
緯を持っています。測定所代表で避難者支援グループ「うつくしま☆ふく
しまin京都」事務局長の奥森祥陽さんに聞いたお話をまとめます。

京都府の職員でもある奥森さんは、大震災が起きたときに、府からの業務
応援募集に手を上げ、4月1日から一週間、会津若松市の避難所運営の支援
に赴きました。そこには原発直近の人々が着の身着のまま避難していてそ
のまま帰れなくなっていました。「原発事故とはこういうものなのだとい
うことがよく理解できた」と奥森さんは語ります。

奥森さんは、京都に戻るシャトルバスの中で、避難のために相乗りした郡
山市出身の若い男性と知り合いになりました。後日、彼を訪ねた奥森さん
は、京都府が受け入れるといいながら、住宅の提供とわずかな生活支援し
かないことを知りました。同じことがほかでも起こっているのではないか
と避難者を探し、京都での支援に乗り出し、やはり郡山から避難してきた
二〇代女性と知り合いました。奥森さんは交流しようと、五月に郡山から
移住した二人を招き、食事会を開いて京都の名物を一緒に食べました。

するともっと多くの人に呼びかけて交流会を開こうという話が持ち上がり
ました。そこで避難者の支援に乗り出し、交流会を企画。チラシを作り、
京都府や京都市が提供している住宅名を聞いて、チラシをまきにいき、
福島ナンバーの車のワイパーにチラシを挟み込みました。

こうして6月25日に「うつくしま☆ふくしまin京都」の第一回目の交流会が
開かれました。この名前は、もともと福島県が使ってきたキャッチフレーズ
ですが、避難者に親しみやすいだろということと、「福島を美しい町に戻し
たい」という意味を込めて使われました。このときに集まったのは避難世帯
の大人11人。

交流会の場で話題になったのは避難は正しかったのかどうかということでし
た。郡山の女性は父親の同意を得られませんでした。祖父や祖母も理解がな
い。唯一、母親だけが「あなたはこれから子どもを産むのだから」と理解を
示してくれたといいます。そんな思いが吐露されると、それぞれが後ろ指を
刺される辛い思いをしていることがわかりました。一時間ほど話し合い、自
分たちの避難は正しかったという結論に達しました。

7月23日に、2回目の交流会が行われました。子どもも楽しめるように関西名
物のたこ焼きパーティーが準備されました。17家族と多数の支援者が集まり
ました。このときは住民票を移すかどうかなど、具体的な心配が語られまし
た。避難の権利と賠償問題についても話合われ、ここから賠償を求める裁判
の準備が始められていくことになりました。

一方、放射能の問題も話されました。奥森さんたちは避難者から、京都の人
たちは放射能に対する認識が甘いと指摘されました。「私たちは放射能から
逃げてきました。でも放射能は食べ物に入って私たちを追いかけてきている
のです」と問われた。こうして活動の遡上に放射能対策があがりました。

9月25日には、避難の権利問題を中心とした3回目の交流会が持たれました。
22家族と支援者が参加。ここで福島の放射線汚染の実態を語ってもらおうと、
福島の「市民放射能測定所」理事の阿部宣幸さんを招いて講演してもらいまし
た。ところがそこで語られたのは福島のことだけではなく、汚染が広範囲に
広がって、京都にも迫ってきている実情でした。参加者の「西日本は大丈夫」
と思っていた意識が覚醒されました。

これを受けて11月23日に、まだ手探りの状態にありながらも、市民測定所
キックオフ集会が行われました。福島から簡易測定器を持ってきてもらって
測定会を行い、参加者が持参した安売りスーパーから買った鶏肉を計ったとこ
ろ、1キログラムあたり29ベクレルの放射線が検出されました。「これが決定
的でした。それまで目に見えなかった放射能が、測定することで可視化され、
分かってしまったという感じがして、みんな、これは測定所を本当に作るしか
ないとなりました」と奥村さん。こうして市民測定所準備会が設立され、奥森
さんが代表になりました。

メンバーは(1月時点で)20代から60代の約20人。うち避難者が4人。奈良や
大阪からも参加し、奈良にも測定所を作ろうという動きが生まれているといい
ます。京都府綾部市、大阪府千早赤阪村、兵庫県西宮市、大阪府北摂でも設立
の動きがあり、関西ネットワークも作られつつあります。

測定所はこのような道のりを歩んできましたが、測定器が注文から搬入まで
数ヶ月かかるため、まだまだ準備段階でした。ところが3月になって測定器搬入
が前倒しで早まりました。嬉しい反面、まだ時間があると思っていた資金集め
を急がねば成らず、踏ん張りが必要でしたが、それもなんとかクリアし、よう
やく開設一歩前に迫ることができ、4月8日の開設に向けた講演会と、食品測定
会を迎えることになりました。

こうした会でお話できることはとても光栄です。当日は、演題の「内部被曝か
ら身体を守るために」というタイトルでお話しますが、僕自身が仙台の二つの
測定所に関わってきた経験や、この間、各地で測定所を運営している方々と出
会い、見聞きし、僕なりにつかんできた、測定することの意義、課題、展望に
ついてもお話したいと思います。ぜひお近くの方はご参加ください。

市民の力で、放射線から身を守る力強い防護体制を築いていきましょう!

