明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(399)ホットスポットと生きる子どもたち(ニュースJAPANより)

2012年02月02日 09時30分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
明日に向けて(399)ホットスポットと生きる子どもたち(ニュースJAPANより)

守田です。(20120202 9:30)

ニュースJAPANが重要なルポを流してくれました。「福島最前線からの報告
ホットスポットに生きる子供たち」と題した報告です。福島市渡利地区の
ホットスポットの現実と、そこに住む子どもの姿を描いています。

番組の中に登場する、福島大学准教授の荒木田岳さんは、これまでも紹介
してきたように、「放射能除染・回復プロジェクト」に参加してきた方で
先日、1月16日に僕が福島市を訪れた際も、いろいろとお話した仲です。

その荒木田さんが、取材陣を連れて、100マイクロシーベルト毎時を超える
場所を示していますが、ここが僕が先日訪れた、障がい者自立生活センター
横のマイクロホットスポットです。高いときで180マイクロシーベルトを
示す場所です。


昨年、東京の世田谷市でラジウムが見つかったとき、全国にニュースが流れ
ましたが、そのときの放射線値は2.8マイクロシーベルト毎時でした。世田谷
区長の迅速な対応もあって、世田谷では2.8という値が出たことが大きな問題
になりました。ところが福島市では100という値が出ていても、それほど大き
なニュースにはなりません。なぜか。至るところでそうした値が出ていながら
政府と県が安全宣言を繰り返しているからです。

このあまりに理不尽な状況を、全国の人の力で変えていく必要があります。
何より大事なのは、こうした高線量地帯を、「避難権利区域」に指定し、
避難の権利を住民に付与すること。避難の場合は、政府が経費を負担する
体制を作り出していくことです。法律で、国が国民・住民にこれ以上、浴び
せてはいけない値が、年間1ミリシーベルトと定めてあるのですから、それを
上回るすべての地域にこの権利が付与されるべきです。

とくに子どもたちの避難を優先させる必要があり、そのための学童疎開など
も行なっていく必要があります。これらの声を、福島や、周りの線量の高い
地域の外から上げていくこと。がれきの受け入れではなく、汚染されていな
い地域に、人々を、子どもたちを受け入れていくべきこと。がれきの移送に
使おうとしている資金を人々の避難にまわすべきこと、またそれを政府と対
決しながら推し進められる行政を市民の力で作り上げていくことが大切です。


なお番組では、除染がまったく進んでいないことが指摘し、にもかかわらず
市民にその場での生活を強いることの理不尽さを訴えています。重要な点で
すが、しかし除染は、「貯蔵施設が準備されていない」というよりも、そも
そも実施がかなり困難で、やってもすぐに元に戻ってしまうが故に進んでい
ない面が強いことを捉えた方が妥当です。その意味で除染の不可能性をしっ
かりと認識し、避難を促進すべきなのです。

以下、7分ほどの番組をぜひご覧ください。お時間の無い方のために、文字
起こしもつけくわえてあります。また荒木田さんの名文を紹介した、「明日
に向けて」のページも末尾に貼り付けておきます。

*********

福島最前線からの報告5
「ホットスポットと生きる子供たち」

http://www.youtube.com/watch?v=6HexkrW6J68&feature=youtu.be

キャスター
福島最前線からの報告です。
放射線量が極端に高いホットスポットが点在する福島市。住民の要望をよそ
に、自治体による除染作用や被曝検査は進んでいません。事故から9ヶ月を
超えた今も、子どもとその家族は放射能の不安と隣合せです。

裏澤光雪ちゃん(10歳)
何年後かに、何かが起こるのか分からないけど、ちょっと怖い

荒木田岳(あらきだたける)・福島大学行政政策学類准教授
福島市民はほとんど見捨てられている状態ではないかって思ってますね。

ナレーション
高い放射線量のホットスポットが点在する中で、今も生活を続ける福島市の
子どもたち。その不条理な現実を報告する。

県庁からおよそ2キロの距離にある福島市渡利地区。静かな住宅街に異変がお
きていた。住民の裏澤利夫さん、78歳。自宅前の側溝で放射線量を測定して
もらうと・・・。

裏澤利夫さん
7.308(μSv/h)・・・。8.773(μSv/h)に上がりました・・・。

ナレーション
そして、庭の一角では・・・。

裏澤俊夫さん
30.0(μSv/h)オーバーです。尋常じゃないですね。
(庭に出てきた孫の友雪ちゃん4歳に)あ、出てきたダメだって。出てこないで。

ナレーション
原発事故以降、裏澤さんは、孫娘たちを表で遊ばせていない。被曝のリスクが
高いからだ。
自由に外での遊びや運動ができなくなってすでに9ヶ月。幼い心に強いストレス
がかかっていた。

