守田です。(20120410 23:30)
以下の記事は、気仙沼のアビスさんからの情報に基づいて書きました。
これまで僕はこの「明日に向けて」の紙面で、繰り返し4号機崩壊の危険性
を指摘し、それが日本の崩壊を招きかねないこと、それゆえ、強い危機意識
を持ち、これへの構えを作るべきことを主張してきましたが、3月22日に行
われた参議院予算員会の公聴会で、元スイス大使の村田光平氏が、4号機崩
壊は世界的危機をもたらすものであること。こうした中で脱原発に向かう
ことを躊躇することは「倫理の欠如というそしりを免れない」という指摘を
格調高く行われました。感動しました。
村田氏はこの中で、4号機のそばには、1号機から6号機までの共用プールが
あり、そこには6375本もの燃料棒が収められていることを指摘しています。
4号機が崩壊すれば、この管理も放棄しなければならなくなるため、放射能
の放出がさらに絶望的に拡大してしまうことになります。まさに世界的危機
の勃発です。私たちはそれを未然に防ぐために努力しなければなりません。
とくに日本政府は、いますぐにでもこのことを内外に明らかにし、日本の
すべての英知を福島事故の真の収束にむけて総動員するべきです。そのため
には、全くのウソでしかない冷温停止宣言をただちに取り下げ、危機の実相
を明らかにして、世界中に協力を仰ぐべきです。
同時に再び原発を大地震が襲い、4号機倒壊が現実的になった場合を世界的に
シミュレーションし、必要な限りの放射線防護を世界レベルで行うべきです。
そんなとんでもないことはできないという言い逃れは通用しません。できない
と言う論理は、そんなことは起こらないという希望的観測に結びつき、だから
対策をたてなくてよいという結論を生みます。とんでもないことです。
そもそもその発想で、原子炉の崩壊の可能性がありえないと退けられ、何らの
対策も立てないままに直面したのが今回の事故だったのです。そしてそれは、
本当に、とんでもない対処をしなければならない現実を作り出してしまった
のです。まさに世界が崩壊する危機が作り出されてしまった。核戦争をなん
とか回避してきた人類は今、最大の危機の前に立っています。
いやそもそもそれが、原子力政策の現実なのです。危機の前に立っているのは
福島原発だけではありません。世界中の原発が危険であり、再処理工場はそれ
を大きく上回る危険性を持っています。だからこそ、世界中でただちに、軍事、
民事を問わない核の廃絶に取り組み、核燃料の危険性をいかに減らしていくの
かの研究・実践に入り、何百年もかけて、核物質を大事にいたらないように管
理していかなくてはならないのです。
広島・長崎を経験し、今また原発大災害を経験した私たちの国は、その悲惨な
歴史と共に、今回の事故の加害責任にかけて、その先鞭をつけていかなければ
なりません。それを世界に向けて発信し、リードしていくべきです。
にもかかわらず、こんなときに、放射能の危険性を隠して、放射性がれきの
地方へのおしつけなど行なっている場合ではありません。
そうした行為の総体が、現実に目の前にある危機への対応を弱め、気の緩みや
隙を作り出し、そうして防げるべきものも防げない状態を作り出してしまうの
です。何度も言いますが、そうして福島原発事故は最悪のコースをたどったの
であり、まさにそれは「原発安全神話」の中で作られた破局への道だったの
です。しかも安全神話は今なおこの国を支配しています。私たちはこれをこそ、
ひっくり返していかなければなりません。
村田光平氏は、これらのことを実に格調高く、指摘してくださいました。後ろ
の方に出てくるアメリカへの評価等で、僕とは分析視角が違う面もありますが
それはともあれ、ぜひ多くの人にこの発言に触れて欲しいと思い、文字起こし
を始めましたが、途中で、これまでも有力な情報を発信してきた「カレイド
スコープさん」がすでに文字おこしした内容を、アップされていることを
知りました。
そこでアビスさんから提供を受けた動画とともに、カレイドスコープさんの文字
おこしした内容に若干の訂正を入れたものを、以下にご紹介しようと思います。
村田さんの訴えをぜひ多くの人で共有していきましょう!