******

京都にAT1320A(放射能測定器)がやってくる
ホンマにつくるぞ!市民測定所
-守田敏也さん講演会と測定見学会-

●日時・場所:2012年4月8日(日)9時30分開場
1部守田さん講演会・京都市呉竹文化会館和室10時~12時
(京阪本線・近鉄丹波橋駅「西口」下車すぐ)
http://www.kyoto-ongeibun.jp/kuretake/map.php

2部食品測定会・京都市民放射能測定所12時15分~
(呉竹文化会館から徒歩1分)

●内容:1部測定所開設ジャンプ集会
-内部被曝と市民放射能測定所の役割
(1)報告「京都・市民放射能測定所の開設にむけて」
京都・市民測定所設立委員会から
(2)講演「内部被曝から身体を守るために」
守田敏也さん(フリーライター)
(3)質疑

2部AT1320A による測定見学会
*検体は設立委員会で準備します。

●参加費:500円

●呼びかけ
みなさん。待ちに待った放射能測定器(ATOMTEX 社・AT
1320A)が4月6日に京都にやってきます。
測定技術の取得や測定室の整備、スタッフ拡充を
進めながら、5月中にも京都・市民放射能測定所を
開設したいと考えています。

そこで、食品による内部被曝の危険性について改
めて学習するとともに、食品の放射能測定を実際に
体験してもらうためのイベントを計画しました。
あなたも、京都・市民放射能測定所をつくる一人
になってください。イベントに参加していただくと
ともに、開設資金カンパへのご協力、測定所会員に
なっていただきますよう、お願いします。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
京都・市民測定所設立委員会
〒612-8082 京都市伏見区両替町9丁目254 北川コンサイスビル203号
TEL 090-8232-1664・FAX 0774-21-1798
http://nukecheck.namaste.jp/
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
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明日に向けて(440)東日本大震災後に心不全が有意に増加、急性心筋梗塞、狭心症、脳卒中も(宮城県)

2012年03月29日 11時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120329 11:00)

日経メディカルに、「東日本大震災後に心不全が有意に増加、ACS、脳卒
中も」という記事が出ました。ACSとは急性心筋梗塞と狭心症のことです
が、宮城県における2008年から2011年6月30日までの、救急車搬送患者の
調査から、これらが震災以前より増加していることが明らかになりました。
東北大学循環器内科学の下川宏明氏が、第76回日本循環器学会で発表し
ました。

注目すべき点は「心不全の増加は、過去の大震災疫学調査では報告例が
なく、東日本大震災の特徴の一つである」とされていることです。ここか
ら、このデータは、放射性障害による急性症状があったことを物語って
いるのではないかと着目し、記事の分析を試みました。

心不全については次のようなことが明らかにされています。

「2月11日~3月10日と3月11日~4月7日の2期間で各疾患の発生数を比較し
た。その結果、2011年だけが、3月11日~4月7日の期間の方が2月11日~
3月10日の期間より、心不全、ACS、脳卒中、心配停止、肺炎のすべてが
有意に多かった。例えば心不全は、2011年の2月11日~3月10日では123件
だったが、同年3月11日~4月7日には220件と有意に増加していた
(P<0.001)。また、2008~2010年の各年の3月11日~4月7日の発生数
は、それぞれ101件、100件、126件であり、2011年の方が有意に高かった
(P<0.001)。」

これらから2011年の大震災前後の1ヶ月を比較すると約1.8倍、2008年から
2010年の同じ時期と比較すると約1.8倍から2.2倍も心不全の発生が多かっ
たことが分かります。なお急性心筋梗塞と狭心症の発症は、6月以降はむ
しろ下がっており、心臓にトラブルを抱えた人の発症が「前倒しになった」
とも指摘されています。

さらに次の点も指摘されています。

「着目点の1つである沿岸部と内陸部の比較では、沿岸部の内陸部に対す
るオッズ比を調べたところ、肺炎で1.54(95%信頼区間:1.06-2.26)と
なり、沿岸部での肺炎の患者が有意に多いことも分かった(P=0.023)。」

これらから、記事ではこの演題へのコメンテーターの次のような指摘を掲
載して記事の締めくくりとしています。

「東日本大震災では地震に加え、津波の被害が甚大であったことから、被
災者のストレスは多大であったと推定される」と指摘。下川氏らの検討に
よって、「こうしたストレスは心不全の要因および増悪因子となりえるこ
とが示された。また肺炎が沿岸部で有意に多かった点については、津波後
の粉塵あるいは冬季であったことの寒冷も関連していると考えられ、この
ことが心不全増加に関与した可能性が高い」などと考察した。」

つまり、タイトルにあげられた心不全等々が有意に増加した原因を、津波
被害に求めているのですが、ここで示させている根拠は、沿岸部と内陸部
を比較した時、肺炎が有意に、沿岸部の方が多い(1.54倍)ことのみです。
心不全に関するこの点でのデータがないのが残念です。

さてこれらからどのようなことが導き出されるのでしょうか。一つには、
事実問題として、宮城県のデータとして、大震災の後の、心不全、急性心
筋梗塞、狭心症、脳卒中、心肺停止、肺炎の有意な増加があったというこ
とです。

その原因として、肺炎が沿岸部が内陸部に対して有意に多かったことから、
津波の影響が指摘されているわけですが、単純に考えても、寒い時期に
おこった津波による大被害が、被災者に大きなストレスを与えたことは想
像しやすく、これらがさまざまな症状の原因になっているという指摘は
うなづけるものです。

しかしそれだけだったのだろうか。宮城県南部にも大量の放射性物質が
降り注いだことを考えたときに、これらの数字は、放射能の影響によるも
のでもあるのではないかと考えると、津波被害と同じように、その可能性
も十分に考えられと僕は思います。バンダジェフスキー博士などが指摘して
いる、セシウムは心筋に集まりやすく、心臓の障害を引き起こしやすいとい
う事実と、心不全・心筋梗塞・狭心症・心肺停止の増加、とくに心不全が
増加したという事実が、ここで符号するからです。実際には、津波被害と
放射線障害が複合して、心臓のトラブルを発生させたことが多かったので
はないか。