裏澤光雪ちゃん
外で遊べなくなったり、放射線の濃度が高くなったりすることが、ちょっと怖
い。

ナレーション
渡利地区を「避難勧奨地点」にして欲しいと望んでいる裏澤さん。しかし住民
説明会で国は・・・。(渡利地区住民説明会の映像)

原子力災害現地対策本部 佐藤暁室長
まずはですね、除染をさせていただきたいということです。

ナレーション
そして地元福島市の担当者は・・・。

福島市政策推進部 冨田光部長
国の基準になりますけれども、その基準から言えば、住み続けることが可能
であると。

ナレーション
とはいえ、福島市内の除染は、一部の公共施設以外、手つかずのまま。
中間貯蔵施設の準備が出来ていないからだ。

裏澤利夫さん
健康を、行政のほうでなんで守ってくれないんだろうということをつくづく
思いますね。同じ人がここに住んでみたらそうですかっていうことなんです。
子どもとか孫を住まわせて。

ナレーション
福島大学で行政政策を教える荒木田岳准教授と、渡利地区の通学路に向かった。

荒木田岳さん
こういうところですか?どうだろう。どれぐらいあるのかなあ。

・・・2.054μSv/hの数値・・・

僕らもう、感覚が麻痺しちゃって。

ナレーション
そして、驚くべき数値を示す場所があった。

・・・101.6μSv/hの数値・・・

荒木田岳さん
異常に高い数値であることは間違いないです。

ナレーション
放射線線量計は、実に、100μSv/hを越した。

荒木田岳さん
見ての通り、誰でも近寄れる場所じゃないですか。こういうとこ、子ども、
ボールを落としたりしますし・・・。

ナレーション
荒木田准教授は、今年、この渡利地区に、自宅を建てる予定だった。

荒木田岳さん
(予定地で)もう建っているはずだったんですよ。年内に入れればっていう
意向だったんですけどね。見ての通りです。

ナレーション
原発から出た大量の放射性物質が、雨に流されるなどして濃縮。福島市内に
ホットスポットを生み出していた。放射能問題が深刻さをます一方で政府は

12月16日首相官邸における野田首相の声明
原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断
される、との確認を行いました。

ナレーション
官僚の発想で対策を進めようとする政府。これを許す地元自治体の責任も
重いと、荒木田准教授は指摘する。

荒木田岳さん
まったくこの事故に関しては、中央依存というか、中央が決めたまま、市の
方針も県の方針もそれに従って出てくるというような状態。これが非常に不
幸だと僕は思っています。
住民を守る目線で、住民と一緒に、今後、どういう打開策がありうるかという
ことを、本当は考えていかなければいけないと思うのですけれどね。そういう
転換を、早くやってほしい、というふうに思います。

ナレーション
渡利地区の裏澤さんは、被曝対策で、孫娘たちに外出時は必ずマスクをつけ
させている。先月から少しでも被曝を避けるために、夜は親戚の家に「疎開」
するようになった。

裏澤利夫さん
本当に、淋しいよりも悔しいですよね。こういうふうな生活を強いられるって
いうことは。

ナレーション
福島市では、まだ子どもの内部被曝検査すら始まっていない。
(「福島市の内部被ばく検査は来年2月以降―」というテロップ)
放射線量の高い場所で子どもたちが生活している現実。その未来を本気で
守ろうとしているのか。国と地元自治体の姿勢が、今、問われている。

********

明日に向けて(304)除染するほど、「住めない」と思う・・・放射能除染・回復プロジェクトに参加して(3)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3ebae533afd6d0f6a86b9fd668af6153


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