***********************
参議院予算委員会公聴会での村田光平氏の発言(2012年3月22日)
(村田光平 地球システム・倫理学会常任理事 元駐スイス大使)
動画アドレス
http://www.youtube.com/watch?v=9bq81boQL_Y
文字おこし(カレイドスコープさん)アドレス
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1198.html
このような場で発言させていただくことは、大変光栄に存じます。
今日、ここに参りますに当たりまして、特に、みなさま方に伝えたいことが
ございます。それは、いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面し
ているかということであります。人間社会が受容できない、この原発のもた
らしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならない、と私は福島事故
は全世界に想起させつつあると信じております。
そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは
倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。
特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴され
るのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。
そして、これは人類が緊急に取り組まなければならない課題だと信じており
ます。そして、この放射能汚染と、これを許すあらゆる行為は、計り知れな
い害悪を永久に人類と地球に残すものです。
私が出席した2005年のOBサミットは最終文書で、「未来の世代を含む、すべ
ての人の認められる人権」ということで、未来の世代の人権を認めているわ
けですが、放射能汚染は、まさにそれを蹂躙するものであります。
原発の死角、使用済み燃料は過去に危機的な状況を何度も引き起こしてきた。
特に今日、みなさまにお伝えしたいのは、福島4号機の危険な状況でございます。
毎日、日本すべての国民は、余震が起きるたびに怯えております。
この燃料プールが、もし崩壊して、1535本の燃料棒が大気中で燃えだした場合
には、果てしない放射能が放出されると。もちろん、東京は住めなくなるわけ
です。
この1353本という数字は、実は控えめでございまして、つい数日前、私が発見
した数字がございます。それは、1号から6号、共有のプールがございまして、
それは4号機から50メートル離れたところでございますが、そこに、なんと
6375本の燃料棒が収められていると、いうことであります。まさに、この4号
機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。
それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。
政治家にも危機感がない。こんなときにも笑っている議員がいる
この対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が来年末以降という
のは断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております。
国の責任が極めて重要だと信じます。
この点に関して、ついにアメリカが動き出したようであります。
数日前、入った情報によりますと、この著名な核科学者が中立の評価委員会の
設置の提唱を始めました。
これは、元国連職員で、世界中の著名な学者と連携を取っている松村昭雄さんが、
米政府の元・上級政策アドバイザーで、使用済み核燃料の第一人者であるボブ・
アルバレス氏、他の科学者たちに働きかけたものです。
この経緯については、2月に4号機プールにはチェルノブイリ原発の8倍のセシウム
があるで書いておきました。
太平洋を越えて、アメリカ西海岸へも放射性プルームが飛んでいき、事実、多く
のアメリカ人に重大な健康被害が出ています。
4号機プールが破損でもすれば、本当に北半球が終ってしまうので、米政府も、
いまだに危機感もなく世界に対しての責任感もない野田政権と日本政府に業を煮
やしたのです。そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会
を開くように働きかけ出した、ということでございます。
次に日本から世界の究極の破局をもたらしうるものとして指摘できるのは、六ヶ
所村の再処理工場であります。この六ヶ所村の再処理工場(が、いかに危険か)
につきましては、1977年の1月15日、毎日新聞が記事を書いております。
これによりますと、ケルンの原子炉安全研究所の発表では、極秘レポートであり