しかし少なくとも記事から見る限り、分析者の側がこうした視点を持って
いなかったために、放射能の影響について、はっきりと、あった、なかっ
たと言いうるデータの取り方がされていないように思えます。ないしは
データはあっても、そうした分析が試みられていないのかもしれません。
(例えば宮城県内における放射性物質の降下が多かったところと少なかった
ところを比較するなど)


それらから、こうしたデータの処理・分析、東日本大震災における疾病状況
を解析するにあたっては、放射線障害の可能性を排除せず、それをデータ的
に検証する分析姿勢が求められます。そうした分析を進めれば、放射線障害
が初期から起こっていることが明らかになりうると僕は推論していますが、
あるいはその反対の結論が出てくることもありえます。それを含めて、
放射線のことを視野にいれた分析の必要性を強調したいと思います。

いずれにせよ、「にわかに健康に被害なない」という呪文を振り払い、実は
「にわかに健康に被害が出ていた」可能性を追求していく必要がある。
今回のデータは少なくともそのひとつの足がかりになると思います。

***********************

東日本大震災後に心不全が有意に増加、ACS、脳卒中も
日経メディカルオンライン 2012・3・20

東日本大震災では発災以降、心不全をはじめ、ACS、脳卒中などの循環器
疾患が有意に増加していた。特に心不全の増加は、過去の大震災疫学調査
では報告例がなく、東日本大震災の特徴の1つであることも浮かび上がった。
東北大学循環器内科学の下川宏明氏が、3月18日まで福岡で開催されていた
第76回日本循環器学会(JCS2012)のLate Breaking Clinical Trials
セッションで発表した。

下川氏らは、宮城県で救急車で搬送されたすべての患者記録を調査し、東
日本大震災の発災前後における循環器疾患の変動を明らかにした。加えて
東北大学循環器内科におけるデバイス植え込み患者および冠攣縮性狭心症
患者も対象に、震災の影響を検討した。

救急車搬送の調査は、2008年から2011年6月30日までを対象とした。対象
地域は宮城県全域だった。県医師会の全面的な協力が得られたこともあり、
宮城県内12消防本部すべてが協力に応じてくれたという。

調査期間中の救急車の出動件数は、合計で12万4152件だった(救急搬送例
の初診時診断率は56.2%)。この全例を対象に、心不全、ACS(急性心筋
梗塞と狭心症)、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、心肺停止、肺炎の症例を調
べた。その上で、発災前後および同時期の過去3年間について、各疾患の
発生件数を比較検討した。

下川氏らはまた、今回の震災では津波による甚大な被害を受けた沿岸部と
津波の被害を免れた内陸部では事情が大きく違うと考え、沿岸部と内陸部
に分けた解析も行った。

解析ではまず、各年ごとに2月11日~3月10日と3月11日~4月7日の2期間で
各疾患の発生数を比較した。その結果、2011年だけが、3月11日~4月7日の
期間の方が2月11日~3月10日の期間より、心不全、ACS、脳卒中、心配停止、
肺炎のすべてが有意に多かった。例えば心不全は、2011年の2月11日~3月
10日では123件だったが、同年3月11日~4月7日には220件と有意に増加して
いた(P<0.001)。また、2008~2010年の各年の3月11日~4月7日の発生数
は、それぞれ101件、100件、126件であり、2011年の方が有意に高かった
(P<0.001)。

次に、2011年の2月11日以降、4週間ごとの週間平均発生数を追ったところ、
心不全は30.8件、55.0件、35.0件、31.0件、29.3件と推移していた。同様
にACSは8.25件、19.0件、9.25件、5.0件、10.0件、脳卒中は70.8件、96.5件、
82.0件、73.5件、62.5件、心配停止は49.0件、61.8件、46.0件、42.3件、
40.3件、肺炎は46.5件、89.3件、60.5件、45.5件、47.5件とそれそれ推移
していた。

過去3年間の週間平均発生数と比較すると、2011年3月11日~4月7日の発生数
は、調査した疾患すべてにおいて有意に多くなっていた。

なお、ACSにおいては、2011年5月6日~6月2日の発生件数が過去3年間の平均
週間発生数より有意に少ないことも判明。この点について下川氏は、「ACSの
予備軍が前倒しで発生した可能性がある」と指摘した。

着目点の1つである沿岸部と内陸部の比較では、沿岸部の内陸部に対する
オッズ比を調べたところ、肺炎で1.54(95%信頼区間:1.06-2.26)となり、
沿岸部での肺炎の患者が有意に多いことも分かった(P=0.023)。

このほか、デバイス植え込み患者および冠攣縮性狭心症患者を対象とした
検討では、不整脈(特に心室性)の増加が見られ、心臓再同期療法(CRT)
治療の効果の減弱や冠攣縮の増悪の可能性なども明らかになった。

この演題に対するコメンテーターとして登壇した秋田大学循環器内科の
伊藤宏氏は、「東日本大震災では地震に加え、津波の被害が甚大であった
ことから、被災者のストレスは多大であったと推定される」と指摘。
下川氏らの検討によって、「こうしたストレスは心不全の要因および増悪
因子となりえることが示された。また肺炎が沿岸部で有意に多かった点に
ついては、津波後の粉塵あるいは冬季であったことの寒冷も関連している
と考えられ、このことが心不全増加に関与した可能性が高い」などと考察
した。その上で、「今回の研究データは、災害時の循環器医療だけでなく、
災害を見据えた日常診療のあり方を考える上で重要な指標となりえる」と
評価し、コメントを締めくくった。
(日経メディカル別冊編集)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2012/201203/524102.html
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明日に向けて(439)人と喧嘩しがちなのも、放射線被曝の影響かもしれない・・・

2012年03月28日 17時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120328 17:30)

