守田です。(20120326 09:30)
福島大学准教授の荒木田岳さんが京都に来られます。29日に立命館大学で他の
3名の福島大学教員の方とこられてシンポジウムを行うのですが、30日の午前中
にも「放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会」が、荒木田さんを囲んだ
お話会を設定してくださいました。30日の会では、僕が聴き手になって、荒木田
さんのお話をみなさんとシェアしたいと思います。
荒木田さんとは、昨年の10月、京都精華大学と福島大学の教員や福島市民らで
作る「放射能除染・回復プロジェクト」の除染活動に参加した時に知り合いにな
りました。ちょうど荒木田さんが『週刊朝日』に「除染するほど住めないと思う」
という一文を書かれた直後でした。
僕は除染活動にとどまらず、今、「福島市に住む」ことのアンビバレントな思い
を率直に表したこの文章に大変、胸を打たれました。すぐに「明日に向けて」で
紹介させていただくとともに、それ以降、メールでやりとりしたり、福島市で
お会いしたりということを繰り返してきました。
荒木田さんは、「きれいごと」を言わない。かといって、けして斜にかまえて、
ニヒリズムをただよわせているのでもない。ある種、淡々と現状を描写しつつ、
その奥深くにある、人々の複雑な思いを、そのままにつかみ、伝えようとして
います。美しいとはとても言えない。しかしただ醜いというのでもまったく正
確ではない。その狭間にあって揺れ動いているものと言えるものかもしれません。
それをそのまま見つめようとする荒木田さんに、僕は社会学者としての誠実さと
プライドも感じます。そしてまたそんな荒木田さんの語る「福島の今」に一番の
リアリティを感じるのです。ぜひ多くの方に耳を傾けて欲しい、接して欲しいと
思います。それでママパパ会の方にお願いして、場所を作っていただきました。
どうかみなさん。福島市を訪れるつもりで、荒木田さんのお話を聴きに来てくだ
さい。そしてイマジネーションを自らつかみとってください。今後、福島のこと、
原発災害被災地のことを思い考えるときの、とても大事なインスピレーション
を掴むことができると思います。
すでに一度、紹介したものですが、再度、荒木田さんの名分を記して、お誘いに
かえます。
*****
除染するほど、「住めない」と思う
荒木田岳(あらきだたける)
5月から福島大の同僚や京都精華大などの先生たち、市民の方々と一緒に
福島県内の除染に取り組んでいます。最初は、通学路や子どものいる家
から作業を始めました。
政府は「除染をすれば住めるようになる」と宣伝していますが、それは
実際に除染活動をしたことのない人の、机上の空論です。現場で作業し
ている実感からすれば、除染にかかわるたびに、「こんなところに人が
住んでいていいのか」と思います。
原発から約60キロ離れた福島市内ですら、毎時150マイクロシーベルト
なんて数字が出るところがあります。信じられますか?今日もその道を
子どもたちが通学しているんです。
30マイクロくらいの場所はすぐ見つかります。先日除染した市内の民家
では、毎時2マイクロシーベルトを超えていました。つまり、家の中に
いるだけで年20ミリシーベルト近くを外部被曝する。これに内部被曝も
加味したらどうなるのか。しかもそんな家でも、政府は特定避難推奨
地点に指定していません。
そしてどんなに頑張って除染しても、放射線量はなかなか下がりません。
下がっても雨が降ったら元の木阿弥(もくあみ)です。一回除染して
「はい、きれいになりました」という話じゃないんです。
今、私の妻子は県外に避難していますが、電話するたび子どもたちが
「いつ福島に帰れるの」と聞きます。故郷ですからね。でも私には、今
の福島市での子育てはとても考えられません。
そんな私が除染にかかわっているのは、「今しかできない作業」があり、
それによって50年後、100年後に違いが出てくると思うからです。多くの
人が去った後の福島や、原発なき後の地域政策を想像しつつ、淡々と作業
をしています。歴史家としての自分がそうさせるのでしょう。
結局、福島の実情は、突き詰めると、元気の出ない、先の見えない話に
なってしまいます。でもそれが現実です。人々は絶望の中で、今この瞬間
も被曝し続けながら暮らしています。こうして見殺しにされ、忘れられ
ようとしているわが町・福島の姿を伝えたいのです。そうすれば、まだ
この歴史を変えられるかもしれない。今ならまだ・・・・・。
******
荒木田岳さん(福島大学行政政策学類准教授)を囲んで
お話会のお知らせ
「除染するほど 住めないと思う 福島の今。」
学校給食の「地産地消」の推進?!
「逃げたヒトvs 残ったヒト」の二分化。。
放射線量測定へのタブーや無言の圧力?!
色んな情報が錯綜する中、
日本の美しいふるさと、福島では今、何が起こっているの?
福島とともに歩まれている、「放射能汚染・回復プロジェクト」の
荒木田さんをお招きし、「福島の今」を聴いてみませんか?