ますが、西ドイツの人口の半分、3050万人が死ぬであろうという報告であります。
そして、この再処理工場の恐ろしさは、実はヨーロッパでもシェルブールの停電
事件としてグーグルで、すぐ出てまいりますが、欧州全土を滅ぼしうるもの
だったと言われております。
この再処理工場の危険性を、私は内外に伝えておりましたところ、先週、欧州の
代表的な環境学者、エルンスト・フォン・ワイゼッカー教授から、その伝えを正
式に支持するという連絡が入っております。
日本は、福島事故を経験しまして、民事・軍事双方の核使用の犠牲国となったわ
けでありますが、悲しいかな、今や世界的規模の放射能汚染の加害国にもなって
しまっています。
毎日、いまだに毎時1億ベクレル近い放射能が出ているということも、さきほど
東電で確認いたしました。毎時0.7億ベクレルでございますが、おびただしい量の
放射能がでているわけでございます。
これを聞くにつけ、私はメキシコの原油流出事故が止まらないときに戦慄したの
を覚えております。まさに原油ならぬ放射能が同じような状況に置かれていると
いうことであります。
私は、福島を経験した日本は、民事・軍事を問わない真の核廃絶を世界に伝える
歴史的責務を担っていると信じております。
私が今まで、あちこちで講演する際、この主張に対して異論を唱える人は皆無で
ありました。
そして、私はこのような危機的状況、そして福島では、まさに、事故当初、作業
員の全面撤退が考えられていた。もし、その全面撤退が行われていれば、確実に
世界の究極の破局の第一歩が始まっていたわけであります。
このような認識が世界に正確に伝わるならば、脱原発というものが非常に早い時
期に世界的に実現しうるし、また、そうしなければ今の危機的状況を回避できな
いと、そのように私は信じております。
私は、そういう中で、ひとつの希望を与えてくれるものは、お配りした資料に書
いてあります「天地の摂理」であります。天地の摂理は人類と地球を守る、これ
が悠久の歴史から導き出される歴史の法則であると。しかし、そのためには惨い
警告を与えてきました。
私は、1年半前、バーゼルの核戦争防止会議で、「次の大惨事は核惨事である。も
し、これが起これば究極の破局につながりかねないので、人類の英知を導入して、
これを未然に防ごう」という呼びかけを行いました。残念ながら事故は起きてし
まいました。
そうした中で、この日本の事故の経験から、ほとばしり出る声は、ますます国際
社会の心ある人からの支援の対象になりつつあります。
具体的事例を申しますと、一月ほど前、マハティール元首相(マレーシア第4代
首相)から私に対しまして、いかに脱原発というものが正しいかと、マレーシア
は、核技術-人類がまだ把握していない技術-を、断固拒否したという主旨の手
紙を受け取っております。
それから福島の事故の教訓のひとつとして、これからは新しい文明作りを始めな
ければならないということでございますが、この新しい文明の突破口となるのが、
地球倫理の確立である、ということで、国連倫理サミットの開催と言うのを呼び
かけているのでございますが、これに対しまして、今月に入りまして、潘基文
(パン・ギムン)国連事務総長から、私に手紙がありました。
そして、加盟国が国連総会にこの議題を提出すれば、喜んで支持するという手紙を
くださいました。そして、アメリカのルース大使を通じまして、私たちがやってい
るこの国連倫理サミット、それから今の文明を、力の父性文明から和の母性文明に
変えると、こういう努力はオバマ大統領の提唱した「核兵器なきビジョン」が、
そのために力をあわせていくことがいかに大事であるかということを想起させる
ものであるとして、私に感謝の意を表明する手紙を下さっております。
そして、この核廃絶、真の核廃絶、民事・軍事を問わない核廃絶、これは福島事故
を契機に具体的な動機になってきましてた。それは、何と言えば、日本は、もし核
廃絶が実現せず、中国がおびただしい数の原発を造る場合には、黄砂だけでも被害
者は出てしまいます。これはなんとしてでも防がなければならないわけであります。
それから福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易で
あるかと、水と電気を止めればいいと。そして、防護されていない冷却燃料プール、
これさえ襲えばいいと。そういう事実を世界に知らせてしまったということで、
核保有国に取りましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということ
でございます。
そして、私は今までの経験から、核を進めようとしているフランス、インド、アメ
リカ等が、このような核廃絶を求める運動に対して、理解を示めしていると。中国
でさえ、天津科技大学が私に名誉教授の称号を与えました。
それからフランスは、昨年の国際会議に、私を招いてくれましたし、アメリカは、