毎日新聞に「原発事故後に精神科入院、被ばく恐怖「影響」24% 」と
いう記事がでました。原発事故による「心理的ストレス」の問題をいかに
捉えるのか考察していたときだったので、注目したのですが、記事内容が
不鮮明というか、問題の所在がぼやけたものになっています。福島県立大
学のデータに依拠しているのですが、同大の捉え方の限界なのか、取材し
た記者の限界なのか、要領を得ず、また結論も非常によくない記事です。

それでも紹介しようと思ったのは、「原発事故後に、福島県内の精神科に
入院・再入院した患者のうち、放射線被ばくの恐怖が関連した可能性のあ
る人は24・4%と全体の4分の1に達した」という点を紹介しておきた
かったからです。

まず押さえておくべきことは、こうした放射能の恐怖によるストレスもま
た、原発事故の明確な被害の一環であり、東電によって賠償されるべきも
のであるということです。これに対して、山下俊一氏などが、「放射能を
怖がりすぎるからよくないのだ」と、何かあたかも自己責任であるかのよ
うな言辞を繰り返しているのですが、これは被害者を加害者にしたてあげ
る悪質な論理です。

このロジックは、チェルノブイリ事故に際しても、その前のスリーマイル
島事故に際しても用いられたものでした。実際に身体にあらわれている
健康被害をすべてストレスのせいにしてしまい、放射性被害を隠してしま
うものです。山下俊一氏が副学長を務める福島県立医大の調査であるため
に、そうした結論が導出される可能性が懸念されます。


同時に気になるのは記事に「チェルノブイリ原発事故でも放射線が精神面
に与える影響が報告されているが、10年程度たってからの調査だった」
と書かれている点です。「放射線が精神面に与える影響」・・・そのこと
と、放射線を恐るストレスとは別物であることを、記事を書いた記者さん
は理解して書いたのでしょうか。理解しないで、つまりこの違いを差異化
できずに書いているのではないか。

なぜこの点が重要なのかというと、ここで精神疾患と放射線の関係が大き
く別れるからです。通常、問題として指摘されるのは、放射線を恐怖する
ことによるストレスです。先にも述べたように、これとて怖がる当事者が
悪いなどということは断じてなく、放射能漏れ事故が巻き起こした重大な
損害、ないし傷害行為です。

しかしより重要なのは、恐怖によって精神がダメージを受けるだけでなく、
放射線の影響そのものによって、精神がダメージを受けている面があるの
ではないかという点で、僕も、データ的裏付けはないものの、こうした
影響、ないし傷害はありうると考えています。

実はこの点は、僕が「発見」したことではありません。福島市内を訪問し
たとき、あるところでお会いした精神科医の方から聞いた知見です。僕は
この方に「精神科医の立場から、福島の方たちの、精神状態について、
どのような考えているか。精神科の立場から、放射線障害を感じることが
あるか」と質問したのですが、あるという答えがかえってきたのです。

この方の説明によれば、脳の中の記憶などを司る「海馬」という部分が、
細胞分裂が活発であるため、放射線障害を受けやすいところであり、ここ
への放射線によるダメージが、人々の意識の硬直化などにつながっている
可能性があるというのです。この方によれば、放射線が海馬にダメージを
与えること自身は、すでに英語圏で有意なデータに基づく論文が発表され
ているとのことです。(当該論文を僕はみつけていませんが・・・)


もう少し詳しく見ていくと、海馬は新しい記憶の獲得能力や学習能力を
司っている場で、ここが損傷を受けると、古い記憶は保持されていても新
しく認識したことの記憶能力が低下します。アルツハイマー病による記憶
の低下でも、海馬の損傷が伴っていることが確認されています。ここの
損傷が認知症につながってるわけです。

前述の精神科医の方が強調したのは、新しい記憶の中には、新しい発想の
枠組みも入るのだといい点で、それが記憶・学習できないということは、
発想の枠組みを変えにくくなることを意味し、思考の柔軟性が失われれて
いくことにつながるというのです。

ちなみに海馬はまさに精神的ストレスそのものによってもダメージを受け
やすい場所で、それが重なると、うつ病が発症しやすくなることも知られ
ています。その意味で、確かに精神的ストレスによって海馬の損傷や萎縮
がおきやすく、それが免疫力の低下につながり、病気が発生するメカニズ
ムがあるのですが、しかし反対に、放射線によっても海馬はダメージを
受けやすいのです。その場合、「精神的ストレス」が、放射線を直接の契
機によって起こっていることも考えられるわけです。

「今、福島の中では、放射線からいかに身を守るのかをめぐって、大きな
意見対立があり、硬直した相互応酬がみられる場合もあるのですが、私は
確かにそうした硬直性が、ストレスによって生み出されている面もあるも
のの、他方で放射線が海馬にダメージを与えることによって生まれている
面もあると思うのです」。そうこの方が語られてたとき、思わず唸ってし
まいました。


そんなとき、ある友人の話を思い出しました。結婚をし、子どもができて、
今まで住んでいたマンションでは手狭になって、新築の広いマンションに
引っ越した。新居で新しい希望の生活がはじまったはずなのに、その後、
子どもがむずかり続け、お連れ合いが不機嫌になって、夫婦喧嘩が絶えな
くなってしまった。

何度も話し合っても、厳しい状態を抜け出す糸口が見つけられなかったの
ですが、あるとき周りから、「原因はシックハウス症候群なのでは」と言
われた。新築の家屋に使われている化学物質が犯人だというのです。友人
も、確かに新居に入居した時、何かの薬品の匂いのようなものを感じたこ
とを思い出しました。それでもう一度、引っ越したのですが、そうしたら
子どもがすやすや寝るようになり、お連れ合いの機嫌もよくなって問題が
解決した。そのときになって、自分自身が、いつも不機嫌だったことに気
がついた・・・というのです。

この場合、精神的ストレスの引き金になっているのは、化学物質です。こ
れと放射線の害とはメカニズムが違いますが、しかしある意味では似たよ
うなことが起こっている可能性があるのではないか。人々の対立が、全て
ではないにせよ、放射線障害そのもののとしてあらわれているのではない
かということです。