これは、福島だけ、日本だけの問題ではありません。
子供たちを放射能の脅威から守るという立場に立つならば、
「避難」と「除染」という2つの方法は、互いに矛盾するものではなく、
相互補完的なものであるはずです。しかし、国や福島県は、避難させない
ことを目的に除染を呼びかけているのです。
聞き手(コーディネーター):守田敏也さん
日時:3月30日(金) 10:30~13:00ごろ
場所:ひとまち交流館 2階 和室
料金:500円程度のカンパ制
*小さなお子様連れのママたちも大歓迎です。
(軽食なども遠慮なくご持参下さい)
予約:不要
主催:京都ママパパの会
荒木田さん(福島大学准教授)プロフィール
http://www.ads.fukushima-u.ac.jp/article/arakida_takeru
荒木田さんの除染活動についての記事
守田敏也さん
「明日に向けて」(306)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/fb3d13f7a57e2316575db56007ff1124
「明日に向けて」(304)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3ebae533afd6d0f6a86b9fd668af6153
「明日に向けて」(399)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/06c35fc5f3c9b2f575e9fc577752fb4e
放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会
*****
[開催]3/29(木)15:00~原子力と生存学研究会
特別企画「震災・大学・放射能~福島大学教員をお招きして」
人間科学研究所と立命館大学生存学研究センターの共同主催で以下のような
ワークショップが開催されます。
どなたでもご参加いただけます。皆さまのご参加をお待ちしています。
東日本大震災直後に生じた福島第一原発事故。爆発後の南東の風に乗って拡散
した放射能に対して福島大学・教員・市民はどのように対応したのか。現在の
問題点は何か。その実情や大学の危機管理のあり方など、私たちが学ぶべきこ
となどを福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)のメンバーによってお話しい
ただきます。
【日時】2012年3月29日(木)(15:00~18:00)
【場所】衣笠キャンパス 創思館303・304号室
【主催】人間科学研究所/生存学研究センター原子力と生存学研究会
登壇者 石田 葉月(福島大学 共生システム理工学類)
荒木田 岳(福島大学 行政政策学類)
永幡 幸司(福島大学 共生システム理工学類)
後藤 忍(福島大学 共生システム理工学類)
司会・聞き手 サトウタツヤ (立命館大学文学部/元福島大学教員)
指定質問者 中倉智徳 (立命館大学大学院先端総合学術研究科研究指導助手)
福島大学原発災害支援フォーラム. (FGF).
http://fukugenken.e-contents.biz/
立命館大学人間科学研究所
http://www.ritsumeihuman.com/
立命館大学生存学研究センター
http://www.ritsumei-arsvi.org
福島大学准教授の荒木田岳さんが京都に来られます。29日に立命館大学で他の
3名の福島大学教員の方とこられてシンポジウムを行うのですが、30日の午前中
にも「放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会」が、荒木田さんを囲んだ
お話会を設定してくださいました。30日の会では、僕が聴き手になって、荒木田
さんのお話をみなさんとシェアしたいと思います。
荒木田さんとは、昨年の10月、京都精華大学と福島大学の教員や福島市民らで
作る「放射能除染・回復プロジェクト」の除染活動に参加した時に知り合いにな
りました。ちょうど荒木田さんが『週刊朝日』に「除染するほど住めないと思う」
という一文を書かれた直後でした。
僕は除染活動にとどまらず、今、「福島市に住む」ことのアンビバレントな思い
を率直に表したこの文章に大変、胸を打たれました。すぐに「明日に向けて」で
紹介させていただくとともに、それ以降、メールでやりとりしたり、福島市で
お会いしたりということを繰り返してきました。
荒木田さんは、「きれいごと」を言わない。かといって、けして斜にかまえて、
ニヒリズムをただよわせているのでもない。ある種、淡々と現状を描写しつつ、
その奥深くにある、人々の複雑な思いを、そのままにつかみ、伝えようとして
います。美しいとはとても言えない。しかしただ醜いというのでもまったく正
確ではない。その狭間にあって揺れ動いているものと言えるものかもしれません。
それをそのまま見つめようとする荒木田さんに、僕は社会学者としての誠実さと
プライドも感じます。そしてまたそんな荒木田さんの語る「福島の今」に一番の
リアリティを感じるのです。ぜひ多くの方に耳を傾けて欲しい、接して欲しいと
思います。それでママパパ会の方にお願いして、場所を作っていただきました。
どうかみなさん。福島市を訪れるつもりで、荒木田さんのお話を聴きに来てくだ
さい。そしてイマジネーションを自らつかみとってください。今後、福島のこと、
原発災害被災地のことを思い考えるときの、とても大事なインスピレーション
を掴むことができると思います。
すでに一度、紹介したものですが、再度、荒木田さんの名分を記して、お誘いに
かえます。
*****
除染するほど、「住めない」と思う
荒木田岳(あらきだたける)
5月から福島大の同僚や京都精華大などの先生たち、市民の方々と一緒に
福島県内の除染に取り組んでいます。最初は、通学路や子どものいる家
から作業を始めました。
政府は「除染をすれば住めるようになる」と宣伝していますが、それは