先ほどのルース大使の書簡がありますし、インド前石油大臣は、私にエールを送っ
てきております。パチャウリIPCC議長も、しかりであります。
このように私は、核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目
を向けさせること、これこそ、こういった国々に対する最大の貢献であると、その
ような信念のもとに活動を続けております。
そして、特にこの際、みなさま、福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、
こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処に、急い
で、緊急に、もっと国が責任を持って、対処、対応できるような体制づくりに、ぜひ
ご尽力いただきたいと思います。
以上であります。
以下の記事は、気仙沼のアビスさんからの情報に基づいて書きました。
これまで僕はこの「明日に向けて」の紙面で、繰り返し4号機崩壊の危険性
を指摘し、それが日本の崩壊を招きかねないこと、それゆえ、強い危機意識
を持ち、これへの構えを作るべきことを主張してきましたが、3月22日に行
われた参議院予算員会の公聴会で、元スイス大使の村田光平氏が、4号機崩
壊は世界的危機をもたらすものであること。こうした中で脱原発に向かう
ことを躊躇することは「倫理の欠如というそしりを免れない」という指摘を
格調高く行われました。感動しました。
村田氏はこの中で、4号機のそばには、1号機から6号機までの共用プールが
あり、そこには6375本もの燃料棒が収められていることを指摘しています。
4号機が崩壊すれば、この管理も放棄しなければならなくなるため、放射能
の放出がさらに絶望的に拡大してしまうことになります。まさに世界的危機
の勃発です。私たちはそれを未然に防ぐために努力しなければなりません。
とくに日本政府は、いますぐにでもこのことを内外に明らかにし、日本の
すべての英知を福島事故の真の収束にむけて総動員するべきです。そのため
には、全くのウソでしかない冷温停止宣言をただちに取り下げ、危機の実相
を明らかにして、世界中に協力を仰ぐべきです。
同時に再び原発を大地震が襲い、4号機倒壊が現実的になった場合を世界的に
シミュレーションし、必要な限りの放射線防護を世界レベルで行うべきです。
そんなとんでもないことはできないという言い逃れは通用しません。できない
と言う論理は、そんなことは起こらないという希望的観測に結びつき、だから
対策をたてなくてよいという結論を生みます。とんでもないことです。
そもそもその発想で、原子炉の崩壊の可能性がありえないと退けられ、何らの
対策も立てないままに直面したのが今回の事故だったのです。そしてそれは、
本当に、とんでもない対処をしなければならない現実を作り出してしまった
のです。まさに世界が崩壊する危機が作り出されてしまった。核戦争をなん
とか回避してきた人類は今、最大の危機の前に立っています。
いやそもそもそれが、原子力政策の現実なのです。危機の前に立っているのは
福島原発だけではありません。世界中の原発が危険であり、再処理工場はそれ
を大きく上回る危険性を持っています。だからこそ、世界中でただちに、軍事、
民事を問わない核の廃絶に取り組み、核燃料の危険性をいかに減らしていくの
かの研究・実践に入り、何百年もかけて、核物質を大事にいたらないように管
理していかなくてはならないのです。
広島・長崎を経験し、今また原発大災害を経験した私たちの国は、その悲惨な
歴史と共に、今回の事故の加害責任にかけて、その先鞭をつけていかなければ
なりません。それを世界に向けて発信し、リードしていくべきです。
にもかかわらず、こんなときに、放射能の危険性を隠して、放射性がれきの
地方へのおしつけなど行なっている場合ではありません。
そうした行為の総体が、現実に目の前にある危機への対応を弱め、気の緩みや
隙を作り出し、そうして防げるべきものも防げない状態を作り出してしまうの
です。何度も言いますが、そうして福島原発事故は最悪のコースをたどったの
であり、まさにそれは「原発安全神話」の中で作られた破局への道だったの
です。しかも安全神話は今なおこの国を支配しています。私たちはこれをこそ、
ひっくり返していかなければなりません。
村田光平氏は、これらのことを実に格調高く、指摘してくださいました。後ろ
の方に出てくるアメリカへの評価等で、僕とは分析視角が違う面もありますが
それはともあれ、ぜひ多くの人にこの発言に触れて欲しいと思い、文字起こし
を始めましたが、途中で、これまでも有力な情報を発信してきた「カレイド
スコープさん」がすでに文字おこしした内容を、アップされていることを
知りました。
そこでアビスさんから提供を受けた動画とともに、カレイドスコープさんの文字
おこしした内容に若干の訂正を入れたものを、以下にご紹介しようと思います。
村田さんの訴えをぜひ多くの人で共有していきましょう!