こうした知見を踏まえたうえで、再度、記事の結語部分に返ると、そこに
大きな過ちがあることが見えてきます。とくに記事が「同大神経精神医学
講座の丹羽真一教授は「事故の影響は大きいという印象だ。除染も他人よ
り自分でしたほうが安心できる。住民参加で放射線被ばくの不安を軽減す
る取り組みも(精神的負担を減らすために)重要だ」と話している。」と
結ばれている点です。

何が限界なのか。第一に、除染活動はそれそのものが被曝労働です。なにせ
放射線の高いところにいって、放射性物質を除去する活動をするわけですか
ら、ガンマ線による外部被曝は絶対に避けられない。その上、放射性物質を
扱ったことのない素人が作業に加われば、放射性物質によって、自らを汚染
させてしまい、付着した放射性物質を吸い込んで、内部被曝を受けてしまう
ことも避けられないのです。その意味で除染活動は、脳のストレスを深める
側に物理的に作用する可能性を強くもっており、素人が参加するのは避ける
べきものです。

第二に、「除染は他人よりも自分でしはほうが安心できる」ということ自身
が、まったく根拠がないし、現実を知らないものが言うことです。なぜなら
実際には、自分でしてみると、除染の難しさがわかり、なかなか放射線量が
下がらない現実に突き当たるからです。その点でも、この説明は現状とあま
りに食い違っています。むしろ「精神的ストレス低減にもなるから、除染に
参加しよう」との、現実を無視したプロパガンダにすぎないとすらいえます。

残念なことに、記事を書いた記者さんは、こうした非常に問題の多いコメント
を無批判的に載せて記事を締めてしまっているのですが、再度、確認すべきは、
精神的ストレスの原因は東電の事故にあり、東電はその損害への償いを行うべ
きだということと、放射線そのものが、脳の海馬を傷つけ、記憶低下や新しい
思考の枠組みの形成の困難をもたらし、思考の柔軟性を奪い、結果的に人と
ぶつかりやすい精神状態を生み出している可能性があるということです。

私たちはこうしたことを頭に入れて、互いに接する必要がありそうです。いう
なれば、他者に対して譲歩の気持ちを強め、一歩、優しくなることが、放射線
防護をすすめる上で大切ではないかということです。僕自身、こうした点に
基づいて自らを省みながら、歩んでいきたいと思います。

*********************

東日本大震災:原発事故後に精神科入院、被ばく恐怖「影響」24% 
福島県立医大、県内の患者調査
毎日新聞 2012年3月26日 東京朝刊

東京電力福島第1原発の事故後に福島県内の精神科に入院・再入院した患者の
うち、放射線被ばくの恐怖が関連した可能性のある人は24・4%と全体の
4分の1に達したことが福島県立医大の調査で分かった。外来も事故関連と
みられる新患は3割を占めた。原発事故が精神疾患へ及ぼす影響を示す事故
直後のデータは世界的にもなく、同大は大規模原発事故や長期の避難生活な
どが心にどんな負担となっているのか患者の追跡調査をしていく。【鈴木泰広】

入院調査は同大神経精神医学講座の和田明助教らが、30病院に3月12日か
らの2カ月間のアンケートをし、27病院から回答を得た。

事故による転院などを除いた入院・再入院患者610人(男49%、女51%)
のうち、被ばくへの恐れが関連あると診断されたのは12・1%の74人、
関連があるかもしれないとされた人は12・3%の75人だった。関連がある
患者の割合は原発に近い相双・いわき地域が23~27%と高かった。

関連があるとされた74人中震災前に精神科の受診歴がない人は9人いた。
74人は事故後1カ月以内の入院・再入院が大半。年齢別では40~50代が
ほぼ半数を占めた。自宅の被災や、避難所生活をしていた割合が全体傾向より
高く、大勢が集まる避難所のストレスに被ばくの不安が重なったケースも
みられた。

一方、外来調査は三浦至助教らが77病院・クリニックに3月12日からの
3カ月間(各週1日を抽出)を聞き、57施設が回答した。うつ病や不安障害
などの新患410人を調べたところ、事故関連と診断されたのは19%の78人、
関連があるかもしれないと診断されたのは13・4%の55人だった。
計133人のうち、うつ病が最多で47人、急性ストレス障害・心的外傷後
ストレス障害、適応障害がそれぞれ38人。半数近くが避難生活のストレスを
抱え、4割が放射線の自分への影響、3割が子供など家族への影響の恐怖を
訴えた。

チェルノブイリ原発事故でも放射線が精神面に与える影響が報告されているが、
10年程度たってからの調査だった。同大神経精神医学講座の丹羽真一教授は
「事故の影響は大きいという印象だ。除染も他人より自分でしたほうが安心で
きる。住民参加で放射線被ばくの不安を軽減する取り組みも(精神的負担を減ら
すために)重要だ」と話している。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120326ddm001040073000c.html



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明日に向けて(438)肥田さん講演会(尾道・京都2箇所)松井英介さん講演会(京都)のお知らせ

2012年03月27日 08時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120327 08:30)

本日27日、岩波ブックレット出版記念に際しての講演と昼食の会を開いていた
だきます。僕もこれから会場に向かいます。詳細は下記をご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/c/39d9d789a234298eda85751fd2bd0ecc

また今週末から来週月曜日にかけて、わが「市民と科学者の内部被曝問題研究
会」の肥田舜太郎名誉会長と、呼びかけ人の中心のお一人である松井英介さん
が、それぞれ講演をされますので、スケジュールをご紹介します。僕も京都の
すべての企画に参加します。