実際に除染活動をしたことのない人の、机上の空論です。現場で作業し
ている実感からすれば、除染にかかわるたびに、「こんなところに人が
住んでいていいのか」と思います。
原発から約60キロ離れた福島市内ですら、毎時150マイクロシーベルト
なんて数字が出るところがあります。信じられますか?今日もその道を
子どもたちが通学しているんです。
30マイクロくらいの場所はすぐ見つかります。先日除染した市内の民家
では、毎時2マイクロシーベルトを超えていました。つまり、家の中に
いるだけで年20ミリシーベルト近くを外部被曝する。これに内部被曝も
加味したらどうなるのか。しかもそんな家でも、政府は特定避難推奨
地点に指定していません。
そしてどんなに頑張って除染しても、放射線量はなかなか下がりません。
下がっても雨が降ったら元の木阿弥(もくあみ)です。一回除染して
「はい、きれいになりました」という話じゃないんです。
今、私の妻子は県外に避難していますが、電話するたび子どもたちが
「いつ福島に帰れるの」と聞きます。故郷ですからね。でも私には、今
の福島市での子育てはとても考えられません。
そんな私が除染にかかわっているのは、「今しかできない作業」があり、
それによって50年後、100年後に違いが出てくると思うからです。多くの
人が去った後の福島や、原発なき後の地域政策を想像しつつ、淡々と作業
をしています。歴史家としての自分がそうさせるのでしょう。
結局、福島の実情は、突き詰めると、元気の出ない、先の見えない話に
なってしまいます。でもそれが現実です。人々は絶望の中で、今この瞬間
も被曝し続けながら暮らしています。こうして見殺しにされ、忘れられ
ようとしているわが町・福島の姿を伝えたいのです。そうすれば、まだ
この歴史を変えられるかもしれない。今ならまだ・・・・・。
******
荒木田岳さん(福島大学行政政策学類准教授)を囲んで
お話会のお知らせ
「除染するほど 住めないと思う 福島の今。」
学校給食の「地産地消」の推進?!
「逃げたヒトvs 残ったヒト」の二分化。。
放射線量測定へのタブーや無言の圧力?!
色んな情報が錯綜する中、
日本の美しいふるさと、福島では今、何が起こっているの?
福島とともに歩まれている、「放射能汚染・回復プロジェクト」の
荒木田さんをお招きし、「福島の今」を聴いてみませんか?
これは、福島だけ、日本だけの問題ではありません。
子供たちを放射能の脅威から守るという立場に立つならば、
「避難」と「除染」という2つの方法は、互いに矛盾するものではなく、
相互補完的なものであるはずです。しかし、国や福島県は、避難させない
ことを目的に除染を呼びかけているのです。
聞き手(コーディネーター):守田敏也さん
日時:3月30日(金) 10:30~13:00ごろ
場所:ひとまち交流館 2階 和室
料金:500円程度のカンパ制
*小さなお子様連れのママたちも大歓迎です。
(軽食なども遠慮なくご持参下さい)
予約:不要
主催:京都ママパパの会
荒木田さん(福島大学准教授)プロフィール
http://www.ads.fukushima-u.ac.jp/article/arakida_takeru
荒木田さんの除染活動についての記事
守田敏也さん
「明日に向けて」(306)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/fb3d13f7a57e2316575db56007ff1124
「明日に向けて」(304)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3ebae533afd6d0f6a86b9fd668af6153
「明日に向けて」(399)より
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/06c35fc5f3c9b2f575e9fc577752fb4e
放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会
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[開催]3/29(木)15:00~原子力と生存学研究会
特別企画「震災・大学・放射能~福島大学教員をお招きして」
人間科学研究所と立命館大学生存学研究センターの共同主催で以下のような
ワークショップが開催されます。
どなたでもご参加いただけます。皆さまのご参加をお待ちしています。
東日本大震災直後に生じた福島第一原発事故。爆発後の南東の風に乗って拡散
した放射能に対して福島大学・教員・市民はどのように対応したのか。現在の
問題点は何か。その実情や大学の危機管理のあり方など、私たちが学ぶべきこ
となどを福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)のメンバーによってお話しい
ただきます。
【日時】2012年3月29日(木)(15:00~18:00)
【場所】衣笠キャンパス 創思館303・304号室
【主催】人間科学研究所/生存学研究センター原子力と生存学研究会
登壇者 石田 葉月(福島大学 共生システム理工学類)
荒木田 岳(福島大学 行政政策学類)
永幡 幸司(福島大学 共生システム理工学類)
後藤 忍(福島大学 共生システム理工学類)
司会・聞き手 サトウタツヤ (立命館大学文学部/元福島大学教員)
指定質問者 中倉智徳 (立命館大学大学院先端総合学術研究科研究指導助手)
福島大学原発災害支援フォーラム. (FGF).
http://fukugenken.e-contents.biz/
立命館大学人間科学研究所
http://www.ritsumeihuman.com/
立命館大学生存学研究センター
http://www.ritsumei-arsvi.org
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