***********************
参議院予算委員会公聴会での村田光平氏の発言(2012年3月22日)
(村田光平 地球システム・倫理学会常任理事 元駐スイス大使)
動画アドレス
http://www.youtube.com/watch?v=9bq81boQL_Y
文字おこし(カレイドスコープさん)アドレス
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1198.html
このような場で発言させていただくことは、大変光栄に存じます。
今日、ここに参りますに当たりまして、特に、みなさま方に伝えたいことが
ございます。それは、いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面し
ているかということであります。人間社会が受容できない、この原発のもた
らしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならない、と私は福島事故
は全世界に想起させつつあると信じております。
そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは
倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。
特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴され
るのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。
そして、これは人類が緊急に取り組まなければならない課題だと信じており
ます。そして、この放射能汚染と、これを許すあらゆる行為は、計り知れな
い害悪を永久に人類と地球に残すものです。
私が出席した2005年のOBサミットは最終文書で、「未来の世代を含む、すべ
ての人の認められる人権」ということで、未来の世代の人権を認めているわ
けですが、放射能汚染は、まさにそれを蹂躙するものであります。
原発の死角、使用済み燃料は過去に危機的な状況を何度も引き起こしてきた。
特に今日、みなさまにお伝えしたいのは、福島4号機の危険な状況でございます。
毎日、日本すべての国民は、余震が起きるたびに怯えております。
この燃料プールが、もし崩壊して、1535本の燃料棒が大気中で燃えだした場合
には、果てしない放射能が放出されると。もちろん、東京は住めなくなるわけ
です。
この1353本という数字は、実は控えめでございまして、つい数日前、私が発見
した数字がございます。それは、1号から6号、共有のプールがございまして、
それは4号機から50メートル離れたところでございますが、そこに、なんと
6375本の燃料棒が収められていると、いうことであります。まさに、この4号
機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。
それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。
政治家にも危機感がない。こんなときにも笑っている議員がいる
この対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が来年末以降という
のは断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております。
国の責任が極めて重要だと信じます。
この点に関して、ついにアメリカが動き出したようであります。
数日前、入った情報によりますと、この著名な核科学者が中立の評価委員会の
設置の提唱を始めました。
これは、元国連職員で、世界中の著名な学者と連携を取っている松村昭雄さんが、
米政府の元・上級政策アドバイザーで、使用済み核燃料の第一人者であるボブ・
アルバレス氏、他の科学者たちに働きかけたものです。
この経緯については、2月に4号機プールにはチェルノブイリ原発の8倍のセシウム
があるで書いておきました。
太平洋を越えて、アメリカ西海岸へも放射性プルームが飛んでいき、事実、多く
のアメリカ人に重大な健康被害が出ています。
4号機プールが破損でもすれば、本当に北半球が終ってしまうので、米政府も、
いまだに危機感もなく世界に対しての責任感もない野田政権と日本政府に業を煮
やしたのです。そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会
を開くように働きかけ出した、ということでございます。
次に日本から世界の究極の破局をもたらしうるものとして指摘できるのは、六ヶ
所村の再処理工場であります。この六ヶ所村の再処理工場(が、いかに危険か)
につきましては、1977年の1月15日、毎日新聞が記事を書いております。
これによりますと、ケルンの原子炉安全研究所の発表では、極秘レポートであり
ますが、西ドイツの人口の半分、3050万人が死ぬであろうという報告であります。
そして、この再処理工場の恐ろしさは、実はヨーロッパでもシェルブールの停電
事件としてグーグルで、すぐ出てまいりますが、欧州全土を滅ぼしうるもの
だったと言われております。
この再処理工場の危険性を、私は内外に伝えておりましたところ、先週、欧州の
代表的な環境学者、エルンスト・フォン・ワイゼッカー教授から、その伝えを正
式に支持するという連絡が入っております。