まず肥田さんですが、3月31日(土)午後13時30分から、尾道しまなみ交流館で、
お話します。主催は「フクシマから考える一歩の会」さんです。
なお講演会場で、岩波ブックレット『内部被曝』も販売してくださいます。
尾道近辺の方、ぜひご参加ください。

4月1日(日)には京都で講演会があります。野呂美加さんとのジョイント講演
です。4月1日、2日にわたって行われる「ここからミーティング2012」の中の
一つの企画ですが、講演会だけの参加も可能です。講演会は15時から17時30分
まで。詳しくはイベント全体の案内をご確認ください。

4月2日には京都・東本願寺にて、全戦没者追弔法会が行われ、その中の記念
講演として肥田さんが「戦争と核の世紀を超えて」という演題でお話されます。
午前10時から12時30分までの企画です。

同じく午後からは以下の参加者によるシンポジウムが行われます。
肥田舜太郎さん、槌田劭さん(「使い捨て時代を考える会」相談役)
満田夏花さん(国際環境 NGO FoE Japan)
コーディネーター:大須賀護さん(京都教区正願寺門徒・出版部非常勤嘱託)

京都近辺で肥田さんのお話をまだお聞きになってない方はぜひご参加ください。


続いて松井英介さんの講演会をご紹介します。
4月1日(日)アバンティ饗都ホールにて行われます。
午前の部 10:00 ~ 11:45  講演会および質疑応答
午後の部 13:30 ~ 15:30   学習会および相談会
という贅沢な構成です。

主催は、僕も何度かお話に呼んでいただいた「ネットワークあすのわ」の「松井
英介講演会プロジェクト」。共催は「子どもと未来を守る会京都」です。
こちらにもぜひお越しください。

なお内部被曝研に講師陣のスケジュールが以下から見えれます。
みなさん、精力的に講演に歩かれていますが、なかでも肥田さんの奮闘には
本当に頭が下がります。95歳にして、この超過密スケジュールです。
どうかそれぞれの会場にお越しください。またその際、肥田さんのお体への
お気遣いもどうかお忘れなく・・・。
http://www.acsir.org/lecture/index.php


以下、各企画の詳細を貼り付けます。

********************************

内部被曝の真実・危険とどう向き合うか 

肥田舜太郎先生講演会
「知らなかった」では済まされない。

内部被曝に「安全区域」はない。
取り込むと、生涯影響を受け続ける。
現代の医学では診断法もなければ治療法もない。

日時:平成24年3月31日(土)
開場:13時
開演:13時30分
会場:尾道しまなみ交流館
(広島県尾道市東御所町10-1)
内容:肥田舜太郎先生講演
入場料500円(中学生まで無料) 託児300円

主催:フクシマから考える一歩の会
窓口:090-2002-8667(小林さん)
託児問合せ:noka.suehisa@gmail.com(末久さん)

協力:社団法人「命・地球・平和産業協会」
後援:尾道市医師会 尾道薬剤師会 広島県保険医協会
   尾道ケーブルテレビ 尾道FM放送 尾道子ども劇場
   尾道地区連合女性会 山陽日日新聞社

情報は以下から転載
http://blog.goo.ne.jp/unitehiroshima/e/6f75feb263011743791d745503238548

*****

東日本大震災、そして福島原発事故から
もうすぐ一年になろうとしています。
皆様 いかがお過ごしでしょうか。

今年度の「ここからミーティング2012 in 京都」は、
ちいさな子どもを持つ会員の皆さんの関心が高い
子どもたちを放射能から守るための知恵を
学び合い、話し合う場です。

「こころとからだをつなぐ」という意味を込めて
スタートした「ここからミーティング」ですが、
東日本大震災・原発事故から、皆でこれからについて語り合い
「ここからつながろう」というもうひとつの意味がかさなりました。

場所を京都に移してのはじめての開催となりますが、
場所と変えても参加者の方がゆっくりとしっかりと
語り合える場をつくっていきたいと思います。
皆さまのご参加をお待ちしております。

15:00~17:30
肥田舜太郎先生 野呂美加さん 講演会
「子どもたちを内部被曝から守るために」
18:30~ 夕食・交流会

講演会のみ参加 2500円

会場: 関西セミナーハウス
〒606-8134 京都市左京区一乗寺竹ノ内町23
TEL:075-711-2115 FAX:075-701-5256

イベントの全体については以下をクリック 情報も以下から
http://shizen-ikuji.org/kozaevent/kokokara2/entry-6337.html

*****

真宗大谷派 東本願寺(京都市下京区)では、4月15日(日)まで参拝接待所
ギャラリーにて『非戦・平和展』を開催しています。なお、関連して4月2日
に全戦没者追弔法会とシンポジウムが行われます。

昨年3月11日の東日本大震災以後、福島第一原子力発電所の事故による放射能
被害は拡大し続けています。広島・長崎の原爆を経験した私たちの国のこれ
までの歴史とこれからを、「被ばく」という視点からもういちど考えてみた
いと思います。

非戦・平和展 「戦争と核の世紀を超えて」
日時:3月16日(金)~4月15日(日)午前9時~午後4時
場所:参拝接待所ギャラリー

テーマ:「往生をねがうしるし 世をいとうしるし ―戦争と核の世紀を超えて―」

展示の柱:1 宗派からのメッセージ
     2 1945年~現在までの核による被害・被ばく       
     3 明治期以降の宗派と戦争の関わり
内容:
 「広島・長崎への原爆投下」
 「第五福竜丸、水爆実験による被は?く」
 「スリーマイル島原子力発電所事故」
 「チェルノフ?イリ原子力発電所事故」
 「東海村 JCO 臨界被曝事故」
 「東京電力福島第一原子力発電所事故」
 「原子力発電所の被は?く労働者」