日本は、福島事故を経験しまして、民事・軍事双方の核使用の犠牲国となったわ
けでありますが、悲しいかな、今や世界的規模の放射能汚染の加害国にもなって
しまっています。
毎日、いまだに毎時1億ベクレル近い放射能が出ているということも、さきほど
東電で確認いたしました。毎時0.7億ベクレルでございますが、おびただしい量の
放射能がでているわけでございます。
これを聞くにつけ、私はメキシコの原油流出事故が止まらないときに戦慄したの
を覚えております。まさに原油ならぬ放射能が同じような状況に置かれていると
いうことであります。
私は、福島を経験した日本は、民事・軍事を問わない真の核廃絶を世界に伝える
歴史的責務を担っていると信じております。
私が今まで、あちこちで講演する際、この主張に対して異論を唱える人は皆無で
ありました。
そして、私はこのような危機的状況、そして福島では、まさに、事故当初、作業
員の全面撤退が考えられていた。もし、その全面撤退が行われていれば、確実に
世界の究極の破局の第一歩が始まっていたわけであります。
このような認識が世界に正確に伝わるならば、脱原発というものが非常に早い時
期に世界的に実現しうるし、また、そうしなければ今の危機的状況を回避できな
いと、そのように私は信じております。
私は、そういう中で、ひとつの希望を与えてくれるものは、お配りした資料に書
いてあります「天地の摂理」であります。天地の摂理は人類と地球を守る、これ
が悠久の歴史から導き出される歴史の法則であると。しかし、そのためには惨い
警告を与えてきました。
私は、1年半前、バーゼルの核戦争防止会議で、「次の大惨事は核惨事である。も
し、これが起これば究極の破局につながりかねないので、人類の英知を導入して、
これを未然に防ごう」という呼びかけを行いました。残念ながら事故は起きてし
まいました。
そうした中で、この日本の事故の経験から、ほとばしり出る声は、ますます国際
社会の心ある人からの支援の対象になりつつあります。
具体的事例を申しますと、一月ほど前、マハティール元首相(マレーシア第4代
首相)から私に対しまして、いかに脱原発というものが正しいかと、マレーシア
は、核技術-人類がまだ把握していない技術-を、断固拒否したという主旨の手
紙を受け取っております。
それから福島の事故の教訓のひとつとして、これからは新しい文明作りを始めな
ければならないということでございますが、この新しい文明の突破口となるのが、
地球倫理の確立である、ということで、国連倫理サミットの開催と言うのを呼び
かけているのでございますが、これに対しまして、今月に入りまして、潘基文
(パン・ギムン)国連事務総長から、私に手紙がありました。
そして、加盟国が国連総会にこの議題を提出すれば、喜んで支持するという手紙を
くださいました。そして、アメリカのルース大使を通じまして、私たちがやってい
るこの国連倫理サミット、それから今の文明を、力の父性文明から和の母性文明に
変えると、こういう努力はオバマ大統領の提唱した「核兵器なきビジョン」が、
そのために力をあわせていくことがいかに大事であるかということを想起させる
ものであるとして、私に感謝の意を表明する手紙を下さっております。
そして、この核廃絶、真の核廃絶、民事・軍事を問わない核廃絶、これは福島事故
を契機に具体的な動機になってきましてた。それは、何と言えば、日本は、もし核
廃絶が実現せず、中国がおびただしい数の原発を造る場合には、黄砂だけでも被害
者は出てしまいます。これはなんとしてでも防がなければならないわけであります。
それから福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易で
あるかと、水と電気を止めればいいと。そして、防護されていない冷却燃料プール、
これさえ襲えばいいと。そういう事実を世界に知らせてしまったということで、
核保有国に取りましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということ
でございます。
そして、私は今までの経験から、核を進めようとしているフランス、インド、アメ
リカ等が、このような核廃絶を求める運動に対して、理解を示めしていると。中国
でさえ、天津科技大学が私に名誉教授の称号を与えました。
それからフランスは、昨年の国際会議に、私を招いてくれましたし、アメリカは、
先ほどのルース大使の書簡がありますし、インド前石油大臣は、私にエールを送っ
てきております。パチャウリIPCC議長も、しかりであります。
このように私は、核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目
を向けさせること、これこそ、こういった国々に対する最大の貢献であると、その
ような信念のもとに活動を続けております。
そして、特にこの際、みなさま、福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、
こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処に、急い
で、緊急に、もっと国が責任を持って、対処、対応できるような体制づくりに、ぜひ
ご尽力いただきたいと思います。
以上であります。
メルケル首相は以前は原発推進派でした。
ドイツ国民は福島から多くのものを学んだようです。
日本人が学びを得た様子は見られません。