全戦没者追弔法会
日時:4月2日(月)午前10時~12時30分
会場:真宗本廟(東本願寺)御影堂

●記念講演
講師:肥田舜太郎 氏(日本被団協原爆被爆者中央相談所前理事長)
講題:「戦争と核の世紀を超えて」


シンポジウム
日時:4月2日(月)午後2時~4時30分
会場 真宗本廟(東本願寺)視聴覚ホール(参拝接待所キ?ャラリー地下2階)

パネリスト:
肥田舜太郎 氏
槌田劭 氏(「使い捨て時代を考える会」相談役)
満田夏花 氏(国際環境 NGO FoE Japan)
コーディネーター:大須賀護 氏(京都教区正願寺門徒・出版部非常勤嘱託)

主催 : 真宗大谷派(東本願寺)
お問い合わせ:真宗大谷派解放運動推進本部 電話075-371-9247

チラシは以下から
http://www.higashihonganji.or.jp/info/event/PDF/zensen2012.pdf

情報は以下から転載
http://otsnews.jp/stories/3044

*****

4月1日(日)に京都駅すぐのアバンティ響都ホールにて、松井英介氏を
お招きして、内部被曝について講演会を開きます。

内部被曝とは?なぜ日本はICRPの基準に従うの?など、納得のいく
お話しを聞いて頂けます。
午後からは、松井先生も交えて、じっくりと勉強会と相談会も開く予定です。
ご家族、お友達、お知り合いもお誘い合わせの上、ご参加くださいますよう、
お願いいたします。

転載、拡散希望です。
京都での開催ですので、大阪方面の方々にもお知らせくださると
ありがたいです!!

<<松井英介氏講演・学習会>>  

場所 講演会:龍谷大学アバンティ響都ホール (京都駅八条口すぐ) 
   学習会:京都キャンパスプラザ →下記参照
日時 2012年4月1日(日)
   午前の部 10:00 ~ 11:45  講演会および質疑応答
   午後の部 13:30 ~ 15:30   学習会および相談会
参加対象 一般
募集人数 講演会350名  学習会40名
参加費  午前の部 大人ひとり 800円
      障がい者ひとり 500円 
     午後の部 大人ひとり 500円   
      障がい者ひとり 300円
     午前・午後とも中学生以下無料  
   ・午前の部は託児あります
     要予約 1歳以上 申し込み締め切り3月23日)
   ・午前の部は手話通訳対応あります
     (要相談 申し込み締め切り3月23日) 
   ・午後の部は
     要申し込み(お茶とお菓子付き 定員40名になり次第しめきり)
   ・午後の部は東日本大震災避難者優先
   ・午後は託児はありませんが、親子でご参加いただけます。

主催 ネットワークあすのわ・松井英介講演会プロジェクト  
共催 子どもと未来を守る会京都
後援 NPOベジタリアンフェスティバル実行委員会、NGOe-みらい構想(確定)
   滋賀県教育委員会、京都市教育委員会、滋賀県弁護士会、京都市弁護士会、
   滋賀県保険医協会、京都府保険医協会、滋賀県人権センター(以上申請中)

お申し込み・問い合わせ
ネットワークあすのわ事務局  
(有)暮らしを考える会内  滋賀県野洲市小堤184-1
 Tel 077-586-0623  Fax  077-586-1403
mail asunowa_kouenkai@yahoo.co.jp

○松井英介略歴:
元岐阜大学医学部放射線医学講座助教授。医学部退官後、岐阜環境医学研究所を
開設、所長、現在に至る。この間、呼吸器疾患の画像および内視鏡診断と治療、
肺がんの予防・早期発見、集団検診ならびに治療に携わると同時に、放射線内部
被曝、アスベスト被害、産業廃棄物問題などの研究や調査に取り組んできた。

著書「見えない恐怖―放射線内部被曝」(2011年 旬報社)、ブックレット
監修著「放射線被曝から子どもを守るために」(2011年 旬報社)など執筆。

情報は以下から転載
http://asunowa.shiga-saku.net/e757233.html



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明日に向けて(437)荒木田岳さんのお話を聞きに来てください!(30日ひとまち交流会館)

2012年03月26日 09時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120326 09:30)

福島大学准教授の荒木田岳さんが京都に来られます。29日に立命館大学で他の
3名の福島大学教員の方とこられてシンポジウムを行うのですが、30日の午前中
にも「放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会」が、荒木田さんを囲んだ
お話会を設定してくださいました。30日の会では、僕が聴き手になって、荒木田
さんのお話をみなさんとシェアしたいと思います。

荒木田さんとは、昨年の10月、京都精華大学と福島大学の教員や福島市民らで
作る「放射能除染・回復プロジェクト」の除染活動に参加した時に知り合いにな
りました。ちょうど荒木田さんが『週刊朝日』に「除染するほど住めないと思う」
という一文を書かれた直後でした。

僕は除染活動にとどまらず、今、「福島市に住む」ことのアンビバレントな思い
を率直に表したこの文章に大変、胸を打たれました。すぐに「明日に向けて」で
紹介させていただくとともに、それ以降、メールでやりとりしたり、福島市で
お会いしたりということを繰り返してきました。

荒木田さんは、「きれいごと」を言わない。かといって、けして斜にかまえて、
ニヒリズムをただよわせているのでもない。ある種、淡々と現状を描写しつつ、
その奥深くにある、人々の複雑な思いを、そのままにつかみ、伝えようとして
います。美しいとはとても言えない。しかしただ醜いというのでもまったく正
確ではない。その狭間にあって揺れ動いているものと言えるものかもしれません。

それをそのまま見つめようとする荒木田さんに、僕は社会学者としての誠実さと
プライドも感じます。そしてまたそんな荒木田さんの語る「福島の今」に一番の
リアリティを感じるのです。ぜひ多くの方に耳を傾けて欲しい、接して欲しいと
思います。それでママパパ会の方にお願いして、場所を作っていただきました。

どうかみなさん。福島市を訪れるつもりで、荒木田さんのお話を聴きに来てくだ
さい。そしてイマジネーションを自らつかみとってください。今後、福島のこと、
原発災害被災地のことを思い考えるときの、とても大事なインスピレーション
を掴むことができると思います。

すでに一度、紹介したものですが、再度、荒木田さんの名分を記して、お誘いに
かえます。

*****

除染するほど、「住めない」と思う
荒木田岳(あらきだたける)

5月から福島大の同僚や京都精華大などの先生たち、市民の方々と一緒に
福島県内の除染に取り組んでいます。最初は、通学路や子どものいる家
から作業を始めました。

政府は「除染をすれば住めるようになる」と宣伝していますが、それは
実際に除染活動をしたことのない人の、机上の空論です。現場で作業し
ている実感からすれば、除染にかかわるたびに、「こんなところに人が
住んでいていいのか」と思います。

原発から約60キロ離れた福島市内ですら、毎時150マイクロシーベルト
なんて数字が出るところがあります。信じられますか?今日もその道を
子どもたちが通学しているんです。

30マイクロくらいの場所はすぐ見つかります。先日除染した市内の民家
では、毎時2マイクロシーベルトを超えていました。つまり、家の中に
いるだけで年20ミリシーベルト近くを外部被曝する。これに内部被曝も
加味したらどうなるのか。しかもそんな家でも、政府は特定避難推奨
地点に指定していません。

そしてどんなに頑張って除染しても、放射線量はなかなか下がりません。
下がっても雨が降ったら元の木阿弥(もくあみ)です。一回除染して
「はい、きれいになりました」という話じゃないんです。

今、私の妻子は県外に避難していますが、電話するたび子どもたちが
「いつ福島に帰れるの」と聞きます。故郷ですからね。でも私には、今
の福島市での子育てはとても考えられません。

そんな私が除染にかかわっているのは、「今しかできない作業」があり、
それによって50年後、100年後に違いが出てくると思うからです。多くの
人が去った後の福島や、原発なき後の地域政策を想像しつつ、淡々と作業
をしています。歴史家としての自分がそうさせるのでしょう。

結局、福島の実情は、突き詰めると、元気の出ない、先の見えない話に
なってしまいます。でもそれが現実です。人々は絶望の中で、今この瞬間
も被曝し続けながら暮らしています。こうして見殺しにされ、忘れられ
ようとしているわが町・福島の姿を伝えたいのです。そうすれば、まだ
この歴史を変えられるかもしれない。今ならまだ・・・・・。

******

荒木田岳さん(福島大学行政政策学類准教授)を囲んで 
お話会のお知らせ

「除染するほど 住めないと思う 福島の今。」

学校給食の「地産地消」の推進?!
「逃げたヒトvs 残ったヒト」の二分化。。
放射線量測定へのタブーや無言の圧力?!
色んな情報が錯綜する中、
日本の美しいふるさと、福島では今、何が起こっているの?

福島とともに歩まれている、「放射能汚染・回復プロジェクト」の
荒木田さんをお招きし、「福島の今」を聴いてみませんか?
これは、福島だけ、日本だけの問題ではありません。

子供たちを放射能の脅威から守るという立場に立つならば、
「避難」と「除染」という2つの方法は、互いに矛盾するものではなく、
相互補完的なものであるはずです。しかし、国や福島県は、避難させない
ことを目的に除染を呼びかけているのです。

聞き手(コーディネーター):守田敏也さん
日時:3月30日(金) 10:30~13:00ごろ
場所:ひとまち交流館 2階 和室
料金:500円程度のカンパ制

*小さなお子様連れのママたちも大歓迎です。
(軽食なども遠慮なくご持参下さい)

予約:不要
主催:京都ママパパの会

荒木田さん(福島大学准教授)プロフィール
http://www.ads.fukushima-u.ac.jp/article/arakida_takeru

荒木田さんの除染活動についての記事
守田敏也さん 

「明日に向けて」(306)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/fb3d13f7a57e2316575db56007ff1124
「明日に向けて」(304)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3ebae533afd6d0f6a86b9fd668af6153
「明日に向けて」(399)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/06c35fc5f3c9b2f575e9fc577752fb4e

放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会

*****

[開催]3/29(木)15:00~原子力と生存学研究会
特別企画「震災・大学・放射能~福島大学教員をお招きして」

人間科学研究所と立命館大学生存学研究センターの共同主催で以下のような
ワークショップが開催されます。
どなたでもご参加いただけます。皆さまのご参加をお待ちしています。

東日本大震災直後に生じた福島第一原発事故。爆発後の南東の風に乗って拡散
した放射能に対して福島大学・教員・市民はどのように対応したのか。現在の
問題点は何か。その実情や大学の危機管理のあり方など、私たちが学ぶべきこ
となどを福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)のメンバーによってお話しい
ただきます。

【日時】2012年3月29日(木)(15:00~18:00)
【場所】衣笠キャンパス 創思館303・304号室
【主催】人間科学研究所/生存学研究センター原子力と生存学研究会

登壇者 石田 葉月(福島大学 共生システム理工学類)
   荒木田 岳(福島大学 行政政策学類)
   永幡 幸司(福島大学 共生システム理工学類)
    後藤  忍(福島大学 共生システム理工学類) 

司会・聞き手 サトウタツヤ (立命館大学文学部/元福島大学教員)
指定質問者  中倉智徳 (立命館大学大学院先端総合学術研究科研究指導助手)


福島大学原発災害支援フォーラム. (FGF).
http://fukugenken.e-contents.biz/

立命館大学人間科学研究所
http://www.ritsumeihuman.com/

立命館大学生存学研究センター
http://www.ritsumei-arsvi.org
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